↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/77

第三話 遊園地に潜む悪意――死のゲーム

「この中には……特別なゲストが……」

 ピエロが再び手を叩く。

 三つの箱の蓋が、ギィ……という音を立てて倒れた。

「陽子……!」

 森山が叫んだ。

 左の箱にいたのは、間違いなく森山陽子だった。写真で見た顔そのままの、二十三歳の女性。長い黒髪をだらりと垂らし、パジャマ姿で箱の中に立っている。しかし、その目は虚ろで、焦点が合っていない。

 中央の箱には、同じくらいの年齢の男性。痩せ型で、腕に包帯が巻かれている。自殺未遂を起こしたという、もう一人の生存者だろう。

 右の箱にも同じくらいの年齢の女性。来ている服が病院指定の服などで、おそらく精神病院で療養中の三人目の生存者だろう。彼女も他の二人と同様に目はやはり虚ろで、生気が感じられない。

 三人とも、まるでマネキンのように微動だにしない。しかし、彼らは確かに生きている。胸がかすかに上下し、唇が意味のない言葉を吐き出している。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 陽子の口から漏れる声が、劇場に響く。

「陽子!  陽子!!」

 森山が椅子から飛び出そうとするが、見えない力に押さえつけられて動けない。

「ふん! うーん、ダメか。そっちは?」

「いや、翔太が無理なら俺が動けるわけないだろう」

「……それもそうだな」

 納得の意見だ。

 体全体が、何かに縛り付けられているようで動けない。

 とはいっても、方法がないわけじゃないが、奴の目的が分からないのでとりあえず静観することにする。

 なぜなら、

「離せ!  陽子を返せ!」

 隣で家族を人質にされた森山の怒りが爆発している姿を見ると、自然と自分は冷静でいないとと思ってしまったからだ。

 その森山の絶叫にピエロはゆっくりと首を傾げた。

 その仕草は、まるで壊れたからくり人形のようだった。

「返してほしい……?  それなら……簡単なこと……」

 ピエロが三度、手を叩いた。

 瞬間、三つの箱が、中にいる三人ごと消えた。ステージ上には何も残っていない。ただ、ピエロだけが、変わらぬ笑みを浮かべて立っている。

「さあ……ゲームを始めよう……」

 ピエロが右手を掲げる。その手に、いつの間にか三枚のトランプが握られていた。ジョーカー、クイーン、そしてキング。

「君たちが探すのは……三人のゲスト……この遊園地のどこかに隠れている……」

 トランプがヒラヒラと宙を舞い、私たちの膝の上に落ちる。

 私の膝にはジョーカー。

 森山にはクイーン。

 柿谷にはキング。

「見つけられなければ……三人は永遠に……この遊園地の一部になる……」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。