第三話 遊園地に潜む悪意――ドリームパークの噂
「妹に何が起きたのか、この目で確かめたいんです。それに、私は拳銃を持っています」
「拳銃……では、これを渡しておきます」
再び棚から今度は弾頭が赤、黄、青の弾丸それぞれ五発を彼女に渡す。
「これは?」
「対幽霊用の護身弾ですよ。赤には『浄化の炎』、黄には『裁きの雷弾』、そして青には『永久の氷』が入っています」
「……えーと、どういう意味か全然分からないのですが」
私はそんな彼女に自身の力を実際に見せた。
現実ではありえないような力の数々に目をまん丸くして硬直していた森山は、私の解説がすむと十五発の弾丸を真剣な面持ちで握り締める。
「この弾丸、必ずお返しします」
「よし、では行こうか」
私の号令でみんなが動き出す。
柿谷と森山はドアへ向かい、私は店の看板を『CLOSED』に返し、シャッターを下ろした。
久我山のドリームパークは、都心から車で一時間ほどの山間部にある。森山の運転するセダンに三人で乗り込み、夕暮れの郊外をひた走る。道中、柿谷はノートパソコンを開き、助手席の私に後部座席からドリームパークの概要を説明し始めた。
「ドリームパークは今から四十年前、バブル絶頂期にオープンした遊園地だ。当時は年間百万人が訪れる人気施設だった。ところがバブル崩壊とともに客足が落ち、二十五年前に一度経営破綻。その後、別の会社が買い取って再建を図ったが、次々と事故が起きてな」
「事故?」
運転中の森山はバックミラー越しに視線で尋ねてくる。
「はい。開園から三ヶ月で、観覧車のゴンドラが落下する事故が発生。一人死亡、五人重傷。原因は整備不良とされたが、その半年後にはジェットコースターの車両が脱線。二人が死亡した。さらにプールで子供が三人溺死。結局、再建からわずか二年で完全閉園に追い込まれた」
柿谷はタブレットの画面をスクロールしながら続ける。
「閉園後、何度か取り壊しが計画されたが、そのたびに工事関係者が原因不明の事故で怪我をして頓挫した。地元じゃ『呪われた遊園地』って呼ばれて、今では誰も近づかない。ネットの心霊スポット情報によると、主な心霊現象は三つ」
「三つ?」
「一つは、閉園後も動き続ける観覧車。深夜になると、誰もいないはずの観覧車がゆっくりと回転し始める。ゴンドラの中に人影が見えることもあるらしい。二つ目は、ミラーハウス。壊れた鏡の中に、知らない顔が映る。写真を撮ると、背後に必ず誰かが写り込む。そして三つ目が……」
柿谷が一瞬息を呑む。




