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第二話 ダムに現れる首無し男の噂――エピローグ

「お疲れ様です、紅さん」

 横目警部が出迎えてくれた。

「横目さんもお疲れ様です」

「今回の上への報告は私の方からやっておきますので、依頼者である田村さんには紅さんからご報告お願いします」

「了解です」

 これでこのダムも静かになり、田村も今まで通りの仕事ができるだろう。

「では帰りましょう」

「ですね」

 二人は疲れた笑顔を見せて、朝靄の中を歩き続けた。

 数日後、アンティーク紅のカウンターで、私は新聞を広げていた。地方欄に、静守ダムの補修工事で「新たな遺構」が発見されたという小さな記事が載っている。ダム湖の水位低下により、これまで水没していた旧集落の墓石群が見つかったという内容だった。

「これで、他の霊たちも供養されるといいんだが」

『きっと大丈夫だよ。翔太が『浄化の炎』で、怨念の大部分を焼き尽くしたんだから』

 カナリアがコーヒーカップの縁に腰掛けながら言う。

『主よ、今回の戦いで得たデータは、今後に活かせるだろう。パラサイトグリードが怨念の集合体に寄生するケースは、今後も増える可能性がある』

「ああ。でも、できれば次は穏便に済ませたいものだな」

 私がそう言うと、カナリアがクスクス笑った。

『翔太に限って、それは無理だと思うよ』

「うるさい」

 私はコーヒーを一口含み、窓の外を見た。街は今日も平和だ。人々は、自分たちの足元にどんな危険が潛んでいるかも知らずに、日常を送っている。

 だが、それでいい。知らなくていいことだってある。

 次の任務が来るまで、しばしの休息を楽しもう。

 店のドアに掛けたベルの音が、軽やかに鳴った。

「すみません、骨董品の鑑定をお願いしたいんですが……」

 私はカップを置き、立ち上がった。

「はい、お伺いします。どのような品物でしょうか」

 どうやら、平穏な時間は少しだけ続きそうだ。



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