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第二話 ダムに現れる首無し男の噂――成敗

 巨人の両肩を切り落とし、ダムの水が舞い上がる。

 そのまま、オリルフィアで巨人の胸の穴めがけて――。

「翔太! 奴の目が動いた!」

 カナリアの叫び。

 巨人の頭部にあたる部分に、二つの赤い光が灯っていた。

「おいおい、『永久の氷』が通用していないというのか?」

『どうやら、凍らせる直前に大量の負の念で奴の体を覆って防いだのだろう』

 ディストレイの解説で、奴の体は凍結が完全には及んでいないようだ。

 それはつまりパラサイトグリードの核が、まだ活動を続けているということ。

 巨人の口が氷の中で、ゆっくりと開かれる。

 巨人の顔面――無数の人面が集まってできた顔が目だけを動かし、私を睨んでいた。口が、ゆっくりと開く。

「オ前モ……沈メ……」

 巨人の腹部が爆発した。

 内側から無数の鉄骨が飛び出し、槍のように鋭く尖って『永久の氷』を砕いてディストレイに迫る。

「そんなものまで隠してやがったのか!」

 瞬時にアトランリアで受け止める。

「ぐっ……!」

 衝撃がコクピットを揺らす。

 どうやら今の攻撃で十メートルほど飛ばされたようだ。

『主、大丈夫か!』

「私の心配よりディストレイだ。そっちこそ大丈夫か?」

『ふふふ。普段の呼び名が言えていないぞ。焦るな、主。我はあんな物では破壊などされないぞ』

「そうか。なら行くぞ、()()!」

 私は操縦桿を倒し続ける。

 ディストレイの巨体が接近。

 飛来する鉄骨をオリルフィアで叩き落しながら、巨人の胸の穴に到達した。

「そろそろ終わりにさせてもらうぞ」

 守るように現れる無数の腕を引きちぎり、僅かに開いた隙間へ右腕を突き入れ、生首を守る最後の腕の束を斬り払う。浄化の炎を纏った刃が、怨念の腕を次々と焼き尽くしていく。

 そしてついに、生首に手が届いた。

「捕まえた!」

 ディストレイの左手が、そっと生首を包み込む。

 瞬間、巨人が絶叫した。

「グォォォォ……!!」

 核を失った怨念の集合体が、崩壊を始める。

 人面たちが次々と剥がれ落ち、コンクリートの塊が湖面に落下していく。巨人の中心に寄生していたパラサイトグリードが、黒い霧となって逃げ出そうとした。

「逃がすか!」

 私はオリルフィアを巨人の胸の奥深くに突き立てた。

「『浄化の炎』、最大出力!!」

 真紅の炎が巨人の全身を駆け巡り、怨念もパラサイトグリードも、残らず焼き尽くしていく。黒い霧が浄化の炎に包まれ、断末魔の悲鳴を上げて消滅した。








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