第二話 ダムに現れる首無し男の噂――一進一退
ガキィッ!!
硬い金属音。
剣は、生首の手前で、何かに阻まれた。
「なに……⁉」
『主よ、見ろ! 胸の穴の周囲に、無数の腕が!』
巨人の胸の穴を取り囲むように、怨念で形成された無数の腕が、格子状に絡み合い、生首を守っていた。オリルフィアはその腕の束に突き刺さり、抜けなくなっている。
「やばっ! ディストレイ、オリルフィアに『浄化の炎』を!」
癒しの炎がオリルフィアを拘束している亡者の腕を焼き尽くす。
すぐに手を放しディストレイから距離をとり、燃え盛る炎の部分を切り離して『浄化の炎』から逃げる。
『うまい! 切り離すことで最小限の怨念だけで『浄化の炎』を防ぐことができる。中々知恵が回るな』
「そりゃ、どうも。次は、『裁きの雷弾』で牽制するぞ」
『了解だ!』
操縦桿を動かして、左腕のアトランリアを変形させる。
盾の刃が左右に開き、中央の黄色い宝玉が輝きを増す。
「照準……よし。『裁きの雷弾』ってええええ!」
ズドォォン!!
アトランリア砲から次々と雷弾が飛んでいく。
一発、二発、三発。
次々と雷弾は巨人の命中して、煙に包まれていく。
「ア……ア……ワタシ……ノ……クビ」
「安心しろ。首のある部分は避けている」
安心させるように、首無しに語りかけて煙が晴れるのを待つ。
煙が晴れるとそこには、穴ぼことなった巨人の姿があった――しかし、それも一瞬のことですぐに再生して元通りになった。
「何という執念。こうも再生が厄介だとは思わなかったぞ」
『主よ、普通の攻撃では奴の再生を突破できん。策が必要だ』
「分かっているさ」
私は操縦桿を握り直し、ディストレイの両足に意識を集中させる。
「まずは、あの巨人ごと凍らせる。動きを止めてから、一気に首を奪い返す」
『了解だ、主よ』
ディストレイの両足が、青白く輝き始める。湖面の氷が、さらに厚みを増していく。
「『永久の氷』、展開!」
パキィィィン!!
絶対零度の波動が、湖面を伝播し、巨人の足元から一気に凍結が広がる。コンクリートの巨体が、瞬く間に白い氷に覆われていく。表面の人面たちが凍りつき、その表情のまま静止した。
「今だ! 全力で突っ込む!」
ディストレイが氷の足場を蹴り、巨人の胸目がけて跳躍する。
オリルフィアに『浄化の炎』を纏わせ、アトランリアを再び盾に戻して雷のエネルギーを切っ先に集めて刃を形成。
そのまま重力に身を任せて、思いっきり二刀を振り下ろす。
「一刀両断!」




