第二話 ダムに現れる首無し男の噂――勘違い
巨大な炎の柱が夜空を焦がす。
炎の柱が徐々に高度を上げていく最中、天空から眩い光が降り注ぎ炎の柱と接触した瞬間、白と赤の光がダム全体を覆うように広がっていく。
「来たな」
宇宙から『サテライトビーム』が照射されて周囲を覆う。
これで、万が一、ダムが決壊したとしても壊れた壁は修復されるため、これで力を全開にして戦うことができる。
しかし、破壊された個所から流れ出た水が元通りに戻って来るのか、それは分からないためうまく立ち回ることを忘れてはいけない。
そうこうしている内に、黒い雷雲から稲妻が降り注ぎ、黄色い光がさらに結界を補強する。
そして炎の柱が凍りつき、内側から爆ぜた氷の結晶の中から、三色の巨神がその姿を現し、激しい水しぶきを上げて ダムへ着地する。
「ゲートオープン!」
私はゲートを開き、コクピットへ跳躍する。
操縦桿を握り、ホログラムの照らす空間で深く息を吐いた。
「オ……オ……オオ」
ディストレイの姿を認識した首無し幽霊は後ずさりをした直後、その姿が目の前から消える。
「むっ! 消えた?」
『問題ない。我の眼は全てを見通す』
ホログラムの色が変わると、消えていた幽霊の姿がはっきりと映し出される。
「そこだ!」
アトランリアで幽霊の行く先を塞いで動きを止める。
「さぁ、かくれんぼは終わりだ」
ディストレイの右腕が、首のない霊に向かって伸ばされる。霊は逃げようとしたが、巨大な手を回避できるスピードはなく、簡単にその体は右手に収まった。
「さぁ、捕まえたぞ」
捕まえた首無し幽霊を持ち上げる。瞬間、霊の体がぶるぶると震え、空洞の首元から、先ほどよりも切迫した声が漏れた。
「ア……タマ……カエ……シテ……」
「頭を返す? お前の頭はダムの底にあるのか?」
「チ……ガ…ウ……」
「違うだと? どういうことだ?」
私は霊を掴んだまま、水面へ意識を向けると、その異変はすぐ現れる。ダム湖の中央が、大きく盛り上がっている。月明かりに照らされて、水面下に浮かび上がる巨大な影――人の形をしているが、その大きさはディストレイに匹敵する。
「なんだ、あれは……」
『主よ、どうやら我は勘違いをしていたようだ』
「勘違い? 説明!」
『我はその首無し霊がパラサイトグリードで、ダムを襲おうと思っていたがそれは間違いだった。その霊にはパラサイトグリードの気配は感じられない。目の前の人形がパラサイトグリードだったのだ』
「つまり、この霊はただの幽霊だったってとこか。で、あの人形の正体は?」




