プロローグ パラサイトグリード
K地区の廃病院はこの三つの噂が有名らしく、数々の心霊好きな者たちが探索を行ったようで、写真に写るオーブや謎の声を聴いたとか、色んな情報が記載されていた。
その中でも私の目を引いたのが、『ここ最近で五人の人間が精神を病んだり、不慮の事故でこの世を去っている』という内容だった。
「もしかしたら、パラサイトグリードの可能性があるかもしれないね」
『はい。我々もそう睨んでおり、すでにK地区の廃病院周辺を封鎖しております。パラサイトグリードに対しては紅さんのお力が必要です。行ってくれますか?』
パラサイトグリード。
霊に寄生し、生物の負の感情を餌として成長する化け物だ。霊に寄生している状態を「霊体」、霊を乗っ取ってわずかな時間だけ実体を持つ状態を「半霊体」、そして完全に実体を持ち巨大な姿へと変貌を遂げた状態を「受肉」と呼ぶ。特に受肉を果たした個体に対しては、通常の武器は通用しない。神の剣と呼ばれる異形の兵器――ディメンダムでのみ対抗できるのだ。
「もちろんです。すぐに向かいます」
通話を終えた私は、頭の中で三つの噂を頭の中に叩き込んだ後、すぐに店を閉める準備を始める。
五分後――カウンターの鍵を閉めた私は、車へ乗り込む。
その時、左腕に巻かれた赤、青、黄の三色のブレスレットが、微かな熱を帯びていることに気づく。
このブレスレットはパラサイトグリードに反応して熱を帯びたり、震えたりして合図を送ってくれるものだ。
「座標は、K地区辺りがもっとも熱いか。どうやら、状況があまりよくないようだな」




