第六話 白鷺会若頭・真田圭吾―決着
四足の獣が立ち上がり、前足が時計回りに回転すると人間の両腕が出現する。関節が組み替わり、黄金の装甲が折り重なり背中の翼のような装飾がマントのように広がった。そして尻尾が根元から分離し、空中で回転しながら一本の三叉の槍へと変形する。
顔がフードのように後方へ下がり、その下から人型の顔がせり上がった。
「テルスディアの人神モード」
人神モードへと変形したテルスディアは、四足の時よりもさらに大きくさらに力強い姿になっていた。胸には黄金の装甲が輝き、両腕には鋭いブレードが備わっている。そして右腕には、三叉の槍がしっかりと握られていた。
『圭吾、久しぶりのこの姿だ。行けるか?』
「ああ。これで決める」
圭吾の操縦でテルスディアが槍を構えた。その穂先に、黄金のエネルギーが渦を巻いていく。
パラサイトグリードが再び触手を放った。しかしテルスディアは身をひねり、槍を一閃させる。触手は根元から切り裂かれ、再生する間もなく消滅していった。
「テルスディア、突撃するぞ」
『任せろ!』
テルスディアが気に距離を詰めた。
背中のバーニアが加速を与え、翼が姿勢制御を行う。
テルスディアの進行を止めようと、パラサイトグリードは触手を放ちつつ、大きく息を吸い込み始める。
『あのビームを撃つつもりだぞ』
「なーに。撃たれる前に倒せばいいってことよ」
襲い掛かる触手を三叉の槍を回して防ぐ。
それは予想していたようで、特に驚くこともなくテルスディアがもっとも近づいたタイミングで、パラサイトグリードは口を開けた。
『来るぞ!』
漆黒の闇が濁流のように真っ直ぐテルスディアを飲み込もうとする。
だが、
「唸れ、デイ・ルクス!」
三叉から放たれる神々しい光は、悪しき力を浄化する天上の輝きの如く、パラサイトグリードの攻撃を一瞬で消滅させた。
『ガッ……アアアア』
攻撃を防がれ戸惑うパラサイトグリードへ向けて、デイ・ルクスを放つ三叉の槍は吸い込まれるように、敵の急所へ向かっていく。
「うおおお!」
『ガアアアア』
圭吾の気迫とともにテルスディアの槍がパラサイトグリードの胸を貫いた。デイ・ルクスの光が消え、槍に込められた黄金のエネルギーが体内に流れ込み、負の念を根こそぎ浄化していく。
『ギ……ア…アア……!』
パラサイトグリードの断末魔が異界に響き渡った。
その体は内側から光に包まれ、亀裂が走り、やがて粉々に砕け散っていく。黒い靄は四散し、異界の空気が少しずつ澄んでいくのがわかった。




