第六話 白鷺会若頭・真田圭吾―ピンチ
「直進だ!」
フルメングラディウスと黒いビームがぶつかり合う。
『グヌヌヌヌ』
『グアアアア』
二つのエネルギーの余波が周囲に散らばり、激しい突風が巻き起こる。
黄金と黒の光が数秒せめぎ合った直後、二つのエネルギーは爆発を起こす。
テルスディアとパラサイトグリードは、爆発の余波でそれぞれ後方へ吹っ飛ばされた。
「やるじゃないか」
私は後方で戦況を見守りながら、テルスディアの動きを分析していた。あの巨体でよくあれだけの速度が出せるものだ。
圭吾の操縦も的確で無駄がない。
「……うん? やぁ、美花。いつの間にここへ?」
左肩の空間が歪み、そこから美花が顔を出してきた。
『今さっきよ。巨大なエネルギーを感じて、移動してきたのよ』
美花は私の頭に顔を置いて戦闘を鑑賞し始める。
『あれはテルスディアじゃないの。修復できたのね』
「ああ。今回、修復が終わって初めての戦闘さ。だから、こうして見守っているんだ」
『そうなのね。でも、大丈夫でしょう。余程の事がない限り、彼が負けることはないはずよ』
今、二つの攻撃の余波で、互いが吹き飛ばされたシーンを見ても、美花はテルスディアが負けることはないと確信しているようだ。
それは私も同じだ。
だからこそ、余裕を持ってこの戦闘を鑑賞できるのだ。
戦況はというとテルスディアが優勢のように見える。
あの一撃以来お互い、あの大技は使用せず、スピードや手数の多さで戦いを進めていく。
その中でテルスディアの方がスピードとパワーで、手数の多いパラサイトグリードを圧倒し、何度も深い傷を負わせていく。
あの巨体を自由自在に操る圭吾の操縦技術のうまさが際立っている。
このままテルスディアが押し切るかと思われたが、さすがは受肉したパラサイトグリード。次第にテルスディアの動きを学習し始めた。
「おっ」
一瞬の隙を突かれ触手がテルスディアの右前足に絡みつく。
さらに別の触手が左後ろ足を狙い、動きを封じにかかった。テルスディアは必死に引きちぎろうとするが、触手は切っても切っても再生し、徐々に巨体が地面に縫い止められていく。
パラサイトグリードが勝ち誇ったように咆哮を上げた。そして、その胸から黒い光の球体が放たれる。負の念を凝縮した一撃だ。
『あらら、これで終わっちゃうかしら』
「まだ終わらないさ」
そうだろう、圭吾。
「テルスディア、モード変形!」
『ああ』
テルスディアの黄金の毛皮が逆立つように輝き、その巨体が変形を始める。




