第六話 白鷺会若頭・真田圭吾――テルスディアの強さ
「すごいな……」
私は思わず呟いた。
久しぶりに見るテルスディアの顕現。その姿は、昔と変わらず力強くそして美しかった。
圭吾が空間に鍵を回すと、空間がドアのように開く。彼がその扉をくぐり、ドアを閉めると空間は何もなかったかのように元通りとなる。
どうやらコクピットへ移動したようだ。
その証拠に、テルスディアは嬉しそうに咆哮を上げると、真っ直ぐ怪物と対峙する。
「おっと、見惚れている場合ではないな」
事前に『心霊対策課』への連絡はして、この周囲の封鎖は完了している。
あとは――。
「もしもし、紅です。サテライトビームをお願いします」
『了解しました。五秒後、地上へ照射します』
「お願いします」
スマホの通話を切り、顔を上げた直後、眩しい光が天から降り注いだ。
「これで準備は完了だ。今までのうっ憤を晴らしてこい。そして、ディメンダムの力を、パラサイトグリードへ見せてやれ……我が弟子よ」
戦闘が始まった。
紫服の女だったもの――もはやパラサイトグリードと化したそれは、山の空気を震わせながらテルスディアに襲いかかる。異様に伸びた四肢からは無数の黒い触手が生え、その先端が牙を剥くように開閉していた。
『行くぞ、圭吾!』
「ああ!」
テルスディアが地面を蹴った。黄金の巨体が四空を駆ける流れ星のように疾走する。四足歩行の圧倒的な機動力が、パラサイトグリードの触手の間を縫うように駆け抜けた。
『ガァァッ!』
テルスディアの牙がパラサイトグリードの肩を捉える。黄金の毛皮が発光し、その一撃が霊体に深い傷を刻んだ。続いて前足の鋭い爪が怪物の胴を薙ぎ払う。
『ガアアアアア!』
大きく体制を崩したパラサイトグリードへ、渾身の体当たりが腹部へ突き刺さる。質量では遥かに軽いパラサイトグリードの巨体は、ボールのように吹き飛んで山のふもとへ倒れこんだ。
『グアアアアッ』
「さぁ、勝負を決めようか」
『了解だ』
テルスディアの頭から巨大な二本の角が生え、黄金の光を輝かせながら切っ先をパラサイトグリードへ向ける。
「フルメングラディウス!」
圭吾が口に出すと、テルスディアの真上に突如、雷雲が発生して二本の角に雷が落ちる。そのエネルギーでさらに肥大化した角を前方にだして、テルスディアは走り出す。
『グアアアア!』
体勢を立て直したパラサイトグリードは、大きく息を吸い込む。目でも分かる、腹の奥から濃厚な負の念が口の方へ移動している。
そして、再び口を開くと口内から黒いビームが放たれる。
『圭吾!』




