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第六話 白鷺会若頭・真田圭吾――返還される鍵

「お前が距離をとるなら、こちらにも考えがある」

 圭吾は迷わず引き金を引いた。

 乾いた銃声が異界に木霊する。

 放たれた弾丸は紫服の女の肩を正確に捉えた。

『グッ……!』

 女が苦悶の声を上げる。

 彼女の体が大きくよろめき、その場に崩れ落ちた。

 圭吾の能力は触れた物体に直接霊体へダメージを与える力を付与する。

 銃弾であろうと例外ではない。

 鉛の弾丸が霊体の女の肩に突き刺さり、じゅうじゅうと煙を上げている。

「効いたようだな」

 圭吾は冷めた視線で紫服の女を見下ろした。銃口からはまだかすかに煙が立ち上っている。その時だった。

「圭吾」



 私が声をかけると圭吾が振り返る。

「師匠、無事でしたか」

「ああ。三人とも現実に戻した。お前の部下たちは全員助かったよ」

「そうですか……よかった」

 部下の無事が分かり圭吾の表情がわずかに緩む。

 だが、それとは反対に私の表情は引きつる。

 紫服の女を倒れる前、トンネル内に響いた音。

 圭吾に近づくにつれて漂ってくる火薬のにおい。

 極めつけは、彼の手に握られた漆黒の物体。

(おいおい……)

 やはり持っていたか、チ(・)ャ(・)カ(・)を。

 私はとっさに目と口と耳を手で覆った。

「私は何も知らん。何も見ていないし何も聞いていない」

「師匠、いくらなんでも露骨すぎませんか」

 圭吾が思わず笑いながら言う。

「警察に通報されたら困るのはお前だぞ。まぁ、通報する奴はこの場にはいないんだがな」

「なら問題ないじゃないですか。師匠が告げ口をしなければいいことですしね」

「するわけないだろう。貴重なディメンダムの契約者を不利な状況にしてどうする。まぁ、お前には、通(・)用(・)し(・)な(・)い(・)けどな」

「ですね」

『アアアアアアアアアアアアアア!』

二人で言葉を交わしていると突然、倒れていた紫服の女が狂ったような咆哮を上げた。

その体から濃密な負の念が噴き出し、異界の空気を一瞬で塗り替える。

「なっ……!」

「師匠、これは……!」

 女の体が膨れ上がり紫の服が破れ、その下から黒い靄が溢れ出す。手足は異様に長く伸び関節が逆方向に曲がっていく。

 顔は半分が裂け、内部から無数の目が覗いた。

「まずい、受肉したか!」

 私はとっさに左手のブレスレットを掲げた。ディストレイを召喚しようとして、しかし途中で手を止めた。

 そして振り返り圭吾を見る。

「圭吾」

 私はポケットからあの鍵を取り出し、彼に差し出した。

「師匠、これは……」

「お前のディメンダムだ。派手にやり過ぎて、修復中だったのを忘れたか」



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