↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
153/164

第六話 白鷺会若頭・真田圭吾――異界突入

「半年前の動画で、紫の女は突然現れて突然消えた。あれはおそらく壁の中にあるこの影に潛んでいたからだ」

「……つまり、この影の向こうに別の空間があると?」

 私は地面から小石を掴んでその影に投げる。

「なっ⁉」

 小石は壁に弾かれることなく、影に吸い込まれるように消えた。

「これはパラサイトグリードの能力だろう。あの女は現実世界と影の中を行き来できる。そして影の中から人を引きずり込んでいたんだ」

 私は右手を壁に近づけた。

 影からはかすかに冷気が漏れ出している。

 間違いない、ここが入口だ。

「どうしますか、師匠。この影を破壊してみます?」

「ふむ……相棒、あの影から何か感じるか?」

 ここはディストレイに意見を求めよう。

『ああ。この影は現実と異界をつなぐ門だ。おそらく、あの女の本体は異界に潛んでいる。門を破壊すれば、女は現実世界に出てこれなくなるが、逆に言えば異界に閉じ込めることになる』

「異界に閉じ込める……」

『ただし、この門は非常に強固だ。生半可な攻撃では破壊できない。それに、門を壊せば女が異界に取り残されたままとなり、彼女に奪われた魂も回収できなくなる』

「それは困るな。となると、私たちが門を通って、相手のテリトリーに入るしかないってことだな」

『そういうことだ』

「入り方は? 小石みたいにこの影に触れたら異界へ行けるのか?」

『それで問題ない。影に触れたらそのまま異界へ行けるはずだ』

私は圭吾に状況を説明した。

「……分かりました。では、早速行きましょう」

「ああ」

 私は圭吾と並び壁の影に手を触れた。

 その瞬間、強烈な浮遊感が私たちを襲った。

 視界がぐにゃりと歪み、トンネルの景色が遠ざかっていく。闇が私たちを包み込み、そして私たちは異界へと足を踏み入れた。

 異界へ足を踏み入れた瞬間、私は言葉を失った。

 そこは廃トンネルの中だった。

 しかし現実のトンネルとは違う。

 壁も天井も床も、すべてがねじ曲がり奥へ奥へと続いている。現実では五百メートルしかないはずのトンネルが、ここでは無限に続いているかのようだった。

「なんだ、ここは……」

 圭吾が息を呑む。

 その声が歪んだ壁に反響して、複数の声となって返ってくる。空気は生ぬるく、じめじめとした湿気が肌にまとわりついた。

「気を抜いてはいけないぞ。ここはパラサイトグリードが作り出した異界。我々の常識は通用しない……と思っておいてくれ。正直、気持ち悪くて今すぐ帰りたい」

「ですね。さっさと終わらせて帰りましょう」

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。