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第六話 白鷺会若頭・真田圭吾――白鷺会

 私は大きくため息をついて、ソファに背を預けた。

「……あの男か」

「ご存知……ですよね」

「もちろんですよ」

 私は頭を抱えた。

 なぜなら、その契約者は指(・)定(・)暴(・)力(・)団(・)の(・)若(・)頭(・)なのだから。

 萩森が帰った後、私はしばらくカウンターに座ったまま、目の前の鍵をじっと見つめていた。

 真鍮製の古びた鍵。表面には細かな刻印が施され、その中心には赤い宝石が埋め込まれている。

 これはディメンダムが存在する空間を開けるための鍵だ。

 現在、修復するために封印している彼のディメンダムを開放する重要なアイテム。これを使用することで、再びパラサイトグリードの『受肉』態と戦える力を得るのだ。

「翔太、どうするの?」

 カナリアが私の肩に乗り、小さな声で尋ねる。

「行くしかないだろ。あいつが私を指名したんだ。断れば面倒なことになる」

「でも、指定暴力団の事務所なんて危険じゃない?」

「私が行く分には問題ない。むしろ向こうが気を遣うだろ」

 私は鍵を内ポケットにしまい店のシャッターを下ろした。

 十二月の冷たい風が吹き抜ける中、私は駅前からタクシーを拾い目的地へと向かう。

 向かう先は、指定暴力団・白鷺会(しらさぎかい)の本部事務所だった。

 都心から少し外れた場所にあり、周囲には古い商店街や住宅街が広がっている。白鷺会は関東一円に影響力を持つ組織で、今や全国規模にその名を知られている。とはいえ、私が関わっているのは組織そのものではなく、あくまで一人の男だけだ。

 タクシーを降り、古いビルの前まで歩く。

 表向きは不動産会社ということになっているが、入り口の脇には監視カメラが何台も設置されており、周囲には黒服の男たちが数人立っていた。彼らの視線が私に突き刺さる。痛いくらいの威圧感だったが、私は気にせず入り口へと足を進めた。

 自動ドアが開き中に入る。

 エントランスホールは予想以上に広く、床は磨き込まれた大理石。正面には立派なカウンターがあり、数人の受付が座っていた。

 しかしその空気は冷たく、流れている時間も外とは別物のように感じられる。

 私が入ってきたことに気づいた団員たちが一斉にこちらを見た。

 全員が黒いスーツを着込み、鋭い目つきで私を値踏みするように見ている。その視線の刺々しさには、やはり少し不愉快になる。

「おい、あんた。ここは一般人が来るところじゃないぜ」

 若い団員の一人が立ち上がり、私の前に立ちはだかった。

「紅翔太。君たちの若頭に呼ばれてきたものだ」

 私が名乗ると、周囲の空気が一瞬で変わった。



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