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第五話 森山花蓮の受難――終幕

 ディストレイの体が発光しながらエネルギーが右腕に集まっていく。

 咆哮を上げて技の邪魔をするように黒い手が迫るものの、巨大なエネルギーの波動によって近づく前に四散していく。

「エネルギー充填百パーセント、OKだよ」

 カナリアの声がコクピットに響く。

「いけぇ! ホワイトブレス!」

 一瞬の静寂の後砲台から膨大なエネルギー奔流が螺旋を描いてパラサイトグリードへと放たれた。

 下半身を凍結されているパラサイトグリードは動くことができず、防御膜を最大にしてこの一撃を反射しようとしている。

 しかし、それは無駄な努力だ。

 なぜなら美花の特性は透過。

 あらゆる物体をすり抜けるこの能力の特性上、どんな防御膜であろうとすり抜け、完璧な反射能力があろうと触れることすらできず目標だけを破壊する。

 つまり、この攻撃が成立した時点でパラサイトグリードが勝てる確率はゼロである。

 白い奔流が防御膜を通過しパラサイトグリードの肉体を貫いた。その光は内部から怪物を焼き尽くし、黒い靄を根こそぎ消し去っていく。

「ギ……ア…アア……!」

 パラサイトグリードの断末魔が夜の空に木霊した。

 それはもはや杏奈の声ではなかった。

 ディザスターが仕込んだ寄生体が最期の悲鳴を上げているのだ。

 やがて光が収まり怪物の巨体がゆっくりと崩れ落ちていく。その中から小さな女の子の姿が現れた。

「杏奈……!」

 コクピットから出た美咲が叫び走り寄る。

 崩れゆく怪物の中心で、杏奈の霊が静かに立っていた。その目はもう虚ろではなく、幼い少女のあどけなさを取り戻している。

「お母……さん……?」

「杏奈……!」

 美咲が杏奈を抱きしめた。

 二人の霊が重なり合いゆっくりと光の粒子へと変わっていく。

「ごめんね……杏奈……遅くなってごめんね……」

「ううん……お母さん……会いたかった……」

「私もよ……ずっと……ずっと会いたかった……」

 光の粒子が夜空へと昇っていく。

 その光景はあまりにも美しく、そしてあまりにも切なかった。

「これで……よかったんだよな」

 私はコクピットの中で静かに呟いた。

『ああ……これでようやく親子は再会できたのだ』

 ディストレイの声も、どこか安堵に満ちている。

「お疲れさま、翔太」

 カナリアが肩に乗り小さな手で私の頬を叩く。

「ああ……ありがとう、みんな」

 美花がディストレイから分離し、スプレンダーバイパーから白い大蛇の姿に戻る。

『ふわわ。目覚めてからの最初の仕事がこれって、』

「ありがとう、美花。助かったよ」




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