第五話 森山花蓮の受難――スプレンダーバイパー
『こうなればエンシェントコスモバーストを――』
「バカ野郎! あれ撃ったら、お前の体がボロボロになるでしょうが!」
あの時は相手が堕ちていたとはいえ神であり、なおかつ一撃で勝負を決めなければならなかった状況ゆえ、苦渋の選択として撃った結果、深刻なダメージを負わせてしまった。
神々の力がなければ、半年ぐらいは召喚できない状態だったことを考えると、絶対に今回は撃たせるわけにはいかない。
『ならば、どうする? このままではあの少女も助けることはできないぞ』
「それは……」
『なら、私の出番ね』
突如コクピット内に轟く優し気な声。
それは現在の状況を打破できる最高の声だった。
「その声は……美花!」
「わぁ、美花ちゃんです!」
懐かしい声にカナリアが周りを飛びながら喜びを伝えていく。
『これならあの表皮と防御膜を突破できるぞ』
「ああ。美花! 今どこに――」
『もうすぐ、障壁を通過するわ』
その声と同時に左側から白い機械の蛇が蛇行して現れる。
スプレンダーバイパーと呼ばれる、美花が対パラサイトグリード戦闘形態に変化した姿だ。
それは器用にビルとビルの間を通り抜け地を這いながら敵へと接近していく。
それに気づいたパラサイトグリードは黒い手を出して進行を止めようと試みる。
しかしスプレンダーパイパーの姿は一瞬で目の前から消え、黒い手は目標を失いアスファルトを破壊するだけだった。
「美花!」
『大丈夫よ。それにしても何あれ。気持ち悪いわね』
スプレンダーバイパーがディストレイの体に巻き付いて敵意を現す。
「いいところに来てくれた。森山さんと柿谷は?」
『大丈夫よ。私の分身がいるから』
「それならいい。さっさとあの化け物を倒し少女を解放しようじゃないか。美花!」
『了解』
スプレンダーバイパーが咆哮を上げると、彼女の体が中央から分離した。私はオリルフィアを外し彼女の下半身の部分に接続してディストレイの背中に装着する。何もなくなった右腕が引っ込み引っ込んだ部分に彼女の上半身が合体した。
『うおおっ、ディストレイ・ブラスターモード!』
「よし一発必中、ホワイトブレス!」
まず両足に力を入れて『永久の氷』を発動。
アスファルトを凍らせながら一直線にパラサイトグリードへ迫り敵を凍結させる。ただし凍ったのは下半身だけだ。
次に背中に装着した下半身のパーツが伸びてオリルフィアが地面に突き刺さり体を固定する。
右手を振り下ろすと美花の口が開き中から煙を上げつつ白い砲台がせり上がった。左手は右腕を支えるように掴み右腕は標的へ狙いを定める。




