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第五話 森山花蓮の受難――八方塞がり

(あれを突破する方法……『裁きの雷光』ですら反射されるなら、もっと別のアプローチが必要だ)

 杏奈だったものが再び触手を伸ばしてくる。

 私はオリルフィアで応戦しながらも、思考を巡らせていた。

「おそらく、あの防御膜はあの人形が操作しているとみられる」

 私はコクピットの中で呟いた。

 その言葉通り、人形が手をかざすのをやめると、防御膜は消え去った。

『はぁ、はぁ、はぁ」

 能力が解除されたことで美咲の負担が消え、さっきまでよりも少しだけ表情が和らいでいる。

「だがその人形には美咲さんの半分の魂が入っている。人形が力を使うたびに美咲さんの魂に負担がかかる。あれこれって――」

「不可能じゃないかな?」

 カナリアが私の言葉を引き継ぐ。

「……とはいえ、持てる力をすべて出し切ってからでも遅くない」

 私は操縦桿を握り直し、まずは接近戦で防御膜の性質を確かめることにした。

 アトランリアを盾の状態に戻し先端に雷で形成したブレードを出す。そしてディストレイの背部バーニアを激しく爆発させながら突撃した。

「行くぞ!」

 道を塞ぐように次々と襲い掛かる黒い腕を、オリルフィアと雷のブレードで斬り落としながら接近する。まるでアイススケートを滑るかのように、地表を華麗な軌道で滑りながらパラサイトグリード(杏奈)の正面に到達した私は、まずオリルフィアで表皮を斬りつけた

「くっ!」

 ガキンッという鈍い音とともにオリルフィアが高く跳ね上がる。

 やはりまるでゴムの壁を叩いたかのような反発力だ。

 なるほど、これでは雷弾の威力も殺されるわけだ。

「ならば!」

 私はその反動を利用して今度はアトランリアを下段から斬り上げた。

 しかし「ガガガ」と鈍い音はするものの結果は同じで傷をつけることはできず弾かれる。

「これなら!」

 再び反動を利用して一回転し勢いをつけた右足で後ろ回し蹴りを繰り出した。

 触れた瞬間『永久の氷』が発動し表皮を一瞬で凍結させ、そして蹴りの振動で氷が砕け表皮が削られていく。

「やったか!」

 しかし。

『ダメだ、主よ。相手の再生力の方が早い』

 ディストレイの指摘通り削った箇所から瞬時に表皮が再生していき、右足が地面に降り立つ頃には元の状態に戻っていた。

「くそっ! これじゃあ、ダメージを与えられない」

 私はすぐに距離をとって考える。

 遠距離の『裁きの雷弾』は表皮に弾かれ、『裁きの雷光』は反射される。

 ならばと、接近してもあの表皮には『永久の氷』しか有効打がない。

 八方塞がりである。

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