表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/23

プロローグ 戦闘終了

 私は操縦桿を押し込み、ディストレイの右腕を横一文字に振り抜いた。

 炎を纏った赤き刃が、パラサイトグリードの巨体を薙ぎ払う。肉を断つ感触と共に、炎が傷口から瞬く間に内側へ浸食していく。

 ディストレイと契約した時に、パラサイトグリードに対抗する力として私が借り受けた三つの力。

 それらは全て、私が扱えるよう威力を抑えられている。

 その枷がなくなった今、このような結果になるのは必然だ。

「ギャァァァァッ!」

 怪物が苦悶の咆哮を上げる。切断された触手が黒い霧となって昇散し、本体もまた苦痛に身悶えした。『浄化の炎』を纏った切れ味は私の数百倍増。ただ斬るだけでなく、その構成要素である負の感情ごと灰燼に帰すのだ。

 しかし、受肉した個体は再生力も凄まじい。傷口から新たな触手が生え揃い、一際太い腕のような部位がディストレイに向かって叩きつけられてきた。

「うおっ!」

 私はとっさに左腕を前方に突き出した。

 ガギィィィン!!

 左腕の巨大な盾、アトランリアが敵の攻撃を受け止める。いかなる攻撃をも防ぐ鮮やかな装飾が施された盾が、重量級の一撃に耐えきれず火花を散らす。

 だが、ディストレイの姿勢は崩れない。

「ここだ! アトランリア、展開!」

 私の号令と共に、盾の先端の鋭い刃が半分に分かれた。

 そして盾の半分が左右へとスライドし、大きく広がる。そこに隠れていた黄色の大宝玉が露になり、まばゆい光を放つ。

「今だよ、翔太!」

 カナリアが激励する。

 左右に広がった盾の刃先から、バリバリバリッ! と激しく雷が迸った。黄色い電光が結界内の空気を震わせ、アトランリアの中心にある大宝玉へと集束していく。

「これで終わりだ! 『裁きの雷弾』!!」

 私は操縦桿のトリガーを強く引き絞った。

ズドォォォォォン!!

宝玉から極太の雷撃が放射され、黄色い光弾となってパラサイトグリードの胸部へと直撃した。雷弾は怪物の体を貫通し、背後の空へと抜けていく。激しい電流が体内を駆け巡り、黒い肉体を内側から崩壊させていくのが見えた。

「ギ……ガ……ァ……」

 パラサイトグリードの動きが止まる。雷弾のダメージに加え、先ほどオリルフィアで斬りつけた傷口からも浄化の炎が広がり、その存在を根底から消し去ろうとしていた。

『さぁ主よ。幕引きだ』

 ディストレイの重厚な声が響く。

「ああ。生きとし生ける全ての敵を、この世から排除する!」

 私は再び右腕を振り上げた。

 炎を纏ったオリルフィアが天高く掲げられる。

「はぁぁぁっ!!」

 背後のスラスターを全開にして、『浄化の炎』の爆発を利用して跳躍、重力を利用した落下斬撃を繰り出した。

「一刀浄化!」

 真紅の炎が尾を引き、漆黒の夜空に一本の光明となる。

 オリルフィアはパラサイトグリードの頭部から股下までを一刀両断した。

 断末魔すら上げることはなかった。

 斬られた面から激しく炎が噴き出し、怪物の体は燃え上がりながら光の粒子となって分解されていく。負の感情だけを焼き尽くし、パラサイトグリードを破壊する癒しの炎。

 それは圧倒的な暴力でありながら、同時に最も優しい救いでもあった。

 やがて、巨大な体は完全に消滅し、後には静寂だけが残された。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ