第四話 旧家の依頼(堕ちた神を撃て)――旅立ち
(ああ……そういえば……あの頃は……)
ご神木の前には、なぜか当時の映像が流れてくる。
それは彼女が見る走馬灯。
まだ彼女が若木だった頃の映像。
仲間たちと共にこの地に植えられた日。
土地神様の封印を見守りながら、六柱の仲間たちと笑い合った日々。人間たちがこの地に戻り村を作り、町になりやがて屋敷が建っていくのを、ずっと見守ってきた。
一柱、また一柱と力を出し尽くして枯れていく仲間を、黙って見ることしかできなかった。彼らから託された思い、神々からの約束を胸に長い時を過ごしてきた。
最後の一柱となっても、最後の力を振り絞って土地神様の封印を維持してきたが、それももう駄目だと思った。
私の命があと数刻となった時、現れた一人の人間。
その身に神の力を宿す彼が現れ、そして暴走した土地神様が神の剣の放った神聖な光に包まれ、この世を去る今際の際におそらく私だけに見せた、まだ復讐にとらわれていないあの頃の優しい彼女の笑顔。
それをその目に焼き付けた後、私の役目は終わったと感じた。
もう、体を動かすことも叶わない。
体に残った神の炎は、流れ出た彼女の怨嗟の波と相殺してしまってもうない。
だけど、今はとても晴れやかだ。
(長かった……でも……幸せだった……)
そうして、ご神木の意志は消えた。
長きに渡ってこの地を守護した一柱は、その日、使命を全うしたのだ。




