第四話 旧家の依頼(堕ちた神を撃て)――穿て! エンシェントコスモバースト!
「ア……ア…アア!」
元土地神が私たちの動きに反応した。
これから放たれようとしている一撃の危険性を本能的に察知したのか、再び両手を掲げて巨大な負の念の球体を創り始める。
「くそっ……!」
焦る私に、ディストレイが静かに声をかけた。
『主よ、集中しろ。焦りは力の制御を乱す』
「……わかってる」
私は心を落ち着かせ繊細に操縦桿を操作する。
三色のエネルギーがクリスタルに収束していく。カナリアが雷を、ディストレイが炎を私が氷をそれぞれ制御し、本来混ざり合うはずのない三つの力が一つの光となって結晶化していく。
「……チャージ完了です!」
カナリアの声に、私は正面のスクリーンを見据えた。
「いくぞ……! エンシェントコスモバースト!!」
私の合図と同時に、クリスタルから極光が放たれた。三色の光が螺旋を描きながら一条の奔流となって土地神に向かう。反動でディストレイの体が後方に下がっていく。
私は操縦桿を握りしめて必死で耐える中、それとまったく同じタイミングで土地神も球体を握りつぶした。
ドゴォン!!
圧縮されていた負の念が解放され黒い濁流となって押し寄せる。
二つの攻撃が空間の中央で激突した。
「うおおおお!!」
「頑張って翔太!!」
『押し負けるな!』
三色の光と黒い濁流がせめぎ合う。空間が悲鳴を上げ結界がさらにひび割れていく。
「はぁぁぁっ!!」
私の叫びとともに三色の光が一際強く輝いた。
負の念の濁流を弾き飛ばしエンシェントコスモバーストが一直線に邪神へと突き進む。
「ア……アア……!」
土地神の仮面の奥で何かが恐怖に歪むのが見えた。だがもう遅い。極光は土地神の胸を貫き、その巨体を内側から包み込んだ。
「ギ……ア…アアアア!!」
堕ちた神が断末魔の叫びを上げる。
その体が原子レベルで分解されていく。
黒く穢れた装束も無数に蠢く触手も負の念に染まった白い肌もすべてが光の粒子となって消え去っていく。
やがて、すべてが静寂に包まれた。
「……終わったのか」
私は操縦桿を握ったまま呆然と呟いた。
エンシェントコスモバーストの光が収まりあとには何も残っていない。
土地神の巨体は完全に消滅していた。
ブシュウー!
限界を迎えたディストレイの巨体から白い蒸気が激しく噴き出した。装甲の継ぎ目から光が漏れその巨体がゆっくりと傾いでいく。
「翔太! 急いで脱出を!」
カナリアの声に私はコクピットの緊急脱出装置を作動させた。光に包まれ次の瞬間には地面の上に立っていた。




