第四話 旧家の依頼(堕ちた神を撃て)――禁断の一撃
『主よ私に一つ提案がある』
ディストレイの重厚な声がコクピットに響いた。
「何だ?」
『奥の手を使う』
彼の提案に私はある一つの技を思い浮かべた。
「……だが、それで倒せなければやられるのは私たちだぞ」
エンシェントコスモバースト。ディストレイの使う『浄化の炎』、『裁きの雷弾』、そして『永久の氷』の三色のエネルギーを合わせて放つ禁断の一撃。本来は混ざり合うことのないエネルギーを無理やり融合させるのだから、まったく想定されていない攻撃方法だ。しかしその威力は触れた物質を原子レベルで崩壊させる最強の一撃となる。
その代償として、ディストレイは一定期間召喚できなくなる。
『分かっている。だが、さっき一撃で我の体はボロボロ。長時間の戦闘には耐えられない。となれば、あれを倒すことができる最高の一撃を、ここで放つべきだ。でなければ、この街は誰も住めない場所となるだろう。それに天井を見てみろ』
ディストレイに言われて私は天井を見上げた。
私たちを包み込んでいる金赤色の結界その表面のいたるところに亀裂が入っているのだ。これほど堅牢な結界が土地神の最初の一撃だけでここまで損傷している。
こんなことは初めてだ。
『次にあの攻撃を出されたら結界が壊れる。結界がなくなれば、負の念がこの街全体に広がり多くの人々が犠牲になる。だからこそ、今決断を下さないといけないのだ!』
ディストレイの声には、私たちを守る決意が溢れていた。長い時を生きてきた巨神がこれほどまでに切迫した判断を求めるのはそれだけこの状況が危機的だということだ。
「よし、分かった。エンシェントコスモバーストを放つぞ」
『了解した』
「りょ、了解です……!」
カナリアの声が震えている。彼女もまた、この技の危険性を理解しているのだ。
私は操縦桿を握りしめた。手のひらにじっとりと汗が滲む。三色の力を解放するイメージを頭の中で描く。
「ディストレイは『浄化の炎』、カナリアは『裁きの雷弾』、私は『永久の氷』を制御する。いいね」
『うむ』
「は、はい!」
カナリアは再び自分の操縦席につき、小さな操縦桿を握りしめて調整を始める。金色の瞳が真剣な光を宿し普段のおちゃめな態度はどこにもない。
私は深く息を吸い込みゆっくりと吐き出して、操縦桿を握る手に意識を集中させる。
ディストレイの巨体が震え始め、体中から三色のエネルギーが溢れ出した。赤、黄、青の光が渦を巻きながら中央のクリスタル部分に少しずつ集束していく。




