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公爵家の養女ですが、来世もパパの愛娘になりたいです  作者: 猪本夜
第一章 幼女編

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 パパが帝都で用事があるため、リディも一緒に帝都にやってきていた。今回はブリスとルシアンも一緒だ。


 この日、パパが仕事で屋敷を外出しているため、ルシアンがリディを帝都の街へ遊びに連れて行ってくれた。ルシアンと手を繋ぎ、リディは行ってみたかったアイスのお店に寄った。


「はい、リディ」

「ありがとう! お兄様!」


 リディはアイスが三段になっているものを買ってもらった。三種類もアイスが食べられるなんて、嬉しすぎる。ルシアンも三段のアイスを口にしていた。


 三段アイスの一番下のアイスが一番気になる。リディは一番下の苺味アイスにかぶりついた。


「あ!」


 リディは一口、口に入れることに成功したものの、三段のアイスが全て地面に落ちてしまった。


「あああ……!! 私のアイスぅ!」

「ああ! 泣くな泣くな。リディ、もう一個買ってきてやるから」

「……ほんと?」

「ほんと! そこを動いちゃ駄目だぞ!」

「うん」


 一瞬で目に涙がいっぱい溜まってしまったが、ルシアンの一言でリディの心は落ち着いた。リディの落としたアイスには、蟻がたかっている。あのアイスは蟻さんのご飯に分けてあげたのだ。


「ほら! リディ、アイス!」

「ありがとう! お兄様!」

「もう下から食べるんじゃないぞ。上から食べなきゃ」

「うん」


 リディは、今度こそアイスを落とさないように、口に含んだ。


「美味しい~!」

「よかったな。……リディ、鼻に付いてる」

「うん?」


 ルシアンがリディの鼻をパクっとして舐めた。


「……アイス、付いてた?」

「付いてた」

「じゃあ、私の顔についたアイスは、お兄様にあげる」

「なんだよ。俺に食べさせるために付けたのか?」


 笑いながらルシアンはアイスを持ったままのリディを抱えた。ルシアンはいつのまにか、アイスは食べきっている。


 ルシアンはリディを抱えたまま歩き出した。小さな店を回る。


「明日はベルリエ公爵子息と会うって言っていたな」

「うん、そうなんだ。公園のベンチでお話するの。公園の近くに売っているワッフルが美味しいんだ!」

「リディは食べるの、好きだなー」

「大好き!」

「出かけるときは、護衛は連れて行くんだぞ」

「はぁい」


 そんな話をしながら、ルシアンにはお店で猫耳付きの可愛い帽子を買ってもらった。

 その日は夕方に、帝都の屋敷へ帰るのだった。


 次の日、リディは昨日買ってもらった猫耳付き帽子をかぶって、外出した。もちろん護衛付き。リュカと何度か手紙をやり取りしていて、今回会う約束をしたのだ。約束の公園のベンチに座り、リディは甘い匂いに足をバタつかせた。


「早くリュカ、来ないかな」


 公園近くのワゴンでは、焼きたてワッフルを売っているので、そこで買って食べたい。


「リディ!」


 公園の少し離れたところから、リュカが走ってきた。リディはベンチから立つと、リュカが抱きつくのを受け止めた。


「リュカ。ひさしぶりね」

「うん! 会いたかった」

「私も」


 ニコっと笑いあう。しかし、リディはリュカが少し痩せたような気がして、眉を寄せた。リュカの両頬をリディの両手で上下に揺らした。


「リュカ、食事はしているよね?」

「……? うん、してるよ」

「なんだか、痩せた気がする」

「え? そうかな? ……最近忙しいから、少し疲れているのかも」

「リュカは、後継者になるって、前に言っていたでしょ。忙しいというのは、後継者になるための勉強とかが忙しいの?」

「うん」

「そっか……。私も後継者になるために頑張っているの」

「そうなんだ。僕と一緒だね」

「うん。お互い、頑張ろうね。そうだ! 疲れているなら、やっぱり甘いものを食べた方がいいと思うの! あそこでワッフルを買って食べよ!」

「うん」


 リディはリュカと護衛を連れて、ワッフルのワゴンに近づいた。人気店であり、美味しい匂いもするからか、かなり人が並んでいる。リディたちも列に並んでいると、リディの頭に何かが当たった。その拍子に、かぶっていた猫耳付き帽子も地面に落ちる。


「……傘?」


 天気がいいので、日傘をさしていた人いたのだろう。その時、リディに近寄る女の人がいた。


「ごめんなさい、お嬢さん。風で日傘が飛んでしまったの。怪我はなくて?」

「はい、大丈夫です」

「あら、もしかして、頭に当たったのかしら。髪が少し乱れてしまったわね」


 女の人は、リディの髪を綺麗に整えてくれた。


「ありがとうございます」

「いいのよ。こちらこそ、申し訳なかったわ。お詫びに、ワッフルをごちそうさせていただけないかしら?」

「……いいの?」

「もちろん。少し待っていて」


 女の人は、リディとリュカと護衛の分までワッフルを買ってきてくれた。


「ありがとうございます」

「温かい内に召しあがってね。では、わたくしは行きますね。また会いましょう。綺麗な御髪のお嬢さん」


 また会いましょう? リディは首を傾げつつも、女の人に手を振った。


 リディはリュカとベンチに座って、ワッフルを口にする。


「うーん! 甘くて美味しいね!」

「うん」


 リュカとワッフルを食べながら、色々と話をする。手紙を送り合うようになってから、リュカに会うのは今回が初めてだった。


「リディの父上は、僕と会うのを怒ったりしていない? 手紙に僕と会うことを了承を得た、って書いてあったけど」

「うん。大丈夫だよ。パパに、リュカがベルリエ公爵家の子って言ってあるし、パパは知っていて、リュカと会っていいよって言ってくれたから」


 本当は、パパには少し渋られたけれど、強く反対はされていないから、大丈夫だろう。

 リュカは、リディの話を聞いて、ほっとしたような顔をした。


「良かった。僕と会っては駄目って言われたら、どうしようって思っていたんだ。リディに会えないのは嫌だから」


 リュカはそう言いながら、ちらっと護衛に目を向けた。護衛にリュカが見張られている、と思っているのかもしれない。


「リュカはおうちの人に、私と会うとは言っていないんだよね?」

「うん。僕の事は、外で誰と会っても父上たちは気にしないから、リディと会っているって言うつもりはないんだ。ラヴァルディ公爵令嬢と会っていると言ったら、リディと会わせてもらえなくなるかもしれない。それは絶対に嫌だから」


 確かに、会わせてもらえなくなる可能性は大いにある。

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