偽りの戦端
紫電に反マザー派テロリストの殲滅命令が下ったのは、ダキシンがマザーと対立してから、一日経った後だった。
ダキシンが暴走するのはいつものことだとして、なぜこんな命令が下りてきたのかを疑問に思ったが、あえてそこは無視した。あの愚物のことだ、どうでもいい理由だろうと結論付ける。
紫電は命令を受け取ったが、すぐには動こうとしなかった。
何しろ事態が事態だ。
ただの要人暗殺とはわけが違う。
世界最高峰と言われるAIを実質的に敵に回している状態だ。前にも後ろにも敵がいる。
「イザナミ、情報収集を頼みたい」
学校帰りのイザナミに紫電は言った。
イザナミは
「もちろん。彼氏のためだもの」
と悪戯っぽく笑った。
「彼氏になった覚えはないんだが……頼む。さほど急ぐわけでもない」
ダキシンは急いでいるだろうが、愚物の思惑通りに事を進めてやる義務はない。
「あなたは私がいないとダメだってことを証明してあげる」
永遠に心に刻まれるような輝く笑顔はもうすでに少女のそれではなかった。
「それは勘弁してくれ……殺し屋がそんな風になったら、商売あがったりなんでな」
この穏やかな時間が続くようにと願いながらも、彼はそうならないことを知っている。もうすぐ彼は戦地に赴く。
敵は目に見えない。
死ぬ可能性だってある。
死ぬのは怖くないと思っていた。
これまでは。
でも今は。
「死ぬのは嫌だな……」
なぜだろう? と自分自身に問いかけても、こんな言葉を発した理由は誰も教えてくれない。
イザナミはあえて聞こえないふりをして、端末に向かった。
絶対に彼を生還させる。
その強い意志を宿した瞳で。
こんばんは、星見です。
激務、というよりメンタル的な疲労が多い今日この頃です。
親友から文字通りドクターストップがかかりました。
来週からは冬季休業なので、なるたけ負担をかけずに過ごしたいと思います。
帰省が楽しみです。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




