第五話「増強」
第五話「増強」
「個性増強!!」
直人が放った言葉はすぐに消えた。
「なにも、、、起こらない、、?」
直人は自分の体を見回した。
「んぅぅううう?失敗かい、なおちゃん?」
氷織は体勢を崩し直人に近づく。
「おかしいなぁ、イメージしたのになぁ。」
個性増強は間近で見てた。あとは発動するだけなんだよな、、、
「もしかしたら、受動型かも!」
氷織は閃いたように話す。
「受動型?」
「そう!攻撃を受けないと発動しない、、、とか!」
氷織はドゥクシと言いながら直人の胸を軽くパンチする。
「え、えっと、つまり攻撃を食らわないとダメ、、?」
え、痛いのは避けたいんだけど、、、
「大丈夫!氷織が優しくやさしぃくしてあげるから」
氷織は直人の体を触りながらニヤニヤしている。
いや、怖いよ!!
「自発型ではないんすね」
空也が入ってくる。
直人が少し考え、
「自分で発動するってこと?」
直人の感は当たった。
「そうっす。僕と氷織は自発型っすね。」
へぇ~。て、そういや2人の個性は知らないな。
「2人の個性ってなに?」
直人は2人に投げかける。
「知りたい?知りたいよね!いいよ!見せてあげるよ!」
氷織は乗り気で左手を上にかざす。
その瞬間空也が突然、
「氷織!後方右斜めの草むらっす!」
「りょぉおかい!個性氷臨!」
空也の合図とともに氷織の左手からは氷の鋭い結晶ができる。冷気がこっちまで伝わってくる。
「えぇい!」
氷臨が放った氷の結晶は草むらに飛んでゆく。
「グギャァ!」
草むらから鳴き声のような声が聞こえる。
直人は氷織の個性に感心していた。
「凄い!!何今の?!むっちゃかっこいい!」
直人の言葉を無視して続けて空也が、
「個性跳躍」
そう言い放つと直人が空也の方に振り返った瞬間、空也は直人を抜いておりそこに空也はいなかった。
グギャァ!とさっきと同じ声が草むらから聞こえ、振り返ると直人がそこに立っていた。
「え!いつからそこに?!」
直人は驚きを隠せない。
「フフフ、凄いでしょ。うちの空也は凄く早く跳べるの!」
氷織は自慢げにそう話す。
「2人とも、こっちへ!」
空也が手招きをしている。
2人は空也のもとにいくと、空也が足元に指をさす。
「な、なんだこいつら、、、」
直人が見たのは1つ目の丸い形をした羽根の生えた真っ白な生物だった。
「こいつらは天魔っす。天使の天に悪魔の魔。この世界では監視カメラのような存在っす。」
監視カメラ?俺たちを監視してたのか?
「ウチら人間は見えないとこでこいつらに監視されてるんだよ。」
氷織は直人に教える。
「なんで監視を?」
「なおちゃんが天使と会った時、早すぎないと思わなかったっすか?」
早い?んー、言われてみれば展開が早すぎた。
「展開がはやかったな。」
「そうっす。あれは天魔たちが常に監視していて、人助けをするからっす。」
なるほど。でもあの時天魔は見てなかったような。どうやって隠れているんだろう?
「天魔はどこにいつもいるんだ?」
「基本的には透明になっているっす。僕たち個性もちは居場所を特定できるっす。そのうちなおちゃんもわかるようになるっすよ。」
「なおちゃんって呼ぶな。」
監視カメラか、、、てかそれよりも
「2人の個性凄かった。」
直人は口に出してそう話す。
氷織がとても笑顔で胸を張っている。
「ありがとうっす。それよりも、今はなおちゃんの個性の発動をするっす。」
そうだった、完全に忘れていた。
「攻撃を受けてみようだっけな?」
俺は受動型の可能性がある個性だと。
「そうっす。氷織、よろしく頼むっす。」
「おぉけいー!」
氷織は任せろ!と意気込んで直人に向かって左手をかざす。
「よっしゃ!こい!」
「いくよ!個性氷臨!!」
直人は飛んでくる丸い氷の結晶を両手でふせぐ。
少し後ろ下がるが、なんとか耐える直人。
「いまっす!なおちゃん!」
空也の合図と同時に直人はイメージをする。
増強、、、発動、、、イメージ、、、
「個性増強!!」
空也と氷織は構える。
、、、が何も起こらなかった。
「ダメだぁ、やっぱり発動しない」
直人は座り込む。
「んー、発動条件がわからないっすねぇ」
空也が腕を組み考えている。
「はやくなおちゃんの個性みたいーー!」
氷織は駄々をこね始めた。
なんで発動しないのだろうか?この個性は一体何なのか。はぁ、試すだけでも疲れるのに分からないとか余計めんどくさい。
次の瞬間、
ュユウイィンと音ど同時に
「あふない!」
直人を庇う空也。
一瞬だが光線が直人の視界にうつった。
「あれは、、、、天使の、!」
氷織は2人のそばに近寄る。
「はずしちゃったかぁ。」
道のそばから声が聞こえる。
三人は振り返って確認をし、確信する。
「、、、天使」
「なんで天使は攻撃してくるんだ?!」
直人は驚いた表情で言う。
「ウチら神殺しは天使たちにとって厄介そのもの。見つけたら殺しにくるんだよ。」
氷織は直人にそう教える。
空也は
「天魔を殺すのが少し遅かったようっすね。個性つかったことを天使たちに知らされたみたいっす。」
と言って足を踏ん張り個性を出す準備をする。
「なおちゃんはここで待ってて。あの天使はウチらがやっておくから。」
氷織は直人の前に立ち左手を天使のほうにかざす。
「個性跳躍」
そう言って空也は天使に向かって突進する。
一瞬にして空也の左拳が天使の顔面にめがけて繰り出された。
「うぉっ。」
天使は少しよろけたが空也の拳を防いでる。
天使は笑顔で、
「早いね君!」
と言って空也の右の腹に蹴りを入れようとする。
「個性氷臨!」
鋭い氷の結晶が天使の足めがけて飛んでいく。
天使はそれを見て左手をだし、
「個性誘導!」
と言うと天使の足めがけて放たれた氷の結晶は軌道を変え、隣の空也にとんでいく。
空也は高く跳んでそれをかわす。
「逃がさんよ!」
天使は翼を使い空を飛ぼうとする。が、
「チッ」
天使は足元をみた。足元は氷で固められていて簡単には抜け出せない。
「フンッ!」
跳んでいた空也は天使めがけて落ちていき、顔面にキックを食らわす。
倒れる天使。
「す、凄い、、!」
三人は互角の戦いを見せている。
少し離れて見ていた直人。
2人の連携した戦いを観る中、直人は個性を出そうと必死に言う直人。
「個性増強!、、、、個性増強!、、、クソっ!」
なんで出ないんだ!イメージしてるはずなのに、、!
いい戦いに見えるけど、1人の天使に対して2人が互角なのはまずい。早く俺も戦わないと!
「、、、個性増強!」
あああもうめんどくさい!体は疲労で動きたくないのに個性を出すこともできずにただ見てるだけとか。
よりによってなんで今なんだよ!天使も空気読めよ!
あぁ!めんどくさい!
「、、、個性増強、、、個性増強!、、、でない」
あぁ、めんどくさい。この状況で天使倒すなんて無理。はぁ、今あの天使倒すのめんどくさいな、、、
シュウウウン
「?!」
突如直人の体から白い霧らしきものが出てくる。
「なんだこれ!」
直人は次第に確信に変わる。
「個性だ、、、でた!」
直人は天使に向かって霧を飛ばす。
わかる、、なんとなく、飛ばせることも!
「ん?なんだこれは、、、霧?」
霧のようなものは天使の周りにかかる。
「えぇい!」
氷織が氷の結晶を放つ。
「何度やっても同じこと!個性誘導!!」
天使が左手を出した。
「グハァ!、、、なに!」
天使が軌道を変えた氷の結晶は天使の胸に突き刺さっていた。
バタンと前に倒れる天使。
「やった!ラッキーだね!」
氷織は喜んでいる。
さっきまでの出来事を間近で見ていた空也は
「あの霧はいったい、、、」
直人から出てる霧を考える。
「おそらく直人の個性。だが、増強とはまるで関係しているようには思えない。それに霧の効果もいまいちだ。」
フゥ。なんとか使えた。だが、あの霧はなんだ?
直人自身にも分からない個性。
まだ謎は多い。
次第に霧は消えてゆく。
空也は直人に近づき、
「なおちゃん、個性を出す直前になにかイメージしたっすか?」
と言いながら空也は直人の体を見回す。
「え!あの霧なおちゃんの個性だったの?!」
氷織は驚いている。
「うーん、発動しろって、何度も唱えてそれで、、、」
急に発動したんだよな。
体から白い霧のようなものが出てきたんだ。
「なら発動する直前になにか強く思ったりしたっすか?」
んー、あっ。あん時めんどくさいとか思ってたような。
「確か天使を倒すのめんどくさいって、、、」
氷織はキョトンとしながら話を聞いている。
空也は少し考えて、驚いたように話す。
「まさか、それが発動条件だとは、、、」
「?」
直人と氷織はまだいまいち理解してない様子。
空也は考える。
もしなおちゃんの個性の発動条件がめんどくさいと感じた時なら、あの霧はめんどくさいを楽にするためのもの、、、つまりなおちゃんがめんどくさいと感じた時にその解決策を作り出す個性ってことっすか?!
でも個性増強となんの関わりが、、、




