女の闘い- 3
その日の昼。
都心の高層ビルの一室では、映画のオーディションが始まろうとしていた。
梨花は受付の人に、ニコニコと愛想を振りまいた。
「トップランプロモーションの北村 梨花です。よろしくお願いしま〜す!」
「はい。では番号が呼ばれるまで、あちらの部屋でお待ちください」
「は〜い!」
梨花は、声のトーンを引き上げて、可愛さを演出してみせたが、花梨が背を向けた途端、受付の女性は、口元を隠して、声を殺して笑った。
梨花が受付を済ませて、控え室に行こうと、受付に背中を向けたときだった。
梨花の背後の空気が少しだけ変わり、何事かと振り返ると、葵がマネージャーと共に現れたのだった。
「八塚企画の、乃上 葵です」
周りのオーディション受験者は、葵を遠巻きに見ていた。
「乃上葵だ。めっちゃ綺麗になったよね」
「あーあ、今回は、乃上葵で決まるよね…」
「かもね…立っているだけで、オーラすごいし…」
梨花は、思わず葵に鋭い視線を向けた。
「(マネージャーを従えて生意気…。あ、弱小プロダクションだからマネージャーも暇なのか)」
葵が鋭い視線を感じ取って、反射的に顔を向けると、梨花とバチッと目が合った。
梨花は葵にプレッシャーを与えるために、鼻で笑ってみせた。
だが、葵は静かな笑みを浮かべて、軽くお辞儀をするだけだった。
「(…実物はただの地味女じゃん。私は人気モデルだったけど、あんたは椿を踏み台にしただけ)」
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