表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
32/40

珍客と、ブレない二人

地下50階層。最深部。

そこにいたのは、テカテカに光るオイルを塗りたくったような、筋肉隆々のオークキングだった。

そいつはアリアを見るなり、自慢の大胸筋をピクピクさせ、セクシーなポーズ(サイドチェスト)を決めた。


「ブモォォ……(いい女だ、俺の筋肉を見ろ)」


「……貴様」


アリアが「あら、キレがありますわね」と評価を下す前に、低い声が響いた。

ディーンだ。

彼は、アリアに向けられたその視線とポーズに、理性の糸をプッツリと切らせた。


「僕のアリアを……その汚い筋肉で誘惑するなッ!!」


ズバァァァァンッ!!


ディーンの剣から放たれた極大の衝撃波が、オークキングを筋肉ごと消滅させた。

一撃。文字通りの瞬殺。


「……は?」


後ろで見ていたドガとシヴァは、腰を抜かした。

あれは、サハルト王国の精鋭部隊30人がかりでも苦戦するはずの「迷宮の主」だ。

それを、ただの嫉妬パワーで?


「……兄上。あの国とは、未来永劫、友好的な関係を築こう」

「ああ、シヴァ。間違っても戦争など吹っかけてはならん。国が消える」


二人は固く誓い合った。


「ディーン様、お見事ですわ! ……でも、私も少し叩きたかったです」

「ご、ごめんアリア。ついカッとなって……」


膨れるアリアの機嫌を取ろうと、ディーンが頭を撫でる。

ボス部屋のど真ん中で繰り広げられるイチャイチャ空間。

そこに、しわがれた声がかかった。


「……あの~、お取り込み中のところ恐縮ですが」


「あら?」


振り向くと、そこに包帯を巻いた小さなマミー(ミイラ男)が浮いていた。

その姿は、このダンジョンの雰囲気とは明らかに異質だった。


「これ、クリア報酬です」


マミーは宝箱と、一枚の石板を差し出した。


「報酬は、ボスを倒した方(トドメを刺した嫉妬深いお兄さん)への権利です。……では」


マミーは意味深な言葉を残し、シュンとかき消えた。

アリアは首をかしげた。

宝箱の中身は予定通りの秘宝『砂漠の涙(水無限湧きアーティファクト)』だったが、あの石板と、あのマミーの存在が気になった。


***


その日の夜。

サハルト王城のベッドで眠るアリアの意識は、精神世界へと潜っていた。


「アキラ」

「やっぱり呼んだわね、アリア」


黒髪の少女、アキラが現れる。


「あのマミー、貴方の知識にあるゲームキャラ?」

「……いいえ。嫌な感じはしないんだけど、私の知ってる『蒼穹のアルカディア』のメーカーじゃないわね。もっと別の……アクションRPGが得意な『S社』のキャラに似てるの」


アキラは腕を組んで考え込んだ。

これまで、この世界は同じメーカーの複数のゲームがクロスオーバーした世界だと思っていた。

でも、あのマミーの出現は、根本的な世界構造の違いを示唆している。


「もし、全く違うメーカーのゲームが混ざり込んでいたら……」

「問題があるの?」

「……うーん。世界観が違うから分からないのよね。でも、ゲームと違って、この世界は現実だから、基本的には、強い敵が増えるくらいかしら。あのメーカーの敵キャラ、殺意高いし」


その言葉を聞いた瞬間、二人の目が合った。

そして、同時にニヤリと笑った。


「「問題ないわね!」」


アリアが拳を握る。

「もっと強くなれるってことだもの! 新たな敵、新たなスキル、新たなドロップアイテム……最高じゃない!」


アキラも頷く。

「そうね! 私も記憶の底から、あのメーカーの攻略情報を引っ張り出しておくわ。裏ボスの倒し方とか、隠しコマンドとかね!」


世界の謎? 違う世界観?

そんなことはどうでもいい。

最強を目指す二人にとって、それは「新たな遊び場」が増えたという吉報でしかなかった。


「ふふふ……楽しみね」


アリアは現実世界で寝言のように笑い、隣で寝ていたディーンをビクつかせた。

新たな脅威(経験値)の予感を胸に、アリアのサハルトでの夜は更けていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ