お嬢様
「顔は生まれつきこんな顔ですし、これでも皆から怖がられるんですが?」
「いやいや、そんな怖い顔してんのに引き攣るようにニヤニヤしながら花に水やるなんてあほ面以外のなにものでもないやん?」
───引き攣るようにニヤニヤってなんですかお嬢様…
相変わらず独特な表現をするお嬢様に心の中でツッコミを入れる。
「ニヤニヤすんなや。」
お嬢様はにやけつつ言った。
むしろドヤ顔と言っても過言でもないほど誇らしげだ。
「お嬢様。ニヤニヤなど私はできません。」
───私は感情の全てを捨てお嬢様に仕えると決めたのだから。
言外にそう伝わりますようにと祈りながら言った言葉は
「あんたのニヤケ面、私はすきやねんけどな!」
お嬢様には伝わらずその笑顔の前に散るのであった。
────
お嬢様は相変わらず綺麗だ。
名をジュン=グランロデオ
昔はもっと長い名前だったのだが
訳あって省略されている形だ。
訳を話すと長くなるし、何よりお嬢様が嫌がるので話さないし話せない。
それはお嬢様と私の間で交わされた契約と言う名の脅しや呪術や束縛やお嬢様からの威圧や圧力など絡んでくるのだが…
私も命が惜しい。お嬢様を守るための命なのだ。簡単には投げ出せない。ましてやお嬢様によって奪われるなどあってはいけないのだ。
決してお嬢様が怖いわけではない。
断じてない。…多分。
今お嬢様は自分の目標、願望のために力を溜めているところだ。
その方法については後に分かるが私としてはなんとも言い難い。
ただその仕事をしている時のお嬢様はすごく生き生きしていて、すごく楽しそうで、すごくいい笑顔をしている。
そんなお嬢様を見る度私は…




