開店
──城下町
そこには様々な功績を挙げその功を王に認められ爵位を賜った貴き人達が住む通称貴族街と呼ばれる場所があり
その一角に一際目を引く様々な装飾を施された建物がある。
そこがお嬢様が日々のストレスを発散させ…
いや間違えた。お客様の日々の疲れを癒す憩いのオアシスである。
「今日はだれがくんの?」
お嬢様はまるで感情を家に忘れたかのような無表情でそう言った。
一応ここは予約も出来るが基本的に自由人ばかりが来るので予約など誰もしない。
「今日はカネ・ズール様がお見えになると伺っておりますが。」
しかし私の仕事はお嬢様の雑用係。
客が来るスケジュールなどは把握して置かなければ務まらない。しかしごく稀に初めて来るお客様もいらっしゃるのでそこは注意しておかなければならない。
「え。あいつくんの?えぇー!だるい。今日はへいて…」
「今日のために3000万メルを溜めているとお聴きしております。」
「ならええかー。しゃーないで相手したろかなぁ?…べ、別にカモにしてやろうとか思ってないんだからねっ!」
お嬢様は時々こうやって声を変えたりする。お客の相手をする時の演技の練習だそうだ。
それがすごく面白いのだが私はお嬢様の素の声が一番心地よいと思う。絶対に本人には言わないし言えないが。
「じゃあ今日はそろそろ開けよか。黒服、開けてきて。」
「仰せのままに。」
今日はどうやって絞りとるのだろうか。そんな事を考えつつお嬢様に返事をし、私は開店するための準備をするのであった。
───
「おかえりなさいませご主人さまぁ〜♪」
「久しぶりだね、ジュン。今日も
とても可憐だ…私の妻にならないか?」
「もうっ!すぐそんなこと言うだからぁ〜♪誰にでも言ってるんでしょ〜?私、お高いよ〜♪」
さてさて、お客が来ました。来てしまいました。
今日の客は予想通りカネ・ズール様だ。街でお嬢様を見かけ追いかけていたらこの店に行きついたという。軽くストーカー気質のある男だ。ある意味お嬢様と似ているのかもしれない。因みに会う度に求婚しているがお嬢様は受け流している。
これで99回目の求婚だが反応は今一つのようだ
「ご主人様〜?今日は何をのむ〜??私はシャンパンのみたいなぁ♪」
「そ、そうなのか!ならそれにしようかなー!」
「でもでも〜!シャンパンたかいよぅー?」
「大丈夫大丈夫!いっぱい持ってきたから!!」
「なら、大丈夫だねぇ〜♪
黒服。メニュー。 」
私の方を向きつつ地を這うような声で呼ぶ。このお嬢様のキャラの変化はすさまじく、私で無ければ戸惑うだろう。
お嬢様に夢中になっている低能な者共達は気付きもしないだろうが。実際私ですら最初のころは戸惑い軽く吹き出してしまったくらいだ。その度にお嬢様からのお仕置きがあり思い出すだけでも…ガクブルものだ。
「お待たせ致しました。お嬢様。
今日はお嬢様とカネ・ズール様がお会いして427日とめでたいのでシャンパンタワーなどオススメですが。」




