九十七話
十七地区の戦区長からの緊急要請を受けた時、各隣県の急防衛指指定場所に詰めている戦区長などはさほど驚いた様子を見せずに、淡々ととながら支援航空機の振り分けを実行した。
ただ、十七地区に隣接している他地区の戦区長などはその緊急要請に賛否両論を繰り広げていた
その一つが16地区内にある急防衛指指定場所だ。
「十七地区のラブホ建設予定地内の戦況は、それほど悪いのか?」
急防衛指指定場所に詰めている、16地区住民の男性住民がげっそりとした表情を浮かべつつ尋ねる
「戦況悪化の兆候は、既に表れてるぜ。戦友」
右手にヤキソバパンを持っている男性住民がそう応えた
「新種の鬼獣とやらは含まれていないんだろ? 「ソルジャー」などの従来の鬼獣群程度なら持ちこたえられるんじゃないのか」
げっそりとした男性住民はかぶりを振った
新種の鬼獣が、例え一体(匹?)加わった程度でも戦況が悪化する事はないと信じている様子だった
「数が問題だ。数が。優位に立っていた事は事実だが、ラブホ建設予定地奪還命令が下ってからは、
苦戦が強いられているんだ」
右手にヤキソバパンを持っている男性住民が、分かりやすく幾つかの例をあげて説明する
その説明には、十七地区で発生した緊急事態が勃発した出来事についてもだ。
一つは何処かの間抜けが、露店商から購入した青酸ガスをバラまいて鬼獣と交戦中だった数千人以上の
住民を巻き添えにした出来事と、これまた露天商が販売している『『尚文露天商アーマゲドントリプルメテオフォーススペシャル』という商品で、十七地区内の郵便局前一帯を交戦中の住民と鬼獣を巻き込んでの阿鼻叫喚の地獄を出現させた出来事だ。
「二か所のジオフロント出入口は封鎖されているんだったな」
げっそりとした男性住民が尋ねた
「緊急封鎖しなきゃ、鬼獣との戦闘の前に戦力が消耗するだろ」
ヤキソバパンを持っている男性住民が、何処か呆れた様な表情を一瞬だけ浮かべながら応えた
「・・・持ちこたえるのは難しいのか」
げっそりとした男性住民が尋ねる
「現状だと、現状を維持するだけで精一杯だろうなぁ
鬼獣群の総進撃が始まったら総崩れとなる危険が考えられる。 最もそうなる前にN2兵器や核兵器が
使用されるだろうが」
ヤキソバパンを持っている男性住民が応える
「戦闘用アンドロイドオメガはどうなってるんだ? 4時間ほど前に露店に発注したんじゃないのか?
もう到着してもいい頃だろ」
げっそりとした男性住民が尋ねる
「それが、何処かの一般市民が在庫あるだけ露店から全部全て買い占めやがって、こっちに回ってくるのは早くても3週間後だ。
現在、手野グループの国内のアンドロイドオメガ製造工場がフル回転でしている様だが、早くて
2週間前後。
現在緊急で、手野グループが米国西海岸にあるアンドロイドオメガ西海岸製造工場から取り寄せている
らしいが、それらは全部ラブホ建設予定地行きだ」
ヤキソバパンを持っている男性住民が応える
「少しくらい回してくれてもいいんじゃないのか? 手野グループの超音速輸送機や超音速旅客機を
使えば、往復で12時間程度だろ・・・」
げっそりとした男性住民が尋ねた
ひとたび量産体制が整えば、数千数億体のアンドロイドオメガが現在激戦中の最前線に押し寄せる。
収容できなくなれば、『在庫セール』として大量に売り出される事だろう
「その12時間が最大の問題だけどな」
ヤキソバパンを持っている男性住民が、短く応えた




