九十八話
――――――手野グループアンドロイドオメガ製造工場は、フル回転で動いていた。
それは日本国内にあるアンドロイドオメガ製造工場も例外ではなかった
〇〇県内にある手野グループアンドロイドオメガ第七号製造工場内を駆け抜ける風は、
鋼鉄の匂いを孕んでいた
金属的な喧騒に満ちている工場内や外で、製造装置より大量に生み出されているアンドロイド
オメガに溶接などの最終確認作業を行っている手野グループ従業員や作業用アンドロイドオメガ
が持ち場に取りついていた
この世界に転移した彼が、この光景を目撃すれば『ここは、スカイネットのT-800の製造工場か』と戦きながら言う事だろう。
幸いと言うべきか、この世界で量産されているT-800・・・もといアンドロイドオメガは人間抹殺用ではなく、鬼獣という化物を殲滅するために開発されたが。
「こうして見ると、想像以上の光景だな」
そう呟いたのは、この工場に着任したばかりの手野グループの男性社員だ
「それは西海岸、オーストラリア、ヨーロッパの各アンドロイドオメガ製造工場でも同じ光景が
出来ています。工場長」
その言葉に応えたのは、空間中に3次元映像で投影された幻想系種族エルフモデルの人工知能が
応えた
「西海岸とオーストラリアからのアンドロイドオメガは、超音速輸送機『マッハ・ライトニング』で
国内に輸送されるのか?」
工場長はそう尋ねた。
・・・危うくとある露店主が命名を付けた『マッハちくわ』という名を言いかけたのは
ここだけの話だ
「・・・『マッハ・ライトニング』と超音速旅客機『ヘルメス』で運ばれます。
オーストラリアからだと往復で八時間です」
幻想系種族エルフモデルの人工知能が、何か言いたそうな表情を浮かべつつ応えた
「到着するにせよしないにせよ、アンドロイドオメガの大量生産ができるまでに時間がかかる。
生産しても最前線に間に合うかどうかだ。
今からでも急造で航空機や戦車などを多数建設すべきじゃないのか?」
工場長はそう尋ねながら、3次元映像で投影された幻想系種族エルフモデルの人工知能に
視線を向けた
「 ・・・本社からは、各アンドロイドオメガ製造工場にアンドロイドオメガを速やかに大量生産を
行うべしという指示が下されています」
幻想系種族エルフモデルの人工知能が応える
「・・・・」
工場長は何か不機嫌な表情を浮かべながら沈黙する
手野グループの関連工場は、アンドロイドオメガ製造の他に、艦船建設、兵器製造、航空機・
戦車製造の他、損害した各商品の修理業務も仕事になっている
多忙を極めているのは、この工場だけではない。
「量産体制が整った暁には、大量のアンドロイドオメガ軍団が最前線に送れますよ」
幻想系種族エルフモデルの人工知能が、自信ありげに応えた
「国内と海外のアンドロイドオメガ工場がフル回転しているが
もし、これで間に合いませんでしたとなればどうなるか・・・」
工場長はため息を吐いて、幻想系種族エルフモデルの人工知能から視線を外した。
すでに国内や海外のアンドロイドオメガ工場は、鬼獣の進軍を阻止するために続々と
生産されている
物量でものを言わせた大量生産と闘いとなれば、手野グループにとっては得意分野だ
だが、この工場長の眼は巨大な鬼獣群の黒影を見抜いているようだった。
なんだかんだで100話達成・・したっぽいですな




