四十七話
彼は天ぷらうどんを食べながら、ふっと食堂に設置されている大型テレビのスクリーンに視線を向けた。
そうでもしないと、何やら生々しい会話をしている重岡と尚文露店主の会話を聴いてしまうためだ。
『現在この最前線海域に、空母、戦艦、巡洋艦などの艦船が、約9000隻を越える数が集結しています』
テレビのスクリーンからは、テレビキャスターらしき男性の声が聴こえる。
「(報道特別番組か、何か放送しているのか)」
彼はそう思いながら、視線をスクリーンに吸い込まれる様に集中する。
スクリーン一杯には、上空から撮影している様子が映し出されている。
そこには、白い航跡を曳いて、数えるのも馬鹿馬鹿しくなるほどの無数の艦船
が映し出されていた。
「・・・・・・・・」
テレビのスクリーンに映し出されている映像を見て、唖然とした彼は危うく箸を落としかけた。
『戦力を見る限り、セイロン島解放作戦に対して、防衛軍からは並々ならぬ意思を
感じますね 笹川さん』
男性キャスターが尋ねている。
『確かにそうですが、鬼獣跳梁跋扈海域では油断はできませんよ。一体何が起こるのか誰も予想出来ませんからね。
それに、この後にはインドネシア解放作戦も実施されるらしいので、防衛軍にしてみれば、出来る限り損害を出したくないというのが心情でしょう」
笹川という名の男性キャスターが静かに応える。
『すでに、鬼獣跳梁跋扈海域には第一艦隊が進軍していますが、まだ情報が
来ていません。 すでに交戦していると思われますか?』
男性キャスターが尋ねる。
画面は、まだ上空から撮影している風景だけが流れており、声だけが聴こえて
いる。
『あー、可能性はありますね』
笹川という名の男性キャスターが短く応える。
『第一艦隊には日本決死隊も配置されていますが、それぞれ個人個人が所有して
いる艦船も勇ましい軍艦ばかりですね』
男性キャスターが、何処か笑いを含んだ声で尋ねる。
『情報によれば、「大和」型戦艦が10隻、「信濃」型空母が15隻、あと、
60ノットの速度を出す超高速巡洋艦が11隻、同じく60ノットの速度を出す
超高速戦艦20隻、他にもステレス性能のある大型空母・・・でしたか』
笹川という名の男性キャスターも何か笑いを含んだ声で応える。
『第一艦隊に、これだけの艦船が配置されていれば、ひょっとしたら第二艦隊以降は出番がないかもしれませんよ』
男性キャスターが尋ねる。
『それだと良いのですが、油断は出来ませんよ。相手は全人類の脅威ですから』
笹川という名の男性キャスターが短く応えると、場面はスタジオに映り変わった。
「金蔓の手野め、艦船のロゴマークを全て入る様に映し出せと言ったんだが、
映っていない艦船があったぞ・・・・」
いつの間にか、テレビを見ていた尚文露店主が不機嫌な声を出しながら、携帯を取り出す。
「店長、何や処に電話をされるんでっか」
重岡が関西訛りの口調で尋ねている。
「金蔓の手野の所だ」
尚文露店主が即答で応える。
「大企業の手ぇ野グループに、クレームいれられるんは、世界広しっていえども、店長だけぇでっせ」
重岡は、何とも言えない表情を浮かべながら応える。
「(さっきから、手野という名前がでるが、まさか手野新聞とか手野テレビと
関係ある会社なのだろうか?)」
彼は、この世界に来てから「手野」という名を見かけるが、その企業にクレームを
いれていたりするのだろうか・・と彼は思った。
「(まさかな)」
彼は、その疑問を振り払った。
「手野グループ」は、作者が交流させて頂いている尚文産商堂先生が管理設定されている組織です。
使用許可していただいたので、登場させていただきました。
尚文産商堂先生、本当にありがとうございました。




