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二十五話

 

 尚文露店主が剣を取り出している丁度その頃ーーーーー。

 隔離されている無差別戦闘地域内を進撃している各戦区からの増援住民、国防軍

 並び日本決死隊は、夥しい規模の鬼獣群による手荒い歓迎の中に放り

 込まれていた。

 鬼獣「ソルジャー」を筆頭に、猟犬型鬼獣「インベイダー」、中型鬼獣

「イントゥルーダー」が飢えた肉食獣の如く強烈な攻勢を行っていた。

 進軍部隊は、全ての火力を総動員し激しい防御戦闘を行い続けているが、

 鬼獣の一部はそれらを突破し、後方へと侵攻していた。




 鬼獣の影響で熱帯雨林化した所からは、国防軍や日本決死隊の後方からの砲撃

 支援による火災に 照らし出された鬼獣の群れが、木の幹に姿を隠しながら

続々と姿を現す。

 各戦区からの増援住民、国防軍並び日本決死隊は、それらの物体にめがけて

 手に持っている重火器類を乱射を繰り返した。

 国防軍か日本決死隊のどちらかの砲弾が前方の大木に命中し、凄まじい音を立てて炸裂する。




「まったく、ここは最高だぜっ!!」

 大木が大音響を立てて横倒しになった光景を見た、誰かがやけくそな声で

叫んだ。

 左前方では雨林の中に火災が起き、黒煙が渦を巻いて流れている。

 煙は辺り一面に充満し、射撃を難しくさせてくる。

 空気を引き裂き飛来し、炸裂する砲弾をかいくぐった鬼獣群の影が迫ってくる。

「(――――「ソルジャー」と「インベイダー」だ)」

 使い捨て対戦車ロケット弾M72 LAWを持っていた他の戦区から増援として

やってきた男性住民の頭を恐怖が突き抜けた。

 引き鉄にかけた指が震える。




「ソルジャー」と「インベイダー」の恐ろしさは、学生の時からさんざん授業で

 聞かされ続けている。

「ソルジャー」と「インベイダー」は相手が息絶えるまで嬲り殺しにすると

聞かされた。

 対戦車ロケット弾M72 LAWを持っていた男性住民は、「インベイダー」に

向けて引き鉄を引いた。

 シュルシュルと不気味な音をたてながらロケット弾は加速し、「インベイダー」の巨体の身体に食い込み、爆発音を轟かせた。

「インベイダー」は雄叫びを上げて地面にのたうち廻るがまだ生きていた。

「パスポートが無ければ、入国は出来ないぜ!」

 そう誰かが叫びながら立ち上り、手榴弾を投げつけた。




 閃光が走り、「インベイダー」は吹き飛んだ。

 やれやれと思ったのもつかの間、西の方が騒がしくなった。

「ソルジャー」が一塊になって味方に、金切声を上げながら飛び掛かってきた。

「西の方角より「ソルジャー」接近!!」

 誰かがそう悲壮じみた様に叫んだ。

 数人の国防軍、日本決死隊隊員が鬼の様な形相を浮かべながら、接近戦に備えて

 持ってきた鉈や鉄バットを握りしめながら向かう。

「人間を舐めやがって!!」

 国防軍らしき男性が怒気の孕んだ声で呟く。

「上等だ!! 一匹残らずぶっ殺してやんよっ!!」

 日本決死隊らしき男性隊員が吠えるように告げた。

 いや、その様な叫び声や怒声がそこここで起こり、次々と向かって行く。

「ソルジャー」の数がいっそう増え始めてくるが、誰一人逃げ出そうとする

 姿は無く、群がってくる「ソルジャー」に向けて突撃をする。




 誰も逃げ出さないのには、簡単な訳がある。

 日本国内の「ファースト・コンタクト」以降、低学年から特殊訓練が義務教

育化されおり、小学校から大学まで徹底的に強靭な意志と追随を許さない創意と

 挺身不難の気概とを堅持し、剛胆にして沈着、機に応じ自主積極的に行動し、

 たとえ最後の一員となっても鬼獣を多く駆逐達成に邁進しなければならない

事を叩き込まれているからだ。

 また、この世界の日本人なら、ほぼ全ての日本国民が過酷と言われている

「地獄週間」も経験しており、CQBの訓練に使用される「キリング・ハウス」での奇襲攻撃戦術を学んでいる。





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