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『知らない世界の知っている物語』 ~剣と知識を授かった平凡な会社員は、異世界の乱世を生き抜く~  作者: 相田 ソウ
第五篇 乱世に広がる火

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第六話 失敗を残す

アイヒェンタールの暮らしが少しずつ整う一方、修理された二挺と、五十挺のうち最初の十挺が試験場へ運ばれます。

過去の不発から作った点検方法は、新しい火縄銃と兵の訓練に生かせるのでしょうか。

 アイヒェンタールへ入ってから、一か月余りが過ぎた。

 窓の外が明るくなると、領主館の中では、俺より早く起きた者たちの足音が聞こえ始める。竈へ薪を入れる音、井戸から水を汲む音、見張りを交代する兵の声。

 最初にこの館へ入った日の静けさとは違う。

 人が動き、物が運ばれ、毎日何かが壊れ、直されている。

 俺は寝台から起き、顔を洗ってから一階の執務室へ向かった。

 机の上には、すでに数枚の紙と木札が並んでいる。フェリクス、村長、ギルベルトが俺を待っていた。

「おはようございます」

「おはようございます、アレク様」

 最初の報告は穀倉だった。

 雨漏りしていた北側の屋根は修理を終え、穀物袋を床へ直接置かないための木台も必要な数が揃った。壁との間に人が通れる隙間を空けたことで、湿りや虫にも気づきやすくなっている。

「古い袋から使う方法は続いていますか?」

「はい。木札を見れば、読み書きのできない者でも順番を間違えにくくなりました」

「残量の記録は?」

「満杯、半分以上、半分以下の三つに分けております。正確な重さではありませんが、以前よりは把握できるようになりました」

「そのまま続けてください。記録すること自体が負担になりすぎるなら、やり方を変えましょう」

 細かな数字を残せる方がよい。

 だが、毎日全ての袋を量るために、穀倉の仕事が止まっては意味がない。

 水車も動いていた。

 水路の土砂を取り除き、傷んだ場所へ油を差したことで、以前のような大きな音は減っている。

 ただし、軸そのものの交換は終わっていない。

「新しい軸に使う木は、まだ乾かしている途中です」

 村長が報告する。

「今の軸は、どのくらい使えそうですか?」

「正確には分かりません。水車を管理している者は、音が変わればすぐ止めると言っております」

「無理に使い続けないよう伝えてください。軸が完全に折れれば、ほかの部品まで壊れます」

 応急修理で動いている間に、次の部品を用意する。

 領地の仕事は、その繰り返しだった。

 一つ直したから終わりではない。次に壊れる場所を見つけ、止まる前に手を入れなければならない。

「橋について、クレーマー商会から返事が届いております」

 フェリクスが一枚の書状を差し出した。

 橋の床板は交換したが、橋脚と両岸の土台は十分に直せていない。今も一頭立ての軽い荷車だけを通し、二頭立ての重い荷車は止めている。

 俺はアルベルトとの会談へ向かう前、クレーマー商会にも補強費を負担してもらえないか相談していた。

 商会の荷車が何度も使う橋だ。橋が落ちれば、アイヒェンタールだけでなく、ベルグハーフェンの商人も遠回りを強いられる。

「商会は、補強費の半分を先に出すそうです」

「条件は?」

「商会所属の荷車について、立て替えた分を返し終えるまで、通行税を半分にしてほしいとのことです」

「完全な免除ではないのですね」

「はい」

 俺は商会から提示された金額と、これまで橋を通った荷車の数を見比べた。

「この台数が今後も同じなら、返し終えるまでどれほど掛かりますか?」

「およそ一年です。ただし、冬に荷車が減れば、さらに延びます」

「一年で返せると決めつけず、荷車一台ごとに減らした額を記録しましょう。返済が終わった日から、通常の通行税へ戻します」

「商会へ返し終えた後は、通行税をどうしますか?」

「全部を領地の収入にはしません。橋と道の維持費として分けて残します」

「以前と同じですね」

「以前は木札へ分けただけでした。今度は、橋の修理に使った額も記録してください。集めるだけで使い道が分からなければ、領民も商人も納得しません」

 通行税を取ること自体が目的ではない。

 橋を使う者が、橋を直す費用の一部を負担する。その関係が見えなければ、ただ道を塞いで金を取るだけになる。

「領民が畑や山へ行くために渡る場合は?」

「今までどおり取りません。商売の荷物を積んだ荷車と、領民が生活のために使う荷車を分けます」

「見張りが判断できますか?」

「馬の数と荷物で大まかに分けましょう」

 文章だけを書いても、全ての御者が読めるわけではない。

 そこで、橋の手前へ立てる板に、馬一頭、馬二頭、空の荷車、荷物を高く積んだ荷車の絵を刻むことにした。

 一頭立てで荷物が少なければ通れる。

 二頭立てと、鉄鉱石など重い荷物を積んだ荷車は、補強が終わるまで通れない。

 商人の荷車には、通行税を払ったことを示す木札を渡す。

「板を作る者と、橋の見張りへ説明する者を決めてください。俺が戻るまでに契約書の案も作っておいてください」

「アレク様が署名されるのでは?」

「最後の確認はします。ですが、商会が負担する金額と返済方法が書かれているかは、フェリクスも見てください」

「承知しました」

「木炭についても一つございます」

 村長が、小さな木札を机へ置いた。

「試験用として分けていた袋から、この木札が外れていたそうです。どの袋に付いていたか分かりません」

「木の種類と窯も分からないのですか?」

「はい」

「なら、その袋は試験用として売らないでください」

 クレーマー商会が試験用として買っている木炭は、長さや太さの揃ったものではない。

 鍛冶用には、長さと太さが揃い、硬く崩れにくい木炭が向いている。

 一方、商会が試しているのは、どの木をどの窯で焼いたかが分かる木炭だった。樫だけを使ったもの、川辺に生える柳に似た木を使ったもの、複数の木が混ざったものを分けて買い取っている。

 何の試験かは領民へ知らせていない。

 買い取った後、秘密を守れる場所で砕き、粒を分け、火薬へ混ぜる。

 出所が分からなければ、燃え方に違いが出ても、どの木が原因なのか判断できない。

「木札は、袋の口と側面の二か所へ付けましょう。一つ外れても、もう一つが残ります」

「出所の分からない袋は、どうしますか?」

「形が揃い、硬いものは鍛冶用へ。不揃いなものや小片は暖房と調理用へ回してください。捨てる必要はありません」

「分かりました」

 木炭の話は、それで終わりにした。

 木の種類ごとの試験は、クレーマー商会へ任せる。俺が領民の前で詳しく関われば、何のために分けているのか疑われる。

「新兵候補は?」

 俺が尋ねると、ギルベルトが記録を開いた。

「訓練を続けている十人については、後ほどマルクたちからも報告いたします。仮採用の期限は過ぎていますが、正式採用の判断はアレク様がお戻りになってからと伝えてあります」

「残る二人は?」

「家族が反対した者は、訓練へ来ておりません。館裏の小屋へ近づいた者は、山道警備と輸送訓練だけを続けさせています」

「誰かに中を見ろと命じられた形跡は?」

「今のところありません。小刀を探していたという話にも、嘘は見つかっておりません」

「分かりました。正式採用については、試射が終わってから決めます」

「試射の日程が決まりましたか?」

「今日、ベルグハーフェンでロルフと確認します。修理した二挺と、第一ロット十挺の準備ができたと連絡がありました」

 ギルベルトの表情が引き締まる。

「二挺も戻るのですか?」

「戻せる状態にはなったそうです。ただ、撃って確かめるまでは分かりません」

「試験場の土は締まっています。排水路にも水を流し、岩壁の前へ溜まらないことを確認しました」

「では、明日以降に運び込みます。今日は訓練を続けてください。火縄銃を撃つとは、候補者へ話さないように」

「承知しました」

 領地の報告を終えると、俺はフェリクスを残し、少数の護衛だけを連れてベルグハーフェンへ向かった。

 橋、穀倉、水車、木炭、新兵。

 俺がいない間にも、それぞれの仕事は進む。

 領地を持ったばかりの頃は、自分で見なければ何も分からないと思っていた。

 今も、見なくてよいとは思わない。

 だが、全てを見るまで何も決めないのでは、俺がベルグハーフェンへ行っている間、領地の時間が止まってしまう。

 部下へ任せ、報告を受け、問題が起きた時に戻れる記録を残す。

 それが今の俺にできる領主の仕事だった。

◇ ◇ ◇

 ベルグハーフェンへ着いたのは、昼を過ぎてからだった。

 クレーマー商会へ寄る前に、俺はロルフの工房へ向かった。

 扉の向こうから、鉄を叩く音が聞こえる。

 工房の奥では、二挺の火縄銃が別々の作業台へ置かれていた。どちらにも、小さな木札が結ばれている。

「来たか」

 ロルフは俺を見ると、手にしていた細い棒を机へ置いた。

「二挺の修理が終わったと聞きました」

「直すべき場所は直した」

 ロルフは一挺目を持ち上げた。

「こちらは点火孔の煤と燃え残りを落とした。孔の形も確認し、火が通りにくくなっていた場所を整えた」

 以前の調査で、点火孔の周囲には煤と燃え残りが溜まっていた。

 ただし、それだけが不発の原因だと断定されたわけではない。湿気、撃った回数、前の射撃からどれほど時間が空いたか、移動中にどちらを上へして持っていたか。複数の条件が重なった可能性がある。

「もう一挺は?」

「火皿と火蓋の合わせを直した。ばね、引金、掛け金も見た。工房で動かす限りは問題ない」

「では、使用可能ですか?」

「まだだ」

 ロルフは即答した。

「直すべき場所を直したことと、戦場で二度と不発にならないことは別だ。工房で火縄ばさみが落ちたからといって、火薬を入れて弾が出るとは限らん」

「アイヒェンタールで試射します」

「俺も行く」

「工場の方は?」

「俺が一日いなければ全て止まる工場にするつもりか?」

「それを避けるための分業でしたね」

「分かっているなら聞くな」

 ロルフは二挺を台へ戻した。

 作業台の端には、以前俺が書いた清掃と検査の項目が置かれている。

 訓練の前。

 射撃の後。

 雨や川を渡った後。

 戦場へ運ぶ前。

 点火孔、火皿、火蓋、火縄、引金、ばね、掛け金、鉄筒の中。

 不発になった時は、すぐに銃口を覗かない。火縄を安全な位置へ上げ、銃口を敵や味方へ向けず、遅れて発火する可能性を考えて待つ。

 すでに決めた内容だ。

 問題は、それを兵が実際に守れるかだった。

「ギルベルトから、確認項目が多すぎるという報告が来ています」

「増やしたのはお前だろう」

「必要だと思ったものを書きました」

「必要なものを全部並べれば、兵が全部覚えると思ったのか?」

「思ってはいません。だから、射手と教官で分けます」

 俺は新しい紙へ二つの欄を作った。

 射手が見るもの。

 教官と整備担当が見るもの。

「射手には、火縄、火皿、火蓋、銃口の向き、不発の申告だけを必ず覚えさせます」

「点火孔は?」

「細かな清掃は教官が確認します。射手にも場所と意味は教えますが、戦場で一人ずつ分解させません」

「ばねと掛け金は?」

「引金を引く前の動作確認は射手。形や強さの検査は教官です」

「発射数は誰が数える?」

「班ごとに教官が記録します。射手本人にも数えさせますが、煙と戦闘の中では間違える可能性があります」

 ロルフは紙を取り、しばらく眺めた。

「不発になった銃を、誰が受け取る?」

「教官です」

「教官まで撃っていれば?」

「班の中で、整備担当を一人決めます」

「十人しかいない今はできても、百人になれば同じやり方では足りんぞ」

「だから、新兵には最初から役割を分けて教えます。全員へ基本動作は教えますが、射手だけでなく、槍の護衛、弾薬運搬、火縄管理、修理、見張りを置きます」

 ロルフは紙を戻した。

「長い説明よりはましだ」

「褒めていますか?」

「半分だけだ」

 どこかで聞いたような答えだった。

「第一ロットの十挺は?」

「工場の組立場へ運んである。形にはなった」

「完成したのでは?」

「形になったと言った」

 ロルフが不機嫌そうに立ち上がる。

「見れば分かる」

 郊外の工場予定地では、三週間前とは違う音が響いていた。

 古い組立場の屋根には新しい板が張られ、穴から空が見えることはなくなっている。床も半分以上が張り替えられ、作業台が四つ置かれていた。

 鍛冶場になる建物では、炉の土台が築かれている。まだ火は入っておらず、煙を外へ逃がす場所も完成していない。

 敷地の端では、井戸の内側へ石を積んでいた。

 水は出たが、壁が崩れないよう補強しなければ使えないという。

 職人と家族の住居は二棟だけ完成していた。残りの者は、ベルグハーフェンの宿や、クレーマー商会が持つ空き家で暮らしている。

 完成品倉には厚い扉が付いているが、錠はまだない。商会の護衛が交代で見張っているものの、完成した火縄銃を長く置ける状態ではなかった。

 火薬を保管する建物は、さらに離れた場所で基礎を作っている途中だ。

「工場が完成したとは、まだ言えませんね」

「当たり前だ」

 隣を歩くロルフが答えた。

「使えるところから使う。鍛冶場ができるまでは、鉄筒と金具を今までの工房へ作らせる。木台も同じだ。ここでは、組み立てと検査から始める」

「枝道は?」

 俺が尋ねると、工事を見ていたクレーマー商会の者が答えた。

「砕石を敷きましたが、先日の雨で南側が再びぬかるみました。水の逃げ道を作らなければ、同じことになります」

「道の中央を高くして、両側へ水を流せませんか?」

「できます。ただ、さらに砕石と人手が要ります」

「荷車が止まるたびに押し出すよりは安いはずです。費用を出して、マティアス様へ報告してください」

 工場を建てれば、建物の中だけを考えればよいわけではない。

 鉄筒も木材も荷車で運ぶ。道が泥に沈めば、炉が完成していても部品は届かない。

 組立場へ入ると、十挺の火縄銃が作業台の上へ並べられていた。

 見た目だけなら、最初に作ったものと大きな違いはない。

 長い鉄筒を木台へ載せ、火皿、火蓋、火縄ばさみ、引金、ばね、掛け金が付いている。

 だが、ロルフは一挺を持ち上げ、木台と鉄筒の間を指した。

「これは溝が浅かった」

 鉄筒を外した木台には、削り直した跡がある。

「型に合わせて作ったのでは?」

「合わせたつもりだった。調べたら、職人へ渡した木の型が摩耗していた」

「同じ型を何度も当てたからですか?」

「ああ。端が削れ、少しずつ浅くなった。それを正しい形だと思って木台を作った」

「職人だけの失敗ではありませんね」

「だから、型にも使用回数を記録する。傷んだ型を基準にすれば、同じ不良が何挺でもできる」

 次の一挺は、ばねが交換されていた。

「こちらは?」

「火縄ばさみが落ちる力が弱かった。ばねを作った職人は、形を合わせればよいと思っていたらしい」

「金属の厚みか、曲げ方ですか?」

「両方だ。同じ形でも、使った鉄と熱の入れ方で強さが変わる」

 さらに別の一挺は、引金が重かった。

 金具の穴の位置がわずかにずれ、引金を強く引かなければ火縄ばさみが落ちなかったという。

「強く引けば撃てるのでは?」

「撃つ瞬間に銃口が動く。命中しなければ、弾と火薬を空へ捨てるのと同じだ」

 ロルフが引金へ指を掛け、ゆっくり動かす。

 修正後の引金は、途中で引っ掛からずに動いた。

「鉄筒の重さにも差がある」

 十挺を順番に持つと、確かに重さが違う。

 長さは型に合っている。外側の太さも、大きくは外れていない。

 それでも、鉄を巻き、鍛接し、表面を整える過程で厚みに差が出る。

「軽い鉄筒は危険ですか?」

「薄い場所があれば危険だ。だが、重いから安全とも限らん。厚みが一方へ偏っていれば、そこへ力が掛かる」

「検査できますか?」

「外側は型で分かる。内側は細い棒と目で確かめる。正確な厚みを全て測る道具はない」

「では、重量も一本ずつ記録しましょう」

「どうやって同じ重さを量る?」

「天秤を使います。正確な数字でなくても、基準の鉄筒より重いか軽いかは分けられます」

「重さだけで落とすなよ」

「分かっています。重さは、ほかの検査と合わせて見ます」

 火縄銃一挺ごとに、部品を作った職人、使った鉄、木台、ばね、組み立てた日を記録する。

 十挺全てを同じものとして扱えば、一挺に問題が出た時、どこまで遡ればよいか分からない。

「不良部品を作った職人は、どうなりますか?」

「材料を盗んだわけでも、失敗を隠したわけでもない」

 ロルフが答えた。

「正しいと思った型へ合わせて作った。罰するなら、摩耗した型を渡した側も罰しろ」

「罰するつもりはありません。次の十挺で同じことが起きないようにしたいだけです」

「なら、失敗した部品を捨てるな。何が違うか比べられるように残せ」

「置く場所が必要ですね」

「俺の工房へ全部持ち込むなよ」

 すでにロルフの工房には、試作品の部品、不発二挺から外した部品、失敗したばねや金具が置かれている。

 五十挺、百挺と増えれば、紙も部品も同じように増える。

「アイヒェンタールの試験場に、記録と検査のための建物を作ります」

「また建物か」

「試射する場所と、結果を残す場所が離れている方が不便です。不良部品を置く倉と、寸法を比べる作業台も必要です」

「火薬と同じ建物へ紙を置くな」

「分けます。火薬を持ち込まない記録区域にします」

「言うだけなら簡単だ」

「建てるのは領内の大工に任せます。必要な作業台と道具は、ロルフが決めてください」

「俺の仕事を増やすな」

「工房へ不良部品を積み上げ続ける方がよいですか?」

 ロルフは作業台に並ぶ十挺を見た。

「最低限でいい。立派な館など要らん」

「最初から大きな研究施設を作るつもりはありません」

 今必要なのは、失敗を捨てずに置く場所だった。

 その日のうちに十挺と修理二挺を木箱へ収め、一挺ごとに油紙と布で包んだ。

 火薬と弾は別の荷車へ積む。

 翌朝、クレーマー商会の護衛とロルフを伴い、アイヒェンタールへ向けて出発することになった。

◇ ◇ ◇

 十二挺を積んだ荷車がアイヒェン村へ着いたのは、翌日の午後だった。

 村の者たちには、工場で作った軍用装備を運んできたとだけ説明した。

 箱は領主館へ入れ、既存の火槍兵が交代で見張る。

 新兵候補には近づかせなかった。

 その日は移動中に箱が濡れていないか、留め具が外れていないかを確認するだけに留めた。

 試射は次の朝から行った。

 採石場へ続く道には、早朝から見張りを置いた。

 新兵候補には、岩壁付近で危険な採石試験を行うため、許可なく中へ入らないよう命じる。候補者たちは入口から離れた分かれ道へ配置し、近づく者を止める役目を与えた。

 何を試すのかは教えない。

 試験場の内部へ入ったのは、俺、ロルフ、ギルベルト、マルク、テオ、ニクラス、既存の火槍兵たちと、クレーマー商会から来た限られた者だけだった。

 岩壁の前には、人の背丈ほどの厚みで土が盛られている。

 大きな石は取り除かれ、雨水を沢へ流す排水路も掘られていた。

「最初は修理した二挺からです」

 俺が言うと、ギルベルトが一挺目を受け取った。

「誰が撃ちますか?」

「以前使っていた兵に撃たせます。持った時の違いにも気づけるはずです」

 該当する兵が前へ出た。

 最初に火縄を付けず、引金、ばね、掛け金を確認する。

 火縄ばさみを手で引き上げ、掛け金へ留める。引金を引くと、火縄ばさみが火皿へ向かって落ちた。

「異常なし」

 火薬と弾を装填する。

 試験場とはいえ、修理後の最初の一発を肩へ当てて撃たせる気はなかった。

 木を組んだ台へ火縄銃を固定し、銃口を土盛りへ向ける。引金には長い紐を結び、兵とロルフは土壁の陰へ下がった。

「火蓋を開けたか?」

「開いています」

「火縄の位置は?」

「火皿へ落ちます」

「周囲、退避完了」

 ギルベルトが赤い布を上げる。

 全員が安全な位置へ下がったことを確認し、布を振り下ろした。

 紐が引かれる。

 火縄ばさみが落ち、乾いた破裂音が採石場へ響いた。

 白煙が台の周囲へ広がる。

 すぐには近づかない。

 遅れて発火する可能性がないことを確認してから、ロルフが火縄を安全な位置へ上げ、銃を台から外した。

 点火孔、火皿、火蓋、鉄筒、木台、金具。

 一つずつ確認する。

「撃てたな」

 ロルフが言った。

「一発は」

「分かっている」

 二発目は、以前使っていた兵が肩へ当てて撃った。

 発射後、兵が自分で火縄を引き上げ、教官へ銃を渡す。

 三発目、四発目も発射した。

 もう一挺も同じ順序で試す。

 火皿と火蓋を合わせ直した二挺目も、最初の発射に成功した。その後も数発を撃ち、不発は起きなかった。

「使用可能へ戻しますか?」

 俺が尋ねると、ロルフは二挺に結ばれた木札へ印を書き加えた。

「戻してよい。ただし、終わりではない」

「重点的に記録します」

「雨の日と、長く運んだ後も見ろ。今日のように乾いた場所で撃てたからといって、戦場でも同じとは限らん」

 修理した二挺は、使用可能へ戻った。

 これで、最初に作った十挺が再び揃う。

 だが、戦の前と同じ十挺ではない。

 二挺には修理記録が付き、ほかの八挺にも戦場で撃った回数と傷が残っている。

 同じ形の武器でも、同じ状態ではなかった。

 続いて、第一ロットの十挺を試した。

 一挺ずつ番号を読み上げ、木札の記録と本体を照合する。

 火縄を付けない状態で引金を動かし、ばねの力、掛け金、火縄ばさみの落ちる位置を確認する。

 問題がなければ台へ固定し、最初の一発を撃つ。

 十挺全てが、最初の発射に成功した。

 二発目からは、既存の兵たちが肩へ当てて撃つ。

 銃声が岩壁へ反響し、白煙が谷間を流れた。

 試射する間隔を空け、煙が薄くなってから次へ進む。

 六挺目の三発目が終わった時、テオが声を上げた。

「待ってください」

 銃を受け取ったテオが、火皿の横へ指を当てる。

「金具が動きます」

 ロルフが近づき、火縄を外してから確認した。

 火皿を固定する金具が、わずかに緩んでいる。大きく外れてはいない。もう一発くらいなら撃てるかもしれない。

「使用を止めます」

 俺が言うと、ロルフが俺を見る。

「まだ撃てるぞ」

「撃てるかもしれない、です。ここで続けて完全に外れれば、火皿の火薬がこぼれます」

「試したくならんのか?」

「なります。ですが、試すなら人が肩へ当てない状態で、修理前の位置を記録してからです」

「それでいい」

 ロルフは火皿の周囲へ印を付け、木札に状態を書いた。

 その一挺は、以後の試射から外した。

 残る九挺は三発以上を撃ち、金具と木台に大きな異常がないことを確認した。

 試射を終え、ギルベルトが数を読み上げる。

「既存十挺、使用可能。第一ロット十挺のうち、九挺使用可能。一挺は使用停止」

「帳簿には、完成二十挺、使用可能十九挺と分けて書いてください」

 俺はニクラスへ伝えた。

「完成したのは二十挺では?」

「形になった数は二十挺です。ですが、今日戦場へ持っていけるのは十九挺です」

「修理へ戻せば、また使えます」

「直った時に、使用可能へ戻します。今は十九挺です」

「承知しました」

 二十挺と書いた方が、成果は大きく見える。

 レオンハルトにもマティアスにも、予定どおり第一ロット十挺が完成したと報告できる。

 だが、戦場では帳簿上の数では撃てない。

 引金を引き、弾を出せる数が必要だった。

 試射の後、俺たちは試験場の入口へ戻った。

 見張りをしていた新兵候補十人は、遠くから銃声を聞いている。

 採石の音ではないと気づいた者もいるだろう。それでも、命令に背いて試験場へ入ろうとした者はいなかった。

 領主館へ戻ると、ギルベルト、マルク、テオ、ニクラスから候補者の評価を聞いた。

「十人とも、正式採用へ進めてよいと考えます」

 ギルベルトが最初に結論を述べた。

「全員ですか?」

「体力や読み書きには差があります。ただ、危険な命令違反を繰り返した者はいません」

 マルクは、動作を覚えるのが遅い二人について報告した。

 遅くても、分からないまま動かず、確認してから進める。間違えた時も、誰かのせいにはしないという。

 テオは装備の扱いを見ていた。

 木製の槍や水筒を投げる者はおらず、破損を見つけた時に隠した者もいない。

 ニクラスは、荷物の数と命令の聞き方を確認した。

 読み書きのできない者も、木札の刻み目を使えば、十本一組の束を数えられるようになっている。

「力の強い者だけを選んだわけではありません」

 ギルベルトが言う。

「馬を扱える者、木工の経験がある者、山道を知る者も残しました」

「分かりました。十人を正式採用へ進めます」

「火縄銃を見せますか?」

「その前に、何を背負うことになるのか説明します」

 十人を領主館の小広間へ集めた。

 扉の外には、既存の火槍兵を置く。

 候補者たちは、俺が正面へ立つと、緊張した表情で姿勢を正した。

「今日までの訓練を終え、皆さんを俺の直轄兵として正式に採用したいと思います」

 十人の表情がわずかに動く。

 喜びだけではない。

 兵になるということは、扶持を受け取る代わりに、命令があれば戦場へ行くことでもある。

「ただし、皆さんへ任せる仕事には、これまで説明していなかった秘密があります」

 俺は一人ずつ顔を見た。

「この領地では、新しい武器の試験と訓練を行っています。詳しいことを知れば、家族や村人にも話せなくなります。酒場で自慢することもできません」

 誰も口を開かなかった。

「扱いを誤れば、自分だけでなく、隣にいる仲間を殺す危険があります。兵になりたいからというだけで、無理に引き受ける必要はありません。秘密を扱わない山道警備、輸送、災害時の救援にも兵は必要です」

 一人が手を上げた。

「その武器を扱わなければ、正式な兵にはなれないのでしょうか」

「いいえ。全員が射手になるわけではありません。射手を槍で守る者、弾薬を運ぶ者、火縄を管理する者、修理や見張りを行う者も必要です。ただ、同じ部隊にいる以上、武器の基本と危険は学んでもらいます」

「今、返事をしなければなりませんか?」

「今日の夕方まで考えて構いません。十人で相談してもよい。ただし、まだ見ていない武器のことを村で話さないでください」

 十人はいったん部屋を出た。

 返事が来たのは、日が傾き始める前だった。

「十名全員、任務をお受けします」

 先頭に立った男が答えた。

「家族にも話せないことを理解していますか?」

「はい」

「戦場へ行く可能性もあります」

「最初に説明を受けています」

「分かりました」

 俺はギルベルトへ合図した。

 隣の部屋から、布に包まれた一挺の火縄銃が運ばれてくる。

 台の上へ置き、布を外した。

 十人の視線が、長い鉄筒と木台へ集まった。

 誰も近づこうとはしない。

「これが、皆さんが表向き火槍と呼ぶ武器です」

「槍では、ないのですか?」

「従来型の火槍とは違います。長い鉄筒を木台へ載せ、肩で支えて撃ちます」

「先ほどの音は、これですか?」

「そうです」

 隠し続けても、正式な兵として訓練することはできない。

 ここからは、秘密を守る側へ入ってもらう。

「今日、火薬と弾は使いません」

 俺は木台を持ち上げた。

「最初に覚えるのは、撃ち方ではなく、味方を撃たない持ち方です。銃口を人へ向けない。命令なしに火縄と火薬へ触れない。分からない時に、分かったふりをしない」

 マルクが一人ずつ火縄銃を持たせた。

 最初に持った男は、予想より重かったのか、木台を下げかけた。

「銃口を下げすぎるな」

 マルクが横から支える。

「落としそうなら、無理に一人で持つな。先に言え」

「はい」

 十人には、使用可能な十九挺全てを渡さない。

 一挺を交代で持たせ、重さと形を覚えさせる。

 火縄を付けない状態で火縄ばさみを引き上げ、掛け金へ留め、引金を引く。

 金具が火皿へ落ちるたび、候補者たちは驚いたように目を動かした。

「引金から指を離せば、勝手に戻るのですか?」

「戻りません。落ちた火縄ばさみは、射手が手で引き上げます」

「火縄が燃えたままでも?」

「だから、安全な位置へ引き上げる動作を先に覚えます」

 装填の手順も、最初は口頭で復唱させた。

 筒内へ火薬を入れる。

 火縄ばさみを引き上げる。

 弾を入れる。

 装填棒で奥へ押し込む。

 火皿へ細かな火薬を置く。

 火蓋を閉じる。

 火縄を火縄ばさみへ挟み、掛け金へ留める。

 構える前に火蓋を開く。

 構え、命令と合図を確認し、引金を引く。

 発射後は火縄を安全な位置へ引き上げる。

 動作を一度聞いただけでは覚えられない。

 だから、木製の模擬銃で同じ順序を何度も繰り返す。

「不発になった場合は?」

 ニクラスが尋ねると、十人のうち一人が答えた。

「もう一度、引金を引きます」

「違う」

 ニクラスは怒鳴らず、火縄銃を持ったまま姿勢を示した。

「遅れて撃つことがある。銃口を人へ向けず、火縄を安全な位置へ上げ、教官へ報告する。すぐに銃口を覗くな」

「筒の中が見えなければ、何が悪いか分からないのでは?」

「分からなくてよい。分からないまま覗き込み、遅れて弾が出れば死ぬ」

 候補者の顔から、好奇心が少し消えた。

 代わりに、武器を恐れる表情が浮かぶ。

 それでよい。

 恐怖だけで動けなくなっては困るが、危険を知らずに触るよりはいい。

 初日の訓練は、実弾を一発も撃たずに終えた。

 十人が覚えたのは、火縄銃の威力ではない。

 持ち方、置き方、銃口の向き、不発時に動かないこと。

 戦場で弾を当てる前に、味方を撃たない兵にしなければならない。

 訓練後、俺はフェリクス、ロルフ、ギルベルトと試験場の近くを歩いた。

 採石場から少し離れた場所に、以前使われていた小さな石造りの物置がある。屋根の一部が崩れ、扉も外れているが、壁は残っていた。

「ここを直せませんか?」

 俺が尋ねると、フェリクスが建物を見回した。

「記録所にするのですか?」

「はい。試射のたびに紙をベルグハーフェンへ持ち帰るだけでは、途中でなくなるかもしれません。不良部品と、どの銃から外したものかを一緒に置く場所も必要です」

「火薬は?」

「持ち込みません。火薬と一発筒は別の倉です」

 建物の中を二つに分ける。

 一方は試射記録と部品番号を保管する部屋。

 もう一方は、不良部品と使用停止になった火縄銃を置く施錠倉。

 外側には、火縄銃を清掃するための屋根付き作業場を設ける。

 ロルフや職人がベルグハーフェンから来た時に使える小さな滞在室も必要だった。

「作業台は、どうしますか?」

 フェリクスが尋ねた。

「鉄筒と木台の長さ、幅、重さを比べられるものを置きます。具体的な形はロルフに任せます」

「勝手に決めるな」

 ロルフが言った。

「必要でしょう?」

「必要だ。だが、立派な机など要らん。重い鉄筒を置いても揺れず、火皿や金具を外して並べられればいい」

「大工へ、そのように伝えます」

「型と不良部品を同じ場所へ置くな。正しいものと間違ったものが混ざる」

「棚を分け、木札の色も変えましょう」

「色だけでは、汚れた時に分からん。刻みも変えろ」

 話しているうちに、必要なものが増えていく。

 それでも、最初から大きな研究施設を建てるつもりはなかった。

 火薬、鉄砲、兵站、戦術、兵器、補給、装備。

 いずれは、それぞれを専門に調べる者が必要になるかもしれない。

 だが、今は建物も人も金も足りない。

 最初に作るのは、失敗したものを捨てずに置き、次の製作へ返すための場所だ。

「修理費を計算します」

 フェリクスが帳面を開く。

「領地の金だけではなく、クレーマー商会にも一部を出してもらいましょう。製造した火縄銃の検査に使う建物です」

「橋に続いて、また商会へ金を出させるのですか?」

「利益があることを説明します。ここで不良を見つけられれば、五十挺全部を作り直すより安く済みます」

「マティアス様なら、数字を求めますよ」

「第一ロットで作り直した木台とばね、修理へ戻す一挺の費用を出してください。それと建物を直す費用を比べます」

「承知しました」

 橋も記録所も、金を頼めば出してもらえるわけではない。

 金を出す側にとって、どれだけの損失を避けられるのかを示す必要がある。

 俺は領主だが、何もないところから金を作れるわけではなかった。

◇ ◇ ◇

 全ての報告を終え、領主館へ戻った時には、外はすでに暗くなっていた。

 夕食を終え、執務室へ入る。

 机の上には、今日使った三つの帳面が並んでいた。

 一つは、橋の補強費と通行税。

 一つは、修理した二挺と第一ロット十挺の試射記録。

 一つは、新しく正式採用した十人の兵についての記録。

 そこへフェリクスが、一通の手紙を置いた。

「アルヴェインから届いております」

 差出人を見なくても、封を見れば分かった。

「エリーゼからですね」

「はい」

 フェリクスは、それ以上何も言わずに部屋を出た。

 封を開き、手紙を広げる。

 エリーゼは、林檎の花の髪飾りを身につけたと書いていた。

 会談から戻った後、侍女に見せたところ、よく似合っていると言われたらしい。

 アルベルトも髪飾りに気づいたが、何も言わずに笑っていたという。

 その様子が目に浮かぶ。

 手紙の後半には、髪飾りを大切にしまっておくべきか、それとも普段から身につけてもよいのか迷っていると書かれていた。

 俺は紙を用意し、返事を書き始めた。

『贈ったものですから、エリーゼの好きな時に使ってください』

 そこまで書き、筆を止める。

 間違ったことは書いていない。

 だが、商会との契約条件のように見える。

 少し考え、その下へ一文を加えた。

『身につけてもらえたなら、選んだ甲斐がありました』

 それなら、少しは伝わるだろうか。

 領地についても書いた。

 橋を直すため、クレーマー商会と費用を分けること。

 新しい兵を十人採用したこと。

 穀倉と水車の仕事を、俺がいなくても部下たちが進めてくれていること。

 火縄銃、試射、不発、秘密の記録所については書かない。

 エリーゼを信用していないからではない。

 手紙は使者の手を渡り、街道と宿場を通る。途中で誰かに見られる可能性を消せないからだ。

 書き終えた手紙を乾かしながら、三つの帳面を見た。

 最初に作った十挺は、修理した二挺を含めて使用可能へ戻った。

 第一ロットの十挺は完成した。

 だが、そのうち一挺は火皿の金具が緩み、使用を止めた。

 完成した数だけを書けば二十挺。

 今日、命令を受けて撃てる数を書けば十九挺。

 俺は試射記録の最後へ、十九と書いた。

 一挺を少なく書いたところで、誰かに褒められるわけではない。

 むしろ、なぜ予定どおり十挺を揃えられなかったのかと問われるかもしれない。

 それでも、二十と書くことはできなかった。

 帳簿の中で撃てる銃が増えても、戦場では一発も増えない。

 最初の二挺が不発になった記録を残していたから、点火孔と火皿を調べることができた。

 清掃と不発時の手順を決めたから、新しい兵へ最初から危険を教えられた。

 摩耗した型と、弱いばねを捨てずに残したから、次の十挺で同じ部品を作らずに済む。

 そして、第一ロットからは、火皿の金具が緩むという別の問題が見つかった。

 失敗を残すのは、同じ話を繰り返すためではない。

 次の十挺で同じ失敗を避け、そこで見つかった別の失敗を、さらに次へ渡すためだ。

 俺は十九という数字の横へ、使用停止となった一挺の番号と、修理のためベルグハーフェンへ戻すことを書き加えた。

 成功だけを数えるより、失敗を含めた数の方が、次に何をすべきかを教えてくれる。

 窓の外では、新しく正式採用された十人のうち二人が、既存兵とともに夜の見張りへ立っていた。

 工場では、第二ロット十挺の部品が作られ始めている。

 橋の補強も、記録所の修理も、まだ始まったばかりだ。

 明日になれば、また別の問題が報告されるだろう。

 その問題も、なかったことにはしない。

 直せなかったことまで残し、次に考える者へ渡す。

 それが、火縄銃を十挺から百挺へ増やすために必要な、最初の仕組みだった。

第六話を読んでいただき、ありがとうございました。

修理された二挺は使用可能へ戻り、第一ロット十挺も完成しました。しかし、新たな不具合によって、その日に使用できる火縄銃は二十挺ではなく十九挺となりました。

アレクは成功した数だけでなく、不発、部品の不良、修理の経過を残し、次の十挺へ反映する仕組みを整え始めます。正式採用された新兵十人も、火縄銃の秘密と危険を知り、実弾を使わない基礎訓練へ進みました。

領地では橋の補強と費用負担が具体化し、試験場の近くには、将来の研究所につながる小さな記録・検査所が作られます。

次回は新兵の実銃訓練と第二ロットの製作を進めながら、増え続ける火縄銃、火薬、弾、一発筒をどのように補給し、管理するかを考えていきます。

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