第六話 若き大公
三十人余りの略奪隊を退け、ヴァイスブルクへ到着したアレクたち。
三千人のベルン伯軍が迫る中、アレクは城を守る意味と、戦場を支える人や物の動きを知っていきます。
そして、予定より早く現れた若き大公との出会いが、アレクを再び軍議へと導きます。
三千という数字が、ヴァイスブルクへ続く街道を歩くアレクの頭から離れなかった。
「三千って……多いよな」
隣を歩くトーマスが、誰に聞かせるでもなく呟いた。
「多いな」
「こっちは八百くらいなんだろ?」
「そう聞いている」
「勝てると思うか?」
「分からない」
「またそれかよ」
「分からないものは、分からないとしか言えないだろ」
ベルン伯軍はおよそ三千。対するヴァイスブルクの守備兵は、各地から徴集された者を合わせても八百ほどだと聞いている。
単純に比べれば、四倍近い差がある。
前日にグリュン村を襲った略奪隊は三十人余りだった。それでも恐ろしく、実際に三人を自分の手で殺した。
今度は、その百倍近い人数が迫っている。
「八百対三千か……」
「もう一度言うなよ。余計に怖くなるだろ」
「考えない方が怖くないか?」
「俺は考えない方が楽だ」
「それで騎士になれるのか?」
「なれる。戦場に着いたら、騎士様が考えてくれるからな」
トーマスは胸を張って答えた。
「八百人を率いる人だって人間だぞ。判断を間違えることはある」
「縁起でもないことを言うなよ」
「だから、できるだけ多くの情報が必要なんだ」
アレクは前を歩くゲオルクの背中へ目を向けた。
ゲオルクは馬に乗らず、一行と同じ速さで歩いている。その傍らを進む荷車には、前日の戦いで脚に矢を受けたハンスが横になっていた。
矢はグリュン村で抜いてもらった。骨には達しておらず、命に別状はない。しかし、自分の足でヴァイスブルクまで歩ける状態ではなかった。
「アレク」
荷車からハンスに呼ばれ、アレクはそちらへ近づいた。
「何ですか?」
「また難しい顔をしているぞ」
「元からです」
「十五歳の顔には見えんな」
「前の戦いから、そればかり言われている気がします」
「実際、そうだからな」
ハンスは脚の痛みを感じさせない顔で笑った。
「ハンスさんは心配ではないのですか?」
「何がだ?」
「三千人が来ることです」
「怖いに決まっているだろう」
「そうは見えません」
「怖がったところで、敵の数は減らん」
ハンスはそう言ってから、街道の先へ顔を向けた。
「それに、三千人全員がお前一人を殺しに来るわけではない」
「そういう考え方をするものですか?」
「戦場では大事だぞ」
会話を聞いていたゲオルクが振り返った。
「一人の兵士が三千人を同時に相手にすることはない。実際に戦うのは、自分の目の前にいる数人だ」
「その数人に勝っても、軍全体が負けたらどうします?」
「逃げる」
「潔いですね」
「言ったはずだ。死ぬよりはましだ」
マルセルとよく似たことを言われ、アレクはわずかに笑った。
しかし、ゲオルクの表情はすぐに厳しいものへ戻った。
「ただし、今回は簡単には逃げられん」
「なぜです?」
「ヴァイスブルクの後方に、何があると思う?」
「ラーデン村」
「それだけではない」
アレクは頭の中に、これまで通ってきた街道を思い浮かべた。
「街道沿いの村すべてですか?」
「そうだ。ヴァイスブルクが落ちれば、ベルン軍の東進を止めるものがなくなる」
ヴァイスブルクを守る理由は、領土や名誉、主君への忠義だけではない。
城の後方には、そこで暮らす人々がいる。
ラーデン村にはマルセルがいる。トーマスの母親や、顔を覚えた村人たちもいる。短い間しか過ごしていない場所ではあるが、アレクが帰ると約束した場所だった。
「負けられない戦なのですね」
「そういう戦もある」
ゲオルクはそれ以上語らず、再び前を向いた。
◇ ◇ ◇
昼を過ぎた頃、小高い丘の上に築かれたヴァイスブルクが見えてきた。
厚い外壁が二重に巡らされ、その内側には大きな石造りの城がそびえている。城壁の周囲には木造と石造の家屋が入り交じり、市場や倉庫、鍛冶場らしき建物も並んでいた。
前世で写真や映像を通して見たヨーロッパの城とは、どこか違う。それでも、アレクがこの世界で初めて目にする本格的な城塞だった。
「すごいな……」
思わず足を止めたアレクを、トーマスが不思議そうに見た。
「城を見るのは初めてか?」
「たぶん」
「記憶を失っていると、何を見ても初めてみたいなものか」
「便利だと言いたいのか?」
「少しだけ」
「本人は不便なんだぞ」
軽口を交わしながら近づくにつれ、城の周囲に集まっている人々の姿がはっきりと見えてきた。
武器を持つ兵士だけではない。荷物を背負った農民、商品を荷車へ積んだ商人、幼い子供の手を引く女性、杖をついて歩く老人もいる。山羊や鶏などの家畜まで連れてきた者もいた。
「これが全部、兵士なのか?」
「違う。西の村々から逃げてきた者もいる」
ゲオルクの答えを聞き、アレクは改めて人々の様子を見た。
泣いている子供を抱き上げる母親がいる。荷車の上には、毛布を掛けられた老人が横たわっていた。家畜をつないだ場所を巡って言い争う男たちを、城の兵士がなだめている。
ベルン伯軍の本隊は、まだヴァイスブルクへ到達していない。
大軍同士の戦闘が始まる前から、これほど多くの人間が家を離れ、いつ戻れるかも分からない生活を強いられている。
「アレク」
トーマスが小さな声で呼んだ。
「何だ?」
「グリュン村だけではないんだな」
「ああ」
村を一つ守っただけでは、戦争は終わらない。
二人はそれ以上話さず、人々の間を通って城門へ向かった。
◇ ◇ ◇
「ゲオルク・バウマン!」
城門をくぐったところで、守備兵が声を上げた。
「グリュン村方面より帰還した! 報告がある!」
ゲオルクが足を止めずに答える。
「敵の略奪隊三十余を西へ撃退! 味方の負傷者一名、死者なし!」
周囲にいた兵士たちの間から、どよめきが起きた。
「三十人を追い返したのか?」
「確か、十五人で向かったはずだぞ」
「死者が一人もいないだと?」
兵士たちの視線が集まり、トーマスが嬉しそうに笑った。
「俺たち、有名になるかもしれないぞ」
「やめてくれ」
「どうしてだよ」
「目立ちたくない」
「三十人を追い返す策を考えた奴が言うことか?」
「好きで考えたわけではない。生き残りたかっただけだ」
「でも、騎士になるなら目立った方がいいぞ」
「俺は騎士になるとは言っていない」
「では、何になるんだ?」
答えられず、アレクは口を閉じた。
この世界で何になるのか。何を目指して生きるのか。
今はまだ分からない。
とにかく生き残り、帰れる場所を失わないようにする。それだけで精いっぱいだった。
「ゲオルク殿!」
城の奥から、上等な革鎧を身につけた男が駆けてきた。
「ヴァイス男爵がお呼びです。略奪隊を退けた件についても、直接報告するようにとのことです」
「分かった」
男はアレクたちを見回した。
「この者たちは?」
「ラーデン村から徴集された兵だ」
「それでは、兵舎へ案内させます」
「一人だけ連れていく」
嫌な予感がして、アレクはゲオルクを見る。
ゲオルクも、まっすぐアレクを見返した。
「アレク。お前も来い」
「やはり俺ですか?」
「策を考えたのはお前だ」
「ゲオルク様が、かなり直したではありませんか」
「それも含めて報告する」
アレクは少し声を落とした。
「俺は男爵に会うのですか?」
「そうだ」
「こういう時の礼儀を知りません」
「私の真似をしろ。勝手に口を挟まず、聞かれたことだけ答えればいい」
「それなら何とか」
「余計なことは言うな」
「分かりました」
「本当に分かったのか?」
「たぶん」
ゲオルクは大きく息を吐いた。
その様子を見ていたトーマスが、腹を押さえて笑っている。
「頑張れ、アレク。俺は兵舎で待っている」
「お前も一緒に来い」
「嫌だ」
「返事が早すぎないか?」
「男爵様に会うのは、騎士になってからでいい」
「都合のいい時だけ慎重になるなよ」
トーマスは笑いながらほかの兵たちについていった。
取り残されたアレクは、ゲオルクの後ろを歩いて城の奥へ向かった。
◇ ◇ ◇
城内は、アレクが想像していたほど華やかな場所ではなかった。
石造りの壁には絵や武具が飾られ、村の建物よりはるかに大きな窓が並んでいる。しかし、廊下では兵士や使用人が絶えず行き交い、落ち着いて眺めていられる雰囲気ではない。
「兵糧庫の残数をもう一度確かめろ!」
「東門へ槍を二百本運べ!」
「鍛冶場から矢尻が届いていないぞ!」
「城壁へ水樽と砂を上げろ!」
さまざまな命令が飛び交っている。
矢や槍だけではない。籠城中の火災に備える水や砂、城壁を補修する木材、負傷者を運ぶための担架も用意されていた。
アレクは思わず足を緩め、周囲を見回した。
「アレク、前を見ろ」
「すみません」
「それほど珍しいか?」
「はい。城は戦うための建物だと思っていました」
「間違いではない」
「ですが、それだけではありませんね」
領主と役人がいて、領地から集められた税や物資を管理する。倉には兵糧が積まれ、武器や馬が集められている。戦が始まれば城そのものが巨大な兵站拠点となり、周囲から逃げてきた人々を守る場所にもなる。
前世で知っていた日本の城も、ただ敵を迎え撃つだけの建物ではなかった。
街道や川、市場、港、農地などとの位置関係によって、城の価値は変わる。どれほど険しい場所へ築いても、水や食料を運び込めなければ長く守れない。反対に、交通の要衝へ城を置けば、敵の移動や補給を制限できる。
ヴァイスブルクがベルン伯軍に狙われるのも、壁が立派だからではない。
「ここを通る街道を押さえているのですね」
「よく分かったな」
ゲオルクが足を止めずに答えた。
「城の後方にある村を守るだけなら、別の場所でも構いません。ですが、ベルン伯軍がこの城を無視できないのであれば、道か川に理由があると思いました」
「便利な頭だ」
「褒めてくださっていますか?」
「半分ほどはな」
「残りの半分が気になります」
「今は黙って歩け」
褒められたのか叱られたのか分からないまま、アレクはゲオルクの後を追った。
◇ ◇ ◇
大きな扉の前で、ゲオルクが立ち止まった。
「ヴァイス男爵に、ゲオルク・バウマンが参りました」
「入れ」
低い声が返り、扉が開かれた。
室内には長い机が置かれ、その上に大きな地図が広げられていた。地図を囲むように、鎧姿の騎士や文官が十人ほど集まっている。
その中央に立つのは、灰色の髪をした大柄な男だった。年齢は五十歳ほどに見え、鋭い目で入ってきた二人を見据えている。
「ヴァイス男爵、オットー・ヴァイス閣下だ」
ゲオルクが小声で告げた。
アレクは教えられたとおり、ゲオルクの動きを真似て頭を下げた。
「ゲオルク、よく戻った」
「ありがとうございます」
「ハンスが負傷したと聞いた」
「脚に矢を受けましたが、骨には達しておりません。命に別状はないとのことです」
「そうか。よかった」
ヴァイス男爵は短く目を閉じた。
アレクには、その反応が少し意外だった。兵士一人の傷など、領主にとっては小さな損失にすぎないと思っていたからだ。
「それで、その少年がアレクか?」
「はい。アレク・ハルトマンと申します。十五歳とのことです」
「十五歳?」
地図を囲んでいた者たちが、一斉にアレクを見た。
「その少年が策を考えたのか」
「本当に徴集兵なのか?」
「顔を上げろ」
ヴァイス男爵に命じられ、アレクはゆっくりと顔を上げた。
「アレク・ハルトマン」
「はい」
「グリュン村を襲った略奪隊を欺いた策は、お前が考えたと聞いた」
「考えるきっかけを作ったのは俺です。ただ、実際の作戦へ整えたのはゲオルク様です」
ゲオルクから余計なことを言うなと教えられていたが、自分一人の功績にするわけにはいかなかった。
「ゲオルク、本当か?」
「はい。十四人を百人ほどに見せるという発想はアレクのものです。私が修正し、最終的には二百人ほどに見えるよう準備しました」
「なぜ増やした?」
「その方が敵も迷わず逃げると考えました」
ヴァイス男爵はわずかに口元を緩めた。
「お前らしいな」
「恐縮です」
張り詰めていた室内に小さな笑いが起こり、アレクの肩から少しだけ力が抜けた。
「アレク。なぜ逃げる敵を追わなかった?」
笑いが消え、室内が静かになった。
アレクは隣に立つゲオルクを見たが、助け舟を出してくれる様子はない。
「追撃すれば、こちらにも被害が出ると思ったからです」
「それだけか?」
「……人を殺すのが怖かったからです」
「初陣だったな」
「はい」
「何人を殺した?」
「三人です」
周囲の視線が重くなる。
アレクは目を伏せたくなったが、どうにかヴァイス男爵を見続けた。
「戦が嫌になったか?」
「好きにはなれません」
「今すぐ逃げたいか?」
「できることなら、戦場へは出たくありません」
「正直だな」
「嘘をついても仕方がありませんので」
「では、ベルン伯軍が来たら逃げるか?」
アレクはすぐには答えられなかった。
怖い。逃げたい。その気持ちは本物だった。
しかし、ヴァイスブルクの後方にはラーデン村がある。
「逃げません」
「なぜだ?」
「この城が落ちれば、その先にある村々が襲われます。ラーデン村には、俺を助けてくれた人たちがいます」
「自分が死ぬかもしれなくてもか?」
「怖いです。それでも、何もせずに逃げたら、帰る場所がなくなるかもしれません」
ヴァイス男爵はしばらくアレクを見ていたが、やがて机の上の地図へ視線を移した。
「ゲオルク。この少年をこちらへ」
「軍議に加えるのですか?」
「話を聞くだけだ。構わん」
ゲオルクに促され、アレクは机へ近づいた。
地図には山と川、街道、村、城、そして国境が描かれている。アレクがこの世界へ来てから目にした中では、最も広い範囲を描いた地図だった。
中央を横切る山並み。その東西に延びる街道。山間の盆地と、その周囲に点在する城。
どこか、前世で見慣れた日本の地形に似ている。
そう思った直後、アレクは自分の考えを打ち消した。
海岸線も山の位置も違う。遠くから見れば似ている場所があるというだけで、同じ土地でもなければ、同じ歴史が繰り返される証拠にもならない。
「どうした?」
ヴァイス男爵に聞かれ、アレクは地図から顔を上げた。
「申し訳ありません。地形を見ていました」
「ここがヴァイスブルクだ」
男爵が地図へ指を置く。
「西側がベルン伯領。敵は国境の砦を落とし、この街道を東へ進んでいる」
「三千人ですか?」
「偵察の報告ではな」
「こちらは八百人ほどと聞きました」
「各地から兵が集まっている。今は九百人近い」
増えてはいるが、それでも兵力差は三倍を超える。
「籠城するのですか?」
思わず尋ねると、机の反対側にいた髭の騎士が鼻を鳴らした。
「素人が軍議へ口を挟むな」
「ローデリヒ」
ヴァイス男爵が制した。
「構わん。聞くだけだ」
「しかし、閣下」
「十五歳の徴集兵が何を考えるのか、興味がある」
男爵はアレクへ視線を戻した。
「どう思う?」
「籠城すれば、すぐには負けないと思います」
「ほう」
「ですが、援軍が来なければ、いつか食料か兵が尽きます」
「そんなことは子供でも分かる」
ローデリヒが呆れたように言った。
「はい。ですから、この城を敵が無視できるか知りたいです」
ヴァイス男爵の目がわずかに動いた。
「どういう意味だ?」
「城を攻めず、そのまま東へ進むことはできますか?」
「できん。この城が街道を押さえている」
「ほかの道は?」
「北に山道がある。ただし、三千人の軍勢と荷車を通すのは難しい」
アレクは地図に描かれた細い道を目で追った。
「それなら、ベルン伯軍はヴァイスブルクを落とさなければ、三千人分の食料を東へ運べない」
「そうだ」
敵にとって必要なのは、城そのものではない。城が押さえている道だ。
そして、三千人の兵と馬を動かし続けるには、毎日大量の食料と飼葉が必要になる。
「ベルン伯軍は、周囲の村から食料を集めていますか?」
「だから略奪隊を出している」
「では、その食料集めを邪魔すればどうなります?」
室内にいた者たちの視線が変わった。
「続けろ」
ヴァイス男爵に促され、アレクは地図を見ながら考えを口にした。
「こちらは九百人です。正面から三千人と戦えば負けます。しかし、城から少人数を出して、略奪隊や食料を運ぶ荷車だけを襲うことはできるかもしれません」
「遊撃隊を出すのか」
ゲオルクが尋ねた。
「はい。できれば夜に動きます」
「夜襲で兵糧を焼く?」
「それだけではありません。毎晩、敵を眠らせないようにします」
「眠らせない?」
「大きな音を立てる。遠くから矢を射る。松明を持った兵を見せて、攻めてくると思わせる。実際には攻めず、敵が集まったら逃げます」
ローデリヒが眉をひそめた。
「子供の嫌がらせではないか」
「そうです。嫌がらせをします」
「何?」
「いつ攻めてくるか分からない敵が近くにいれば、兵はゆっくり眠れません。見張りも増やさなければなりません。三千人を一度に倒せないなら、三千人が十分に休めない状態を作ります」
ヴァイス男爵が腕を組んだ。
「食料を減らし、睡眠を奪う。そうして敵を疲れさせるのか」
「すぐに勝てる策ではありません。敵の本隊を倒せるとも思いません。ただ、援軍が来るまでの時間は稼げるかもしれません」
「敵も黙ってはいないぞ」
「はい。一度襲えば、次からは荷車の護衛を増やすでしょう。こちらが同じことを続ければ、待ち伏せされる可能性もあります」
「そこまで分かっているなら悪くない」
ヴァイス男爵は地図の西側へ目を向けた。
「採用できる部分はある」
「ありがとうございます」
「礼を言う必要はない。使える考えを使うだけだ」
ゲオルクが隣でわずかに笑った。
「何ですか?」
「前の戦いと同じだと思ってな」
「何がです?」
「敵をどう殺すかではなく、どうすれば正面から戦わずに済むかを考えている」
自分では意識していなかった。
しかし、言われてみればそのとおりだった。
「できるなら、殺したくありませんから」
「その考えが、いつまで続くかだな」
ヴァイス男爵の言葉に、アレクは答えられなかった。
◇ ◇ ◇
アレクは軍議の邪魔になれば退室させられると思っていたが、ヴァイス男爵は何も言わなかった。そのままゲオルクの隣に立ち、偵察から届いた報告を聞くことになった。
「敵本隊は、早ければ明日の夕刻までにヴァイスブルクへ到達すると考えられます」
「三千人すべてか?」
「先陣がおよそ六百。本隊は二千前後。残りは荷駄と後続部隊と思われます」
「騎兵は?」
「およそ二百」
「火槍は?」
「確認できた範囲で百前後です」
「小型砲が四門あるとの報告も届いております」
ベルン伯軍は人数が多いだけではなく、火槍と大砲まで持っている。
アレクが前世で想像していた中世ヨーロッパとは、少し時代がずれているように感じられた。剣や槍、弓が主力でありながら、すでに火薬を使う武器が戦場へ入り始めている。
「こちらの火槍は?」
「四十三です」
「弓兵は約百二十、槍兵がおよそ五百、騎兵は八十。残りは武器を扱える徴集兵と、荷運びや補修に回す者です」
九百人といっても、全員が同じように戦えるわけではない。
装備も違えば、受けた訓練も異なる。馬に乗る者、弓を引く者、槍を持つ者、火槍を扱う者、荷を運ぶ者がいる。
歴史上の戦で語られる兵数も同じだったはずだ。
何千、何万という数字だけを比べても、その軍勢がどれほど戦えるかまでは分からない。人数が多くても食料がなければ動けず、命令が届かなければ一つの軍として戦えない。
「援軍について、大公殿下より返答が届いております」
文官の一人が羊皮紙を開いた。
「『ヴァイスブルクを捨てるな。三日守れ。三日後、我が軍が到着する』とのことです」
室内がざわめいた。
アルヴェイン大公アルベルト・ヴァレンシュタインは、現在、ヴァイスブルクから東へ通常なら四、五日を要する場所にいるという。
三日で到着するには、相当な速さで軍を動かさなければならない。
「間に合うのでしょうか」
アレクは小声でゲオルクへ尋ねた。
「普通なら難しい」
「では、なぜ皆さんは三日守る前提で話しているのです?」
「アルベルト様は、できないことを命じて安心させるような方ではない。三日で来ると言ったのなら、来るための手段を考えている」
「そこまで信用しているのですね」
「少なくとも、戦に関してはな」
「どのような方なのですか?」
ゲオルクは少し考えてから答えた。
「怖い方だ」
「そんなにですか?」
「話していると、頭の中を覗かれているような気分になる。それでいて、突然笑う」
「余計に怖くなりました」
「だが、自分の兵を意味もなく死なせる方ではない」
合理的で、必要と判断すれば常識に縛られず軍を動かす。
その話を聞いて、アレクの頭に織田信長の名が浮かんだ。
しかし、すぐに考え直した。
前世の歴史に登場する信長も、後世の小説や映像作品で単純化された人物ではない。常識外れの速さで軍を動かしたこともあれば、慎重に準備を重ねたこともある。
一つ二つの共通点を見つけただけで、似ていると決めつけることはできない。
「何を考えている?」
ゲオルクに聞かれ、アレクは小さく首を振った。
「まだ、よく分からないということです」
「それなら、会ってから考えろ」
「会うことになりますか?」
「大公殿下が本当に三日で来ればな」
その言葉どおりなら、アレクは戦が終わる前にアルベルトと顔を合わせることになる。
◇ ◇ ◇
軍議が終わると、アレクはようやく兵舎へ向かうことを許された。
「疲れました……」
「何もしていないだろう」
「ヴァイス男爵の前に立っているだけで疲れました」
「慣れろ」
「慣れる予定はありません」
「どうかな」
含みのある言い方をされ、アレクはゲオルクを見上げた。
「どういう意味です?」
「男爵に顔を覚えられた」
「嫌なのですが」
「普通は喜ぶところだ」
「顔を覚えられれば、仕事と責任が増えます」
「本当に十五歳か?」
「何度目ですか、それ」
「数えていない」
兵舎へ入ると、待っていたトーマスがすぐに駆け寄ってきた。
「どうだった?」
「怖かった」
「男爵様が?」
「そうだ」
「何を話した?」
「前の戦いのことと、この城をどう守るか」
「城をどう守るか?」
「軍議に置いていかれた」
「お前、男爵様と作戦を考えたのか?」
トーマスの大声に反応し、周りの男たちまで集まってくる。
「俺が決めたわけではない。聞かれたことへ答えただけだ」
「褒められたか?」
「一応は」
「騎士になれるかもしれないぞ」
「ならない」
「どうしてだよ」
「お前がなればいいだろ」
「俺もなる」
トーマスは何の疑いもなく言い切った。
その前向きさを、アレクは少しだけ羨ましく思った。
「それより、敵の先陣は早ければ明日来る」
周囲の空気が変わった。
「明日?」
「ああ。本隊も、その後に続く」
「大公軍は?」
「三日後に到着すると書状が来た」
トーマスの顔が引きつった。
「それまで、俺たちだけで三千人と戦うのか?」
「三千人を倒す必要はない」
「同じだろ」
「違う。俺たちの目的は、三日間、この城を落とされないことだ」
言葉にしたことで、アレク自身も違いに気づいた。
ベルン伯軍を全滅させなくてもいい。ヴァイスブルクを守り、アルベルトの援軍が到着するまで負けなければいい。
「そう考えると、少しだけ楽になるな」
「少しだけだぞ」
「三日後に大公様が来なかったら?」
「それは言わないでくれ」
「お前も怖いのか」
「当たり前だ」
アレクが答えると、張り詰めていた兵たちの何人かが小さく笑った。
◇ ◇ ◇
その日の午後、徴集兵たちは城の防衛準備へ回された。
アレクとトーマスに与えられた最初の仕事は、土と石を運ぶことだった。
「騎士になるために来たのに、土を運んでいる」
泥の付いた服を見下ろし、トーマスが不満そうに言う。
「防衛の準備も戦だろ」
「槍の訓練をすると思っていた」
「今日初めて槍を持たせても、明日までに強くはなれない。それなら土を運んだ方が役に立つ」
「夢がないな」
「死ぬよりいい」
城壁の内側には、土嚢や木材、水樽、矢束、石、消火用の砂が次々と積み上げられていった。
門や城壁の上では兵士が配置を確認し、鍛冶場では武器を直す音が響いている。女性や老人の中にも、食事を作ったり布を裂いて包帯を用意したりする者がいた。
戦うのは武器を持った兵士だけではない。
城にいる全員が、それぞれの仕事をしなければ籠城は続かない。
アレクは荷を運びながら、城壁、門、櫓の位置を確かめた。
日本の城とは構造が違うため、前世で得た知識をそのまま当てはめることはできない。それでも、高さを利用し、敵の進路を狭め、数の優位を使わせないという基本は変わらない。
三千人の敵がいても、狭い城門を同時に攻められる人数には限界がある。城壁へ梯子を掛ける場合も、攻撃できる場所を限定できれば、守る側は兵を集中させられる。
ただし、敵には火槍と小型砲がある。石壁があるから安全だと考えることもできない。
「アレク」
ゲオルクに呼ばれ、アレクは持っていた石を置いた。
「またですか?」
「嫌そうな顔をするな。仕事だ」
「俺は徴集兵ですよね?」
「そうだ」
「土運びに戻りたいのですが」
「男爵がお呼びだ」
「それを最初に言ってください」
連れていかれたのは、西門の上だった。
数人の騎士とヴァイス男爵が、城外の街道や左右に広がる林を見ている。
「来たか、アレク」
「お呼びと聞きました」
「前の戦いで使ったような策を、ここでも使えるか?」
「兵を多く見せるのですか?」
「逆だ。我が軍を少なく見せたい」
アレクは西門の外を見渡した。
「敵に攻めさせるのですか?」
周囲の騎士がアレクを見た。
ヴァイス男爵だけが、わずかに笑った。
「理解が早い」
「ですが、籠城して三日待つのでは?」
「待つだけなら、城壁へ全軍を並べればいい。だが、ベルン伯軍にも後続の兵が加わる可能性がある」
こちらの援軍だけが増えるとは限らない。
時間を与えれば、敵の数も増える。包囲を固められ、周囲の村から食料を奪われれば、守る側が不利になる。
「敵の兵が少ないうちに、先陣へ被害を与えたいのですね」
「可能なら五百ほど減らしたい」
「かなり難しいと思います」
騎士たちの顔が強張ったが、ヴァイス男爵は気にした様子もない。
「できないか?」
「敵の指揮官がどのような人か分かりません。慎重な人なら、守りが薄く見えても近づかないと思います」
「先陣を率いるのは、コンラート・ヘルマン騎士団長。三十四歳。自ら先頭へ立つことで知られた男です」
騎士の一人が答えた。
「以前、負けたことはありますか?」
「二年前、北方の戦で退く敵を追いすぎ、伏兵を受けている」
「同じ方法なら警戒しませんか?」
「やはり使えないか」
「反対かもしれません」
アレクは少し考えた。
「一度失敗したからこそ、今度は自分が同じ罠にかかるはずがないと思う人もいます。武勇で知られているなら、弱い敵を見て、自分の手で倒したくなるかもしれません」
「その可能性に賭けるのか?」
「分かりません。コンラートという人を見たことがありませんから。ただ、攻めさせたいなら、相手が何を望んでいるかを考える必要があります」
ヴァイス男爵は、城壁の外を見ながら腕を組んだ。
「西門の兵を半数隠せ。火槍兵も城壁から下げろ」
「閣下、よろしいのですか?」
「敵の偵察には、百五十ほどしかいないように見せる」
命令を受けた騎士たちが動き始める。
話を聞いて、使えると判断した直後には兵を動かす。その決断の速さに、アレクは驚いた。
「アレク」
「はい」
「敵が来た後はどうする?」
「今から考えるのですか?」
「お前が言い始めたことだ」
「俺は指揮官のことを聞いただけです」
「夕刻までに考えろ。ゲオルクと相談して構わん」
ヴァイス男爵はそう言い残し、騎士たちを連れて城壁を下りていった。
アレクは、隣に残ったゲオルクを見上げた。
「助けてください」
「私と相談していいと言われただろう」
「それなら、なぜ笑っているのですか?」
「男爵に気に入られたな」
「全く嬉しくありません」
「経験は大事だぞ」
「こういう時だけ、俺の言葉を使わないでください」
ゲオルクは答えず、城外へ顔を向けた。
◇ ◇ ◇
夕刻、アレクは西側の城壁から街道を眺めていた。
兵を隠す場所や伏兵を置けそうな林を確かめ、ゲオルクと何度も意見を交わした。敵を西門まで誘う方法は考えられる。しかし、罠を見抜かれた場合や、予想以上の人数が押し寄せた場合まで考えると、簡単には決められなかった。
「考えついたか?」
土運びを終えたトーマスが、隣へ腰を下ろした。
「半分くらいだ」
「半分って何だよ」
「敵を城門へ近づけるところまでは考えられる。その後、どれほど敵が来たら戦い、どれほど多ければ逃げるかを決めなければならない」
「敵が来たら、全部倒せばいいだろ」
「簡単に言うな。こちらが殺しすぎれば、残った敵は警戒して近づかなくなる。反対に、欲を出して戦い続ければ、退路を塞がれるかもしれない」
「難しいな」
「ああ」
トーマスも城外へ目を向けた。
「怖いか?」
「何が?」
「明日の戦いだ」
「怖いに決まっている」
「俺もだ」
少し間を置いてから、トーマスが笑った。
「でも、前の戦いよりは怖くない」
「なぜだ?」
「アレクがいるからな」
「それはやめてくれ」
「何がだよ」
「俺を簡単に信用するな。責任が重くなる」
「俺は頭がよくない。ゲオルク様は強い。アレクは考える。皆、自分にできることをすればいいだろ」
軽い口調だったが、アレクには重く感じられた。
アレクの考えた策で、誰かが動く。その結果、人が死ぬかもしれない。
前日の戦いでは、まだ自分も一人の兵士として槍を持っていた。しかし、考えを伝えることで何十人、何百人もの動きへ影響を与えるなら、恐ろしさの意味が変わってくる。
「何か起きたら、また考えてくれ」
「無茶を言うな」
「頼りにしている」
人を動かすことを怖いと思わなくなった時、人の上に立つべきではない。
ゲオルクに言われた言葉を思い出し、アレクはゆっくりと息を吐いた。
「できるだけ考える」
「それでいい」
その時、遠くで鐘が鳴った。
一度、二度、三度。
城壁にいた兵士たちが一斉に立ち上がる。
「敵か?」
トーマスが慌てて周囲を見回した。
「違う、東門だ!」
見張りの兵が叫んだ。
「援軍が来たぞ!」
「援軍?」
「三日後ではなかったのか?」
アレクとトーマスは顔を見合わせた。
「道を開けろ! 大公軍だ!」
「アルヴェイン大公が到着された!」
城内の兵士や避難民が東門へ集まり始める。
アレクも城壁を下り、トーマスと共に東門へ走った。
◇ ◇ ◇
東門が開くと、最初に泥だらけの騎兵が入ってきた。
馬は全身に汗をかき、騎手の外套も土で汚れている。行軍の速さを優先し、十分な休息を取らずに進んできたことが分かった。
その後ろには、数百人の兵が続いている。
「これだけなのか?」
トーマスが声を潜めた。
「先に動ける兵だけを連れてきたのだと思う。本隊は後ろから来るはずだ」
全軍の到着を待たず、指揮官と先行部隊だけがヴァイスブルクへ駆けつけたのだろう。
やがて、一人の男が馬に乗って城門をくぐった。
年齢は二十代後半。黒髪で細身の身体を黒い外套に包み、派手な飾りのない実用的な鎧を身につけている。
しかし、アレクの目を引いたのは服装ではなかった。
男は馬上から、城壁、兵士、荷車、倉庫、集まった避難民へ次々と目を向けている。ただ周囲を眺めているのではない。城の状態を、短い時間で一つでも多く把握しようとしているように見えた。
「あの方が?」
いつの間にか隣へ来ていたゲオルクが頷いた。
「アルベルト・ヴァレンシュタイン。アルヴェイン大公だ」
ヴァイス男爵が人垣の前へ進み、片膝をついた。
「大公殿下。よくぞお越しくださいました」
アルベルトはすぐに馬から下りた。
「立て、ヴァイス男爵。挨拶をしている時間はない」
「はっ」
「ベルン軍の位置は?」
「先陣六百が西から接近中です。早ければ明日、本隊も続きます」
「城内の兵糧は?」
「避難民を含めても二十日ほど持ちます」
「水は?」
「井戸と貯水槽、どちらも問題ありません」
「火槍は?」
「四十三です」
「少ないな」
「申し訳ありません」
「謝る必要はない。増やす方法を考えればいい。鍛冶場はどこだ?」
「城の南側です」
「城内に商人はいるか?」
「避難してきた者を含め、十数名おります」
「全員を集めろ。火薬、鉛、硫黄、硝石を持つ者がいないか確かめる」
「商人から買い上げるのですか?」
「ほかに、今すぐ数を増やす方法があるのか?」
「ございません。ただちに手配します」
城へ到着したばかりにもかかわらず、アルベルトは休むこともなく必要な情報を求め、足りないものをどう補うかまで考えている。
兵だけではなく、城へ避難してきた商人の荷に目をつける。火槍が足りないなら、作れる材料を集めようとする。
アレクの背筋を、冷たいものが走った。
商人を使い、火器を重視し、到着と同時に兵站を確かめる。
ゲオルクから聞いた話だけではなかった。アルベルトは、アレクが前世で知る人物と似た考え方をしているように見えた。
アルベルトが歩き始め、不意に足を止めた。
その視線が、人垣の中にいるアレクへ向けられる。
目が合った。
見つめられただけで、自分が何を考えているのか探られているような気がした。
「ゲオルク」
「はっ」
「その少年は?」
「ラーデン村から徴集された兵です」
「兵にしては若いな。十五歳ほどか?」
「十五歳です」
「名は?」
ゲオルクは答えず、アレクを見た。
自分で名乗れということだと察し、アレクは慌てて頭を下げた。
「アレク・ハルトマンです」
「アレク」
「はい」
「お前か。十四人で、三十人余りの略奪隊を追い返したという少年は」
ヴァイスブルクへ到着したばかりなのに、すでにグリュン村で起きたことを知っている。
「俺一人で追い返したわけではありません。ゲオルク様と、共に戦った皆がいたからです」
「そうか」
アルベルトは少しだけ目を細めた。
「そう答えるか」
「何かおかしかったでしょうか?」
「いや。面白いと思っただけだ」
その言葉を聞いた瞬間、アレクの胸に嫌な予感が生まれた。
「ヴァイス男爵、すぐに軍議を始める」
「ただちに準備します」
「ゲオルクも来い」
「はっ」
アルベルトは三歩ほど進んだところで、再び足を止めた。
「アレク」
「はい?」
「お前も来い」
自分を呼ばれると思っていなかったアレクは、周囲を見回した。
「俺も、でしょうか?」
「ほかにアレクがいるのか?」
「いませんが、俺はただの徴集兵です」
周囲が静まり返った。
ゲオルクが片手で額を押さえている。
「来たくないのか?」
アルベルトから尋ねられ、アレクは答えに迷った。
ここで望んでいないことを隠しても、この男には見抜かれるような気がした。
「……少しだけ」
短い沈黙の後、アルベルトが声を上げて笑った。
「ますます面白い」
アレクには、何が面白いのか分からなかった。
怖い。
できることなら、ヴァイス男爵との対面だけで今日は終わりにしたかった。
それでも、アルベルトから目を離すことができない。
常識外れの速さで軍を動かし、火槍と商人へ目を向け、身分の低い十五歳の徴集兵を軍議へ呼ぶ。
アルベルト・ヴァレンシュタインは、アレクが前世で知っている織田信長ではない。
名前も、顔も、生きている世界も違う。
いくつかの共通点があるだけで、同じ未来を進むと決めつけることはできない。そう考えるアレク自身が、似ている部分ばかりを拾っている可能性もある。
それでも、アルベルトの背中を追って歩き始めた時、アレクの胸に生まれた違和感は、これまでよりも確かな形を持ち始めていた。
第六話を読んでいただき、ありがとうございました。
ヴァイスブルクへ集まった避難民や防衛準備を通して、戦が始まる前から人々の暮らしが揺らいでいる様子を描きました。
そして、アレクはアルヴェイン大公アルベルトと出会います。似ているようで同じではない若き大公が、十五歳の徴集兵に何を求めるのか。
次回は、三千人の敵を迎え撃つための軍議が本格的に動き始めます。
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