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『知らない世界で、前世の知識が武器になる』 ~剣と銃で乱世を生き抜く転生領主の成り上がり~  作者: 相田 ソウ
第三篇 乱世の潮目

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【第三篇の主要な登場人物】

第三篇「乱世の潮目」の終了時点における、主要な登場人物を紹介します。第三篇までの内容を含みますので、物語を読み終えてからご覧ください。

◆ 主人公

◆ アレク・ハルトマン

本作の主人公。第三篇の途中で十六歳になった。前世は三十歳の会社員・佐藤恒一で、日本の戦国時代を好んでいた。

市場を行き交う荷車や麦の値上がりから、西方で大量の物資が動き始めていることに気づく。アルベルトや財務官のヨハンとともに、食料だけでなく、飼料、鉄、革、粗布、縄、荷車などの流れを追い、兵が集まる前から戦の準備は始まっていることを学んだ。

西方の交易都市ベルグハーフェンでは、倉庫、河川輸送、荷札、信用状、仲買人の働きを調べる。その過程で、マティアスが自分一人ですべての仕事を行うのではなく、商人、職人、船頭、御者など、それぞれ異なる力を持つ者を結びつけていることを知る。

アルベルトの小姓として働き続けるか、マティアスのもとで新しいことを学ぶか悩んだ末、自分の意思でマティアスを新たな主君として選んだ。アルベルトとは決裂しておらず、その選択を理解したうえで送り出されている。

クレーマー商会での最初の仕事として、エルツェンへ向かう大規模な輸送隊に加わった。輸送中に起きる荷車の故障、馬の疲労、雨、橋の損傷などへ対応し、物資を届けるだけでなく、輸送路そのものを守る必要性を学ぶ。

シュヴァルツ伯軍によるエルツェン攻撃では、城兵や民兵とともに城壁へ立った。砲撃によって崩れた城壁を土や瓦礫の袋で補強し、カールから任された区画で兵を指揮する。レオンハルト軍が到着するまで城を守り切ったが、勝利の裏で多くの死傷者が出た現実も目にした。

戦の最中に十六歳の誕生日を迎えていたが、本人は完全に忘れていた。アルベルトから届いた手紙で誕生日を過ぎていたことを知り、もうすぐ誕生日を迎えるエリーゼへ、自分の無事と再会の約束を記した手紙を送った。

● アルヴェイン大公国

● アルベルト・ヴァレンシュタイン

アルヴェイン大公。アレクの恩人であり、第三篇前半までの主君。答えをすぐに与えるのではなく、問いかけと実地経験を通してアレク自身に考えさせる。

西方へ食料、飼料、鉄、革、荷車などが集まり始めたことを受け、アレク、ゲオルクらとともにグランヴァルトへ向かった。商人や倉庫だけでなく、レオンハルト、マティアスが何を考えて動いているのかを自分の目で確かめようとする。

アレクから、マティアスに仕えたいという意思を伝えられた際には、すぐに答えを与えなかった。今の立場を捨てる意味、自分で選んだ主君へ仕える責任、途中で逃げ出さない覚悟を問い、その決意が一時の憧れではないことを確かめたうえで認めた。

アレクを手元に置くことより、本人が進みたい道を選ぶことを優先した。主従関係が終わった後もアレクを気に掛け、エルツェンの戦後には木材の融通と、十六歳の誕生日を祝う手紙を送っている。

レオンハルトとは旧知の間柄で、互いの能力や性格をよく知っている。協力できる場面では力を貸すが、アルヴェイン大公として自国の利益と安全を譲る人物ではない。

● ゲオルク

アルベルト配下の騎士。戦場での経験が豊富で、アレクの護衛や教育役に近い立場も担ってきた。

第三篇ではアルベルトの西方調査へ同行し、街道や町での護衛を担当した。アレクが不審な倉や荷車を見つけても一人で追わせず、自分の部下を付けるなど、危険を現実的に判断する。

アレクがアルベルトのもとを離れることになっても、その選択を責めることはなかった。新しい主君のもとでも、自分で選んだ道に責任を持つよう伝えて送り出している。

● ヨハン・ケストナー

アルヴェイン大公家の財務官。金、帳簿、税、期限、人員配置などを扱う実務家。

ヴァイスブルク市場へ入った麦の量と、町で売られた量が一致しないことを帳簿から見つける。アレクが市場で数えた荷車や商品の値動きと、役人が残した記録を組み合わせ、西へ大量の軍需物資が流れている可能性を調べた。

アレクが自分一人で商人や職人を回ろうとした際には、部下と市場役人を使って仕事を分担させた。自分で考えるだけでなく、適切な相手へ仕事を任せる必要性をアレクへ教えている。

● トーマス

アレクと年齢の近い友人。身分の高い者や経験豊富な大人に囲まれるアレクが、気兼ねなく言葉を交わせる存在。

第三篇前半では、ヴァイスブルクの市場で荷車を数えるアレクに付き合う。最初は呆れていたが、粗布や縄の取引を調べ、異なる名義の商人が似た品物を同じ方角へ運んでいることを報告した。

アレクの仕事へ巻き込まれるたびに不満を口にするが、任された仕事を途中で投げ出すことはない。

● エリーゼ・フォン・ヴァレンシュタイン

アルベルトの姪で、亡き先代大公世子の娘。淡い金色の髪と青い瞳を持つ。

アレクと離れて暮らすようになった後も、アルベルトを通してアレクの様子を聞いている。アレクがアルベルトにだけ手紙を送り、自分には書かなかったことへ不満と寂しさを抱き、自分にも直接知らせてほしいという手紙を送った。

戦いの結果だけでなく、アレクがどのように暮らし、何を考え、無事に過ごしているのかを知りたがっている。

第三篇終盤では、アルベルトに背中を押されたアレクから誕生日を祝う手紙を受け取ることになる。アレクは、次に会う時までに誕生日の贈り物を考えておくと約束した。

● ヴァイス男爵

ヴァイスブルクを治める領主。アルベルトに従い、国境の町と周辺街道を守っている。

西方で軍需物資が動き始めた際には、町の門、市場、倉庫、街道から集まる情報をアルベルトへ提供した。エルツェンへ物資を送る準備では、砲撃によって城壁や門が損傷する可能性を考え、木材や工具も必要になることを伝えている。

■ クレーマー商会・レオンハルト陣営

■ マティアス・クレーマー

西方で大きな影響力を持つクレーマー商会の長。第三篇終了時点ではレオンハルトの正式な臣下ではなく、商会の立場から兵站、交易、資金、人材の手配を支えている。

食料や武器を自分ですべて買い占めるのではなく、複数の商人、倉庫、船、荷車、街道を契約によって結びつける。働く者にも利益を与え、自ら協力する理由を作ることで、大勢の人間と大量の物資を動かす。

西方で食料や飼料が集まり始めた際には、レオンハルト軍だけでなく周辺の町や村にも物資が行き渡るよう取引を組み替えていた。軍が必要な物を奪えば、商人も領民も離れると理解しており、戦が終わった後も取引を続けられる形を重視する。

自分とは異なる方法で物事を見るアレクを以前から評価し、クレーマー商会へ誘っていた。アレクが自分の意思で仕えたいと申し出ると、その覚悟を確認したうえで配下に加える。

アレクへ与えた最初の仕事は、八十台の荷車を含む輸送隊へ加わり、物資をエルツェンまで届けることだった。答えを細かく教えるのではなく、フェリクスや輸送隊長と協力させ、起きる問題とその兆しを自分で見つけさせる。

エルツェンの戦後も、勝利だけを喜ばず、負傷者、住民への食料配分、城壁の修復、商人への支払い、失われた物資の記録を進める。戦場で勝つだけでなく、勝利した場所へ暮らしと信用を残そうとする人物である。

■ フェリクス・ローナー

マティアスの側近。使者、交渉相手の案内、輸送隊の管理、情報の受け渡しなど、クレーマー商会の実務を幅広く担う。

初めてアレクたちの前へ現れた時には、マティアスからの使者として秘密裏に会談場所を伝えた。アレクが正式にマティアスの配下となってからは、仕事の進め方や商会内の決まりを教える立場になる。

エルツェンへの輸送では、アレクや輸送隊長とともに八十台の荷車を管理した。戦いが始まるとアレクと城壁へ立ち、負傷したアレクの応急手当も行っている。

戦後は、城内の被害、必要物資、住民への配分を記録し、アレクが出した案を実際の仕事へ落とし込む。冷静で実務的だが、マティアスに似た厳しさや冗談を見せることもある。

■ レオンハルト・フォン・グランヴァルト

グランヴァルト第一王弟。黒地に金の獅子を掲げる軍を率いる。

王兄が進める急速な中央集権にも、地方諸侯の権利を掲げながら自分の勢力を広げようとするシュヴァルツ伯にも従わない。身分や家柄だけでなく、相手が何を考え、何ができるかを見て判断する。

ベルグハーフェンでアルベルトと会談し、西方で起きている兵と物資の動きについて話し合った。アレクとは以前から面識があり、成長した様子を面白がりながら、その考えを聞こうとする。

シュヴァルツ伯軍がエルツェンへ向かうと、約三千の軍を率いて救援へ進んだ。無理に城内へ入ろうとせず、城壁を攻める敵軍の側面を突くことで包囲を崩し、撤退へ追い込んだ。

戦後、王都軍のライゼン将軍から申し入れられた会談に応じる。王兄へ臣従することも、王都軍と自軍を一つにすることも認めず、指揮系統を分けたままシュヴァルツ伯と戦うための限定的な協力を受け入れた。

■ ユリウス・フォン・カレンベルク

レオンハルト直属の家臣。真面目で冷静な性格で、命令、伝令、書状、兵の配置を堅実に処理する。

レオンハルトの側近として会談へ同席し、主君の言葉を正確に書面へ残す。エルツェン救援では弓兵や槍兵へ命令を出し、城壁を攻めるシュヴァルツ伯軍の側面へ圧力を掛けた。

王都軍との会談でもレオンハルトに付き従い、レーゲンとともに取り決めの立会人となる。

■ エルツェンの人々

■ カール・フォン・ヴェーデル

エルツェン守備副将。シュヴァルツ伯軍の攻撃に備え、城壁、城門、工兵、物資の配置を取り仕切る。

先発輸送隊を率いてきたアレクから、補修用の木材、工具、包帯、薬草、医療用の酒などを受け取る。戦いが始まるとアレクの周囲を見る力を認め、城壁の一部区画を任せた。

南西の角塔と城壁が砲撃で崩れた後も、工兵や城兵をまとめて防衛を続ける。戦後は人的被害、物資の残量、修復が必要な場所を確認し、町を守り続けるための仕事へ移った。

■ フーゴ

エルツェンに暮らす年配の住民。城が攻撃された際には民兵の一人として西壁へ立った。

正規兵ではない住民たちが恐怖と混乱で動けなくなる中、アレクの指示を受けて周囲をまとめる。敵が退いた後も勝手に追撃せず、城壁を守る役目を引き受けた。

戦後は、食料や生活物資を住民へ配る際の協力者となる。戦う者だけでなく、町で暮らす者の事情をアレクへ伝える存在でもある。

■ 交易と街道に関わる人物

■ ヴェラー

グランヴァルト西方で活動する有力商人。ヴェラー商会を率い、クレーマー商会とも長く取引している。

自分の利益だけでなく、顧客との信用を重視する。アルベルトを前にしても、取引相手の名や契約内容を簡単には明かさなかった。

アレクが質問の向きを変えたことで、個別の顧客情報を守りながら、マティアスがどのように商人と物資を動かしているかを説明した。商人が長く取引を続けるには、金額だけでなく信用が必要であることを示した人物である。

■ ナーゲル隊長

グランヴァルト王家西部街道監察隊の隊長。

西方情勢が緊迫する中、王家の旗を掲げた関所で通行人と荷物を検査していた。相手がアルヴェイン大公であると分かっても職務を曲げず、王都から許可が届くまで一行の通行を認めなかった。

アルベルトから融通が利かないと言われても動じず、与えられた任務を忠実に果たす。

■ ベルント・クラウス

ベルグハーフェンで働く仲買人。

船を探す商人へ船頭を紹介し、空いている倉庫や荷車、荷物の買い手を手配する。自分ですべての船や倉庫を所有せず、それらを必要とする者同士を結びつけることで利益を得ている。

アレクへ、川を行き交う船や荷物が、一人の商人だけで動いているわけではないことを教えた。

■ モーザー

ベルグハーフェンで店を構える両替商。

各地の貨幣を交換するだけでなく、クレーマー商会が発行する信用状も扱っている。信用状がどこで使われ、誰によって換金されているかを調べることで、荷物だけを追っても見えない金と契約の流れをアレクへ示した。

▲ 王都軍・対立勢力

▲ オットー・フォン・ライゼン

王都軍を率いる将軍。作中では主に「ライゼン将軍」と呼ばれる。

王家への忠誠は厚いが、王兄のすべての判断へ無条件に従う人物ではない。王都軍とレオンハルト軍が争えば、シュヴァルツ伯を利するだけでなく、王国そのものが割れると危惧している。

王兄と国王の許可を得ないまま、レオンハルトへ会談を申し入れた。自分が王都軍の指揮から外されれば約束を守れなくなる可能性まで率直に明かし、互いの軍を一つにしない限定的な協力を提案する。

王都軍とレオンハルト軍がそれぞれ別の指揮系統を維持すること、進軍の時期や合図だけを合わせること、シュヴァルツ伯との戦いが終わった直後にレオンハルト軍へ武装解除を求めないことなどを取り決めた。

▲ レーゲン

ライゼン将軍の副官。

王都軍からエルツェンへ一人で赴き、レオンハルトへ会談を申し入れる書状を届けた。ライゼン将軍が王兄の命令ではなく、自らの判断で動いていることを直接口にしないまま伝える。

礼拝堂で行われた会談にも同席し、王都軍側の立会人として取り決めへ名を記した。

▲ シュヴァルツ伯

地方諸侯の権利を守ることを掲げ、多くの領主を自分のもとへ集めようとしている有力者。

王兄が税、軍、裁判などの権限を王都へ集めようとする中、その急速な中央集権へ反発する諸侯の支持を得ている。ただし、地方の権利を守ることだけが目的ではなく、自ら王家に匹敵する力を手に入れようとする野心も持つ。

約三千二百人の兵、百二十台を超える荷車、十二門の砲を動員し、城塞都市エルツェンを攻撃した。夜間から砲撃を続けて守備兵を疲弊させ、南西の角塔と城壁を崩した後、複数の方角から攻城を仕掛ける。

レオンハルト軍が到着して側面を脅かしたため、軍を全滅させる前に撤退した。エルツェン攻略には失敗したが、本人が討たれたわけではなく、主力のすべてを失ったわけでもない。

第三篇の登場人物紹介を読んでいただき、ありがとうございました。

アレクはアルベルトの小姓を離れ、自ら選んだ主君であるマティアスのもとで新しい道を歩み始めました。戦場だけでなく、物流、商業、交渉、人と人との関係が戦の行方を左右していきます。それぞれの立場と関係を振り返りながら、第四篇以降もお楽しみいただければ幸いです。


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