第九話 最初の仕事
マティアス・クレーマーに仕えることを自分で選んだアレク。
翌朝から待っていたのは、特別扱いでも華々しい役目でもなく、いきなりの実務でした。
物資の動き、市場の変化、金の流れ、噂。
それらを組み合わせ、まだ姿の見えない敵軍の進路を読む。
そして、その判断の先には本物の戦場があります。
今回は、アレクがマティアスの配下として初めて「剣以外の力」で戦に関わっていく一歩を描きます。
翌朝。
目を覚まして最初に思ったのは、自分の立場が昨日までとは違うということだった。
「……」
天井は同じだ。
泊まっている部屋も同じ。
窓の外から聞こえてくるベルグハーフェンの騒音も変わらない。
それなのに。
「俺、マティアス様の配下なんだよな」
口に出してみる。
変な感じだった。
昨日まで俺の主君はアルベルトだった。
今日からは違う。
アルベルトとの縁が切れたわけじゃない。それでも、仕える相手が変わったという事実は思っていた以上に重かった。
「……様、か」
昨日から自然と付けるようになった。
マティアスさん。
そう呼んでいた相手が、今はマティアス様。
「慣れないな」
そんなことを考えていると、扉が叩かれた。
コンコン。
「アレク・ハルトマン殿」
「はい?」
ゲオルクではない。
扉を開ける。
立っていたのは、昨日も会ったフェリクス・ローナーだった。
「おはようございます」
「おはようございます」
「マティアス様がお呼びです」
「もう?」
「もう、とは?」
「いや……」
窓を見る。
まだ朝食すら食べていない。
「早くないです?」
「商人の朝は早いものです」
「昨日まで大公の小姓だったんですけど」
「今日から違います」
「……そうでした」
いきなり実感させられた。
「朝食は?」
「向こうに用意しております」
「それなら行きます」
「食事が基準ですか」
「大事ですよ」
フェリクスが少し笑った。
「では参りましょう」
「はい」
剣を腰へ下げる。
部屋を出ようとして。
一度振り返った。
昨日までなら、まずアルベルトのところへ行っていた。
今日は違う。
「……本当に変わったんだな」
「何か?」
「何でもありません」
俺は扉を閉めた。
◇ ◇ ◇
向かったのは昨日の旧税関ではなかった。
ベルグハーフェン中央河港の近くにあるクレーマー商会の建物だった。
「ここが支店?」
「ベルグハーフェン商館です」
「大きいですね」
石造りの三階建て。
正面に派手な装飾はないが、隣接する倉庫を含めるとかなり広い。
朝から人が出入りしている。
商人。
荷運び人。
書記。
使者らしい騎馬の男までいる。
中へ入る。
俺が最初に驚いたのは。
「……静か」
外とは全然違った。
人は多い。
なのに、怒鳴り声がほとんどない。
長い机が何列も並び、書記たちが紙へ文字を書いている。
別の机では荷札を整理している。
壁には大きな板が掛けられていた。
そこにいくつもの木札。
「何です、あれ?」
「船の入出港予定です」
「全部?」
「クレーマー商会が関係するものだけです」
「それでも多いな……」
船名。
到着予定。
積荷。
出港予定。
行き先。
簡単な情報が木札に書かれ、場所ごとに並べられている。
「誰が考えたんです?」
「昔から似たものはございます」
「マティアス様じゃない?」
「何でもあの方が発明したと思わない方がよろしいかと」
「昨日も同じこと学びました」
「なら成長しましたね」
「一日で?」
「一日でも成長は成長です」
この人。
思っていたより話しやすい。
「フェリクスさん」
「何でしょう」
「あなた、何の仕事してるんです?」
「今聞きますか?」
「昨日は使いって言ってたから」
「マティアス様の連絡役を務めることが多いですね」
「連絡役」
「使者、情報収集、商館同士の連絡。必要なら交渉も」
「忙しそう」
「あなたも今日から似たようなものでは?」
「俺、仕事決まってないですよ」
「それは幸運ですね」
「何で?」
「決まっていないということは、何でもやらされるということです」
「幸運じゃない!」
フェリクスが笑った。
「こちらです」
二階。
奥の部屋。
扉を開ける。
「遅い」
マティアスがいた。
「まだ約束の時間聞いてないんですけど」
「呼ばれたらすぐ来い」
「横暴だ」
「昨日仕えたばかりでもう文句か」
「仕えたから言えるんです」
「なるほど」
マティアスが笑った。
「座れ」
机の上。
パン。
チーズ。
干し肉。
それから温かいスープ。
「本当に朝食ある」
「疑っていたのか」
「少し」
「食え」
「いただきます」
椅子へ座る。
食べる。
うまい。
マティアスは俺が食べ始めるのを見てから、机の端に積んである書類へ手を伸ばした。
「食いながら聞け」
「はい」
「お前の扱いを決める」
パンが止まる。
「役職?」
「ああ」
「昨日、決めてないって言ってましたよね」
「今も決めていない」
「じゃあ何を決めるんです?」
「役職を決めないことを決めた」
「……」
「何だ、その顔は」
「すごい屁理屈だなと思って」
「必要だからだ」
マティアスが一枚の紙を俺へ渡す。
「お前を軍務だけへ置けば、内政で使えない」
「はい」
「商務へ置けば戦場へ連れて行きにくい」
「はい」
「私の小姓にすれば?」
「嫌です」
「私も嫌だ」
「そこまで言わなくても」
「だから当面、私の直属に置く」
「直属?」
「ああ」
「何するんです?」
「必要なことをする」
「一番怖いやつだ」
フェリクスが横で笑っている。
「笑わないでください」
「私も似た立場ですから」
「仲間?」
「私は逃げられません」
「俺ももう遅い気がする」
「二人とも聞こえているぞ」
「はい」
「はい」
声が重なる。
マティアスが額を押さえた。
「本当に面倒なのを二人抱えたな」
「自分で選んだんでしょう」
「そうだった」
そして。
表情が変わる。
「アレク」
「はい」
「最初の仕事だ」
俺も食べる手を止めた。
「何を?」
マティアスが机の下から地図を出した。
グランヴァルト西部。
ベルグハーフェン。
シュヴァルツ伯軍。
王都軍。
レオンハルト軍。
見覚えのある配置。
だが。
昨日より駒が増えている。
「シュヴァルツ伯?」
「ああ」
「動きました?」
「夜明け前にな」
黒い駒。
昨日まで南東へ進んでいたシュヴァルツ伯軍。
その先には大きな分岐がある。
一方。
王都方面。
もう一方。
レオンハルト勢力圏。
「どっちへ?」
「それを考えろ」
「……」
「答えは知ってるんですか?」
「まだ確定していない」
「じゃあ一緒に考える?」
「違う」
マティアスが三つの紙束を置いた。
ドサッ。
「これを読め」
「全部?」
「全部だ」
「朝から?」
「最初の仕事だ」
嫌な予感。
一つ取る。
商館からの報告。
二つ目。
荷物の移動。
三つ目。
市場価格。
「軍の偵察報告は?」
「ない」
「え?」
「お前には渡さない」
「何で?」
「兵の動きだけ見れば簡単だからだ」
「……」
「私のところへ来たのだろう」
マティアスが笑う。
「なら、私の戦い方を覚えろ」
そういうことか。
「物と金から軍の動きを読む?」
「それだけではない」
「人と情報も?」
「ああ」
「昨日やったばっかりなんですけど」
「復習だ」
「実戦で?」
「一番覚える」
「教育が雑だなぁ」
「昼までに答えを出せ」
「何時間?」
「三時間ほど」
「短い!」
「始めろ」
マティアスはもう別の書類を読み始めた。
「……本当にやるんだ」
俺はスープを一口飲んだ。
そして。
紙束へ手を伸ばした。
◇ ◇ ◇
一時間。
最初は。
本当に分からなかった。
「……麦」
紙へ書く。
ベルグハーフェンから南東へ出た麦。
ここ三日で増えている。
「でも前から多い」
次。
塩。
これも増えた。
「軍?」
違う。
塩は民間需要も大きい。
次。
飼葉。
「これ」
昨日も聞いた。
南東方面で値上がりしている。
馬。
騎兵。
荷車。
軍隊なら大量に必要。
でも。
「決めるな」
自分に言う。
飼葉が高い。
だから軍がいる。
可能性はある。
証拠ではない。
紙を横へ。
次。
鉄。
増えていない。
「武器は持ってる?」
軍が出発した後なら、武器を大量購入する必要はない。
次。
酒。
減っている。
「何で?」
考える。
兵士に酒を出さない?
違う。
民間の交易かもしれない。
次。
革。
増えた。
靴?
馬具?
修理?
「分からん」
頭を掻く。
「何を見ている」
マティアス。
「全部です」
「それが駄目だ」
「え?」
顔を上げる。
「全部同じ重さで見るな」
「どういうことです?」
「麦一袋と針一本を同じように見るのか」
「いや」
「なら情報も同じだ」
「重要度?」
「ああ」
「でも何が重要か分からない」
「だから考えろ」
「教えてくれないんです?」
「最初から答えを教えてどうする」
「アルベルト殿下がもう一人いる……」
「嫌なら戻るか?」
「戻りません」
即答。
マティアスが少し笑った。
「なら続けろ」
「はい」
重要なもの。
軍がなければ大きく動きにくいもの。
飼葉。
大量の食糧。
補修材。
医薬品。
矢。
火薬。
「火薬」
報告を探す。
ない。
「……?」
何で?
砲を持っているなら必要。
既に持っている?
別経路?
それとも。
「砲を使う予定がない?」
紙へ書く。
次。
人。
宿屋からの報告。
南東へ向かう傭兵が増えた。
「傭兵」
でも。
誰に雇われた?
不明。
別の紙。
荷馬の価格。
上がっている。
場所。
分岐より。
「東」
俺は地図を見る。
王都へ向かうなら南寄り。
レオンハルト領へ向かうなら東寄り。
東側で馬の需要が増えている。
「……こっち?」
でも。
まだ。
次。
信用状。
昨日聞いた南東への金。
今日の報告。
支払先。
直接の名はない。
ただ。
複数の小商会。
「何これ」
金が分散している。
一つの大商会へではなく、小さな商人へ少しずつ。
誰かが軍用物資を目立たないように買っている?
「……」
そうなら。
誰が?
シュヴァルツ?
王都?
レオンハルト?
マティアス?
目の前の本人を見る。
「何だ」
「いや」
「私を疑ったか?」
「少し」
「悪くない」
「否定しないんです?」
「自分で確かめろ」
「面倒だなぁ」
次。
川船。
上流へ向かう船が増えた。
行き先。
東。
積荷。
麦。
乾燥肉。
飼葉。
塩。
「……」
これは。
「殿下」
マティアスは返事をしない。
「マティアス様」
「何だ」
「質問」
「内容による」
「シュヴァルツ伯軍って、今何人でした?」
「最後の確認で三千二百」
「馬は?」
「騎兵四百ほど。荷駄馬を含めればもっといる」
「一日どれくらい食べる?」
「自分で計算しろ」
「ですよね」
前世の知識。
一人一日一キロ。
単純化しすぎる。
実際はパン。
麦。
肉。
酒。
塩。
量も違う。
でも目安。
三千二百人。
三日。
少なくとも十トン近い。
馬はさらに食う。
「船」
俺は紙を見る。
昨日から上流へ出た船。
積載量。
正確ではない。
でも。
十五艘。
全部軍用なら。
「多い」
軍一つを支えられる。
ただし。
全部シュヴァルツ伯向けなら。
「東」
ほぼ間違いなく。
王都ではない。
「分かった?」
マティアスが聞く。
「まだ」
「そうか」
次を見る。
情報。
酒場の噂。
シュヴァルツ伯は王都へ行く。
東へ行く。
北へ戻る。
数字も行き先もバラバラ。
「役に立たない」
でも。
待て。
噂そのものではない。
「誰が最初に言った?」
記録を見る。
商館の聞き取り。
王都へ向かうという噂。
昨日夕方から急に増えている。
出所。
不明。
東へ向かうという噂は。
船頭。
村人。
街道商人。
複数。
「……」
王都説だけ。
一気に増えた。
「流してる?」
誰かが。
意図的に。
「シュヴァルツ伯本人?」
分からない。
でも。
もし東へ向かうのを隠したいなら。
「王都へ行くって言わせる」
その間に。
物は東へ。
金も東へ。
馬も東で値上がり。
船も東。
「……」
俺は地図を見る。
そして。
一つの黒い駒を。
東へ動かした。
「こっち」
マティアスが顔を上げる。
「理由は?」
「シュヴァルツ伯軍は、王都じゃなくレオンハルト殿下側へ向かうと思います」
「なぜ」
「兵の話じゃありません」
「聞こう」
「物です」
紙を並べる。
「飼葉が東側で上がってる」
「ああ」
「荷馬も」
「ああ」
「上流へ向かう船に麦、塩、乾燥肉、飼葉」
「ああ」
「金も東寄りの小商会に分散してる」
「ああ」
「それから」
噂。
「昨日から急に、シュヴァルツ伯が王都へ向かうって話が増えてる」
「それが?」
「逆に怪しい」
マティアスが少し笑った。
「なぜ」
「本当に王都へ行くなら、わざわざこんなに急に広まる?」
「偶然かもしれん」
「はい」
「なら?」
「これだけなら決めません」
物。
金。
馬。
船。
全部。
「別の情報が、全部東を示してる」
「だから」
「王都説は偽情報の可能性が高い」
「可能性?」
「確定とは言えません」
「なぜ」
「俺が見てない輸送があるかもしれない。報告が間違ってるかもしれない。小商会への支払いも別件かもしれない」
「……」
「だから」
俺は地図を見る。
「七割くらい?」
「何が」
「東へ行くと思います」
「残り三割は」
「間違ってるかもしれない分」
マティアスがしばらく俺を見る。
「悪くない」
「正解?」
「まだ分からん」
「え?」
「言っただろう。確定していない」
「本当に知らないんです?」
「ああ」
「試験じゃなかった?」
「半分は試験だ」
「残り半分は?」
「私も判断材料が欲しかった」
「……俺の?」
「ああ」
「仕えた翌日に?」
「何か問題か」
「責任重くないです?」
「だからお前一人の判断では動かん」
「あ」
そうだ。
俺の意見は。
一つの材料。
「俺が間違えても?」
「他と比べる」
「それで?」
「最後に私が決める」
「……」
アルベルトも。
そうだった。
部下から情報を集める。
意見を聞く。
最後は大将が決める。
「でも」
マティアスが言う。
「一つだけ訂正だ」
「何です?」
「七割という言い方は悪くないが、数字に根拠がない」
「……」
「七割という数字を出せば、聞いた側は本当に七割の精度があると誤解する」
「あ」
「なら」
「『東へ向かう可能性が高い。でも確定できない』」
「それでいい」
「なるほど」
前世なら。
数字で言った方が分かりやすいと思っていた。
でも。
その数字に根拠がなければ。
逆に危ない。
「覚えておきます」
「ああ」
その時。
扉が開いた。
「マティアス様」
フェリクス。
「何だ」
「東方より急使です」
「入れろ」
一人の男が入る。
泥だらけ。
息を切らしている。
「報告!」
「言え」
「シュヴァルツ伯軍、今朝より東進!」
俺の身体が止まった。
「進路は?」
「ローデン峡道方面!」
地図。
東。
俺が動かした駒と。
同じ。
「……当たった」
思わず呟く。
「喜ぶのはまだ早い」
マティアス。
「え?」
「次だ」
「次?」
急使を見る。
「進軍速度は」
「遅いです!」
「理由」
「荷駄隊が多く、さらに民間の荷車が随伴しております!」
「数は」
「確認できただけで百二十以上!」
マティアスの顔が変わる。
「多いな」
俺も分かる。
三千二百。
荷車百二十以上。
単なる数日の移動ではない。
「長期戦?」
俺が言う。
「可能性はある」
「でも」
東。
レオンハルト勢力圏。
「本気で攻める?」
「まだ決めるな」
「はい」
もう一つ。
マティアスが急使へ聞く。
「砲は」
「十二門確認!」
「十二?」
俺が声を上げる。
ヴァイスブルクの時。
四門でも怖かった。
十二。
「攻城?」
「可能性は上がった」
マティアス。
「ローデン峡道の先に何があります?」
「エルツェン」
「何です?」
「城塞都市だ」
「誰の?」
「レオンハルト側の重要拠点」
俺の背筋が冷える。
シュヴァルツ伯。
三千二百。
砲十二門。
大量の荷駄。
東へ。
城塞都市。
「……始まる?」
マティアスが地図を見る。
「もう始まっている」
昨日も。
俺はそう思った。
でも。
今度は違う。
剣が。
本当に抜かれようとしている。
◇ ◇ ◇
「フェリクス」
「はい」
「レオンハルトへ送れ」
「内容は?」
「シュヴァルツ東進確認。砲十二。荷車百二十以上」
「はい」
「エルツェンへ警告」
「既に王弟側が把握している可能性は?」
「それでも送れ」
「承知しました」
「それから」
マティアスが別の紙を取る。
「東へ向かうクレーマー系の荷を止めろ」
「全てですか?」
「軍需に転用できるものだけだ」
「食糧は?」
「止めるな」
俺が見る。
「何で?」
「民も食う」
「でもシュヴァルツ伯軍にも渡る」
「ああ」
「昨日は売って情報を取るって」
「状況が変わった」
「……」
「昨日までは奴の行き先が分からなかった」
「今は分かった」
「ああ」
「レオンハルト殿下を攻める可能性が高い」
「そうだ」
「だから」
「鉄、火薬、矢材、馬具。軍用へ流れやすいものは絞る」
「完全には止めない?」
「止めれば相手も気づく」
「……」
そうか。
急に全部止めれば。
シュヴァルツ側から。
「情報が漏れたと思われる」
「そうだ」
「じゃあ自然に減らす?」
「事故でも起こせ」
「事故?」
「船の遅れ。倉庫の取り違え。荷車不足。理由はいくらでもある」
俺はマティアスを見る。
「汚いですね」
「ああ」
即答。
「否定しないんだ」
「必要ならやる」
昨日。
何でもするわけではないと言った。
線はその時にならなければ分からないとも。
これが。
その一つなのか。
「嫌か?」
マティアスが俺を見る。
「……」
考える。
商人へ損が出る。
契約も遅れる。
でも。
その鉄が武器になり。
その火薬が砲に使われ。
人が死ぬ。
「好きではないです」
「そうか」
「でも」
俺は答える。
「やる理由は分かります」
「それでいい」
「いいんです?」
「何でも喜んで従う奴はいらん」
昨日の言葉。
私が間違えたら止めろ。
「なら」
俺も言う。
「やりすぎたと思ったら言いますよ」
「言え」
「怒りません?」
「内容による」
「そこは怒らないって言ってくださいよ」
「無理だ」
少し笑う。
でも。
笑っている場合ではない。
マティアスが次々と指示を出す。
「南東方面の信用状」
「はい」
「新規発行を一時制限」
「理由は?」
「審査強化」
「承知しました」
「北からの資金は」
「通常通り?」
「いや。一部をエルツェン側へ回す」
「名義は?」
「三商会に分けろ」
「はい」
「輸送船は」
「五艘空いております」
「二艘を東へ」
「積荷」
「麦、塩、包帯、薬草」
「武器は?」
「積むな」
「なぜ?」
俺が聞く。
「レオンハルトは武器を持っている」
「足りないのは?」
「戦が始まった後に減るものだ」
食糧。
医療。
「……先を見る」
「ああ」
「いつまで?」
「最低二週間」
「シュヴァルツ伯がまだ城にも着いてないのに?」
「着いてから送ったら遅い」
「なるほど」
俺は指示を聞く。
前世の知識。
兵站。
知っていた。
でも。
実際には。
今送った船が。
何日後かに。
誰かの命を救う。
「アレク」
「はい」
「ぼうっとするな」
「すみません」
「紙を持て」
「俺?」
「ああ」
「何するんです?」
「記録しろ」
「……最初の仕事、それ?」
「嫌か」
「いや」
俺は紙と筆を取る。
マティアスの指示を書く。
一つ。
二つ。
三つ。
早い。
「待って!」
「何だ」
「書く方が追いつかない!」
「速く書け」
「字が汚くなります!」
「読めればいい」
「後で俺が読めなくなる!」
フェリクスが吹き出した。
「笑ってないで助けてください!」
「あなたの最初の仕事でしょう」
「仲間じゃなかったの!?」
「仕事は別です」
「裏切り者!」
マティアスまで笑った。
「早くしろ」
「はい!」
俺は必死に筆を走らせた。
◇ ◇ ◇
昼を少し過ぎた頃。
ようやく指示が一段落した。
「……手が痛い」
俺は右手を振る。
「剣より楽だろう」
マティアス。
「別の筋肉使うんですよ」
「知らん」
「冷たいなぁ」
机には、俺が書いた紙が五枚。
字は。
後半ほど酷い。
「これ読めるかな……」
「フェリクス」
「はい」
「清書させろ」
「承知しました」
「俺じゃない?」
「お前は次だ」
「まだあるの!?」
「仕官初日だぞ」
「初日だから軽くしてくださいよ」
「初日だから使えるか見る」
「怖い会社だ……」
「会社?」
「商会です」
「変な言い方だな」
「気にしないでください」
マティアスが地図を見る。
「アレク」
「はい」
「今朝の仕事」
「はい」
「なぜお前にやらせたと思う」
「使えるか試した?」
「それもある」
「他には?」
「昨日言っただろう」
私が見ないものを見ろ。
「……」
「私は東進の可能性が高いと思っていた」
「最初から?」
「ああ」
「じゃあ俺いらないじゃないですか」
「違う」
「何が?」
「私がそう思っているからこそ、別の人間にも見せる」
「あ」
「私が東だと思えば、東へ向かう証拠ばかり拾う可能性がある」
確証偏向。
前世で聞いた言葉が浮かぶ。
「自分が間違う前提?」
「ああ」
「そこまで?」
「大きな決断ほどな」
マティアスが俺を見る。
「お前には、私と違う答えを出してほしいこともある」
「今日同じでしたよ」
「今日はな」
「違ったら?」
「理由を聞く」
「それでも殿下……マティアス様が自分の方が正しいと思ったら?」
「私が決める」
「……」
「責任は私が取る」
それが。
主。
なのかもしれない。
「でも」
「何だ」
「俺が間違った意見言って、人が死んだら」
「死ぬかもしれんな」
「……」
「怖いか」
「はい」
即答。
「なら覚えておけ」
マティアスの声が低くなる。
「意見を言わないことにも責任はある」
「……」
「間違うのが怖いから黙った。その結果、もっと多くが死んだ」
「……」
「それなら、お前は無関係か?」
「違うと思います」
「そういうことだ」
重い。
アルベルトからも似たものを教えられた。
判断を遅らせれば。
その間にも人が死ぬ。
「ただし」
マティアス。
「分からないなら分からないと言え」
「はい」
「確信がないならそう言え」
「はい」
「見栄を張るな」
「はい」
「私に合わせるな」
その言葉。
少し。
響いた。
「主君なのに?」
「ああ」
「普通は合わせるんじゃ?」
「そんな奴は他にいくらでもいる」
マティアスが笑う。
「私はお前を、それをさせるために取ったわけではない」
「……」
昨日。
俺が仕えたいと思った理由。
間違っていなかった。
今は。
そう思う。
「分かりました」
「ああ」
「じゃあ」
「何だ」
「一個言っていいです?」
「言え」
「朝食、もっとゆっくり食べたかった」
「帰れ」
「そこまで!?」
◇ ◇ ◇
商館を出たのは午後だった。
階段を降りる。
廊下。
見覚えのある男がいた。
「アレク」
「ゲオルク様?」
思わず立ち止まる。
「何でここに?」
「殿下の使いだ」
「アルベルト殿下?」
「ああ」
ゲオルクが封書を一つ渡す。
「マティアス殿へ」
「俺が渡す?」
「お前がいると聞いたからな」
「何の書状です?」
「読むなよ」
「読みませんよ!」
「お前なら聞くと思って」
「失礼だなぁ」
受け取る。
少し。
妙な感じ。
昨日までは。
俺がアルベルトの使いで書状を運んでいた。
今日は。
アルベルトからマティアスへ届いた書状を。
マティアスの配下として受け取っている。
「変な感じですね」
「そうか?」
「はい」
ゲオルクが俺を見る。
「初日は?」
「もう帰りたいです」
「早いな」
「朝から書類読まされて、軍の進路を考えさせられて、今度は記録係です」
「合っているではないか」
「何が?」
「お前に」
「酷い」
「殿下のところでも似たようなことをしていただろう」
「……」
そう言われると。
そんな気もする。
「アルベルト殿下は?」
「昼からレオンハルト殿下と会っている」
「また?」
「ああ」
「シュヴァルツ伯の東進?」
「おそらく」
ゲオルクが少しだけ周囲を見る。
「本格的に動くぞ」
「……」
「分かっているな」
「はい」
戦。
もう。
近い。
「ゲオルク様」
「何だ」
「俺」
言葉が止まる。
「やっぱり」
「何だ」
「何でもないです」
ゲオルクが眉を寄せる。
「気持ち悪いな」
「酷い!」
「言え」
少し考える。
「昨日までなら」
「うん」
「殿下と一緒に戦う側だったでしょう」
「ああ」
「今度は」
マティアス。
「別のところから戦うのかなって」
「そうだな」
「変ですね」
「慣れろ」
「皆それ言うなぁ」
「ただし」
ゲオルクが俺を見る。
「敵になるとは限らん」
「……」
「殿下もマティアス殿も、今はシュヴァルツ伯を見ている」
「はい」
「なら同じ戦場へ立つこともある」
「そっか」
「むしろ」
ゲオルクが少し笑った。
「また殿下にこき使われるかもしれんぞ」
「それは嫌だ」
「伝えておく」
「やめてください!」
久しぶりでもないのに。
少し。
安心した。
主君が変わっても。
全部が変わるわけではない。
「じゃあ」
ゲオルクが歩き出す。
「またな」
「はい」
俺も自然に答えた。
「また」
その言葉。
少し。
嬉しかった。
◇ ◇ ◇
マティアスの部屋へ戻る。
「アルベルト殿下からです」
「貸せ」
書状を渡す。
封を切る。
読む。
マティアスの顔が僅かに変わった。
「何です?」
「読みたいか」
「聞いていいなら」
「レオンハルトが動く」
「どこへ?」
「エルツェン」
「本人が?」
「ああ」
俺は地図を見る。
レオンハルト軍。
二千四百。
「全軍?」
「千八百」
「残り六百は?」
「後方と王都への警戒だろう」
「王都も信用してない?」
「今は全員を信用するな」
「嫌な時代だなぁ」
「乱世とはそういうものだ」
マティアスが紙を置く。
「アルベルトも動く」
「え?」
「兵を出す」
「アルヴェイン軍?」
「ああ」
「何人?」
「六百」
「少なくない?」
「他国の内乱だ」
「あ」
そうだ。
アルヴェインが大軍を入れれば。
侵略に見える。
「表向きは?」
「レオンハルトからの援軍要請に応じる」
「実際も?」
「半分は」
「残り?」
「グランヴァルトが完全に崩れるとアルヴェインも困る」
「国境」
「ああ」
戦争。
政治。
利害。
単純じゃない。
「それで」
マティアスが俺を見る。
嫌な予感。
「何です?」
「お前も行け」
「……どこへ?」
「エルツェン」
「え?」
「聞こえなかったか?」
「聞こえましたけど」
「なら準備しろ」
「待って!」
「何だ」
「俺、仕えて二日目ですよ!」
「ああ」
「もう戦場!?」
「ああ」
「早くないです?」
「戦に都合を聞け」
「聞けるなら聞きたいですよ!」
マティアスが笑う。
「安心しろ」
「何がです?」
「お前一人ではない」
「マティアス様も?」
「ああ」
「……」
少し。
驚いた。
「行くんですか?」
「当然だ」
「商人なのに?」
「昨日から何を見ていた」
「……そうでした」
この人は。
商人だけじゃない。
乱世を終わらせると言った男。
「何人連れていくんです?」
「兵は三百」
「三百?」
「商人が持つには多いか?」
「かなり」
「全員私兵ではない。護衛、傭兵、レオンハルトから預かった兵もいる」
「なるほど」
「それから荷車八十」
「八十?」
兵三百。
荷車八十。
多すぎる。
「何積むんです?」
「麦、塩、乾燥肉、矢、包帯、薬草、工具、予備の車輪、木材」
「……軍隊?」
「商隊だ」
「絶対違う」
「商人が運ぶのだから商隊だ」
「屁理屈だ!」
「代金も取る」
「本当に商売するんだ……」
「当たり前だ」
でも。
意味は分かる。
レオンハルト軍。
アルヴェイン援軍。
守備兵。
合わせれば数千。
食う。
使う。
壊す。
怪我もする。
「兵站」
「ああ」
「俺の仕事は?」
「まだ決めていない」
「また!?」
「道中で考える」
「お願いだから先に決めてください」
「嫌だ」
「即答!」
でも。
少し。
胸が高鳴っている。
怖い。
戦場だ。
ヴァイスブルクで。
死ぬところだった。
人も殺した。
だから。
怖くないわけがない。
でも。
今回は。
違う位置から見る。
剣を振るだけではない。
物。
金。
人。
情報。
全部を使う戦い。
「出発は?」
「明朝」
「また朝早い」
「今夜のうちでもいいぞ」
「明朝でお願いします」
「なら準備しろ」
「はい」
部屋を出ようとする。
「アレク」
「何です?」
「剣を忘れるな」
「忘れませんよ」
「紙もだ」
「どっちが大事です?」
「両方だ」
「……」
少し。
笑う。
「分かりました」
剣。
紙。
前なら。
戦場へ行くなら剣だった。
今は。
両方。
それが。
マティアスの下で戦うということなのかもしれない。
◇ ◇ ◇
夕方。
宿へ戻った。
荷物をまとめる。
服。
剣。
短剣。
紙。
筆。
地図。
「……多いな」
前は。
もっと少なかった。
俺自身が変わったのか。
仕事が増えただけなのか。
分からない。
その時。
扉が叩かれた。
「アレク」
アルベルト。
「殿下?」
「入るぞ」
「どうぞ」
アルベルトが入ってくる。
「聞いた」
「何を?」
「明日、エルツェンへ行くそうだな」
「早いですね」
「私の兵も行く」
「そうでした」
アルベルトが荷物を見る。
「準備は」
「今してます」
「足りん」
「何が?」
「冬用外套」
「まだ寒くないですよ」
「峡道は冷える」
「あ」
「予備の靴」
「あります」
「手袋」
「ない」
「持て」
「はい」
「薬」
「マティアス様の商隊にあります」
「自分でも持て」
「……はい」
「水袋」
「あります」
「予備」
「ない」
「持て」
「殿下」
「何だ」
「お母さんみたいですよ」
「殺すぞ」
「すみません!」
危なかった。
でも。
アルベルトが俺の荷物を確認する姿。
昨日までと。
何も変わらない。
「殿下も行くんです?」
「私は行かん」
「え?」
「他国の内乱へ大公本人が出れば意味が変わる」
「そっか」
「兵はオットーに任せる」
「オットー男爵?」
「ああ」
「久しぶりだ」
「喜ぶぞ」
「本当?」
「若い奴を鍛えるのが好きだからな」
「嫌な予感しかしない」
アルベルトが少し笑う。
そして。
「アレク」
「はい」
「初日だったな」
「マティアス様の?」
「ああ」
「どうでした?」
「私が聞いている」
「そうでした」
少し考える。
「大変です」
「ああ」
「朝から書類読まされました」
「ああ」
「軍の進路まで考えさせられた」
「ああ」
「意見が間違ったら怖いです」
「ああ」
「でも」
言葉が自然に出る。
「面白いです」
アルベルトは少しだけ黙った。
「そうか」
「はい」
「なら良かった」
それだけ。
でも。
何となく。
嬉しかった。
「殿下」
「何だ」
「俺」
少し迷う。
「行って良かったと思います」
「ああ」
「まだ一日ですけど」
「一日で後悔されたら私も困る」
「何で?」
「送り出した私の見る目がないことになる」
「そこですか」
「そこだ」
「相変わらずだなぁ」
アルベルトが笑う。
「ただ」
「はい」
「忘れるな」
「何を?」
「面白い男と、正しい男は同じではない」
「……」
「マティアスを見続けろ」
「はい」
「疑え」
「はい」
「それでも仕えたいと思えるなら」
少し。
表情が柔らかくなる。
「最後までやれ」
「……はい」
俺は頷いた。
「分かりました」
「ならいい」
アルベルトが扉へ向かう。
「殿下」
「何だ」
「ありがとうございます」
アルベルトが止まる。
「何がだ」
「色々」
「曖昧だな」
「全部言ったら長くなるので」
「ならいらん」
「酷い」
でも。
「帰ってこい」
「はい?」
「エルツェンからだ」
「ああ」
「当然ですよ」
「そうか」
「約束しましたから」
「誰と」
「殿下と。レオンハルト殿下とも」
「なら守れ」
「はい」
アルベルトが出ていく。
扉が閉まる。
俺は少しだけ。
その扉を見ていた。
◇ ◇ ◇
翌朝。
ベルグハーフェン東門。
まだ太陽は低い。
それでも街道には既に長い列ができていた。
兵三百。
荷車八十。
馬。
商人。
書記。
荷運び人。
医師。
鍛冶職人。
大工までいる。
「……本当に商隊?」
俺は呟いた。
「商隊だ」
隣のマティアス。
「大工いるじゃないですか」
「車輪が壊れたら誰が直す」
「鍛冶屋も」
「馬具と鉄具」
「医師」
「怪我人」
「兵三百」
「護衛」
「砲は?」
「ない」
「じゃあ商隊……なのか?」
「そう言っただろう」
納得しそうになる。
でも。
荷車八十。
どう見ても軍の兵站部隊だ。
「アレク!」
声。
振り返る。
「オットー男爵!」
アルヴェイン軍。
六百。
少し離れた場所で隊列を整えている。
「久しいな!」
「お久しぶりです!」
オットーが馬で近づいてくる。
俺を上から下まで見る。
「聞いたぞ」
「何を?」
「主を変えたそうだな」
「はい」
「殿下を捨てたか」
「言い方!」
オットーが豪快に笑う。
「冗談だ」
「心臓に悪いですよ」
「殿下から聞いている」
「何て?」
「鍛えてやれとな」
「絶対言ってない!」
「残念だ」
「何が?」
「本当に鍛えるつもりだった」
「嫌です」
マティアスが横から言った。
「ほどほどにしてくれ」
「マティアス殿」
オットーが頭を下げる。
「アレクを借りた」
「もう私の配下だ」
「なら貸せ」
「本人に聞け」
「何で物みたいな話してるんですか!」
二人が笑う。
「……」
何だろう。
主が変わっても。
周り。
あまり変わらない。
少し。
安心する。
「出るぞ!」
声。
マティアス。
商隊が動き始める。
ギィ……。
ギギギ……。
荷車の車輪。
ドドッ。
馬。
ガチャ。
ガチャガチャ……。
兵士。
東門が開く。
その向こう。
街道。
エルツェン。
そして。
シュヴァルツ伯軍。
俺は腰の剣を確かめる。
次に。
鞄の中の紙と筆。
「剣と紙」
小さく呟く。
「何だ?」
マティアスが聞く。
「いや」
少し笑う。
「両方持ってます」
「ならいい」
「何させるかは?」
「道中で決める」
「まだ決めてない!」
マティアスが笑った。
俺たちは東へ進み始める。
昨日。
俺は自分で主を選んだ。
そして今日。
その主の下で。
初めて戦場へ向かう。
ヴァイスブルクの時とは違う。
剣だけを持って戦うのではない。
物を運び。
人を動かし。
情報を集め。
金を使い。
必要なら剣も抜く。
戦争は。
戦場だけで行われるものではない。
ヴァイスブルクで俺が学んだこと。
市場。
倉庫。
橋。
帳簿。
物流。
あの時は。
人の暮らしを少し良くするために使っていた。
今度は。
同じ知識が。
人の命を左右するかもしれない。
「……怖いな」
「何がだ」
マティアス。
「俺の意見で人が死ぬかもしれないこと」
「そうだな」
「否定してくれないんですね」
「嘘を言ってどうする」
「ですよね」
「だが」
マティアスが前を見る。
「お前の意見で、生きる者もいる」
「……」
「そちらも忘れるな」
俺は少しだけ黙った。
「はい」
そして。
前を見る。
東。
まだ見えない戦場。
そこへ。
俺たちは向かっている。
マティアス・クレーマーの配下。
アレク・ハルトマンとしての。
最初の戦いへ。
第九話をお読みいただき、ありがとうございます。
今回から、アレクは正式にマティアスの配下として動き始めました。
最初に任されたのは、敵軍の動きを剣や偵察報告だけで読むのではなく、麦、飼葉、船、信用状、荷馬、噂といった複数の情報から判断する仕事でした。
ただし、アレクの前世知識だけで全てを見抜けるわけではありません。
分からないことは分からないと言い、確信のない情報を断定しない。
そのうえで、自分なりの理由を持って意見を出す。
マティアスがアレクに求めているのも、ただ命令に従うことではなく、自分とは違う視点を持つことでした。
そしてシュヴァルツ伯軍は、ついに東へ進軍。
レオンハルト側の重要拠点エルツェンへ戦火が近づいています。
マティアス、アルヴェイン援軍、そしてアレクも東へ。
次話から、アレクはマティアスのもとで初めて本格的な戦場へ向かいます。




