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『知らない世界の知っている物語』 ~剣と知識を授かった平凡な会社員は、異世界の乱世を生き抜く~  作者: 相田 ソウ
第三篇 乱世の潮目

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第五話 川を流れるもの

ベルグハーフェンへ向かったアレクたちは、巨大な河港と、そこへ集まる船、荷車、倉庫を目の当たりにする。

軍が動けば、兵糧も動く。

だが、流れている物資のすべてが戦のためとは限らない。

第二篇で学んだ「物を見る」ということを、アレクはさらに大きな規模で知っていく。

 翌朝。

 俺たちは日の出とほぼ同時に町を発った。

 空はまだ薄く白み始めたばかりで、街道の両側に生えた草には朝露が残っている。

 馬が進むたび、パカッ、パカッと規則正しい蹄の音が続いた。

「眠い……」

「昨日は早く寝ろと言っただろう」

 前を進むゲオルクが振り返った。

「寝ましたよ」

「ならなぜ眠い」

「朝が早いからです」

「子供か」

「十五歳です」

「この国ではもう成人だ」

「こういう時だけ成人扱いするのやめてもらえません?」

 ゲオルクが少し笑った。

 そのさらに前を進んでいたアルベルトが振り返る。

「元気そうだな」

「どこがです?」

「喋る余裕がある」

「殿下も人のこと言えませんよ」

「私は大公だからな」

「それ万能じゃないですからね」

「知っている」

 本当に分かっているのだろうか。

 俺は欠伸を噛み殺しながら馬を進めた。

 今日の目的地はベルグハーフェン。

 昨日会ったハンス・ヴェラーの話では、多くの物資がそこへ集められ、倉庫へ一度保管された後、河船や別の荷車へ積み替えられているらしい。

 そして昨日、シュヴァルツ伯本人が率いる約二千五百の軍勢が南東へ動いたという情報も入った。

 アルベルトは予定を変えなかった。

 むしろ、軍が動いたからこそベルグハーフェンを見ると言った。

 理由は単純だ。

 二千五百人が歩けば、二千五百人分の腹も一緒についてくる。

 槍や剣だけでは軍隊は動かない。

 食べる。飲む。馬に餌をやる。怪我をすれば布も薬も要る。矢を使えば補充する。夜になれば薪も必要だ。

 第二篇で市場や倉庫を見るようになってから、俺は兵数だけを見ることが少し減った。

 以前なら二千五百と聞けば、まず敵が多いか少ないかを考えていた。

 今は違う。

「二千五百人って、何日分持ってるんだろう」

 俺が呟くと、アルベルトがこちらを見る。

「シュヴァルツ軍か?」

「はい」

「なぜ気になる」

「昨日、ヴェラーさんと話したからです」

「それで?」

「軍が動いたなら、食糧も動いてるはずでしょう?」

「普通はな」

「でも、どこから持ってくるかで動ける場所も変わる」

 アルベルトが少しだけ口元を上げる。

「続けろ」

「自分たちで全部持っていけば荷車が増える」

「ああ」

「現地で買うなら商人が必要」

「ああ」

「徴発するなら村がある場所を通る必要がある」

「必ずしもそうではないが、大筋ではな」

「川が使えるなら、船で運べる」

「そうだ」

「だからベルグハーフェンを見る?」

「ようやく分かったか」

「最初から言ってくださいよ」

「お前に考えさせる方が面白い」

「教育じゃなくて娯楽になってません?」

「半分は」

「認めないでください」

 ゲオルクが横で笑っている。

 だが俺も、少しだけ笑った。

 第一篇の頃なら、アルベルトに質問されるたびに何を答えればいいのか必死だった。

 今も正解なんて分からない。

 でも最近は、「何が気になるのか」くらいなら言えるようになった。

 分からない。

 でも、ここが気になる。

 それだけでも、以前とは少し違う。


 ◇ ◇ ◇


 昼前。

 街道の先に、長い石壁が見え始めた。

「……でかい」

 思わず声が出る。

「アルヴェインブルクを見た後でも言うか」

 アルベルトが聞いた。

「大公都とは違う大きさです」

 ベルグハーフェン。

 名前だけは何度も聞いていた。

 だが実際に見るのは初めてだった。

 城壁そのものはアルヴェインブルクほど高くない。

 中心に巨大な城郭があるわけでもない。

 その代わり、街が川沿いへ長く伸びている。

 そして何より目についたのが、無数に並ぶ帆柱だった。

「こんなに船があるんですか?」

「河港としてはグランヴァルト西部でも最大級だ」

 ゲオルクが答える。

「海じゃないですよね?」

「川だ」

「川にしては大きすぎません?」

「この辺りは二つの河川が合流する」

 地図で見た場所だ。

 北西から流れてくる川と、南から伸びる大きな本流がベルグハーフェン付近で合流している。

 だから多くの船が集まる。

 街へ近づくにつれて、荷車の数も一気に増えた。

 ガラガラガラ……。

 前にも、後ろにも荷車がいる。

 麦袋を積んだ車。

 樽。

 木材。

 毛皮。

 鉄。

 酒。

 何が入っているのか分からない木箱。

 そして空の荷車までいる。

「詰まってますね」

「ああ」

 城門前には長い列ができていた。

 商人たちが順番を待っている。

「これ、入るだけで時間掛かりません?」

「我々は別だ」

 アルベルトが前へ出る。

 大公家の旗を確認した門兵が慌てて動き出した。

「アルヴェイン大公殿下!」

「通行許可はある」

「確認いたします!」

 王都から発行された書状を兵士が読む。

 別の役人も確認する。

「二十騎!」

「間違いありません!」

「通せ!」

 門脇の別通路が開かれた。

「……便利ですね」

 俺が言う。

「何がだ」

「大公」

「なってみるか?」

「嫌です」

「昨日も聞いたな」

「答えも変わりません」

 門を抜ける。

 そこで俺は、また言葉を失った。

「うわ……」

 町の中まで荷車だらけだった。

 大通りの中央を荷車が進み、その横を荷運び人が歩く。

 商人、船乗り、職人、兵士、旅人が絶え間なく行き交っている。

「臭い」

「何の?」

 ゲオルクが聞く。

「色々混ざってます」

 魚。

 油。

 馬。

 革。

 煙。

 香辛料。

 川の湿った匂い。

 全部が一緒になっていた。

「交易都市らしい匂いだ」

「慣れたくないな」

 アルヴェインブルクは政治の中心だった。

 ベルグハーフェンは違う。

 街そのものが、巨大な市場と倉庫のようだった。

「どこから見ます?」

「まず河港だ」

 アルベルトが即答する。

「倉庫じゃなくて?」

「川を先に見ろ」

「理由は?」

「行けば分かる」

「またそれ」

 でも今度は、本当に行けば分かりそうだった。


 ◇ ◇ ◇


 河港へ近づくにつれて、街の音が変わった。

「引けぇ!」

「縄を持て!」

「三番船、荷下ろし開始!」

「そこに積むな! 第四倉庫だ!」

「樽を転がすな!」

 怒鳴り声があちこちから飛んでいる。

 ドンッ。

 ゴトッ。

 ガラガラガラ……。

 荷物が置かれる音。

 台車が走る音。

 木材が擦れる音。

 そして川面では、船と岸壁を繋ぐ縄がギィ、ギィと軋んでいた。

「……すごい」

 俺たちは馬を降りた。

 目の前には幅の広い川が流れている。

 向こう岸までかなり距離があり、そこへ大小様々な船が浮かんでいた。

 小さな渡し船。

 平底の荷船。

 帆を持つ大きな河船。

 船着き場だけでも十以上ある。

 それぞれで荷物が積み下ろされていた。

「これなら荷車何十台分でも運べる」

「ああ」

 ゲオルクが答える。

「一隻で?」

「船による」

「当たり前ですけど」

 俺は大きな船を見る。

 麦袋が次々と運び込まれていた。

 一袋、二袋と数えるような量ではない。

 何十袋積んでも、まだ作業が続いている。

「何袋積むんだろう」

「聞いてみるか?」

 アルベルトが言った。

「いいんです?」

「そのために来た」

 近くにいた役人へ声を掛ける。

「そこの者」

「はい?」

 四十歳くらいの男が振り返った。

 腕に木札を何枚もぶら下げ、手には板と炭筆を持っている。

 大公家の旗を見ると慌てて姿勢を正した。

「大公殿下!?」

「仕事を止めなくていい」

「は、はい!」

 もう止まっている。

「あの船なんですけど」

 俺が指す。

「麦、どのくらい載せるんです?」

「第五船ですか?」

「たぶん」

「最大で二百四十袋ほどです」

「二百四十?」

 思っていた以上だ。

「荷車なら何台分です?」

「道の状態にもよりますが、二十台以上は必要でしょうな」

「……」

 やっぱり。

「船を動かす人は?」

「十二人です」

「荷車二十台なら?」

「御者だけでも二十人でしょう」

 それに馬も必要になる。

「殿下」

「分かっている」

 水運。

 前世の歴史でも川や海、運河を使った大量輸送が重要だったことは知っている。

 知識としては。

 でも実際に目の前で見ると、その意味がまるで違った。

「船ってすごいな」

 思わず口にした。

 港の役人が少し笑う。

「今さらですか?」

「川の町に住んでなかったので」

「なるほど」

「第五船はどこへ?」

 役人が一瞬だけ止まった。

「南です」

「どこまで?」

「積み荷の情報は……」

 言いかけて、アルベルトを見る。

「答えられる範囲でいい」

「……グリュンフェルトまでです」

「グリュンフェルト?」

 俺には分からない地名だった。

 ゲオルクが小声で説明する。

「南の穀倉地帯だ」

「穀倉地帯へ麦を運ぶんですか?」

「今年は一部で不作が出ました」

 役人が答える。

「ああ……」

 俺は船を見る。

 軍需じゃない。

 少なくとも、この船の麦は。

「民間用?」

「主には」

「主に?」

「一部は領主家が買い上げると聞いております」

「どこの領主?」

「そこまでは存じません」

「分かりました。ありがとうございます」

 俺が頭を下げると、男は少し戸惑った顔で仕事へ戻っていった。

「いきなり外れた」

「何がだ?」

 アルベルトが聞く。

「麦船です。シュヴァルツ軍の兵糧かと思ってました」

「私は言っていないぞ」

「思っただけです」

「だから見ろと言った」

「……」

 悔しいけれど、その通りだった。

 大量の物が動いている。

 軍も動いた。

 だから全部が軍需物資なのではないか。

 そう考えかけていた。

 だが現実には不作もある。

 民間の需要もある。

 領主による備蓄もある。

「やっぱり難しい」

「良かったな」

「最近そればっかり」

 でも本当に、一つ分かるたびに単純だった見方が崩れていく。


 ◇ ◇ ◇


「次は倉庫を見る」

 アルベルトが言った。

「どこの?」

「クレーマー商会」

 俺は顔を上げた。

「入れるんですか?」

「聞いてみる」

「断られたら?」

「外を見る」

「本当に全部見るんですね」

「昨日も言った」

 港沿いには巨大な倉庫が並んでいた。

 石造りのもの。

 木造りのもの。

 屋根だけが高く見えるもの。

 壁には番号や商会の印が描かれている。

 その中に。

「ありました」

 ゲオルクが指した。

 黒い円の中に三本の白い線を組み合わせた印。

「クレーマー商会?」

「ああ」

「家紋?」

「商標だろう」

「なるほど」

 倉庫の前には荷車が六台止まっている。

 中から麻袋や樽、木箱が次々と運び出されていた。

「責任者はいるか」

 アルベルトが声を掛ける。

 作業員たちが振り返る。

 しばらくして一人の男が出てきた。

 三十五歳前後。

 痩せ型で、濃い栗色の髪を後ろへ撫でつけている。

 薄い灰色の上着を着て、右手には帳簿を持ち、左耳の後ろには炭筆を挟んでいた。

 商人というより役人に近い雰囲気だ。

「私です」

 男はアルベルトを見ると少し驚いたが、すぐに姿勢を正した。

「アルヴェイン大公殿下とお見受けいたします」

「そうだ」

「私はオスカー・ブラント。ベルグハーフェンにおけるクレーマー商会の倉庫管理を任されております」

「中を見たい」

「……」

 オスカーが少し黙る。

「理由を伺っても?」

「西方情勢の確認だ」

「軍事査察ですか?」

「違う」

「では?」

「物の流れを見たい」

 オスカーがなぜか俺を見る。

「その少年が?」

「アレクだ」

「アレク・ハルトマン殿」

「また知ってる」

 思わず口から出た。

 オスカーが少し笑う。

「お名前は聞いております」

「誰からです?」

「マティアス様から」

「やっぱり」

 どこまで話しているんだ。

「何て?」

「アレク」

 アルベルトが口を挟む。

「はい」

「倉庫は?」

 アルベルトが聞き直す。

 オスカーは少し考えた。

「取引先の情報に触れない範囲であれば」

「それでいい」

「ではどうぞ」

 意外に簡単だった。

「いいんですか?」

 俺が聞く。

「隠したところで、外から荷車を数えられるのでしょう?」

「……」

「ハンス殿から連絡が来ております」

「全部読まれてる」

「商売では先に相手が何をするか考えるものです」

「マティアスみたい」

 オスカーが少し笑った。

「そうありたいものです」

 俺たちは倉庫の中へ入った。


 ◇ ◇ ◇


 倉庫の中は広かった。

 高い天井。

 太い梁。

 左右には大量の荷物が積まれている。

 入口近くには油樽。

 奥には麻袋。

 さらに木箱。

「色々混ざってますね」

「何がです?」

 オスカーが聞く。

「商品です。穀物庫みたいに種類ごとじゃない」

「ここは中継倉庫ですから」

「中継?」

「長期間保管する場所ではありません」

「じゃあ?」

「入ってきた物を一時的に置き、行き先ごとに分ける場所です」

「……」

 なるほど。

 アルヴェインブルクで見た中央倉庫とは違う。

 あそこは物を保管する場所だった。

 ここは。

「流すための倉庫」

「その通りです」

 俺は周囲を見る。

 荷物にはそれぞれ札が付いていた。

 文字。

 数字。

 記号。

「これ、何です?」

「行き先と荷主、それから次に使う輸送手段です」

「輸送手段まで?」

「はい」

 一枚の札を指す。

「これは第二船」

「船番号?」

「はい」

「こっちは?」

「南街道の第三荷車隊」

「これは?」

「町内配送です」

「……」

 前世の物流倉庫に似たものが頭に浮かぶ。

 でも同じではない。

 全部、人の手で書く。

 人が見て。

 人が運ぶ。

 当然、間違いも起きる。

「これ、誰が考えたんです?」

「札ですか?」

「仕分け方です」

「昔から似た方法はあります」

「あ」

 やっぱり。

「マティアスが全部作ったわけじゃない?」

「当然です」

 オスカーが少し笑った。

「この世界の商人を馬鹿にしておられますか?」

「してません!」

「冗談です」

「分かりにくいな」

「殿下に似てますね」

 オスカーがアルベルトを見る。

「それは困ります」

「おい」

 俺は少し笑った。

「じゃあ、マティアスは何を変えたんです?」

 オスカーが少し考える。

「場所を増やしました」

「倉庫を?」

「いいえ」

「じゃあ?」

「この方法を使う場所を、です」

 俺は首を傾げる。

「以前は各商会が自分たちの倉庫でやっていた」

「はい」

「マティアス様は複数の商会へ、荷札の書式をある程度合わせるよう提案しました」

「全部同じに?」

「完全には」

「でも?」

「最低限、行き先、荷主、次の輸送手段だけは同じ位置へ書く」

 俺は札を見る。

 確かに、どの札も似た位置に同じ種類の情報が書かれている。

「だから他の商会の荷物でも、倉庫員が読める」

「その通りです」

 これは大きい。

 でも。

「皆、よく従いましたね」

「従ったという表現は違います」

「また?」

「便利だったから使ったのです」

 第四話でも聞いた。

 命令したのではない。

 使った方が得だから使う。

「最初は反対されなかった?」

「もちろん嫌がる者もいました」

「ですよね」

「自分たちのやり方を変えたくない。手の内を見せたくない。間違いが起きた場合、誰が責任を取るのか。理由はいくらでもありました」

「どうしたんです?」

「全部は変えなかった」

「え?」

「共通にしたのは最低限だけです」

「ああ……」

 細かい部分は各商会がこれまでのやり方を使う。

 繋ぐために必要な部分だけを合わせる。

「それなら受け入れやすい」

「そういうことです」

 俺は少し感心した。

 前世の知識をそのまま持ち込もうとすると、俺は時々、全部を揃えたくなる。

 でも、全部を統一する必要はない。

 必要なところだけ合わせてもいい。

「殿下」

「何だ」

「俺、これヴァイスブルクでも使えるかな」

「今考えるな」

「すみません」

「顔に出ていたぞ」

「言う前から?」

「分かりやすい」

 オスカーが笑った。

「聞いていた通りです」

「だからマティアス、俺のこと何て話してるんです?」

「それは本人へ」

「皆それ!」


 ◇ ◇ ◇


 倉庫の奥へ進む。

 途中でオスカーが足を止めた。

「ここから先はお見せできません」

「軍需?」

 俺が聞く。

「お答えできません」

「そこまで言ったら、ほぼ答えじゃ」

「アレク」

「はい」

 アルベルトに止められた。

 彼は奥の区画を見る。

 木箱。

 樽。

 警備員。

 他の場所より明らかに警備が多い。

「誰の荷だ?」

「申し上げられません」

「マティアス本人の?」

「申し上げられません」

「王都?」

「申し上げられません」

「レオンハルト?」

「申し上げられません」

「シュヴァルツ?」

「申し上げられません」

 昨日のヴェラーと同じだ。

「商人、固いですね」

「信用が商品ですから」

 オスカーが答える。

「でも」

 俺は周囲を見る。

「ここにあるだけで分かることもある」

「何がです?」

「量です」

 警備されている区域はかなり広い。

 全体の三分の一ほどはありそうだ。

「かなりありますよね」

 オスカーは答えない。

「最近増えた?」

 やはり答えない。

 ただ。

 視線がほんの僅かに右へ動いた。

 奥の区画。

 俺もそちらを見る。

「そっち?」

「アレク」

 アルベルトの声が低くなる。

「すみません」

 さすがにやりすぎた。

「オスカー」

 アルベルトが言う。

「今日、ここから北へ出る荷はあるか?」

「お答えできません」

「南は?」

「お答えできません」

「東は?」

「お答えできません」

「西は?」

「お答えできません」

「完璧だな」

「ありがとうございます」

「褒めていない」

「存じております」

 アルベルトが笑った。

 でも俺は、別のものが気になっていた。

 床。

 この倉庫は石造りではない。

 固く踏み固められた土だ。

 だから。

「……」

 車輪の跡が残っている。

 奥の区画から出入口へ。

 かなり新しい。

「アレク」

「はい」

「何を見ている?」

「床です」

「何かあるか?」

「車輪の跡」

 オスカーの顔が僅かに変わった。

「今日、出ました?」

「アレク」

「聞いただけです」

「答えられんだろう」

 オスカーは少し苦笑した。

「昨日の夜から今朝にかけて、一部の荷が出ました」

「言っていいんですか?」

「隠しても跡をご覧になったので」

「行き先は?」

「そこは申し上げられません」

 アルベルトが床を見る。

「何台だ」

「それも」

「十台以上?」

 オスカーは黙る。

「二十?」

 沈黙。

「アレク」

「はい」

「もういい」

 止められた。

 でも。

 何かが動いた。

 昨夜から今朝。

 シュヴァルツ伯軍が動き始めたのと、ほぼ同じ時期だ。

「繋がってる?」

 小さく呟く。

「まだだ」

 アルベルトが答える。

「はい」

 分かっている。

 時期が同じだからというだけで決めてはいけない。

 でも、見るべきものは見えた。


 ◇ ◇ ◇


 倉庫を出た後、俺たちは近くの食堂へ入った。

 昼をかなり過ぎている。

「腹減った……」

「さっきまで倉庫で目を輝かせていた奴とは思えんな」

 ゲオルクが言う。

「頭使うと腹減るんですよ」

「十五歳だからだ」

「それもある」

 パン。

 豆。

 焼いた魚。

 川の町らしい食事だった。

「美味しい」

 俺が魚を食べている間も、アルベルトは地図を見ている。

「食事中まで?」

「時間がない」

「エリーゼに」

「それはもういい」

「効いてる」

「アレク」

「はい」

「今日見たことで、何が分かった」

 まただ。

 俺は魚を飲み込んでから答える。

「船は荷車より大量に運べる」

「当たり前だ」

「でも実際に見ると違います」

「続けろ」

「ベルグハーフェンに物が集まる理由の一つは川」

「ああ」

「クレーマー商会は、倉庫に物を貯めるというより」

 少し考える。

「流れを切り替えてる」

 アルベルトが俺を見る。

「どういう意味だ」

「荷車から船へ。船から荷車へ。別の商会から別の商会へ」

「中継だな」

「はい」

「他には?」

「マティアスは全部を自分のものにしてない」

「昨日も言ったな」

「でも今日の方が分かりました」

「何が?」

「全部自分で持ったら、維持する金が掛かる」

「そうだな」

「でも他の人のものを、必要な時に使えるように繋いでおけば」

「自分で持つ必要がない」

「はい」

 ゲオルクが口を挟む。

「ただし、使えなくなることもある」

「そうです」

 俺が頷いた。

「だから信用や利益が必要」

「他には?」

 アルベルトが続ける。

「荷札」

「あれか」

「全部統一じゃない」

「それが?」

「マティアスって」

 少し考える。

「全部を自分の思い通りにしようとしてないのかもしれない」

 アルベルトが少し目を細める。

「なぜそう思う」

「最低限だけ合わせて、残りは商会ごと」

「それで?」

「全部変えろって言ったら反対される」

「ああ」

「でも、ここだけ合わせれば便利だって言う」

「……」

「相手が受け入れられるところまでしか変えない」

 言いながら、また前世で知る人物と重なる。

 秀吉。

 ただ。

 全部が同じではない。

「アレク」

「はい」

「また物語の男を考えているな」

「顔に出てます?」

「ああ」

「嫌だなぁ」

「似ているか?」

「少し」

「違うところは?」

「あります」

「なら?」

「マティアスを見る」

 俺が先に答えた。

 アルベルトが笑う。

「覚えたな」

「何回も言われたので」

 俺も少し笑った。


 ◇ ◇ ◇


 食事を終えた後、午後は港の南側へ向かった。

「また船を見るんですか?」

 ゲオルクが聞く。

「殿下が言ったんですよ」

「私ではない」

「じゃあ殿下」

「ああ」

 アルベルトは一つの船着き場を見ていた。

「午前に見た場所と違う?」

「旗を見ろ」

「旗?」

 船尾に小さな旗が立っている。

 黒地に白い斜線。

「知らない」

「シュヴァルツ伯領の商人旗だ」

「え?」

 俺は目を凝らす。

 一隻。

 二隻。

 その向こうにも。

「三隻?」

「ああ」

「何を積んでる?」

 荷を見る。

 麻袋。

 樽。

 木箱。

「聞きます?」

「聞かなくていい」

「何で?」

「見れば分かるものだけ見ろ」

 麻袋は麦だろう。

 樽は、おそらく塩か保存食。

 木箱の中身は分からない。

「これ、北へ行く?」

「川は北西へも伸びている」

「シュヴァルツ伯領」

「ああ」

 でも。

 シュヴァルツ伯軍は南東へ動いた。

「逆方向ですね」

「そうだ」

「じゃあ軍の補給じゃない?」

「そうとも限らん」

「え?」

「軍が領地を離れれば」

 アルベルトが言う。

「残った者も食う」

「……あ」

 兵士ばかり見ていた。

 でも領地には民が残る。

 城兵も。

 兵士の家族も。

「軍が食糧を持って出たら、領地側が減る?」

「場合によってはな」

「それを補充してる?」

「可能性はある」

「……」

 まただ。

 軍需と民間。

 単純には分けられない。

「殿下」

「何だ」

「これ、いつ答え出るんです?」

「知らん」

「酷い」

「だから面白い」

「俺は面白くないです」

 そう言いながら。

 少しだけ。

 面白いとも思っている。

 戦場で敵の剣を見るよりは、ずっと。


 ◇ ◇ ◇


 その時だった。

「おい!」

 港の向こうから怒鳴り声が上がる。

「止めろ!」

「そこを動かすな!」

 人が集まり始めた。

「何でしょう」

「見るぞ」

 アルベルトがすぐに歩き出す。

「殿下、こういう時だけ早い」

「お前もだ」

「俺は仕事です」

「私もだ」

 近づく。

 一台の荷車が道の真ん中で傾いていた。

 片側の車輪が外れている。

 麦袋が何袋も地面へ散らばっていた。

「車軸が折れた!」

 御者が叫ぶ。

「どけ! 次の荷車が入れん!」

 港の作業員が怒鳴る。

「無理だ! 荷を下ろさないと動かせない!」

「何袋だ!」

「百近い!」

「人を呼べ!」

 周囲の荷車が次々と止まり始める。

 後ろ。

 さらにその後ろ。

「渋滞」

 俺が呟いた。

 たった一台。

 それだけなのに、道幅が狭いため横を通れない。

「別の道は?」

 近くの作業員へ聞く。

「あるが遠回りだ!」

「どのくらい?」

「倉庫によっては半刻以上掛かる!」

 半刻。

 大きい。

「この道、一日何台くらい通るんです?」

「知らねえよ!」

 作業員が怒鳴ってから、俺たちの護衛を見る。

「……失礼しました」

「いいです」

 今は身分のことなどどうでもいい。

「殿下」

「何だ」

「これ、戦争になったらもっと酷くなる?」

 アルベルトも止まった荷車を見る。

「軍用物資が増えればな」

「一台壊れただけで止まる」

「ああ」

「この倉庫街へ入る道は?」

「主要路は三本だ」

「三本……」

 一つ止まれば。

 残りの二本へ荷車が集中する。

 その時。

 第二篇のヴァイスブルクを思い出した。

 壊れた橋。

 物が運べない街道。

「橋と同じだ」

「何がだ?」

「道が弱い」

 俺は詰まった荷車を見る。

「港が大きくても、船があって、倉庫があって、荷車があっても」

 最後に。

「この道が詰まったら、全部止まる」

 アルベルトが俺を見る。

「その通りだ」

「……」

 前世なら、ボトルネックと呼んだ。

 全体の能力は、一番弱い場所に引っ張られる。

「これ、マティアスは知ってるかな」

「なぜ奴が出る」

「物流を見てるなら、気づいてそうだから」

「聞いてみたいか?」

「はい」

 即答した。

 自分でも少し驚く。

 アルベルトが笑った。

「前より答えが早くなったな」

「何がです?」

「マティアスの話だ」

「……」

「気になるのだろう?」

「気になります」

 今度は否定しなかった。

「なら」

 アルベルトが何か言いかける。

 その時。

「アルヴェイン大公殿下!」

 後ろから騎士が走ってきた。

 俺たちの護衛の一人だ。

「何だ」

「宿へ使者が参りました!」

「誰からだ」

「第一王弟、レオンハルト・フォン・グランヴァルト殿下からです!」

 アルベルトの表情が変わった。

「レオンハルトから?」

「はい!」

「使者は?」

「宿で待っております」

「分かった。戻るぞ」

「はい」

 俺もアルベルトの後を追った。

 レオンハルト・フォン・グランヴァルト。

 知らない相手ではない。

 前に会った時、俺はレオンハルトとかなり話をしている。

 第一王弟という身分を考えれば緊張する相手ではあるが、顔も知らない大貴族から突然呼び出された、という感覚ではなかった。

 むしろ気になったのは別のことだ。

「このタイミングでレオンハルト殿下か……」

「ああ」

 シュヴァルツ伯の軍が動いた。

 俺たちはマティアスと繋がる商人を追ってベルグハーフェンまで来た。

 そこでレオンハルトから連絡が来た。

 偶然と考えるには、少し出来すぎている。


 ◇ ◇ ◇


 宿へ戻ると、二階の小さな応接室に一人の男が待っていた。

 年齢は三十代半ばほどだろう。肩まである灰色がかった金髪を後ろで束ね、細身の身体には濃紺の騎士服を着ている。腰には剣を佩き、胸元には銀の双頭鳥を少し崩したような紋章が付いていた。

 おそらくレオンハルト直属の者であることを示す印なのだろう。

 男はアルベルトを見ると立ち上がり、深く頭を下げた。

「アルヴェイン大公殿下」

「名は?」

「ユリウス・フォン・カレンベルク。第一王弟レオンハルト殿下の使者として参りました」

「書状を」

「こちらに」

 ユリウスが差し出した書状を、アルベルトが受け取る。

 封にはグランヴァルト王家のものによく似た印が押されている。ただし完全に同じではない。

 レオンハルト個人の印なのだろう。

 アルベルトが封を切った。

 しばらく黙って読んでいたが、不意に口元を僅かに上げた。

「……相変わらずだな」

「何がです?」

「お前も読め」

「俺?」

 渡された書状へ目を落とす。

 内容そのものは正式なものだった。

 明日の夕刻、ベルグハーフェンの東河港近くにあるグラウナー館で会いたい。

 互いに少人数で。

 現在の情勢について話したい。

 そこまでは分かる。

 だが最後の一文で、俺の目が止まった。


『アレク・ハルトマンも同行しているのであれば、彼にも同席してもらいたい。前に話した時は途中になった話もある。久方ぶりに顔を見たい』


「……俺まで?」

「そう書いてある」

「いや、それは読めば分かりますけど」

 もう一度最後の一文を見る。

「俺が来てること知ってるんですね」

「どうやらな」

「情報早いなぁ……」

「第一王弟を甘く見るな」

「甘く見てませんよ」

 ただ、少し意外ではあった。

 前に会った時、レオンハルトとはかなり話した。

 俺のことも覚えているだろうとは思っていた。

 だが、アルベルトとの会談にわざわざ俺まで呼ぶとは思わなかった。

「途中になった話って何だろう」

「心当たりは?」

「ありすぎて分かりません」

「お前は余計なことまで話すからな」

「殿下に言われたくないです」

「私は必要なことしか話さん」

「嘘だ」

「殺すぞ」

「ほら、そういうところですよ」

 ユリウスが黙って俺たちを見ている。

 俺は書状へ視線を戻した。

 文章そのものは正式だ。

 だが最後だけ、少しレオンハルト本人の言葉が混じっているように感じる。

「……レオンハルト殿下らしいな」

「そう思うか?」

「前に話した時も、こういう感じだったでしょう」

「ああ」

 少なくとも俺を、ただの「アルヴェイン大公の小姓」として呼んでいるわけではない。

 アレク・ハルトマンという一人の人間として呼んでいる。

 それは分かった。

 だが。

「何で今なんだろう」

 俺が呟いた瞬間だった。

 頭に一人の男が浮かんだ。

「……マティアス?」

 その瞬間。

 ユリウスの表情がほんの僅かに動いた。

「……」

 俺はユリウスを見る。

 アルベルトも見た。

「今、マティアスって言った時――」

「アレク」

「はい」

「そこまでだ」

「……はい」

 止められた。

 だが、見間違いではないと思う。

 ユリウスはすぐに元の表情へ戻った。

「私は書状を届けるよう命じられただけです」

「そうだろうな」

 アルベルトもそれ以上は追及しなかった。

「返事だ」

「はい」

「会おう」

「承知いたしました」

「アレクも連れていく」

「レオンハルト殿下もお喜びになるかと」

「……」

 今度は俺がユリウスを見る。

「そんなに?」

「私は殿下のお考えを代弁する立場にはございません」

「上手く逃げた」

「アレク」

「はい」

「使者を困らせるな」

「殿下だってさっき困らせてたでしょう」

「私はいい」

「ずるいなぁ」

 ユリウスの口元がほんの僅かに緩んだ気がした。

「場所は?」

「明日夕刻。東河港近くのグラウナー館にて」

「分かった」

「お伝えいたします」

 ユリウスが頭を下げ、部屋を出ようとする。

「待て」

 アルベルトが呼び止めた。

「一つだけ聞く」

「何でしょう」

「シュヴァルツ伯の軍が動いた」

「存じております」

「レオンハルトはどうする」

 ユリウスは少し黙った。

「それは明日、殿下御本人がお答えになるでしょう」

 それだけ言うと一礼し、部屋を出ていった。

 扉が閉まる。

「……」

 俺は手元の書状を見た。

「殿下」

「何だ」

「レオンハルト殿下、何か知ってますよね」

「何についてだ」

「マティアスです」

「そう考えた理由は?」

「今の使者の反応」

「それだけか?」

「それと、俺を呼んだこと」

 アルベルトが俺を見る。

「続けろ」

「前に会った時、レオンハルト殿下とは色々話しました。でも、今回は殿下との正式な会談でしょう?」

「ああ」

「俺と久しぶりに話したいだけなら、会談が終わってからでもいい」

「そうだな」

「なのに同席してほしいと書いてある」

 俺は書状を机へ置いた。

「俺がいる状態で話したいことがあるんじゃないですか?」

 アルベルトが僅かに笑った。

「私もそう思う」

「やっぱり?」

「ああ」

「じゃあ明日は」

「聞くぞ」

 アルベルトが地図を広げた。

「シュヴァルツ伯軍がどこへ向かっているのか」

「はい」

「王都で何が起きているのか」

「はい」

「レオンハルトがどこまで動くつもりなのか」

「はい」

「そして、マティアスとどこまで繋がっているのか」

 俺は地図を見る。

 俺たちは、マティアスと関係のある商人を追ってここまで来た。

 その先で物と金の流れを見つけた。

 さらにシュヴァルツ伯軍が動き始めた。

 そして今、レオンハルト本人がこちらへ接触してきた。

「……繋がってきましたね」

「ああ」

「偶然じゃない?」

「偶然だとしても、確かめる価値はある」

「俺たちの目的はマティアスが何をしてるか調べること」

「そうだ」

「なら明日の会談も、そのために使う」

「そのつもりでいろ」

「分かりました」

 俺はもう一度書状を見る。

 ただ、一つだけ気になる。

『前に話した時は途中になった話もある。久方ぶりに顔を見たい』

「……」

 少しだけ笑ってしまった。

「何だ」

「いや」

「気持ち悪いぞ」

「酷いな」

「なら言え」

「レオンハルト殿下、ちゃんと俺のこと覚えてたんだなって」

「当たり前だろう」

「そうです?」

「お前は自分が思っているより目立つ」

「嫌なこと言わないでくださいよ」

「事実だ」

「俺、普通にしてるつもりなんですけど」

「それであれなら余計に問題だ」

「……」

 反論できない。

「まあ」

 アルベルトが地図へ視線を戻した。

「明日になれば分かる」

「何が?」

「レオンハルトがお前を呼んだ理由も、奴が何を知っているのかもな」

「素直に教えてくれます?」

「前に会った時を思い出せ」

「……教えてくれなさそう」

「だろう?」

「面倒だなぁ」

「だが、お前は嫌いではないだろう」

「レオンハルト殿下を?」

「ああ」

 少し考える。

「……はい」

 嫌いではない。

 身分は遥かに上だし、何を考えているのか分からないところもある。

 それでも前に話した時、不思議と話しにくい相手ではなかった。

 むしろ、また話してみたいとは思っていた。

「久しぶりに会えるのは、ちょっと楽しみです」

「そうか」

「でも目的は忘れませんよ」

「それでいい」

 俺は窓の外へ目を向けた。

 ベルグハーフェンは夕方になっても動き続けている。

 船が入り、船が出る。

 荷車が走り、倉庫から荷物が運び出されていく。

 俺たちはマティアスを追ってここまで来た。

 そして、その先でレオンハルトと再び向き合うことになった。

 前に会った時とは状況が違う。

 今度はただ話すだけではない。

 聞かなければならないことがある。

 それでも。

「……久しぶりか」

 前に交わした会話を思い出す。

 少しだけ楽しみなのも本当だった。

 明日。

 俺たちは第一王弟レオンハルト・フォン・グランヴァルトと再び会う。

 旧知と呼ぶにはまだ早い。

 だが、決して他人でもない。

 その距離にいる相手が、今度は何を話そうとしているのか。

 そして、その話がマティアスへ続いているのか。

 明日の会談で、それを確かめる。

第五話をお読みいただき、ありがとうございます。


マティアスと繋がる商人を追ってベルグハーフェンへやって来たアレクたち。

河港や倉庫を調べる中で見えてきたのは、単なる商人同士の取引ではなく、その背後で動き始めている大きな流れでした。


そして最後に現れたのは、以前にもアレクと言葉を交わした第一王弟レオンハルト・フォン・グランヴァルトからの使者。

久しぶりの再会を求めるレオンハルトですが、この情勢の中でわざわざアレクまで会談へ呼んだことにも、何か理由がありそうです。


シュヴァルツ伯の軍は何を目的に動いているのか。

王都では何が起きているのか。

そして、レオンハルトとマティアスの間には何があるのか。


次話では、アレクとレオンハルトが再び顔を合わせます。

以前より大きく情勢が動き始めた中で、二人がどんな言葉を交わすのか。


次話もよろしくお願いいたします。

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