第五話 川を流れるもの
マティアスとつながる商人を追い、ベルグハーフェンへ入ったアレクたち。
巨大な河港と倉庫を調べる中で、アレクは物資を運ぶ力だけでなく、人や商会を結びつける仕組みへ目を向けます。
翌朝、アレクたちは宿場町を発ち、ベルグハーフェンへ向かった。
街道を進む荷車の数は、東へ向かうにつれて少しずつ増えていった。麦袋を積んだ荷車、樽を縄で固定した荷車、木材を載せた荷車が、それぞれ異なる速さで道を進んでいる。馬車同士がすれ違うたび、御者の怒鳴り声と車輪の軋む音が響いた。
「眠そうだな」
隣を進むゲオルクに言われ、アレクは小さくあくびをかみ殺した。
「昨日、遅くまで地図を見ていたんです」
「見ていただけで何か分かったのか?」
「分からないことが増えました」
「なら、早く寝ればよかっただろう」
「分からないまま寝ると気になるんですよ」
「それで眠そうな顔をしていれば世話はないな」
前を進んでいたアルベルトが振り返った。
「口を動かす余裕があるなら、頭も動かせ」
「今も動かしています」
「何を考えていた?」
「ベルグハーフェンへ着いたら、どこから見ればいいのかを考えていました」
「では、その前に一つ聞く」
アルベルトは馬の速さをわずかに落とし、アレクと並んだ。
「シュヴァルツ伯は、およそ二千五百の兵を率いて南東へ動いた。二千五百人を歩かせるために何が要る?」
「食料と水です」
「それだけか?」
「馬がいるなら飼料も必要です。武器や防具を直す職人、負傷者の手当てをする者、荷物を運ぶ荷車と御者も要ります」
「その食料を、どのように用意する?」
アレクは街道の先を進む荷車を見た。
「最初から全部持っていけば、荷車の数が増えます。進んだ先で買えば、商人との取引が必要になります。村から徴発する方法もありますが、どこに何があるか分からなければ集められません」
「他には?」
「川です」
「なぜそう思った?」
「ベルグハーフェンへ向かう荷車の中に、船で使う綱や帆布を積んだものがありました。それに、地図を見るとグリュン川から枝分かれした水路が、シュヴァルツ伯領の近くまで延びています」
アルベルトはすぐには答えず、アレクが見ていた荷車へ視線を向けた。
「川を使えば、荷車より多くの物を運べると思います。ただ、どのくらい違うのかは分かりません」
「なら、ベルグハーフェンで見ればいい」
「港へ行くんですね」
「そのために向かっている」
「クレーマー商会の倉庫を先に見ると思っていました」
「倉庫に入る荷が、どこから来るのかも知らずに倉庫だけ見て何が分かる?」
「分かりました。まず港ですね」
アルベルトは正面へ向き直った。
少し離れたところで、ゲオルクが笑っている。
「何ですか?」
「昨日まで、商人を追うなら帳簿を見ればいいと言っていた奴が、今日は川を見ようとしている」
「帳簿も見たいですよ」
「欲張りだな」
「見られるものは見た方がいいでしょう」
「そのうち、見すぎて首を突っ込むなと叱られるぞ」
「もう何度も叱られています」
「直す気はないのか?」
「あります。でも、気になるものは気になります」
ゲオルクは呆れたように首を振ったが、アルベルトは振り返らなかった。
「アレク」
「はい」
「着くまでに、二千五百人が一日に食べる麦の量を考えておけ」
「正確な量は分かりませんよ」
「正確でなくていい。兵一人が一日に食べる量を仮に決め、そこから荷車が何台必要になるか考えろ」
「馬の分は?」
「それも入れろ」
「荷車を引く馬が食べる分も増えます」
「だから考える価値がある」
アレクはため息をつきながら、頭の中で数を並べ始めた。
兵が一日に食べる量だけなら計算できる。だが、それを運ぶ者も食べる。馬も飼料を必要とし、荷車が増えれば御者も増える。長く運べば運ぶほど、目的地へ着く前に消費される量も増える。
前世で知っていた戦争は、地図の上を軍勢が進んでいくものだった。しかし、実際の軍勢には腹があり、疲労があり、壊れる荷車がある。
二千五百という数は、兵の数だけを示しているのではない。その背後で動く物の量まで含めて考えなければならなかった。
ベルグハーフェンが見えたのは、昼より少し前だった。
最初に目へ入ったのは城壁ではなく、川沿いに並ぶ帆柱だった。
大小の帆柱が林のように立ち、その間を水鳥が飛んでいる。川岸には幾つもの船着き場が張り出し、船から倉庫へ、倉庫から荷車へ、人と荷が絶え間なく動いていた。
街は川に沿って横長に広がっている。中心部には石造りの建物が並んでいるが、河港に近い場所では木造の倉庫や作業場が多い。さらにその外側には、荷車を止める広場や家畜を休ませる柵が設けられていた。
「大きい……」
アレクが思わず漏らすと、ゲオルクが横で頷いた。
「アルヴェインの都とは違うだろう」
「人の数なら都の方が多いかもしれません。でも、動いている物の量は、こっちの方が多く見えます」
風に乗って、さまざまな匂いが流れてくる。
干した魚、馬の汗、川の泥、香辛料、油、麦、革。離れたところから鍛冶場の煙も見えた。
声も一つではない。荷を下ろす人足の掛け声、船員の怒鳴り声、御者が馬をなだめる声、値段を交渉する商人の声が重なり、街全体が休まず働いているようだった。
入口の検問では、アルベルトが王家から得た通行許可状を示した。大勢で入れば余計な警戒を招くため、連れてきた者のうち街へ入ったのは護衛を含めて二十人だけだった。
「まず宿へ入りますか?」
「荷を置いたら港へ行く」
「やっぱり休ませてくれないんですね」
「馬は休ませる」
「俺は?」
「歩ける」
「そういう問題ではないと思います」
アルベルトは取り合わず、先に進んだ。
宿へ荷物を預けた後、一行は港へ向かった。馬を連れたままでは動きにくいため、護衛の半数を宿へ残し、アレクたちは歩いて河港へ入った。
船着き場へ近づくほど道は混み合った。人足が二人一組で樽を運び、肩に麦袋を担いだ男たちが列を作る。道端では帳面を持った商人が積み荷を確認し、港の役人が船の出入りを記録していた。
一隻の大型河船が船着き場へ横付けされている。幅の広い船体は深く水へ沈み、甲板には麦袋が幾段にも積まれていた。
アルベルトが港の役人へ声を掛けた。
「あの船には、どれほど積める?」
役人はアルベルトたちの服装と護衛を見て、姿勢を正した。
「すべて穀物であれば、袋で二百四十ほどです。ただ、水位や行き先によって減らすこともあります」
「荷車なら何台分だ?」
「使う荷車にもよりますが、二十台を超えるでしょう。道の状態が悪ければ、一台へ載せられる量を減らしますので、さらに必要になります」
アレクは船を見上げた。
「この船を動かす人は何人ですか?」
「通常は十二人ほどです。流れや積み荷によって増やすこともあります」
「荷車二十台なら、御者が二十人。予備の馬や護衛まで考えると、もっと増える……」
「船は船で、川の状態に左右されます」
役人が付け加えた。
「水位が下がれば積める量が減ります。増水すれば流れが速くなり、船着き場へ寄せるのが難しくなります。浅瀬に乗り上げることもあれば、橋を通れない船もあります」
「それでも、これだけの量を一度に運べる」
「ええ。だからベルグハーフェンへ荷が集まります」
船員たちが綱を引き、積み荷を覆う布を掛け始めた。
「この船はどこへ向かう?」
アルベルトが尋ねると、役人は手元の記録を確認した。
「グリュンフェルトです」
「南の穀倉地帯か」
「はい。ただ、今年は一部で雨が少なく、収穫が落ちました。これは不足分を補うための麦です」
「軍へ送るものではないのか?」
アレクが聞くと、役人は首を横に振った。
「少なくとも港へ提出された書類では、町と周辺の村へ売るための荷になっています。領主の倉へ入る分もありますが、兵へ渡すという記録はありません」
「こんなに多くの麦が動いていても、戦とは関係ないんですね」
「腹が減るのは兵だけではありません」
役人の言葉に、アレクは頷いた。
船一隻に二百四十袋の麦が積まれていれば、どうしても軍を連想してしまう。しかし、町や村で暮らす者も同じように食べる。不作が起きれば、その不足を補うために大量の穀物が動く。
大きな荷を見つけたことと、それがシュヴァルツ伯軍のための荷であることは、別の話だった。
「行くぞ」
アルベルトが歩き出した。
「次はどこですか?」
「クレーマー商会が使っている倉庫だ」
アレクはもう一度、大型河船を振り返った。
船員たちが帆を確かめ、別の者が積み荷の数を読み上げている。荷を運ぶ力だけでは動かない。どこから来て、誰が所有し、どこへ届けるのかを記録する者も必要だった。
クレーマー商会が利用する倉庫は、港の中央から少し外れた場所にあった。
一棟だけではない。川沿いの船着き場に近い倉庫、街道へ続く道に面した倉庫、その間で一時的に荷を預かる小さな建物が幾つもある。
入口で待っていたのは、灰色の上着を着た細身の男だった。片手に帳面を持ち、耳の上に木炭筆を挟んでいる。
「アルヴェイン大公殿下とお見受けいたします」
「そうだ」
「クレーマー商会の倉庫を預かっております。ヴェラーから話は聞いております」
倉庫責任者はアルベルトへ一礼した後、アレクを見た。
「あなたがアレク様ですね」
「俺のことも聞いているんですか?」
「マティアス様から、何度か」
「何を?」
「よく見て、よく尋ねる方だと」
「それだけですか?」
「倉庫へ入れる際は、床まで見られると思えとも言われました」
アレクがアルベルトを見ると、アルベルトはわずかに口元を緩めた。
「よく分かっているではないか」
「まだ何もしていませんよ」
「今からするのだろう?」
倉庫責任者も困ったように笑った。
「お見せできる範囲であれば、ご案内いたします。ただし、荷の所有者や細かな取引先についてはお答えできません」
「分かった」
「中に入る人数も絞らせてください。荷を扱っている者の邪魔になります」
アルベルトはゲオルクを含む護衛四人だけを連れ、残りを入口へ残した。
倉庫の扉をくぐると、外よりも空気が冷たく感じられた。高い屋根を支える太い梁が走り、床には広い通路が設けられている。壁際には麦袋や樽が積まれ、中央には木箱や布を包んだ荷が並んでいた。
同じ種類の荷が一か所へまとめられているわけではない。麦袋の隣に油の樽があり、その向こうには鉄の道具が入った木箱が置かれている。
「随分、ばらばらですね」
アレクが言うと、倉庫責任者は荷に付けられた木札を指した。
「品物の種類より、次にどこへ動かすかを優先しております」
木札には複数の印と文字が記されていた。
行き先、荷の所有者、数、到着した日、次に載せるものが船か荷車か。そのほかにも商会独自と思われる記号がある。
「これはクレーマー商会の荷ですか?」
「一部はそうです。ですが、別の商会から預かったものもあります」
「競争相手の荷まで?」
「行き先が同じで、船や荷車に空きがあれば、まとめて運んだ方が安くなります。帰り道を空のまま走らせずに済むこともあります」
「その代わり、倉庫を使う金を取る?」
「保管料や積み替え料を受け取ります。こちらが船や荷車を手配した場合は、その費用も頂きます」
アレクは通路を進みながら、木札を見比べた。
文字の書き方や印は完全には同じではない。それでも、行き先は上、所有者は右、次の輸送手段は下というように、重要な項目が書かれる場所は揃っている。
「この荷札は、全部クレーマー商会が作ったんですか?」
「いいえ。それぞれの商会が付けています」
「でも、書く場所は似ています」
「そこはマティアス様が、関係する商会へ揃えるよう提案されました」
「全部同じ形にしろとは言わなかった?」
「そこまで求めれば、受け入れない商会が増えます。各商会には長く使ってきた帳簿や印がありますから」
倉庫責任者は近くの木箱から木札を持ち上げた。
「どこへ運ぶ荷か、誰のものか、次に何へ載せるのか。この三つが同じ位置に書かれていれば、別の商会の荷でも、倉庫の者がすぐに扱えます。ほかの記録は、それぞれのやり方を残して構わないことになっています」
「変えるのは、つなぐために必要なところだけ」
「そのように聞いております」
倉庫の奥では、人足が二人で樽を転がしていた。帳面を持った男が木札を確認し、別の通路を示す。樽はそこで別の荷と一緒に並べられた。
「ここに長く置いておくんですか?」
「長く置くほど保管料が掛かります。次の船や荷車が決まっている荷は、できるだけ早く出します」
「倉庫というより、荷を渡す場所なんですね」
「預かることもありますが、この建物は積み替えが中心です。川から来た荷を街道へ送り、街道から来た荷を船へ載せます」
アレクは改めて倉庫の中を見渡した。
外から見れば、物が詰め込まれた大きな建物にしか見えない。だが、実際には荷が止まっているのではなく、次に動く時を待っている。
船を持つ者、荷車を持つ者、倉庫を持つ者、商品を持つ者は別々だった。マティアスはそれらをすべて買い取ったのではない。荷札と契約を使い、異なる者たちの間で荷が滞らないようにしている。
「マティアス様は、全部を自分で持とうとはしなかったんですね」
「船も荷車も倉庫も、すべてを自前で揃えれば維持費が掛かります。それに、以前から商売をしている者を敵に回します」
「だから、その人たちにも儲かる形でつないだ」
「少なくとも、ここではそうなっています」
倉庫責任者の答えは慎重だった。
マティアスを称賛するために話しているのではない。自分が知っている仕組みを説明しているだけだ。その姿勢が、かえって話の確かさを感じさせた。
奥へ進もうとしたところで、倉庫責任者が腕を伸ばした。
「申し訳ございませんが、ここから先はお見せできません」
通路の先には簡素な柵が設けられ、二人の警備員が立っている。向こう側にも麦袋や木箱が並んでいた。
「誰の荷ですか?」
「申し上げられません」
「王都へ行くものですか?」
「申し上げられません」
「レオンハルト殿下のところへ?」
「同じ答えになります」
「シュヴァルツ伯領へ?」
「お答えできません」
アレクが質問を重ねるたび、倉庫責任者は同じ調子で返した。
「信用が商品ということか」
アルベルトが言った。
「はい。ここで預かった荷のことを、尋ねられるたびに話していれば、次から誰も預けてくれません」
「正しい判断だ」
「ありがとうございます」
アレクは柵の向こうを見た。
警備されている区画は、倉庫全体の三分の一ほどを占めている。しかし、そこに積まれた荷は区画の広さに比べて少ない。空いた床が目立っていた。
「最近、荷が増えましたか?」
倉庫責任者は答えなかった。
その視線が、ほんの一瞬だけ奥の床へ向いた。
アレクも同じ場所を見た。
踏み固められた土の床に、幾筋もの車輪の跡が残っている。古い跡の上を削るように、新しい跡が出入口の方向へ延びていた。馬の蹄が土を深くえぐった場所もある。
「昨夜から今朝にかけて、ここから荷が出ましたね」
倉庫責任者の顔がわずかに強張った。
「アレク」
アルベルトが名を呼んだ。
「行き先を聞くつもりはありません」
アレクは柵から一歩離れた。
「何台分かも聞きません。ただ、空いた場所の広さと床の跡を見れば、荷が出たことは分かります」
「……そのとおりです」
倉庫責任者は隠しても意味がないと判断したらしい。
「昨夜から今朝にかけて、一部の荷を運び出しました。それ以上は申し上げられません」
「分かりました」
アレクはそれ以上尋ねなかった。
シュヴァルツ伯軍が動き始めた時期と重なっている。
だが、同じ時期に荷が動いたというだけで、二つを結びつけることはできない。あの大型河船の麦も、最初は軍へ送るものに見えた。しかし、実際には不作に苦しむ地域へ向かう荷だった。
「何を考えている?」
アルベルトに聞かれ、アレクは率直に答えた。
「シュヴァルツ伯軍と関係があるかもしれないと思いました」
「根拠は?」
「時期だけです」
「なら、まだ答えではない」
「はい。ただ、調べるべき流れではあります」
「それでいい」
アルベルトは倉庫責任者へ向き直った。
「案内に感謝する」
「こちらこそ、商いの邪魔をしないようご配慮いただき、ありがとうございます」
倉庫を出る前に、アレクはもう一度だけ振り返った。
床に残った車輪の跡は、帳簿ほど詳しいことを教えてくれない。それでも、帳簿を見せてもらえないからといって、何も分からないわけではなかった。
◇ ◇ ◇
倉庫を出た頃には、昼を大きく過ぎていた。
一行は河港に近い食堂へ入り、遅い昼食を取ることにした。出されたのは固めのパンと豆の煮込み、川魚を香草と一緒に焼いたものだった。
「ようやく食べられる……」
アレクが魚へ手を伸ばすと、ゲオルクが呆れた顔をした。
「倉庫では腹が減った様子など見せなかったな」
「あの時は気になるものが多かったんです」
「床まで見ていたからな」
「マティアス様にまで知られているとは思いませんでした」
「お前が妙なところを見ることは、もう広まっているのではないか?」
「嫌な広まり方ですね」
アルベルトは二人の会話を聞きながら、卓上へ地図を広げていた。
「食べながらでいい。今日見たものをまとめろ」
「またですか?」
「忘れてから聞くよりいい」
アレクは魚を一口食べてから、地図を見た。
「ベルグハーフェンに物が集まる一番の理由は川です。荷車二十台以上の荷を、一隻の船と十数人で運べます」
「一番と言い切れるのか?」
「川だけでは足りません」
アレクはすぐに言い直した。
「船から下ろした荷を置く倉庫が要ります。倉庫から先へ運ぶ荷車も、荷車が通る街道も必要です」
「ほかには?」
「荷を誰に渡すか分かるようにする人と記録です」
「つまり?」
「川があるだけでは、これだけの町にはならないと思います。川と街道と倉庫をつないで、そこで働く人たちを動かす仕組みがあるから、荷が集まります」
アルベルトは頷き、次を促した。
「クレーマー商会については?」
「物を貯め込むより、流れを切り替えることに力を使っています」
「流れを切り替える?」
「船から荷車へ、荷車から船へ。それから、別の商会が持ってきた荷を、別の商会が用意した船へ載せる。自分で全部を持たなくても、必要な時に使えるようにつないでいます」
ゲオルクがパンをちぎりながら口を挟んだ。
「だが、他人の船や荷車は、必要な時に貸してもらえないこともある」
「だから相手にも利益を渡します。空いている船に荷を載せれば船主は金を得られるし、倉庫を使えば倉庫の持ち主にも金が入ります。クレーマー商会だけが儲かる仕組みなら、長くは続きません」
「よく見ていたな」
「倉庫責任者が教えてくれましたから」
「聞いたことを並べただけか?」
アルベルトの問いに、アレクは少し考えた。
「荷札の書き方が完全に同じではなかったことが気になりました」
「なぜだ?」
「マティアス様なら、もっと揃えようと思えばできたはずです。でも、全部を変えさせず、荷をつなぐために必要な部分だけ合わせた」
「それで何が分かる?」
「全部を自分のやり方に変えろと言えば、反発されます。でも、ここだけ合わせれば皆が便利になると言えば、受け入れる商会は増えます」
アレクは倉庫で見た荷札を思い出した。
前世の物語で知る秀吉も、人を使い、商人を使い、他者の力を自分の力へ変えていった。しかし、似ている部分があるからといって、マティアスの行動まで同じになるとは限らない。
目の前にいる人間を、知っている歴史へ無理に押し込めれば、見えるはずの違いを見落とす。
「また、昔読んだ物語の人物と比べているな」
アルベルトに見抜かれ、アレクは苦笑した。
「そんなに顔へ出ていますか?」
「お前は考え込むと、目の前の物を見ているようで、別のものを見る」
「少し似ていると思っただけです」
「同じだったか?」
「いいえ」
「なら、どうする?」
「マティアス様本人を見ます」
「それでいい」
アルベルトは地図へ視線を戻した。
「警備された区画から出た荷については?」
「まだ何も分かりません」
「シュヴァルツ伯軍のためだとは思わないのか?」
「疑っています。でも、時期が重なっただけです。軍と関係のない荷かもしれません」
「では、捨てるか?」
「捨てません。ほかの場所でも、同じ時期に同じ方向へ荷が動いていないか調べます」
アルベルトは満足したように頷いた。
アレクはようやく魚へ戻った。香草の香りと塩気が疲れた身体へ染み込む。
「冷める前に食べればよかった」
「考え始めたのはお前だろう」
「聞いたのはアルベルト様です」
「答えないという選択もあった」
「それを選んだら、後で倍くらい聞くでしょう」
「分かってきたな」
向かい側でゲオルクが声を立てて笑った。
◇ ◇ ◇
食事を終えた後、アルベルトたちは河港の南側へ向かった。
午前中に見た中央の船着き場より規模は小さいが、こちらにも倉庫と荷車の待機場所が並んでいる。大きな商会の船だけでなく、地方の商人が使う小型船も多かった。
アルベルトが三隻の船へ目を向けた。
「船尾を見ろ」
それぞれの船尾に、小さな濃紫の旗が掲げられていた。旗には商人ごとに異なる印が加えられているが、基調となる色は同じだった。
「シュヴァルツ伯領の商人ですか?」
「ああ。領内で商いを許された者が使う目印だ」
船には麦袋、樽、木箱が積まれていた。人足が最後の荷を載せ、船員が縄を締め直している。
「北西へ向かうようですね」
アレクは川の流れと船首の向きを見比べた。
「その先にはシュヴァルツ伯領がある」
「ですが、伯の軍は南東へ動いています」
「そうだ」
「なら、あれは軍の補給ではない?」
「軍の後ろへ送る荷かもしれん」
「後ろへ?」
「二千五百の兵が領地を出る際、何を持っていく?」
「兵糧です」
「領地の倉にあった兵糧を持ち出せば、残された者が食べる分は減る」
アレクは船に積まれた麦袋を見た。
シュヴァルツ伯軍の進行方向と逆へ向かう荷だから、戦とは無関係だと思った。しかし、軍が出たことで領地に不足が生じ、その穴を埋めるために荷が動くこともある。
「城に残る兵もいますね」
「兵の家族も、町の者もいる」
「直接軍へ届かなくても、軍が動いたせいで必要になった荷かもしれない」
「その可能性はある」
「確かめる方法は?」
「一度だけ見て答えが出ると思うな。船が何日おきに入り、何を下ろすのかを記録すれば、普段との差が見える」
「でも、俺たちは何日もここにいられません」
「だから、この町にいる者から情報を得る」
「商人から?」
「商人だけではない。港の役人、船員、人足、宿の主人。毎日ここを見ている者は多い」
アレクは頷いた。
自分がすべてを見続ける必要はない。日々同じ場所で働いている者が、普段と違う動きを一番よく知っている。
アルベルトがさらに歩こうとした時、船着き場の奥から怒鳴り声が上がった。
「止めろ! そのまま動かすな!」
「後ろの荷車を下げろ!」
人の流れが乱れ、道の一角へ集まり始める。
アルベルトたちが近づくと、荷車が道の中央で大きく傾いていた。片側の車輪が外れ、折れた車軸が土へ突き刺さっている。荷台から落ちた麦袋が道を塞ぎ、一つは破れて中身がこぼれていた。
「車軸が折れた!」
御者が叫ぶ。
「荷を下ろさなければ動かせない!」
「何袋ある?」
「百近い!」
「早く人を集めろ! 次の荷車が入れないぞ!」
道幅は荷車二台がようやくすれ違える程度しかない。傾いた荷車と散らばった麦袋が、その大半を塞いでいる。
後ろから来た荷車が次々に止まった。御者が怒鳴り、狭い場所で向きを変えようとする馬が興奮している。さらに後ろから来た者には何が起きたのか見えず、列だけが長くなっていった。
「別の道はないんですか?」
アレクが近くの作業員へ尋ねた。
「あるが、ここから戻って倉庫街の外を回らなきゃならねえ。行き先によっては半刻以上余計に掛かる!」
「この道を使う倉庫は?」
「七つだ。船着き場へ入る荷車も通る!」
作業員は答えると、すぐに麦袋を運ぶため走っていった。
壊れたのは一台だけだった。
それなのに、後ろには十台を超える荷車が止まり、船着き場から出ようとする荷車まで動けなくなっている。遠回りを始めた荷車が別の道へ入れば、そちらも混み合うだろう。
「アルベルト様」
「何だ?」
「港がどれだけ大きくても、船がどれだけ荷を運べても、この道が止まれば倉庫へ届きません」
「そうだな」
「倉庫へ届かなければ、次の荷車にも載せられない。船へ積む荷も来ない」
アレクは並んだ荷車を目で追った。
「全部が、この狭い道に引っ張られています」
ヴァイスブルクで壊れた橋を見た時と同じだった。
街道の先に食料があっても、橋がなければ運べない。優れた船や大きな倉庫があっても、それらをつなぐ道が詰まれば、全体が止まる。
「戦になって軍用の荷が増えたら、もっとひどくなりますね」
「ああ。荷車が増えるだけでなく、急げという命令も増える。順番を守らない者も出る」
「道を広げるだけでは足りない?」
「建物を壊す必要がある。土地の持ち主が応じるとも限らん」
「なら、荷車が壊れた時にすぐ動かす人と道具を置く。荷を一時的に移す場所も作る。どの道を使うか、倉庫ごとに分ける方法もあります」
「今すぐお前が決めることではない」
「分かっています。ただ、マティアス様ならどうするのかと思って」
アルベルトがアレクを見た。
「聞いてみたいか?」
「はい」
答えは迷わず出た。
「前より早くなったな」
「何がですか?」
「マティアスの話になると、以前は理由を並べてから興味があると認めていた」
アレクは壊れた荷車へ視線を戻した。
「今も気になる理由はありますよ」
「聞こう」
「これだけ大きな物流を動かしているなら、あの人は道が詰まる危険にも気づいているはずです。気づいていて直していないなら、直せない理由がある。気づいていないなら、俺が伝えられます」
「それだけか?」
「それに、俺が考えた方法より良い答えを持っているかもしれません」
「だから会いたい」
「はい」
もう否定する理由はなかった。
マティアスが何をしているのか確かめるために、ここまで来た。しかし、クレーマー商会の倉庫を見たことで、警戒だけではない感情が強くなっている。
直接会い、尋ねたい。
どうしてすべてを所有せず、異なる商会を結びつけようと考えたのか。どこまで先を見て、この町の流れへ手を伸ばしているのか。
その時、背後から馬の蹄が近づいてきた。
「アルヴェイン大公殿下!」
護衛の一人が人の間を縫うように走ってくる。
「何だ?」
「宿へ使者が参りました」
「誰からだ?」
「第一王弟、レオンハルト・フォン・グランヴァルト殿下からです」
アルベルトの表情から、先ほどまでのわずかな笑みが消えた。
「使者は今どこにいる?」
「宿の応接室でお待ちです」
「分かった。戻るぞ」
アルベルトは壊れた荷車を一度振り返ると、宿へ向かって歩き始めた。
アレクも後を追う。
レオンハルトとは以前に会い、十分に言葉を交わしている。顔も知らない大貴族から突然呼び出されたわけではない。
それでも、シュヴァルツ伯軍が動き、マティアスとつながる商人を追ってベルグハーフェンへ来た直後という時期が気になった。
「このタイミングで、レオンハルト殿下ですか」
「ああ」
「偶然だと思います?」
「思うか?」
「思いません」
アルベルトはそれ以上答えなかった。
港では今も、壊れた荷車を動かすための声が飛び交っている。その騒ぎを背に、アレクたちは宿へ急いだ。
◇ ◇ ◇
宿の二階にある応接室には、一人の男が待っていた。
三十代半ばほどの、細身の騎士だった。灰色がかった金髪を後ろで束ね、濃紺の騎士服を身につけている。胸元には、グランヴァルト王家を示す黒地に金獅子の小さな徽章が留められていた。
男はアルベルトが入室すると立ち上がり、深く頭を下げた。
「アルヴェイン大公殿下」
「名は?」
「ユリウス・フォン・カレンベルクと申します。第一王弟レオンハルト殿下の使者として参りました」
「書状を」
「こちらにございます」
ユリウスが差し出した書状を、アルベルトが受け取った。
封蝋にはグランヴァルト王家の金獅子を簡略化した印が押されている。ただし、王家が公式の命令に使う印とは細部が異なっていた。レオンハルト個人の印なのだろう。
アルベルトは封を切り、黙って書状を読んだ。最後まで目を通すと、口元をわずかに上げる。
「相変わらずだな」
「何が書かれているんですか?」
「お前も読め」
差し出された書状を、アレクは受け取った。
内容は正式な会談の申し入れだった。
翌日の夕刻、ベルグハーフェンの東河港近くにあるグラウナー館で会いたい。互いに少人数で臨み、現在の情勢について話したい。
そこまでは、第一王弟から大公へ宛てた書状として不自然ではない。
アレクの目は最後の一文で止まった。
『アレク・ハルトマンも同行しているのであれば、彼にも同席してもらいたい。以前話した折には途中となったこともある。久方ぶりに顔を見たい』
「俺もですか?」
「そう書いてある」
「俺がベルグハーフェンへ来ていることまで知っているんですね」
「第一王弟の情報網を甘く見るな」
「甘く見てはいません。ただ、早いと思っただけです」
レオンハルトと話したことは一度や二度ではない。アレクを覚えていること自体は不思議ではなかった。
だが、アルベルトとの正式な会談へ、わざわざ同席を求めている。
「途中になったことって、何でしょう」
「心当たりはないのか?」
「ありすぎます」
「お前は余計なことまで話すからな」
「アルベルト様には言われたくありません」
「私は必要なことしか話さない」
「その必要の範囲が広すぎるんです」
アルベルトが目を細めたため、アレクは書状へ視線を戻した。
正式な文章の中で、最後の一文だけはレオンハルト本人の口調がにじんでいる。単にアルヴェイン大公の従者を呼ぶのではなく、アレク個人へ会いたいと考えていることは伝わった。
それは少し嬉しかった。
しかし、久しぶりに話したいだけなら、アルベルトとの会談が終わってからでもいいはずだ。
「どうした?」
「レオンハルト殿下は、俺がいるところで話したいことがあるんじゃないですか?」
「なぜそう思う?」
「再会が目的なら、会談へ同席させる必要はありません。それに、今はシュヴァルツ伯軍が動いている時です」
アルベルトは返事をせず、アレクへ続きを促した。
「俺たちは、マティアス様とつながる商人を追って、この町へ来ました。クレーマー商会の倉庫では、昨夜から今朝にかけて荷が動いています。そして、その直後にレオンハルト殿下から書状が届いた」
そこまで口にした時、アレクの中で一つの考えが形になった。
「マティアス様……?」
ユリウスの表情が、ほんのわずかに動いた。
驚いたというほど大きな変化ではない。視線が一瞬だけアレクへ向き、すぐに元へ戻っただけだった。
しかし、アレクは見逃さなかった。
「今、マティアス様の名を出した時――」
「アレク」
アルベルトが静かに止めた。
アレクは口を閉じた。
使者を問い詰めても、主君から話すことを許されていない内容は答えないだろう。倉庫責任者と同じだ。無理に聞き出そうとすれば、相手の信用を傷つけるだけになる。
「私は、書状を届けるよう命じられただけです」
ユリウスは淡々と言った。
「そうだろうな」
アルベルトも追及せず、席へ着いた。
「返事を頼む。明日の会談には応じる」
「承知いたしました」
「アレクも連れていく」
「レオンハルト殿下もお喜びになるかと存じます」
その言葉に、今度はアレクがユリウスを見た。
「そんなにですか?」
「私は殿下のお考えを代わって申し上げる立場にはございません」
「上手く逃げましたね」
「アレク、使者を困らせるな」
「アルベルト様も、さっきマティアス様のことを聞こうとしたでしょう」
「私は聞いていない」
「俺に続きを言わせようとしていました」
「気のせいだ」
ユリウスの口元が、ほんのわずかに緩んだ。
「会談は明日の夕刻、東河港近くのグラウナー館にて行います。護衛の人数は、互いに十人以内でお願いいたします」
「分かった」
「それでは、レオンハルト殿下へお伝えいたします」
ユリウスが一礼し、扉へ向かう。
「待て」
アルベルトが呼び止めた。
「一つだけ聞く。シュヴァルツ伯の軍が動いたことは知っているか?」
「存じております」
「レオンハルトは、どうするつもりだ?」
ユリウスはアルベルトをまっすぐ見返した。
「明日、殿下御自身がお答えになるものと存じます」
「そうか」
「ほかにございませんでしたら、失礼いたします」
アルベルトが頷くと、ユリウスは部屋を出ていった。
扉が閉まり、廊下を遠ざかる足音が聞こえなくなるまで、誰も口を開かなかった。
「アルベルト様」
「何だ?」
「レオンハルト殿下は、マティアス様について何か知っています」
「使者の表情だけで決めるな」
「ですが、反応しました」
「否定はしない」
「俺を会談へ呼んだことも関係していると思います」
アレクは書状を机へ置いた。
「前に話したことがあるからというだけでは、正式な会談へ同席させる理由として弱いです。俺がマティアス様を気にしていることまで知っているのかもしれません」
「それを確かめるのが明日の会談だ」
アルベルトはベルグハーフェン周辺の地図を広げた。
「確認することを整理するぞ。まず、シュヴァルツ伯軍がどこへ向かっているのか」
「はい」
「王都で何が起きているのか」
「はい」
「レオンハルトが、どこまで自分の兵を動かすつもりなのか」
「それから、マティアス様とどこまでつながっているのか」
「ああ」
地図の上には、街道と川が幾つも交差していた。
アレクたちはマティアスと関係する商人を追い、ベルグハーフェンへ来た。そこで見つけたのは、一人の商人が持つ荷ではなく、多くの商会、船、倉庫、荷車を結びつける仕組みだった。
その一方で、シュヴァルツ伯の軍が動き、時期を同じくして倉庫からも荷が出ている。
そして今、レオンハルトが会談を求めてきた。
「つながってきましたね」
「ああ。だが、見えている線が正しいとは限らない」
「明日、確かめます」
「レオンハルトが素直に話すと思うか?」
アレクは以前、レオンハルトと交わした会話を思い出した。
相手が何を知っているのか確かめながら、自分の考えは必要なところまでしか見せない。親しげに話していても、言葉の裏では幾つものことを考えている人物だった。
「簡単には教えてくれないでしょうね」
「なら、お前も余計なことを話すな」
「俺だけに言います?」
「お前が一番危うい」
「アルベルト様も、レオンハルト殿下を挑発しないでくださいよ」
「必要ならする」
「俺にも言い分があります」
「聞かない」
アレクは小さく息を吐き、もう一度書状へ目を落とした。
『久方ぶりに顔を見たい』
警戒しなければならないことは多い。
それでも、レオンハルトと再び話せることを楽しみに思う気持ちもあった。
「少し嬉しそうだな」
アルベルトに言われ、アレクは顔を上げた。
「分かりますか?」
「お前は隠すのが下手だ」
「久しぶりに会うんですから、楽しみではあります」
「嫌いではないのだな」
「はい。何を考えているのか分からないところはありますけど」
「それは向こうも同じように思っているだろう」
「俺はそんなに分かりにくくないですよ」
「自覚がないのなら、なお悪い」
アルベルトは地図を畳み始めた。
「今日は休め。明日は朝から、もう一度港と倉庫の出入りを調べる。会談までに分かることは増やしておきたい」
「分かりました」
「それと、レオンハルトの前で眠そうな顔をするな」
「今夜は早く寝ます」
「昨日もそう言っていなかったか?」
「昨日は地図が気になったんです」
「今夜は何が気になる?」
「今日見た荷札と、壊れた荷車と、マティアス様とレオンハルト殿下の関係です」
「眠れそうにないな」
「自分でも、そんな気がします」
窓の外では、夕方になってもベルグハーフェンの動きは止まっていなかった。
川を下る船が帆を畳み、上流から来た船が岸へ寄せられている。倉庫からは荷車が出ていき、別の荷車が新しい荷を運び込む。
人が止まっても、次の人が動く。船が去っても、別の船が来る。
この町では、物が絶えず流れていた。
その流れのどこかに、マティアスの意思がある。
そして、その先にはレオンハルトがいる。
翌日の会談で、どこまで確かめられるかは分からない。
ただ、マティアスを追って始めた調査が、もはや一人の商人だけを調べるものではなくなったことだけは確かだった。
シュヴァルツ伯の軍、王都の動き、ベルグハーフェンへ集まる物資、そして第一王弟から届いた書状。
一見別々に見えるものが、大きな流れの中で結びつき始めている。
アレクは机の上の書状を見つめた。
明日、レオンハルトと再び会う。
旧知と呼ぶには、まだ付き合いが浅い。それでも、互いに何も知らない相手ではなかった。
以前とは異なる情勢の中で、レオンハルトが何を語り、何を隠そうとするのか。
そして、その言葉がマティアスへどうつながるのか。
アレクは自分の目で確かめるつもりだった。
第五話を読んでいただき、ありがとうございました。
ベルグハーフェンを流れるのは、川や物資だけではありません。複数の商会を結びつけるマティアスの意思と、戦に備えて動き始めた人々の思惑もまた、この町へ集まっています。
次話では、アレクたちが第一王弟レオンハルトと再び顔を合わせます。シュヴァルツ伯軍、王都、そしてマティアスを巡る流れが、会談を通じて少しずつ形を現します。
少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ページ下部にある【ブックマークに追加】や【★★★★★】での評価で応援していただけると、執筆の励みになります!




