【第二篇の主要な登場人物】
第二篇「乱世に蒔く種」の終了時点における、主要な登場人物を紹介します。第二篇を未読の方は、物語を読み終えてからご覧ください。
第二篇終了時点までの内容を含みます。
◆ 主人公
◆ アレク・ハルトマン
本作の主人公。十五歳。第二篇終了時点では、アルヴェイン大公アルベルトの小姓を務めている。前世は三十歳の会社員・佐藤恒一で、戦国時代の歴史を好んでいた。
第二篇では、軍の行軍、食料と水の供給、市場税、倉庫、帳簿、橋など、戦場の外側にある問題へ前世の知識を応用する。しかし、知識だけでは人や物を動かせないことも知り、職人、商人、役人など、その仕事に詳しい者へ尋ね、力を借りるようになっていく。
グランヴァルトの第一王弟レオンハルト、クレーマー商会を率いるマティアスと出会い、自分が知らなかった人の動かし方や、戦わずに状況を変える力を目の当たりにした。
● アルヴェイン大公国
● アルベルト・ヴァレンシュタイン
アルヴェイン大公。アレクの主君であり、彼を小姓として育てている人物。答えをすぐに教えるのではなく、問いかけ、実際に確かめさせることでアレク自身に考えさせる。
第二篇では、レオンハルト率いる一万五千のグランヴァルト軍を条件付きで領内へ通し、その直後にベルン伯爵軍と戦った。戦後は、ヴァイスブルクで始まった市場、倉庫、帳簿などの改善を、大公国全体でどこまで使えるか検討する。
レオンハルトとは旧知の間柄であり、互いの力量と性格をよく知っている。ただし、両者の間に正式な同盟関係が結ばれたわけではない。
● ゲオルク
アルベルト配下の騎士。アレクの護衛や教育役に近い立場でもあり、戦場と日常の双方で現実的な助言を与える。
第二次ヴァイスブルクの戦いでは三百五十人の別働隊を率い、農地と水路を利用してベルン軍の砲兵陣地へ接近した。敵の注意を荷駄隊へ向けた後に進路を変え、砲一門を使用不能にしてアルベルトの反撃を成功へ導いた。
● トーマス
アレクと年齢の近い友人。身分の高い者に囲まれることが増えたアレクが、遠慮なく言葉を交わせる存在である。
第二次ヴァイスブルクの戦いでは城を守り、戦後は倉庫の在庫確認や市場の調査にも付き合う。アレクの仕事へ巻き込まれながらも、その変化を近くから見守っている。
● ヨハン・ケストナー
アルヴェイン大公家の財務官。金、帳簿、財源、担当者、期限に厳しい実務家。アレクが大まかな案を出すと、それを実行するために必要な費用や人手を計算し、現実に使える形へ整えていく。
アレクを簡単には褒めないが、提案者一人の功績にせず、判断した者、働いた者、費用を負担した者を分けて記録する公正さを持つ。ヴァイスブルクで行われた施策を家政評議会へ報告し、アレクとともに大公都へ向かった。
● エリーゼ・フォン・ヴァレンシュタイン
アルベルトの姪で、亡き先代大公世子の娘。アレクと同じ年頃で、淡い金色の髪と青い瞳を持つ。大公家の令嬢として礼儀正しく振る舞う一方、気を許した相手には頬を膨らませたり、冗談を言ったりする年相応の一面もある。
亡き父から民の暮らしを見ることを教えられており、市場の物価や町で暮らす人々にも関心を持つ。戦場へ向かうアレクの無事を願い、帰還後は市場や町を一緒に歩くなど、少しずつ親しくなっていく。
● ヴァイス男爵
ヴァイスブルクを治める領主。アルベルトに従い、国境の町と周辺の街道を守る。
第二次ヴァイスブルクの戦いでは、ベルン軍の別働隊がラーデン街道へ向かったことを受け、七百人を率いて街道の防衛を担当した。敵の狙いを見極めながら持ち場を守り、本隊がヴァイスブルクを攻めている間も勝手に兵を動かさなかった。
● ハインリヒ・フォン・エーベルハルト
アルヴェイン大公国の家政評議会議長。五十歳を越えた細身の男で、財政、軍務、土地、街道、倉庫など、大公国全体の政務を取りまとめる。
ヴァイスブルクで成果を上げた方法であっても、無条件で大公国全土へ広げようとはしない。費用や人手、地域ごとの違いを確かめ、どこで試すべきかを慎重に判断する。
● ロタール・フォン・ブレヒト
アルヴェイン大公国の家政評議会に出席する地方領主。新しい方法そのものを嫌っているのではなく、中央が一つの制度をすべての土地へ押しつけることを警戒している。
市場税を下げても商人が増えない土地や、帳簿を増やせば普段の仕事が止まる小さな城があることを指摘した。アレクが成功例だけでなく失敗も記録すると答えたことで、その試みを見守る姿勢を示す。
● バルドゥル・ケラー
アルヴェインブルクにある中央倉庫の倉庫長。長年にわたって穀物、武具、矢などを管理してきた、現場経験の豊富な責任者である。
アレクが持ち込んだ在庫確認の方法をそのまま受け入れるのではなく、中央倉庫の規模と人員に合わせて修正する。制度を考える者だけでなく、実際に使う者の意見が必要であることをアレクへ示した。
● クララ・フォン・ローゼンフェルト
エリーゼと親しい同年代の令嬢。栗色の髪と深い緑の瞳を持ち、エリーゼより落ち着いた性格をしている。
エリーゼが大公都の市場へ出る時にも同行し、買い物や護衛との調整を支える。普段は冷静だが、エリーゼとアレクの会話を聞いて笑いを堪えるなど、親しい相手の前では年相応の表情も見せる。
■ グランヴァルト王国・クレーマー商会
■ レオンハルト・フォン・グランヴァルト
グランヴァルト国王レオポルト二世の弟である第一王弟。黒地に金の獅子を掲げる軍を率いる。身分や生まれだけで人を判断せず、役に立つ能力や考えを早く見抜く人物。
一万五千の軍勢を複数の部隊に分け、旗、角笛、伝令を使って統制する。兵士だけでなく、食料、水、飼葉、荷車、街道、商人の安全まで戦争に必要な力として捉えている。
アルヴェイン領内を通過する際にはアルベルトの条件を受け入れ、規律を破った自軍の兵を庇わなかった。アレクの意見を面白がり、アルベルトの小姓であると知りながら、自分のもとへ誘おうとする。
■ マティアス・クレーマー
クレーマー商会を率いる商人。レオンハルトの正式な臣下ではないが、その許可を得て商会の立場から軍の兵站や交易を支えている。
不足している物を自分ですべて用意するのではなく、商人、村、職人が利益を得られる条件を整え、自ら動くようにする。複数の街道や村、倉庫、契約を同時に結びつけ、軍が必要とする物資を集める力を持つ。
ヴァイスブルクを訪れた際、アレクの能力を認めてクレーマー商会へ誘った。アレクはその場ではアルベルトの小姓として残ることを選ぶが、自分とは異なる方法で多くの人と物を動かすマティアスへ強い関心を抱く。
▲ 対立勢力
▲ ベルン伯爵
アルヴェイン大公国の西に領地を持つ有力領主。以前の侵攻で敗れた後も軍を立て直し、再びヴァイスブルクへ兵を進めた。
第二次ヴァイスブルクの戦いでは、四門の砲、別働隊、荷駄隊への備えを組み合わせ、アルヴェイン軍を複数の場所へ分散させようとした。アルベルトの反撃によって砲一門を失うと、兵を無理に戦わせず、隊列を保ったまま撤退した。敗北後も軍を完全には失っていない。
▲ シュヴァルツ伯
グランヴァルト王国西端に領地を持つ有力者。グランヴァルトの商隊が襲われ、奪われた積荷が領内へ流れたことから、レオンハルトの討伐対象となった。
ベルン伯爵との休戦を探りながら、丘陵と森を利用してレオンハルト軍との正面決戦を避ける。第二篇ではアレクと直接戦っていないが、レオンハルト、マティアス、ベルン伯爵の動きを結びつける存在となっている。
第二篇の登場人物紹介を読んでいただき、ありがとうございました。
戦場だけでなく、軍の行軍、兵站、交易、領政を通じて、アレクを取り巻く人物と世界は大きく広がりました。それぞれの立場や関係を振り返りながら、第三篇以降もお楽しみいただければ幸いです。
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