第十四話 乱世の始まり
ヴァイスブルクでの勝利により、各地で抑えられていた争いが動き始めます。
グランヴァルトから訪れた使者と東部国境へ集まる大軍を前に、アレクは自分が乱世の入り口に立っていることを知ります。
朝の光が窓から差し込み、机の上に置かれた一枚の紙を照らしていた。
アレクは寝台から起き上がると、昨夜自分で書いた文字へ目を向けた。
『次に何が起きる?』
問いとしては大きすぎる。
未来を見通す力など、アレクにはない。この世界が前世の歴史と同じ道を進む保証もなかった。
それでも、何も考えずに待つよりは、起こり得ることを挙げた方がよい。
アレクは机へ座り、炭筆を取った。
最初に書いたのは、敗れたベルン伯爵についてだった。
ベルン軍はヴァイスブルクで敗れ、少なくない兵を失った。ベルン伯爵本人は生きており、グラーツ城へ退いているが、周辺の領主から見れば、以前より弱ったことは明らかだ。
長く対立してきた者は、今を好機と考えるかもしれない。
従っていた者の中からも、ベルン伯爵を見限る者が現れる可能性がある。
『ベルン伯爵の周囲で諸侯が動く』
次に、勝った側について考える。
アルヴェイン軍はベルン軍を退けた。
その結果を知った周辺国は、アルヴェインが何をするか確かめようとするはずだ。
ベルン伯爵を追撃するのか。
西へ領地を広げるのか。
戦でどれほど兵を失い、今も戦える力を残しているのか。
祝いの使者、商人、間者。手段はいくつも考えられる。
『アルヴェインへ他国から接触がある』
三つ目は、さらに曖昧だった。
『周辺国の兵の配置が変わる』
戦が一度起きれば、国境を守る兵の数も変わる。
アルヴェインが西へ兵を集めたと考えれば、北西から東にかけて国境を接するグランヴァルト王国が、守りの薄くなった場所を確かめる可能性もあった。
しかし、誰が、何のために動くかまでは分からない。
アレクは三つの文を見比べた。
「これくらいなら、歴史を知らなくても考えられるな……」
小さく呟き、炭筆を置く。
雨雲を見て、雨が降るかもしれないと考えるのと変わらない。
たとえ予想どおりになったとしても、それだけで未来を知っていることにはならなかった。
扉が叩かれた。
「アレク、起きているか」
廊下から兵の声が聞こえる。
「起きています」
「アルベルト様がお呼びだ。すぐに執務室へ来いとのことだ」
「朝食を食べる時間はありますか?」
「急ぎだそうだ」
「ないんですね」
アレクは紙を二つに折り、机の引き出しへ収めた。
服を整え、アルベルトから与えられた剣を腰へ差す。
戦功によって得たものとはいえ、小姓が城内を歩く際に必ず帯剣しなければならないわけではない。それでも、自分の部屋へ置いたままにするより、腰にある方が落ち着いた。
執務室へ急ぐ途中、窓から中庭が見えた。
見慣れない一団が馬から荷を下ろしている。
濃紺の上着を着た者が多く、荷車の脇には黒地に金の獅子が描かれた小旗が掲げられていた。
グランヴァルト王国の旗だ。
アレクの足が止まりかける。
昨夜、紙へ書いた言葉が頭に浮かんだ。
『アルヴェインへ他国から接触がある』
すぐに予測が当たったと喜ぶ気にはなれなかった。
使者の到着を見越して、アルベルトがアレクを呼んだ可能性もある。そもそも、ヴァイスブルクの勝利から何日も経っている。使者が既に出発していたとしても不思議ではない。
アレクは中庭から目を離し、執務室へ向かった。
◇ ◇ ◇
「アレク・ハルトマン、参りました」
「入れ」
執務室には、アルベルトとゲオルクのほか、軍務官、二人の文官、年配の貴族がいた。
その向かいに、見覚えのない男が立っている。
年齢は三十代ほどだろう。黒髪を後ろへ撫でつけ、濃紺の上着を隙なく着込んでいる。腰には細身の剣があり、胸元には金の獅子を刻んだ留め具が付いていた。
男は入室したアレクへ目を向けた。
ほんの一瞬、頭から足元までを確かめるように視線が動く。
だが、すぐに穏やかな笑顔へ戻った。
「その少年が、アレク・ハルトマンですか」
「ああ」
アルベルトが答えた。
「ヴァイスブルクで名前を聞いたか」
「戦の経過を調べれば、何度か出てまいります」
男が軽く頭を下げる。
「グランヴァルト国王陛下の使者、エドゥアルト・フォン・ライゼンと申します」
アレクも頭を下げた。
「アルベルト様の小姓、アレク・ハルトマンです」
「存じております」
丁寧な言葉だったが、相手の目は笑っていなかった。
敵意があるわけではない。
それでも、アレクがどのような反応をするか、一つずつ確かめているように見えた。
「アレク、そこにいろ」
アルベルトが自分の斜め後ろを示した。
「はい」
アレクは命じられた場所へ立ち、口を閉じた。
小姓として求められているのは、外交の話へ割り込むことではない。必要な書状や地図を渡し、会談の内容を聞き漏らさないことだった。
エドゥアルトが姿勢を正す。
「改めまして、ヴァイスブルクにおける御勝利を、我が国王陛下に代わりお祝い申し上げます」
「遠いところから、わざわざ祝いに来たのか」
「隣国における大きな勝利です。書状だけで済ませては、礼を欠くかと」
「グランヴァルトが礼を気にする国だったとは知らなかった」
「国同士の関係は、礼から始まることもございます」
「関係を始めに来たのか?」
アルベルトとエドゥアルトの間に、短い沈黙が落ちた。
二人とも穏やかな表情を崩していない。
それでもアレクには、既に探り合いが始まっていると分かった。
「我が国は、アルヴェイン大公国との平穏な関係を望んでおります」
エドゥアルトが答えた。
「今までも、正式に戦をした覚えはない」
「国境で小さな争いはございました」
「領民同士の揉め事まで、戦と呼ぶつもりはない」
「では、今後も平穏を保てると?」
「そちらが国境を越えなければな」
エドゥアルトは笑みを深めた。
「率直なお言葉です」
「前置きを重ねるより早い。それで、本題は何だ」
「本題とは?」
「祝いだけなら書状で足りる。国王の使者が、馬を替えながら急いで来る必要はない」
エドゥアルトは否定しなかった。
「ヴァイスブルクでベルン伯爵を退けられた後、アルヴェイン軍はグラーツ城へ向かわなかったと聞いております」
「よく調べているな」
「隠されていることではございません」
「それを確かめに来たのか」
「ベルン伯爵は、これまでアルヴェインと幾度も国境を争っております。今回の勝利を機に、アルベルト様が西へ領地を広げようと考えられても不思議ではありません」
「私がグラーツ城を攻めると、グランヴァルトが困るのか?」
「我が国王陛下は、周辺諸国の平穏を望んでおります」
「随分と便利な言葉だな」
「便利であるからこそ、長く使われております」
エドゥアルトの答えに、アルベルトが小さく笑った。
「グラーツ城を攻める予定はない」
アルベルトはそう答えたが、理由までは話さなかった。
現在の兵数や兵糧、城壁修復に必要な金についても触れない。
「それを伺い、安心いたしました」
「本当に安心した顔には見えんな」
「生まれつき、このような顔なのです」
「なら仕方ない」
アルベルトが椅子へ背を預ける。
「それで、まだ何かあるのだろう」
エドゥアルトは一度、隣に控えていた従者へ目を向けた。
従者が筒状に巻かれた紙を差し出す。
「一つ、アルベルト様にも関係すると思われる情報をお持ちしました」
アレクはエドゥアルトから紙を受け取り、アルベルトの前へ置いた。
紐を解いて広げると、アルヴェイン西方からグランヴァルト王国西部までを描いた地図が現れる。
ベルン伯爵領の北西側に、濃い印が付けられていた。
「シュヴァルツ伯が兵を集めております」
執務室の空気が変わった。
ゲオルクが地図を覗き込む。
「兵数は」
「三日前の時点で、およそ千五百。周辺からさらに集めているため、千八百ほどになる可能性がございます」
「目的は」
「ベルン伯爵領かと」
「根拠は?」
「シュヴァルツ伯とベルン伯爵は、以前から国境の森と二つの村を巡って争っております。ベルン軍がヴァイスブルクで敗れた直後から、武器と兵糧を集め始めました」
「グランヴァルトの者が、なぜそこまで詳しい」
年配の貴族が尋ねた。
「我が国の商人は、シュヴァルツ伯領にも出入りしております。兵が集まれば、食料や馬の値が変わります。商人は戦が始まる前から、その兆しを見ております」
マティアスと出会うのはまだ先だが、商人が軍より早く戦の兆しを知ることは、アレクにも理解できた。
大量の食料、武器、荷車、馬が動けば、市場に必ず影響が出る。
軍勢を完全に隠すことは難しい。
「親切に知らせに来た、と考えてよいのか」
アルベルトが尋ねた。
「隣国の安定は、我が国の利益にもなります」
「その答えも便利だな」
「便利な言葉をもう一つ申し上げるなら、情報は使う者によって価値が変わります」
「私がどう使うか見たいわけか」
エドゥアルトは答えず、微笑んだ。
もしアルベルトがベルン伯爵を完全に滅ぼすつもりなら、シュヴァルツ伯の侵攻は邪魔になる。逆に、シュヴァルツ伯へベルン領を奪わせれば、アルヴェインは新たな有力者と国境を接することになる。
どちらにしても、アルベルトの反応を見れば、今後の方針を探れる。
エドゥアルトは情報を与えに来たのではない。
情報を置き、それを見たアルベルトが何をするか確かめに来たのだ。
「知らせには感謝する」
アルベルトは地図を巻き直した。
「だが、アルヴェインが取る行動は、アルヴェインが決める」
「もちろんでございます」
「帰国したら、国王陛下へ伝えろ。こちらに西へ攻め込む予定はない。だが、国境を守るために必要なことはするとな」
「確かにお伝えいたします」
エドゥアルトは一礼した。
その顔から、何を読み取ったのかは分からなかった。
◇ ◇ ◇
会談が終わり、アレクが客人用の部屋までエドゥアルトを案内した後、男は扉の前で足を止めた。
「アレク君」
「はい」
「少し、お話ししてもよろしいですか」
「俺に話せることなら」
「随分と慎重な答えです」
「外国の使者へ何でも話したら、アルベルト様に怒られます」
「誰から、そのようなことを教わったのです?」
「誰にも。普通に考えただけです」
エドゥアルトは笑った。
「戦後報告に書かれていたとおりの方です」
「俺について、どこまで書かれていたんですか?」
「気になりますか」
「気にはなります。でも、答えてくれないのでしょう」
「ええ」
「でしたら、聞きません」
エドゥアルトがアレクの目を見た。
先ほどまでの社交的な笑顔が、少しだけ薄くなる。
「出身地の記憶がないというのは、本当ですか」
「はい」
「ハルトマンという家名だけを覚えている」
「そうです」
「ヴァイスブルクへ来る前は、どこに?」
「ラーデン村で、マルセル神父に保護されていました」
「その前は」
「分かりません」
「剣は誰に習いました?」
「この世界へ来てから……」
言いかけて、アレクは言葉を止めた。
「物心がついてから、体が覚えている動きを確かめました。誰かに習った記憶はありません」
「なるほど」
エドゥアルトが何に納得したのかは分からない。
「俺を調べるのが、エドゥアルト様の仕事ですか?」
「国王陛下から命じられた仕事ではありません」
「では、個人的な興味ですか?」
「それではいけませんか」
「答えられないことには、答えません」
「賢明です」
エドゥアルトは客室の扉へ手を掛けた。
「一つ、忠告を差し上げましょう」
「忠告?」
「賢さは、見せる相手を選んだ方がよい」
アレクは黙って続きを待った。
「優れた考えを示せば、評価する者もいます。利用しようとする者もいる。自分より目立つことを不快に思う者もいるでしょう」
「エドゥアルト様は、どれですか?」
「今は、興味を持っているだけです」
「今は?」
「人の立場は変わります」
エドゥアルトが扉を開く。
「またお会いすることもあるでしょう」
「グランヴァルトとアルヴェインが戦わなければ、ですか?」
「戦っていても、使者は必要です」
最後まで穏やかな表情を崩さず、エドゥアルトは客室へ入った。
扉が閉じた後も、アレクはその場に残った。
相手の言葉のどこまでが忠告で、どこまでが脅しだったのか分からない。
少なくとも、エドゥアルトが書状を運ぶだけの使者ではないことは確かだった。
◇ ◇ ◇
執務室へ戻ると、エドゥアルトが持参した地図が長机へ広げられていた。
アルベルト、ゲオルク、軍務官、年配の貴族が、ベルン伯爵領とシュヴァルツ伯領の境を確認している。
「戻ったか」
「はい」
「途中で何を話した」
「出身地と剣について聞かれました。分からないことは分からないと答えました」
「他には」
「賢さは、見せる相手を選んだ方がよいと忠告されました」
アルベルトが鼻で笑う。
「あいつらしい」
「知り合いなんですか?」
「何度か会ったことがある。国王の命令だけでなく、自分の目で見たことも報告へ加える男だ」
「俺のことも報告しますか?」
「するだろうな」
「困ります」
「今さらだ」
ゲオルクがベルン伯爵領の北西側へ駒を置いた。
「シュヴァルツ伯が千八百まで集めるとして、ベルン伯爵はどれほど動かせるでしょう」
「グラーツ城に二千前後いるという報告だった」
軍務官が答える。
「ただし、敗戦直後です。負傷者、脱走者、武器を失った兵を除けば、すぐ動かせるのは千二百から千五百ほどかと」
「シュヴァルツ伯と戦うために北西へ兵を向ければ、こちら側の国境は薄くなります」
年配の貴族が言った。
「我々にとっては好都合ではありませんか。ベルン伯爵は、しばらくヴァイスブルクへ再侵攻できなくなります」
「それだけならな」
アルベルトが答えた。
「何か問題が?」
「アレク」
突然名前を呼ばれ、アレクは顔を上げた。
「はい」
「お前はどう思う」
「俺に聞くんですか?」
「ここにいる間、何も考えていなかったのか」
「考えていましたけど、アルベルト様も答えを知っていますよね」
「私が何を考えているかではなく、お前がどう考えたかを聞いている」
アレクは地図へ目を落とした。
ベルン伯爵とシュヴァルツ伯。
二人が争えば、ベルン伯爵はアルヴェインとの国境だけを見ていられなくなる。
だが、戦には必ず勝者が出るとは限らない。両者が疲弊することもあれば、片方だけが大きく力を伸ばすこともある。
「シュヴァルツ伯が勝ちすぎると、困ると思います」
年配の貴族がアレクへ顔を向けた。
「なぜだ」
「ベルン伯爵が北西の領地を奪われれば、その分だけシュヴァルツ伯が強くなります。ベルン伯爵そのものが滅びれば、次はシュヴァルツ伯がアルヴェインの西にいる一番大きな勢力になるかもしれません」
「ベルン伯爵より話の通じる相手なら、問題は小さくなる」
「シュヴァルツ伯が、どんな人なのか知っているんですか?」
「詳しくは知らん」
「それなら、ベルン伯爵よりましだと決めるのは早いと思います」
年配の貴族は反論せず、地図へ目を戻した。
「他には?」
アルベルトが尋ねる。
「ベルン伯爵が弱りすぎれば、その領地を欲しがるのはシュヴァルツ伯だけではないかもしれません。周りの小領主や、ヴァルデン大公も動く可能性があります」
「では、我々がベルン伯爵を助けるべきか」
軍務官に問われ、アレクは少し考えた。
「今すぐ助ける必要はないと思います」
「先ほどは、シュヴァルツ伯が勝てば困ると言ったではないか」
「まだ戦も始まっていません。どちらが勝つかも分からないのに、先に動けば余計な敵を増やします」
「では何もしない?」
「兵は出さず、情報を集めます」
アレクは二つの領地の境を指した。
「シュヴァルツ伯が本当に千八百を集めたのか。ベルン伯爵が何人を動かすのか。周辺の領主がどちらにつくのか。それが分かってからでも、できることはあると思います」
「何ができる」
「そこまでは、まだ分かりません」
「随分と正直だな」
「分からないまま策を決める方が危ないです」
アルベルトが笑った。
「少しは学んだらしい」
「最初から試していたんですか?」
「お前が何を見るか確かめただけだ」
アルベルトは地図へ視線を戻した。
「今は介入しない。ベルン伯爵とシュヴァルツ伯、双方の動きを調べろ。商人が得た情報も買え」
「グランヴァルト側の情報を信じますか?」
ゲオルクが尋ねる。
「信じない。だが、捨てもしない。我々の目で確かめる」
「承知しました」
「西側の国境守備も増やせ。ただし、ベルン伯爵へ侵攻の口実を与えるほど近づけるな」
ゲオルクが命令を書き留める。
戦が終われば、すぐに平穏へ戻るわけではない。
戦場で一つの軍が敗れただけで、その周囲にいた者たちの考えまで変わる。
アレクが前夜に書いた最初の予測は、現実になり始めていた。
◇ ◇ ◇
「二つ当たりました」
午後、蔵書庫を訪れたアレクが言うと、エルンストは読んでいた記録から顔を上げた。
「何の話だ」
「昨日、これから起こりそうなことを三つ考えたんです」
「暇だったのか」
「寝る前です」
「寝ていればよかったな」
「聞いてください。ベルン伯爵の周りで諸侯が動く。アルヴェインへ他国が接触する。この二つが当たりました」
「それで?」
「それで、と言われても……」
もう少し驚かれると思っていた。
「自分には未来が見えるとでも言いたいのか」
「違います」
「なら、二つ当たったから何だ」
「歴史の流れが似ている可能性は、少し高くなりませんか?」
「ならん」
エルンストは即答した。
「ベルン伯爵が大敗した。周囲に敵がいる。勝ったアルヴェインが次に何をするか、隣国が知りたがる。記録を読まなくても、その程度は考えられる」
「俺も、そう思いました」
「なら、なぜわざわざ報告に来た」
「少しくらい褒めてもらえるかと思って」
「帰れ」
「すみません」
アレクが笑うと、エルンストはため息をついた。
「予測をすること自体は悪くない」
「では」
「だが、当たったものだけを見て、自分の考えが正しいと思うな」
「外れたものも見る?」
「特に、外れたものを見ろ」
エルンストは机の端に置かれていた古い記録を一冊開いた。
「これは、十二年前の収穫予測だ。春の雨量、種を蒔いた面積、前年の収穫量から、秋に得られる小麦の量を計算している」
「当たったんですか?」
「大きく外れた」
「なぜ?」
「夏に害虫が増えた。記録を作った者は、それを予測できなかった」
「それでは、計算した意味がない?」
「違う。外れた理由を記録したから、翌年からは害虫の発生も調べるようになった」
エルンストが頁をめくる。
「予測とは、当てて自慢するためのものではない。外れた時に何を見落としたのかを知り、次の判断を良くするためのものだ」
「もし、何度も当たったら?」
「見落としがなかったか、さらに疑え」
「厳しすぎませんか?」
「自分を天才だと思い始めた者ほど、都合の悪い記録を残さなくなる」
アレクは、机の引き出しへ収めた紙を思い出した。
三つの予測のうち、二つが当たった。
残る一つは、周辺国の兵の配置が変わることだ。
それも範囲が広すぎる。どこかの部隊が少し動いただけで当たったと言えてしまう。
「予測の書き方が曖昧でした」
「どう曖昧だった」
「周辺国の兵が動く、とだけ書きました。どの国が、どこへ、何のために動くのかを書いていません」
「それでは、後からいくらでも当たったことにできる」
「書き直します」
「そうしろ」
「エルンストさん」
「記録官と呼べ」
「記録官は、俺が歴史を調べることに反対なんですか?」
「反対なら本を見せていない」
「では、応援してくれています?」
「思い上がるな」
エルンストは先ほどまで読んでいた記録へ視線を戻した。
「ただし、調べるなら、自分に都合のよい事実だけを拾うな」
「分かりました」
「本当に分かったなら、仕事へ戻れ」
「はい」
蔵書庫を出る前に振り返ると、エルンストは既にアレクを見ていなかった。
それでも、机の端には、周辺諸国の軍事記録が一冊置かれていた。
次にアレクが来た時、読むことを見越して用意したのかもしれない。
尋ねれば否定されそうなので、何も言わずに扉を閉めた。
◇ ◇ ◇
三日後、シュヴァルツ伯が約千八百の兵を率い、ベルン伯爵領北西部へ入ったとの報告が届いた。
ベルン伯爵はグラーツ城から約千二百を動かし、両軍は国境近くの平原で向かい合った。
まだ大きな戦闘は始まっていない。
互いに斥候を出し、周辺の村から食料を集め、どちらが先に有利な場所を取るか探っているという。
その翌日には、北から書状が届いた。
ノルディア王国が、グランヴァルト王国との国境に近い二つの城へ兵を増やしている。
数も目的も分からない。
グランヴァルトとの国境を警戒しているのか、別の地方へ送る兵を集めているだけなのか、書状だけでは判断できなかった。だが、グランヴァルトが北へ兵を向ければ、アルヴェインと接する国境の兵数にも影響する。
さらに南東のラウレンシア国境では、アルヴェインとラウレンシアの二人の領主が、一つの村を巡って争い始めた。
村の近くを通る街道から得られる通行税を、どちらが受け取るかが問題だった。
以前から境界は曖昧だったが、今年になって商人の往来が増えたことで、村の価値も上がっていた。
最初は領民同士の言い争いだった。
やがて双方の領主が兵を十数人ずつ送り、相手側の徴税人を追い払った。
まだ戦と呼べる規模ではない。
だが、どちらかがさらに兵を増やせば、死人が出る可能性があった。
アルベルトの執務室には、各地から届いた書状が積まれていく。
長机へ広げられた地図にも、前日までなかった駒が増えていた。
西ではベルン伯爵とシュヴァルツ伯。
北西から東にかけてはグランヴァルト王国。そのさらに北、山脈の向こうにはノルディア王国がある。
南東では、アルヴェインとラウレンシアの二人の領主。
東のグランヴァルト王国内でも、複数の部隊が移動しているとの報告がある。
「各地の動きは、つながっているのでしょうか」
文官の一人が不安そうに尋ねた。
「その可能性は低い」
ゲオルクが首を振る。
「シュヴァルツ伯の狙いはベルン領だ。南東の争いも通行税が原因で、両国の中央から命じられて始まった様子はない」
「ノルディアの動きは、グランヴァルトにも影響するのでしょうか」
「情報が足りん」
アルベルトが答えた。
「すべてが一つの策で動いていると考えるな。それぞれが別の理由で動いている方が厄介なこともある」
「別の理由で?」
アレクが尋ねる。
「領土、金、相続、恨み、宗教、商売。争う理由はいくらでもある」
「では、ヴァイスブルクの戦いとは関係ないんですか?」
「関係があるものも、ないものもある」
アルベルトは西側の駒へ指を置いた。
「ベルン伯爵が敗れたことで、動きやすくなった者はいる。だが、あの戦が何もかもを生み出したわけではない」
「前から争う理由があった?」
「ああ。皆、機会を待っていただけだ」
平和だった世界が、一度の戦で突然乱れたのではない。
表面に出ていなかった対立が、少しずつ動き始めた。
一つの勢力が弱れば、その隙を別の者が狙う。
その動きを見た周囲も、出遅れないために動く。
一つの争いが次の争いを呼び、やがて誰にも止められなくなる。
「乱世……」
アレクが呟くと、アルベルトが顔を向けた。
「何だ」
「前世……昔読んだ本では、こういう状態を乱世と呼んでいました」
「まだ、そこまでではない」
「これから、そうなると思いますか?」
アルベルトは地図全体を見渡した。
「ならないとは言えんな」
否定されなかったことが、アレクには何より不安だった。
◇ ◇ ◇
その夜、城内へ急報を知らせる鐘が鳴った。
既に寝る支度を始めていたアレクは、剣を取り、廊下へ飛び出した。
階段の下から、泥に汚れた伝令が駆け上がってくる。
「東部国境より急報! アルベルト様へ直接お伝えする!」
伝令の馬は、城門を入ったところで倒れたという。
途中で何度も馬を替え、それでも休まず走ってきたらしい。
アレクは伝令を執務室へ案内した。
扉を開けると、アルベルトは既に地図を広げていた。ゲオルクと軍務官も、別の部屋から駆けつけている。
「報告します」
伝令が荒い息を整え、片膝をつく。
「グランヴァルト王国内、東部国境から二日ほどの平原へ、大軍が集結しております」
「数は」
「確認できただけで、およそ一万二千。今も周辺から部隊が到着しております」
アレクは息を呑んだ。
ヴァイスブルクで見た軍勢より、はるかに多い。
「指揮官は」
アルベルトが尋ねる。
「旗から判断する限り、グランヴァルト第一王弟、レオンハルト殿下です」
「レオンハルトか」
アルベルトの声に驚きはなかった。
だが、先ほどまでとは目つきが変わっている。
「軍の向きは」
「西です」
「国境を越えたか」
「まだ越えておりません」
「攻城兵器は」
「少なくとも、我々が確認した範囲にはございません。大きな投石機や破城槌を運ぶ荷車は見つかっておりません」
ゲオルクが地図の東側へ駒を置く。
「一万二千を動かしながら、攻城兵器がない?」
「後から運ばせる可能性はある」
軍務官が言った。
「国境の諸城へ向かうなら、梯子だけでも攻められます」
「だが、本格的な侵攻を考えているなら、最初から用意してもよいはずだ」
ゲオルクが別の駒を並べる。
「エドゥアルトが来た直後に、第一王弟の軍が動いた。国王の使者は、このことを知っていたのでしょうか」
「知っていて黙っていた可能性はある」
アルベルトが答えた。
「逆に、国王がレオンハルトの意図を確かめるため、こちらへ先に使者を出した可能性もある」
「同じ国ではないんですか?」
アレクが尋ねる。
「同じ国でも、全員が同じ考えで動くわけではない」
「第一王弟が、国王の命令とは別に一万二千を動かせるんですか?」
「レオンハルトは王家の直轄軍だけを率いているわけではない。自分を支持する諸侯の兵も集めている」
「では、国王と仲が悪い?」
「今は、そこまで単純ではない。だが、何を考えているか分からん男だ」
アルベルトは東部国境に置かれた駒を見つめた。
「東部諸城へ伝えろ。守備兵を増やし、城壁と井戸、兵糧を確認させろ」
「こちらから兵を国境へ出しますか?」
「出さない」
軍務官の問いに、アルベルトは即答した。
「城と既存の陣地を守らせる。斥候は増やすが、国境を越えるな。グランヴァルト兵へ矢を射ることも許さん」
「レオンハルト軍が国境へ近づいた場合は」
「距離と進路を報告させろ。越えてくるまでは、こちらから戦を始めない」
「承知しました」
「動員の準備だけは進める。急ぎ集められる兵の数と、東部へ送るのに必要な日数を調べろ」
命令を受けた者たちが部屋を出ていく。
アレクは地図に残った駒を見た。
アルヴェインの東に、一万二千。
しかも、まだ増えている。
「アルベルト様」
「何だ」
「怖くないんですか?」
「怖い」
「そうは見えません」
「私まで慌てれば、命令を受ける者はもっと慌てる」
「攻めてくると思いますか?」
「分からん」
「分からないのに、こちらは兵を出さない?」
「国境へ大軍を近づければ、向こうはそれを理由に進める。戦を避けたいなら、相手へ口実を与えるな」
「でも、準備が遅れれば」
「だから城の守りを固め、動員の準備もさせた」
何もしないのではない。
戦を始めないことと、戦に備えないことは違う。
「今夜は、これ以上できることはない」
アルベルトが地図から離れた。
「寝るぞ」
「寝られるんですか?」
「明日から、さらに報告が増える。今寝なければ、必要な時に頭が働かん」
「俺は無理だと思います」
「眠れなくても横になれ。小姓が先に倒れれば邪魔だ」
「心配の仕方が変ではありませんか?」
「倒れたお前を運ぶ者が必要になる」
「俺の体より、運ぶ人の心配ですか」
「お前は若いから治る」
「どこかで聞いた気がします」
アルベルトはわずかに笑い、執務室を出た。
残されたアレクも地図を片づけようとしたが、東に置かれた駒から目を離せなかった。
一万二千という数字は、紙の上なら数文字で済む。
実際には、一万二千人が毎日食べる食料がいる。
兵だけでなく、馬、荷車、御者、鍛冶職人、従者も動く。
それほどの軍勢を集められる力が、東の国にはある。
ヴァイスブルクでの戦いが、この世界の戦争のすべてではなかった。
もっと大きな力を持つ者たちが、既に動き始めている。
◇ ◇ ◇
自室へ戻っても、アレクは眠れなかった。
窓の外から見える城下には、まだ多くの灯りが残っている。
急報を受け、兵舎や倉庫でも人が動いているのだろう。
アレクは外套を羽織り、城壁へ上がった。
夜のアルヴェインブルクは静かに見える。
家々の窓には灯りがあり、遅くまで営業している酒場から、かすかな歌声が聞こえてきた。
城門の向こうには暗い街道が伸びている。
さらに先に、ラーデン村やヴァイスブルクがある。
この世界で目を覚ました時、アレクには何もなかった。
自分の身に何が起きたのかも、どこにいるのかも分からなかった。
マルセルに保護され、村で暮らし、兵に連れられて戦場へ向かった。
自分の意思で選んだ道ではない。
アルベルトの誘いも、一度は断った。
戦争から離れ、静かに暮らせる場所を探したかった。
それでもヴァイスブルクの戦いへ巻き込まれ、人を斬り、死ぬかもしれない恐怖を知った。
そして今は、自分の意思でアルベルトの小姓になっている。
「随分遠くまで来た気がするな……」
「城へ着いて、まだ数日だぞ」
背後から声がした。
振り返ると、アルベルトが階段を上がってくる。
「寝ると言っていませんでしたか?」
「お前も寝ろと言ったはずだ」
「眠れませんでした」
「私もだ」
「では、人に命令する前に自分が寝てください」
「寝ようとはした」
アルベルトが隣へ立ち、城下を見渡した。
「見回りですか?」
「半分はな」
「残り半分は?」
「考え事だ」
「俺と同じですね」
「一緒にするな」
冷たい風が城壁の上を吹き抜けた。
「アルベルト様」
「何だ」
「これから、戦は増えますか?」
「ああ」
アルベルトは迷わず答えた。
「西ではベルン伯爵とシュヴァルツ伯が争う。北西から東にかけてはグランヴァルトの領地が続き、レオンハルトが一万を超える兵を集めている。そのさらに北ではノルディアも動き始めた。ラウレンシアとの国境も、いつまで小競り合いで済むか分からん」
「やはり乱世になる?」
「既に始まっているのかもしれんな」
アレクは城下の灯りへ目を向けた。
「俺は、できれば平穏に生きたいです」
「知っている」
「このまま小姓の仕事をして、戦がなければ、それでいいと思っています」
「それは難しい」
「分かっています」
「戦がなくても、飢饉や病、領主同士の争いは起きる。お前が避けても、向こうから来ることもある」
ラーデン村にいたアレクが、ベルン軍との戦争を避けられなかったように。
「どうすれば、選べるようになりますか」
「力を持て」
「剣を強くする?」
「それだけでは足りん」
アルベルトは城下へ向けて手を伸ばした。
「あの町を守るのに、私一人の剣がどれほど役に立つ」
「一人よりは役に立つと思います」
「一人分だけだ」
アルベルトは手を下ろした。
「兵、金、食料、土地、情報、人とのつながり。それらを持っていても、望みどおりにならんことはある。だが、何も持たなければ、他人が決めた道を歩かされる」
「持っている者は、選べる?」
「選べる道が増えるだけだ。必ず正しい道を選べるわけではない」
「ずいぶん厳しい話ですね」
「現実だからな」
アレクは自分の手を見た。
剣を握り、人を斬った手だ。
前世の知識があっても、それだけで戦争を止められるわけではない。
歴史に似た流れへ気づいたとしても、一人で巨大な国の動きを変えることなどできない。
それでも、何も知らないまま他人の命令へ従うより、考えられることはある。
「俺は、強くなれますか?」
「知らん」
「そこは、なれると言ってくれてもいいでしょう」
「自分でなれ」
「やはり厳しい」
「ただ、お前には人と違うものを見る癖がある」
「褒めていますか?」
「使い方次第だ」
「また曖昧ですね」
「お前の考えが正しいとは限らん。だが、他の者が見落としたものへ気づけば、選べる道が一つ増えることはある」
エルンストから言われたことも思い出した。
予測が当たった時だけでなく、外れた時に何を見落としたかを調べる。
前世の知識を答えとして押しつけるのではなく、この世界で本当に使えるか確かめる。
剣だけでなく、人、金、兵糧、道、国同士の関係を見る。
今のアレクにできるのは、そこからだった。
「まずは、明日の仕事を終わらせます」
「随分と小さな話になったな」
「小姓の仕事を終わらせないと、蔵書庫へ行く時間がありません」
「正しい判断だ」
「仕事を減らしてもらえれば、もっと調べられます」
「却下する」
「即答ですね」
「働きながら学べ」
アルベルトが階段へ向かう。
「今度こそ寝るぞ」
「はい」
アレクはもう一度だけ東の空を見た。
地平線の向こうで、まだ見たことのない男が一万二千を超える軍勢を動かしている。
その目的は分からない。
戦になるのかさえ、まだ決まっていない。
それでも、これまでより大きな流れが近づいていることだけは感じられた。
アレクはアルベルトの後を追い、城壁を下りた。
◇ ◇ ◇
アルヴェイン大公国の東、グランヴァルト王国内の平原には、数え切れないほどの天幕が並んでいた。
夜が深くなっても、街道から新たな部隊が到着している。
槍を担いだ歩兵、弩を積んだ荷車、飼葉を運ぶ馬車、鎧を身につけた騎兵。
兵が加わるたびに隊ごとの人数が確かめられ、野営地の割り当てが決められていく。
丘の上には、黒地に金の獅子を描いた大旗が立っていた。
その下で、一人の男が平原を埋める軍勢を見下ろしている。
「今、何人だ」
「一万二千を超えました」
側近が答えた。
「明朝までには、さらに三千が到着する予定です」
「遅い」
「途中の橋で荷車が詰まっております」
「兵だけ先に進ませるな。食料を置いてきた軍など、数に入らん」
「承知しました。橋の手前で部隊を分け、荷車を順番に渡らせます」
「西へ進む街道の状態は」
「斥候から報告が届いております。先日の雨でぬかるんだ箇所が二つございますが、通行は可能です」
「なら、夜明けと共に先発隊を出せ」
「国境へ向かうのでしょうか」
男が側近へ顔を向けた。
「アルヴェインが怖いか」
「そういう意味ではございません。ただ、国境近くへこれほどの軍を進めれば、アルベルト大公も兵を集めます」
「集めさせればいい」
「戦を?」
「まだ決めていない」
側近は困惑を隠せなかった。
「では、何のために西へ」
「見たいものがある」
「アルヴェインを、ですか」
「それもある」
男は再び軍勢へ目を向けた。
「ヴァイスブルクでベルン伯爵が敗れたそうだな」
「はい。アルベルト大公は追撃せず、軍を退かせました」
「らしい判断だ」
「アルベルト大公をご存じなのですか?」
「何度か会った。向こうは、私と会いたくないようだがな」
男は楽しそうに笑った。
「それから、妙な小姓を拾ったらしい」
「アレク・ハルトマンという少年でしょうか」
「ああ。十五歳で、素性は分からん。近隣の村から兵を集め、夜襲を見抜き、騎兵の動かし方にも口を出した」
「報告だけを信じれば、ですが」
「だから会って確かめる」
「小姓一人へ会うために、一万を超える軍を動かしたと?」
「まさか」
男の笑みが深くなる。
「これは別の用だ。だが、近くまで行くなら、面白いものは見ておきたい」
風を受け、頭上の旗が大きく翻った。
黒い布の上で、金の獅子が爪を立てている。
「レオンハルト殿下」
側近が改めて呼びかけた。
「先発隊へ、どこまで進むよう命じますか」
グランヴァルト第一王弟レオンハルト・フォン・グランヴァルトは、西の暗闇へ目を向けた。
「国境が見えるところまでだ」
「越えますか?」
「アルベルトの顔を見てから決める」
側近が一礼し、丘を下りていく。
やがて野営地の一角で角笛が鳴り、出発に備える命令が各部隊へ伝えられた。
一つの戦いを生き延び、ようやく城での暮らしを始めたアレクは、まだ知らない。
東から近づく軍勢の先にいる男が、これからの戦と政治を大きく動かす存在になることを。
アレクが知っている歴史とは異なる乱世が、静かに幕を開けようとしていた。
第十四話を読んでいただき、ありがとうございました。
ベルン伯爵の敗北は一つの戦いを終わらせる一方、周辺の諸侯や国家が動き出すきっかけとなりました。
未来を知ることはできなくても、アレクは過去と現在を比べ、見落としたものを確かめながら、生き残るための選択肢を増やそうとします。
今回で第一篇「乱世黎明」は完結です。次回から始まる第二篇では、東から進むレオンハルトの大軍と、アレクたちの新たな出会いを描きます。
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