↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『知らない世界で、前世の知識が武器になる』 ~剣と銃で乱世を生き抜く転生領主の成り上がり~  作者: 相田 ソウ
第六篇 乱世を動かす火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/167

第二十五話 崩れる盟約

お読みいただき、ありがとうございます。

王都軍の到着と敗戦の知らせが、イグナーツの陣中にも波紋を広げます。

一方、東へ進むレオンハルトたちの前には、敵が選んだ戦場が待っていました。

 男が椀を置いた時、向かいに座っていた兵が尋ねた。

「本当に、ご当主様がおられたのか」

 周囲には、夕食を受け取った兵が集まっていた。火のそばへ寄る者もいれば、少し離れた荷の上へ腰を下ろす者もいる。話している二人へ顔を向けなくても、声の届く距離だった。

 戻ってきた男は、右の頬に布を当てていた。

 椀を持っていた手を膝へ置き、頷く。

「おられた。旗の下に、御自分で立っておられた」

「黒獅子に捕らえられていたのではないのか」

「兵を迎えていた。肩を貸し、怪我人を運ばせていた。縄を掛けられているようには見えなかった」

 尋ねた兵が黙った。

 隣の男は、手にしていたパンを割ったまま止まっていた。

「戻った者は、どうなった」

「主君のところへ入った。武器はまとめさせられていたが、斬られてはいない」

「その後で、別の兵にされたのでは」

「知らん。そこまでは見ていない」

 男は答えた。

「だが、向こうへ行った仲間が、すぐ槍を持たされて戻ってきたわけではない」

 火が小さく鳴った。

 誰かが薪を押し込んだが、話を変える者はいなかった。

 最初に尋ねた兵が、声を落とした。

「なら、帰還の命が来れば」

「余計な話をするな」

 背後から声がした。

 イグナーツの直属兵が二人、立っていた。

 片方は椀を持っている。食事を取りに来たところで、話が耳へ入ったらしかった。

「勝手に戦列を抜けた者の話だ。見張りを増やされたいのか」

 座っていた兵たちが、互いの顔を見た。

 戻ってきた男は、頬の布を押さえたまま直属兵へ顔を向けた。

「主君の命令を聞いて動いた隊もいた」

「敵の前で抜ければ同じだ」

「同じではない」

 男は立ち上がった。

 足元に置いた椀へ、土が落ちた。

「帰れという命令が出た。主家の旗も見えた。それで戻ろうとした者へ、こちらから槍を向けた」

「止めただけだ」

「殺した」

 直属兵の口元が動いた。

 男は一歩近づいた。

「俺と同じ村の者がいた。負傷した仲間を運んでいた。その背中へ槍を入れたのも、止めただけか」

「だから、勝手に動かなければ」

「主君の命に従った者を斬っておいて、誰への忠義を口にしている」

 男の手が、相手の胸元を掴んだ。

 直属兵が腕を振り払い、肩を押す。よろめいた男の背を、近くの兵が支えた。

「手を離せ」

「先に、その口を閉じろ」

 拳が飛んだ。

 どちらからだったのか、火の向こうにいた者には見えなかった。

 椀が落ち、汁が土へ広がった。二人が倒れ込むと、もう一人の直属兵が間へ入り、男の襟を掴もうとした。

 その腕を、別の兵が押さえた。

「二人で掛かるな」

「邪魔をするな」

「そちらこそ」

 火の周囲から、人が立ち上がった。

 最初の二人を引き離そうとしていたはずの者まで、相手の肩を押し返し始める。直属兵の腰へ手が動くと、向かいの兵も短い刃物へ触れた。

「抜くな!」

 隊長の声が響いた。

 人の間へ入り、刃物へ伸びた腕を掴む。

「ここで誰を刺すつもりだ!」

 兵が手を止めた。

 隊長は、その腕を下ろさせてから振り返った。

「離せ。そちらもだ」

 地面で組み合っていた二人が引き離された。

 頬に布を当てていた男は、今度は唇からも血を流していた。直属兵は襟を直しながら、周囲を睨んでいる。

 隊長は双方の名を尋ねた。

 誰も、相手の傷を気遣わなかった。

 火の周囲へ戻る者もいなかった。

 こぼれた食事のそばで、倒れた椀だけが転がっていた。

 ◇ ◇ ◇

 その夜、見張りの交代に一人、現れなかった。

 寝ているのだろうと呼びに行った兵が戻り、荷もなくなっていると告げた。

 翌朝には、別の隊から三人が消えていた。

 同じ村の出身だった。

 槍は残されていたが、食べ物を包む布と水筒はなかった。誰かに捕らえられた跡もなく、寝ていた場所の藁だけが平らになっている。

 隊長は、残った兵へ尋ねた。

 見た者はいなかった。

 知らないのか、知っていて言わないのかも、分からなかった。

 次の夜には、陣の外で一組が捕まった。

 小用へ行ったと言ったが、一人は靴を替え、もう一人は荷を背負っていた。見張りが戻るよう命じると、二人は互いの顔を見てから、別々の方へ走った。

 一人は捕らえられた。

 もう一人は、暗がりへ消えた。

 故郷へ戻ろうとする者も、主君がどこにいるか確かめようとする者もいた。ただ戦場から離れたいという者もいる。

 イグナーツのもとへ、報告が重なった。

「見張りを増やせ」

 彼は命じた。

「隊ごとに人数を確かめろ。朝にいた者が、夕方もいると思うな」

 直属兵が、諸侯の隊の外側へ配置された。

 その日のうちに、別の揉め事が起きた。

 自家の荷車を移そうとした家臣が止められ、隊長が説明に出た。そこへ当主自身が来て、見張りの騎士と向かい合った。

「荷を動かすにも、許しが要るのか」

「陣を離れる者が出ております」

「我が家の者だ。行き先は私が知っている」

「伯爵閣下の御命令です」

 当主は、その言葉を聞いて顔を硬くした。

「我が家の兵を、閣下の許しがなければ動かせぬというのか」

 騎士は答えなかった。

 周囲に、自家の兵が集まり始めていた。

 荷車の前に立つ見張りと、その向こうにいる家臣。

 今は剣を抜いていなくても、どちらも相手へ背を向けようとはしていなかった。

 その当主は、夕方の軍議へ出なかった。

 代わりに、家臣が書状を持ってきた。

 領内の守りを立て直すため、自家の兵を引き揚げるという内容だった。

 イグナーツは使者を呼び止めた。

「今、この時にか」

「主の命にございます」

「黒獅子が来れば、その領地も守れなくなる」

 家臣は頭を下げたが、書状を持ち帰ろうとはしなかった。

 翌朝、その家の旗は陣になかった。

 無断で逃げた兵とは違う。当主が命じ、隊長が兵をまとめ、家の旗を掲げたまま去っていた。

 その動きを見た者たちは、何も知らないまま残ることができなくなった。

 隣の隊へ、帰還命令が届いていないか尋ねる者が増えた。

 主君からの書状を、途中で取り上げられているのではないかという話も出た。

 見張りを増やしても、疑いまで止めることはできなかった。

 ◇ ◇ ◇

 イグナーツは、机へ置かれた記録を見た。

 前の報告と、数字が合わなかった。

 隊を離れた者が出ているのに、同じ人数を記している家がある。戻ってきた敗残兵の数を、そのまま戦える者として書き直した隊もあった。

「これは、いつ確かめた」

 書記が答える前に、横の騎士が口を開いた。

「昨日、隊長より」

「昨日の数を読むな」

 イグナーツは紙を返した。

「今、旗の下に立っている者を数えろ」

 騎士が一礼した。

 外では、兵を集める声がしていた。

 名を呼び、返答を待つ。

 返事がないと、もう一度呼ぶ。

 それでも誰も出てこなければ、近くの者に居場所を尋ねる。

 その間に、別の隊から伝令が来た。

 さらに二人がいない。

 一人は朝の食事を受け取っていた。

 もう一人は、昨夜から姿を見ていないという。

 イグナーツは、途中の報告を止めさせた。

「隊ごとにまとめろ。同じ者を、別々の報告へ入れるな」

 数え直しが終わったのは、日が高くなってからだった。

 今、兵を並べられる者は約四千二百。

 先に数えた五千三百ほどから、千人以上が減っていた。

 その全てが一人ずつ逃げたのではない。主君に率いられて去った隊もあり、見張りの目を避けて抜けた兵もいた。

 だが、理由を分けて書いても、目の前へ戻るわけではなかった。

「残った者は、命令を聞くのか」

 イグナーツが尋ねた。

 騎士は、答えるまでに少し間を置いた。

「直属の兵は、揃えております。諸侯の隊も、残ると答えた家を中心に組み直しました」

 イグナーツは地図を引き寄せた。

 去った家の印を外し、残った印を寄せる。

 広く置いたままでは、隊と隊の間を守れなくなっていた。

 彼は街道の狭まる場所を指した。

「正面に千六百。北と南へ七百ずつ。残る千二百を、後ろへ置く」

 書記が書き留めた。

 西から来る街道は、低い丘の間で幅を失う。北側には歩兵が登れる斜面があり、南側には足場の悪い起伏が続いていた。

 城は、そこからさらに東にある。

 ここで止めれば、黒獅子は城へ向かう前に兵を使う。

 そのために選んだ場所だった。

「北の七百は、前と奥へ分ける」

 イグナーツは、街道へ近い低い高所へ印を置いた。

「手前に三百。奥に四百。前の兵だけで追い下りるな。取られても、奥の兵まで一緒に崩れることのないようにしろ」

「南は」

「街道へ寄せすぎるな。騎馬を通せぬ場所を使え。敵の歩兵が回れば、こちらから知らせろ」

 騎士たちは地図を見ていた。

 陣から消えた者を追うための命令ではなかった。

 残った四千二百人で、迫る軍をどう止めるかという命令だった。

 イグナーツは、机に残る空いた場所へ目を落とした。

 そこには、去った家の印が置かれていた。

 彼はそれを戻さなかった。

「前へ出る。持ち場へ着いた隊から、道を確かめさせろ」

 騎士が天幕を出た。

 外で角笛が鳴る。

 応じて動く兵は、数日前より少なかった。

 それでも、槍を取り、盾を肩へ掛ける者たちは残っていた。

 ◇ ◇ ◇

 カスパルが見つけたのは、東へ向かう軍ではなかった。

 北へ離れていく、小さな一団だった。

 騎馬は少なく、歩兵が荷車を囲んでいる。旗は畳まれていたが、先頭へ立つ男の服には、見覚えのある紋章があった。

 遠くから見張っていた騎手が戻ってきた。

「こちらへ向かう様子はありません」

「人数は」

「二百に届くかどうか。荷車が三台です。見えない列が、林の向こうへ続いているかもしれません」

 カスパルは頷いた。

 全部を数えたことにはしなかった。

「追うな。道を戻る者を見張れ。敵の陣へ知らせに行く騎馬がいるかどうかだ」

 騎手が引き返した。

 その日の午後には、別の場所でも小集団が見つかった。

 旗はない。槍を持たない者もいた。

 見張りの騎馬へ気づくと、道を外れて姿を隠したという。

 カスパルは、その報告をまとめてレオンハルトへ送った。

 敵から兵が離れている。

 ただし、どれだけ減ったかまでは分からない。

 それを、同じ紙へ書かせた。

 レオンハルトの軍は、二つの道を使って進んでいた。

 先へ出た部隊が集結地点で待ち、後から来た歩兵と荷を迎える。火槍隊も坂を抜け、指揮役ごとに人数を確かめてから合流した。

 六千四百十四人が、一つの街道へ細長く並んだまま敵へ向かうことは避けられていた。

 レオンハルトは、カスパルから届いた紙をマティアスへ渡した。

「引き揚げる家も出たようだ」

「王都軍が加わったことは、もう伝わっているでしょう」

 マティアスは答え、紙の末尾を見た。

「ですが、残った数までは分かりませんね」

「ああ」

 レオンハルトは、東へ続く道を見た。

 逃げる兵を見たというだけで、その先の全てが逃げたことにはならない。

 そこへ、別の騎手が戻ってきた。

 馬の首に汗が浮いていたが、騎手は慌てて声を上げなかった。止まって一度息を整え、レオンハルトへ向き直る。

「街道の先に、敵がおります」

「陣を張ったか」

「はい。道の両側です。最初は旗が見えず、前に兵がいないように見えました。ですが、北の高いところに弓が見えました」

 カスパルも後から戻ってきた。

 地図を開き、騎手の見た場所へ指を置く。

「道から少し引いて、起伏の向こうへ置いています。街道を進めば、近づいてから両側へ顔を向けることになります」

「前には」

「盾と槍です。数は、もう少し見なければ分かりません。ですが、逃げる支度ではありません」

 レオンハルトは頷いた。

「数が減ったからといって、向こうの選んだ場所へ並んで入る必要はない」

 王都軍の指揮官が、地図の北側を見た。

「まず、こちらを確かめます」

「騎馬を追い回す場所ではない。歩兵がどこまで上がれるかを見ろ」

「承知しました」

 軍の前進が緩められた。

 後ろの隊へも、止まる場所が伝えられる。

 兵たちは、まだ見えない敵へ向かって歩き続けるのではなく、隊を保ったまま街道の西側へ展開し始めた。

 ◇ ◇ ◇

 アレクが前へ出た時、地形は地図よりもはっきりしていた。

 西から来た街道は、東へ進むほど狭くなる。その両側には低い丘があり、道だけを見て進めば、上から兵に見下ろされる形だった。

 北側の手前には、一段低い高所がある。

 さらに奥にも起伏が続いていたが、最初の高所を取らなければ、その向こうに何人いるかも見通せなかった。

 南側は、馬を横へ広げられるような地形ではない。歩兵を回すにしても、窪みと斜面を一つずつ確かめる必要があった。

 マティアスがアレクの横へ来た。

「街道の正面へ、火槍隊を置くのは難しいか」

「置けても、撃てる正面が狭くなります。両側の敵まで同時には狙えません」

 アレクは北側へ目を向けた。

 手前の高所の西には、斜面へ上がる前に兵を並べられる土地があった。緩い傾きはあるが、銃を構えた兵が足を揃えられる。

 ただし、その先には高所の縁がある。

 敵が下がっていれば、姿は見えなかった。

「北側へ置きたいです」

 アレクは言った。

「手前の高所へ上がる兵を助けます。敵が縁へ出れば撃てますが、向こうへ隠れたままの相手には届きません」

「地面の向こうまで撃てるとは考えていない」

 マティアスは答えた。

「こちらが上がれば、止めるために出てくるだろう」

 王都軍の指揮官が、歩兵の隊長を伴って近づいた。

 隊長は、先に道を見てきていた。

「西側から上がれます。急なところもありますが、足を掛けられます。北へ少し寄せれば、射手の前を横切らずに待てる場所がございます」

 アレクは、その場所を確かめた。

 火槍隊は高所の西、やや南寄りから東へ向ける。

 上がる歩兵は、その北側に寄せて待たせる。

 撃つ間、歩兵が高所の正面へ入らなければ、射線を分けられる配置だった。

「前へ出る歩兵の端を、あの低い岩より北へ置いてください」

 アレクは指した。

「その南を撃ちます。射撃を始めた後は、合図が届くまで岩の先へ入らないでください」

 隊長が岩を見た。

「分かった。隊の端に、指揮する者を立たせる」

 レオンハルトが近づき、配置を聞いた。

 王都軍から歩兵六百人を出す。

 その外側にはヴィクトルの歩兵三百人を置き、さらに北から回る敵を警戒させる。高所へ向かう六百人の後ろを、横から突かせないためだった。

 火槍隊は三百四十人をまとめて動かす。

 この攻撃へ向けるのは、歩兵九百と火槍兵三百四十。

 残る歩兵四千二百七十三人と騎兵の人員九百一人は、街道正面、南側、後方へ備えを保つ。全員を北側の斜面へ集めることはしなかった。

「取るのは、手前だ」

 レオンハルトは隊長たちへ言った。

「上がった先で敵が退いても、そのまま追って奥へ入るな」

「承知しました」

「向こうが兵を足せば、こちらから知らせる。自分の見える場所だけで、勝ったと思うな」

 アレクは頷いた。

 高所を一つ取るための攻撃だった。

 それでも、ここを押さえれば、街道の北側から受ける攻撃を一つ減らせる。

 敵の選んだ場所へ、正面から押し込むだけではなくなる。

 ◇ ◇ ◇

 北の手前を守る隊長は、西側で兵が動くのを見た。

 街道へ並んでいた盾の一部が、こちらへ向きを変えている。

 その後ろには、長い筒を持つ兵がいた。

「弓を前へ」

 隊長は命じた。

 三百人のうち、弓を持つ者を高所の縁へ寄せる。盾と槍を持つ兵は、その後ろから西斜面を見下ろした。

 逃げてきた兵の話は聞いていた。

 火槍は一度鳴って終わるものではない。前の射手が下がれば、次が出る。

 だから、撃った後を待って走り下りろとは命じなかった。

「深く追うな。登ってきた者を落とせ。筒が並ぶ前に、弓を入れろ」

 弓兵が弦を引いた。

 西側から進んでくる盾兵へ、矢が放たれる。

 先頭の盾が上がった。

 兵たちは走らなかった。斜面の下まで進むと、北寄りへ列を整え、後ろの者を待っていた。

 隊長は眉を寄せた。

 その兵たちを追い払うには、縁から槍を見せるだけでは足りない。足を掛けて上がり始めれば、盾の上へこちらの槍を落とさなければならなかった。

「前へ。縁を渡すな」

 盾と槍が進んだ。

 高所の上で待つだけだった列が、西側へ寄る。

 その下で、火槍兵の銃口が上がり始めていた。

 ◇ ◇ ◇

 アレクは、岩の北側へ寄った歩兵を見た。

 王都軍の六百人だった。

 前の兵が盾を掲げ、後ろの兵が斜面を見ている。既に矢が届き、盾へ刺さっていたが、列を崩して登る者はいなかった。

 歩兵の隊長につけた伝令が、アレクのもとへ戻った。

「位置につきました。合図を待つとのことです」

「分かりました」

 アレクは東を見た。

 高所の縁へ、敵の盾が現れている。

 その後ろに、弓を持つ兵が立っていた。全員の姿が見えるわけではない。身を低くした者は縁の陰へ消え、前へ出た者の胸と肩だけが現れる。

 アレクは、見えている敵と歩兵の位置を確かめた。

 味方は射線の北側にいる。

 敵の後ろにも、味方はいない。

 ギルベルトが、各班の報告を受けていた。

「一班、装填完了」

「二班、装填完了」

「三班、装填完了」

 アレクは頷いた。

「高所の縁です。見えなくなった敵を、無理に追って撃たせないでください」

 ギルベルトが前へ向いた。

「一班、前へ!」

 百十三人が進む。

 足を置く場所を確かめ、鉄筒を抱え直す。平らな畑とは違い、隣の兵と同じ高さへ銃口を揃えればよいわけではなかった。

 指揮役が列の端を見た。

 弓がこちらへ向いた。

「盾を上げろ!」

 護衛の声とともに、矢が飛んできた。

 射手の前と脇にいた盾兵が受ける。その間を抜けた矢が土へ刺さり、アレクの近くで一本が跳ねた。

 アレクは目を伏せなかった。

 高所の敵が、こちらを見ていた。

「火蓋開け! 構え!」

 ギルベルトの声が響いた。

 赤い布が上がる。

 銃口が、高所の縁へ向いた。

 盾を立てていた敵の一人が、隣へ体を寄せる。後ろの弓兵は、次の矢をつがえようとしていた。

「撃て!」

 布が下りた。

 百十三挺が、一斉に鳴った。

 白煙が前へ噴き出し、高所の縁にいた盾兵が後ろへ倒れる。隣の男は膝を折り、支えを失った盾が斜面を滑った。

 槍が一本、空へ跳ねるように傾いた。

 弓を持っていた兵が身を捻り、その後ろの者へぶつかる。前列にできた穴を覗こうとした男が、すぐに頭を下げた。

 王都軍の歩兵の前にも、倒れた盾が転がってきた。

 先頭の一人が、足を動かしかけた。

「まだだ!」

 隊長が止めた。

「待て。こちらの合図まで動くな!」

 盾の列が保たれた。

 アレクはその動きを見てから、再び高所へ目を戻した。

「一班、火縄上げ! 後退!」

 射手たちは火縄ばさみを手で上げ、後ろへ下がり始めた。

 その横を、二班が前へ進む。

 敵は縁から姿を消しかけていた。

 だが、歩兵はまだ斜面の下にいる。ここを空ければ、そのまま登られる。

 高所の隊長が、後ろの兵を呼んだ。

 盾を持つ者が前へ出る。

 先ほど倒れた兵を引き寄せる者と、代わって槍を下ろす者が、狭い縁で重なった。

 アレクは、その動きを見た。

 銃声に驚いて無闇に走ってきたのではない。

 守る場所を埋め直すために、出てきていた。

「二班、正面の盾です」

 ギルベルトが命令を伝えた。

「火蓋開け! 構え!」

 煙が横へ流れていた。

 百十四人が、露わになった敵へ銃口を向ける。

 赤い布が振り下ろされた。

「撃て!」

 二度目の轟音が響いた。

 前へ出た盾が揺れ、その後ろの男が倒れた。縁へ足を置いたばかりの兵が踏み外し、槍を放して斜面へ転がる。

 高所の隊長が、身を低くしながら腕を振っていた。

 弓兵が数人、その声へ応じた。

 火槍隊の正面を避け、少し横から弓を引く。

 矢が飛んだ。

 後ろへ下がりかけていた一班の兵が、腕を押さえて止まった。

 隣の者が銃を受け取り、補給の兵が男を列の外へ引く。アレクはそちらへ向きかけたが、ギルベルトが先に指揮役を呼んでいた。

「負傷者を下げろ。後退する道を空けておけ」

 アレクは高所へ顔を戻した。

 三班が前へ出る。

 敵の弓は、まだ止まっていない。

 だが、盾と槍の列は、最初のようには揃わなくなっていた。負傷者を引く者が縁へ残り、その横で別の兵が西斜面へ槍を向けている。

 アレクは、北の岩を見た。

 王都軍は、まだ待っていた。

 前列の兵の盾には矢が刺さっている。身を低くした者もいるが、射線へ踏み出す者はいなかった。

「三班の後で、歩兵を入れます」

 伝令へ告げた。

「射撃が終わったと知らせてからです。今は、まだ動かさないでください」

 伝令が頷いた。

 ギルベルトが三班を整えた。

 百十三人の銃口が、高所へ向く。

「火蓋開け! 構え!」

 敵の隊長は、弓兵へ下がれと叫んでいた。

 だが、前の盾兵まで一緒に引けば、登ってくる歩兵を止める者がいなくなる。

 数人が残り、槍を握り直した。

 アレクは、その姿を見た。

「撃て!」

 三度目の銃声が、斜面へ響いた。

 槍を下ろしていた男が崩れた。

 後ろから支えようとした兵が、倒れた体を抱えたまま膝をつく。別の盾兵は身を伏せ、隣にいた者が立ち上がるのを待っていた。

 立ち上がる者は、すぐには現れなかった。

「三班、火縄上げ! 後退!」

 射手が下がる。

 その列へ飛んできた矢を、盾兵が受けた。一本が縁を越え、三班の兵の肩へ刺さる。男が銃を落としかけると、隣の兵が木台を掴んだ。

 ギルベルトが人を呼んだ。

 アレクは伝令へ手を下ろした。

「射撃終了。歩兵、前進です」

 伝令が走った。

 アレクは、次の装填を終えようとしている一班へ声を掛けた。

「前へ出ないでください。これから味方が入ります」

 高所には、まだ敵がいた。

 だが、その間へ味方が進む。

 撃てる銃があっても、同じ場所へ撃ち続けることはできなかった。

 ◇ ◇ ◇

 王都軍の隊長は、戻ってきた伝令の声を聞いた。

 剣を上げる。

「前へ! 列を崩すな!」

 先頭の兵が、岩の北側から斜面へ入った。

 盾を上へ向け、足を掛ける場所を探す。後ろの者が詰めすぎないよう、隊の中から繰り返し声が飛んだ。

 六百人が、一度に同じ場所へ駆け上がるのではなかった。

 前の隊が上がり、その後ろへ次が続く。脇には、足を滑らせた者を起こす兵がついた。

 高所から槍が伸びた。

 先頭の盾へ突き当たり、兵の上体が反る。

 後ろの男が背を支え、別の槍が盾の脇から上へ向いた。

 敵が引いた。

 その隙へ、先頭の兵が片膝を乗せた。

「上がれ!」

 隊長が叫んだ。

 矢が降った。

 一人が頬を押さえ、斜面へ座り込んだ。後ろの兵がその脇を抜け、盾を高く掲げる。

 高所の縁から、今度は剣を持つ男が出てきた。

 味方の槍を払い、登りかけた兵の肩へ刃を向ける。

 盾が間に入った。

 刃が縁へ食い込み、その間に、別の兵が相手の脚へ槍を突き出した。

 敵が後ろへ跳んだ。

 最初の兵が、高所へ上がった。

 すぐには走らず、盾を前へ向けて後ろの仲間を待つ。

 二人目が上がり、三人目が並ぶ。

 高所の上で、味方の盾がつながり始めた。

 敵の隊長は、残った兵を呼び寄せていた。

 前へ出る者はいる。

 だが、その後ろでは、負傷した仲間を運び出す兵も動いていた。火槍に崩された場所を埋めるだけで、兵の並びが何度も変わっていた。

 そこへ、下から登ってくる盾の列が加わった。

「押せ!」

 王都軍の隊長が、高所へ足を掛けながら命じた。

 前の兵が半歩進む。

 敵の盾とぶつかり、木が鳴った。

 横へ伸びた槍が、味方の盾兵の脇へ入った。男が崩れ、その場所へ後ろの兵が盾を寄せる。

 倒れた者を越えて走るのではない。

 足元を空け、隣と並び直しながら、少しずつ前へ出る。

 敵は、奥へ下がり始めた。

 隊長が退く場所を示し、まだ動ける者へ旗を追わせる。倒れた者を全て運び出す余裕はなかった。

「東へ! 奥の隊へ入れ!」

 声が飛んだ。

 敵の一団が、高所の向こうへ消えていく。

 その背を追いかけようとした味方へ、王都軍の隊長が怒鳴った。

「止まれ! ここを取れと言われたはずだ!」

 兵が足を止めた。

 隊長は剣で左右を示した。

「盾を並べろ。向こうへ降りるな!」

 後続が上がってくる。

 高所の縁へ、今度は王都軍の盾が並び始めた。

 ◇ ◇ ◇

 ヴィクトルは、北側のさらに外を見ていた。

 正面では、王都軍が登っている。

 その声と金属の音が聞こえても、自分の三百人を同じ場所へ寄せることはしなかった。

 奥から出てきた敵が、北を回ろうとしていた。

 人数は多くない。

 だが、斜面へ登る兵の横へ槍を向けられれば、先頭よりも後ろが崩される。

「左へ向けろ」

 ヴィクトルが命じた。

 盾の端が動いた。

 敵は、それを見てもすぐには退かなかった。先頭の兵が槍を下ろし、その後ろから弓を持つ者が顔を出す。

 矢が来た。

 ヴィクトルの隣で、盾兵が首を縮めた。

 その向こうの兵が、膝をついた。

「負傷者を下げろ。列は、そのままだ」

 ヴィクトルは敵を見た。

 ここから追いかければ、北側の斜面を空ける。

 相手も、それを待っているかもしれなかった。

 敵の先頭が近づき、槍が盾を叩いた。

 味方の槍が返る。

 押し合いが始まった時、高所の上で声が上がった。

 王都軍の旗だった。

 敵も、それを見た。

 回り込もうとしていた一団の後ろから、戻れという声が飛ぶ。前の兵がすぐには引けず、盾を向けたまま何歩か下がった。

 ヴィクトルは追わせなかった。

「行かせろ。奥に、まだいる」

 敵は北東へ退いた。

 その先には、手前から逃れた兵を受け入れる別の隊があった。

 高所を取ったからといって、北側全体が空になったわけではなかった。

 ◇ ◇ ◇

 アレクは、撃たせずに待っていた。

 高所の上には味方の盾がある。

 敵の姿がその向こうへ見えても、銃口を向けられる場所ではなかった。

 ギルベルトが戻ってきた。

「二人、戦列から下げました。一班と三班から一人ずつです」

「傷は」

「手当てを受けさせています。銃は、こちらで預かっております」

 アレクは頷いた。

 一班百十二、二班百十四、三班百十二。

 戦える射手は三百三十八人になった。

 三班が一度ずつ撃ち、使った弾は三百四十発。負傷した二人は、どちらも自分の射撃を終えた後に矢を受けていた。

 各班の指揮役から、次弾の装填が終わったとの報告が届く。

 アレクは、銃口を上げて待たせた。

 前へ出せばよいわけではない。

 高所へ上がる道には、まだ歩兵と負傷者がいた。

 王都軍の隊長が、斜面を下りてきた。

 盾を従者へ預けていたが、剣は手に持っている。刃についた土を布で拭き、アレクの前で止まった。

「取った」

「見えました」

「先に撃ってもらわねば、縁で押し返されていた。登ったところで、盾を並べる場所がなかったはずだ」

 アレクは高所を見た。

 上では、兵が負傷者を運んでいた。

「場所を守ってくださったから、射撃を終えられました。途中で前へ入られていれば、三班まで撃てませんでした」

 隊長は、短く息を吐いた。

「待てと言うのも、楽ではないな」

 先頭の兵は、敵が倒れるのを見ていた。

 そのまま上がれば、間に合うと思った者もいただろう。

 だが、次に鳴る銃の前へ入れば、味方まで危険にさらす。

 隊長は、後ろにいる射手を見た。

「次も、こちらから動く時には知らせる」

「お願いします」

 アレクは頭を下げた。

 隊長は、それ以上長く話さずに戻っていった。

 高所の上では、まだ自分の兵が待っている。

 アレクもギルベルトへ向き直った。

「射手は、まだ上げません。先に足場と、荷を運ぶ道を確かめます」

「銃を並べる幅もですね」

「はい。上がっただけで、撃てると思わないように」

 ギルベルトが指揮役を呼んだ。

 アレクは、王都軍の隊長が通った道へ向かった。

 ◇ ◇ ◇

 レオンハルトのもとへ、北側から報告が届いた。

 王都軍の歩兵六百人のうち、三人が戦死し、十二人が戦列へ戻せない傷を負った。

 外側を守ったヴィクトルの三百人は、一人が戦死、四人が負傷して下がった。

 火槍隊は二人が負傷して離脱。

 今回の攻撃で、戦える人員から二十二人が外れた。

 六千四百十四人から六千三百九十二人。

 歩兵五千百五十三、騎兵の人員九百一、火槍兵三百三十八となる。

 マティアスは報告をまとめ、負傷者を運ぶ場所へ伝令を出した。

 王都軍の指揮官は、高所を見ていた。

「兵を替えますか」

「まず、上がった者の列を整えろ」

 レオンハルトが答えた。

「全員を一度に入れ替えて、道を詰まらせるな。運ぶ者を先に下ろせ」

「承知しました」

 カスパルからも知らせが来た。

 北側の奥には、まだ敵が残っている。

 手前から退いた兵も、その隊へ入っていた。逃げた者が全て陣を捨てたわけではなく、旗の下で並び直そうとしているという。

「奥の隊は、こちらへ出てくるか」

「今のところ、守りを固めています。後ろへ伝令を出したのは見えました」

 レオンハルトは東を見た。

 イグナーツの軍は、まだいる。

 街道の正面にも、南側にも兵が残る。

 だが、北の手前から街道を見下ろしていた敵は、そこを離れた。

 マティアスが地図へ置いた印を、一つ動かした。

 戦場全体から見れば、小さな移動だった。

 それでも、次に進む兵が受ける槍と矢の向きは変わる。

 レオンハルトは、王都軍の指揮官へ顔を向けた。

「兵へ伝えろ。取った場所を守ったことも、命令を待ったことも、見ていたとな」

 指揮官が一礼した。

 今度は、その返答に迷いがなかった。

「必ず伝えます」

 ◇ ◇ ◇

 イグナーツは、北から来た伝令を立たせたまま報告を聞いた。

 手前の高所を失った。

 火槍の射撃を受け、その後から王都軍の歩兵が上がってきた。

 前へ出した三百人のうち、退けた者は奥の四百人へ合流している。死傷者と、まだ戻っていない者の数は確かめているところだった。

「奥まで追ってきたか」

「いえ。取った場所で止まっております」

 イグナーツの指が、机の上で止まった。

 勢いに任せて追ってくれば、残していた兵を当てられた。

 狭い斜面へ騎馬まで入れてくれば、別の場所から圧力をかけることもできた。

 だが、黒獅子の軍は止まっていた。

 取った場所へ盾を並べ、その後ろを確かめている。

「北の奥は動かすな」

 イグナーツは命じた。

「戻った兵を分け、まだ使える者を列へ入れろ。手前を取り返そうとして、勝手に下りるな」

「援軍は」

「こちらで決める。正面を空けてまで、全員を北へ寄せるな」

 伝令が去った。

 イグナーツは地図を見た。

 陣を抜けた兵によって、守る範囲を縮めた。

 その縮めた守りの一端を、今度は敵に取られた。

 残る兵を動かせば、別の場所が薄くなる。

 動かさなければ、黒獅子は取った場所から次を選ぶ。

 彼は後ろに控える騎士を呼んだ。

「予備の隊長を集めろ」

 声は低かった。

 外では、北から戻った負傷者を運ぶため、荷車が動かされていた。

 ◇ ◇ ◇

 高所へ上がると、アレクには街道の先が見えた。

 敵の盾が並んでいる。

 西から見ていた時には、起伏の陰へ隠れていた兵だった。

 さらに東には旗があり、その間を騎馬が走っていた。北の奥にも、手前から退いた兵を迎える列がある。

 ここへ三百三十八人を上げれば、すぐ全てへ撃てるわけではなかった。

 高所の上にも傾きがあり、歩兵の盾と銃口の位置を分ける必要がある。補給の荷を上げる道を塞げば、次弾を運ぶ者まで止まる。

 アレクは、同行した指揮役へ場所を示した。

「あの端まで見てください。敵から見える場所へ、一人で立たないように」

 男が頷き、盾兵とともに移動した。

 ギルベルトは斜面の途中を見ていた。

 負傷者を下ろす者と、盾を運び上げる者が、順番に通っている。

「こちらを上げるなら、もう一つ道を空けていただきたいです」

「マティアス様へ伝えます」

 アレクは答えた。

 その時、後ろから馬の足音がした。

 レオンハルトは斜面の下で馬を預け、歩いて上がってきた。

 王都軍の隊長が姿勢を正そうとすると、手で止める。

「前を見ていろ」

 レオンハルトは盾の後ろへ入り、敵の旗を見た。

 風が吹いた。

 銃の煙は、もう薄くなっていた。

 アレクが隣へ立つと、レオンハルトは高所の縁へ目を向けた。

「使えるか」

「場所を選べば。ただ、全員を上げる前に、歩兵と道を分けたいです」

「確かめろ。急いで並べて、下がれなくなるな」

「はい」

 レオンハルトは、東で動く騎馬を見た。

 敵はまだ命令を送っている。

 逃げる者が出ても、仲間同士で争っても、最後まで残る者はいた。

 その軍を崩すために、ここまで来た。

 レオンハルトは後ろの隊長たちへ向き直った。

「取った場所を空けるな。ここから、残りを動かす」

 命令を受けた伝令が斜面を下りていく。

 西では、まだ多くの兵が次の合図を待っていた。

 王都から来た盾も、東部の街道を戦ってきた槍も、その列の中にある。

 アレクは、眼下の敵へ目を戻した。

 イグナーツが選んだ戦場に、こちらの兵が立つ場所が一つできていた。

第二十五話を読んでいただき、ありがとうございました。

火槍隊の射撃と王都軍の歩兵が、初めて実戦でかみ合いました。

手前の高所を得たレオンハルトたちは、残る敵の守りへどう攻め込むのか。次の戦いへ続きます。


少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ページ下部にある【ブックマークに追加】や【★★★★★】での評価で応援していただけると、執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。