Ver.1 JUGGERNAUT Chapter 4-1 スリーピング・カラミティ
武闘会を終え、静けさを取り戻したアーシュラ侯爵家。
寝台には、魔力を使い果たしたリゼルが眠っている。
その傷を癒やすソーマと、傍らで涙を流すメア。
ルドラも、ドゥルガーも、そしてリゼルも――全員が限界まで戦った。
激しかった一日の終わり。
眠れる小さな災厄は、果たしていつ目を覚ますのでしょうか。
リゼルが運び込まれた客室には、先ほどまでの死闘が、まるで、遠い夢であったかのような、静けさが満ちていた。厚い緞帳の隙間から漏れる、夜更けの淡い月明かりだけが、室内をぼんやりと照らしている。壁際の燭台に灯された火は、微風にも揺らぐことなく、ただ、静かに燃え続けていた。
寝台の上では、薄紫色の寝衣に着替えさせられたリゼルが、目を閉じたまま、横たわっている。あれほどの激闘を繰り広げた後だというのに、その寝顔は驚くほど穏やかだった。血と砂に塗れていたはずの白銀の髪も、丁寧に梳かれ、枕の上に絹糸のように広がっている。
その傍らでは、ソーマが痛む体を押しながら、両手を、そっと、リゼルへとかざしていた。赤褐色の柔らかな光が、傷だらけの小さな体を優しく包み込んでいく。頬に刻まれていた裂傷が、糸を引くように、閉じていった。青黒く腫れ上がっていた首元の痣も、少しずつ、少しずつ、元の健やかな肌の色を取り戻していく。
オルディアスは、腕を組んだまま、寝台から少し離れた場所に立ち、その一部始終を黙って見つめていた。娘の傷が塞がっていくその一つ一つを見届けるように。メアもまた寝台の端に付き添いながら、幾度も、幾度も、袖口で涙を拭っていた。声を上げることさえ憚られるような、張り詰めた沈黙が、室内を支配している。
「……これで、傷はほとんど塞がったと思います」
やがて、ソーマは両手を静かに下ろした。額には、うっすらと汗が滲み、息も僅かに乱れている。己自身、まだ、満身創痍だというのに、その顔には、疲労よりも、安堵の色の方が色濃く滲んでいた。
「魔力を限界近くまで使われたようですので、すぐには目を覚まされないかもしれません。ですが、命に別状はございません」
「かたじけない、ソーマ殿」
オルディアスは、深く、頭を下げた。大侯爵家の当主が、他家の子息に対して、これほどまでに深く頭を垂れることなど、本来あってはならないことだった。それでも、今この瞬間だけは、そうした体裁を気にする余裕さえなかった。
「自身も、決して軽くはない傷を負われているというのに、娘のために、ここまでしてもらい感謝する」
「いえ。この程度のことしか、私にはできませんから」
ソーマは、穏やかに首を横へ振った。その声には、謙遜だけでなく、己の非力さを静かに噛み締めるような響きも、僅かに混じっている。
「それに、リゼル嬢には、ルドラとディが随分とお世話になりました」
「世話というには、随分と悲惨な有様だったがな」
「ははは……」
ソーマは、困ったように笑った。その笑みには、身内の不始末を詫びるような申し訳なさと、それでも隠しきれない、兄としての誇らしさとが同居していた。
「ですが、あの2人も心から楽しんでいたと思います。あれほど、全力で戦えたのは初めてだったでしょうから」
「そうか」
オルディアスは、眠る娘へと視線を落とした。
「ルドラ殿と、ドゥルガー嬢の容体は」
「2人とも、先ほど治療を終えました。しばらくは動けないでしょうが、命に別状はございません」
「それを聞いて、安心した」
「ルドラは、目を覚ませば、すぐに再戦を申し込むでしょう。ディも、自分は負けていないと言い張ると思います」
「目に浮かぶな」
オルディアスの口元に、僅かな笑みが浮かんだ。この数日で、すっかり見慣れてしまった、アーシュラ家の兄妹の気性を思えば、その光景は、あまりにも容易く想像がついた。
それから、ふと、思い出したように、自らの懐へと手を差し入れる。
「あぁ、それとソーマ殿。私からも、貴殿へ渡したいものがある」
そう言って、オルディアスが懐から取り出したのは、精緻な細工の施された、小さな瓶だった。中には、金色に輝く、とろりとした液体が、揺らめいている。それだけで、並のものではないと一目で分かる神々しいまでの輝きだった。
その瓶を見た瞬間、ソーマの表情が大きく変わった。
「そ、それは……アンブロジア、ですか……!?」
その声には、隠しきれない驚愕が滲んでいた。
「さすが、聡明なソーマ殿だ。一目で分かるとは、思わなかったよ」
オルディアスは、そう言って満足げに目を細めた。
「オルディアス様、それは、いったい……」
「なに、貴殿への、礼だ。受け取ってくれ」
「そんな、そんな貴重なものは、受け取れません……!」
ソーマは、慌てて、そう首を振った。アンブロジアといえば、この魔界においても、市場に出回ることの少ない、超高級の秘薬だ。買えぬものでは、決してない。だが、いかなる傷も、いかなる呪いすらも、瞬く間に癒すというその効能に見合うだけの対価は、莫大なギルティを積んでこそ、ようやく釣り合う。並の家門が、気軽に贈り物として用意できる代物ではなかった。侯爵家の嫡男であるこの身であっても、気軽に受け取ってよいものでは到底なかった。
「娘の治療費代わりだよ」
オルディアスは、そう言うと瓶をソーマの手へと、なかば強引に握らせた。
「それに、心配するな。それは、先日、攻め入ってきた天界の軍を率いていた者から奪ってやった戦利品だ。むしろ、そんなものを貴殿に贈るのは、申し訳なく思うが……それで、自身の傷も癒やしなさい」
その言葉に、ソーマの表情から、僅かに迷いが消えていった。戦の戦利品ならば、確かにこうして誰かへ贈られることも、道理に適っている。そう、自らを納得させたのだろう。
「ありがとうございます、オルディアス様……」
ソーマは、深く頭を下げると、その小瓶を大切そうに懐へとしまい込んだ。
「では、私はこれで失礼いたします」
「もう、よいのか」
「はい。あとは、ゆっくり休めば大丈夫です」
ソーマは、寝台の上のリゼルへ向けて、静かに一礼した。
「リゼル嬢。目を覚まされましたら、また、お話をしましょう」
その言葉を残し、ソーマは部屋を後にした。扉が静かに閉じられる。室内には、再び静寂が戻った。
* * *
「お嬢様……」
それまで、必死に堪えていたメアが、寝台へと駆け寄った。リゼルの手を両手で包み込み、その顔を覗き込む。
「お嬢様、どうか、目を開けてくださいませ……」
返事は、ない。
「お嬢様……」
メアの瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。それでも、リゼルは身じろぎ一つしなかった。この4年、赤子の頃から、ずっと、この主人に仕えてきたメアにとってすら、これほどまでに返事のない、静かなリゼルの姿は初めてだった。
「お嬢様ぁ……」
ついには、リゼルの肩へ手を置き弱々しく揺さぶり始める。
「メア」
オルディアスが静かに呼びかけた。
「心配は、いらんぞ」
「ですが、オルディアス様……」
メアは、涙に濡れた顔を上げた。
「お嬢様が、このまま、お目覚めにならないのなら、私はどうすれば……」
「安心しろ。こいつが、この程度でどうにかなるものか」
オルディアスは、深く息を吐いた。そして、寝台の上の娘を見下ろす。その口元には、隠しきれない確信めいた笑みが浮かんでいた。
「リゼル」
返事は、ない。
「いつまで、寝たふりをしている?」
「……え?」
メアが、泣くことも忘れたように、目を瞬かせた。
「寝たふり……?」
次の瞬間。
「やかましいぞ、メア」
「ひゃああっ!?」
閉じられていたリゼルの赤い瞳が、ぱちりと、開いた。
「お、お嬢様ぁ!」
メアは、驚きと安堵が入り混じった声を上げ、そのままリゼルへと抱きついた。
「よかったです……! 本当に、本当に、よかったですぅ……!」
「ぐえっ……! 離せ、メア!」
抱きついてくるメアを、リゼルは、うっとうしそうに、押し退けた。
「治ったばかりの体を、締め上げるな、メア」
寝台の上で、上半身を起こしたリゼルへ、オルディアスが呆れたように腕を組む。
「ソーマ殿に、挨拶しなくてよかったのか?」
「よくは、ございません」
「ならば、なぜ、起きなかった?」
「……ソーマ様に、顔を合わせるのが、少々、気まずかったのです」
「気まずい、とは」
リゼルは、僅かに視線を逸らした。歯切れの悪いその仕草に、オルディアスは逆に興味をそそられた様子だった。
「……もしや、あの試合の途中から、令嬢然とした振る舞いをやめたことか」
「……父上には、敵いませんね……」
「今更、恥じることもあるまい」
オルディアスは、そう言いながらも、その口調には、あの貴賓室での、はらはらとした心境が僅かに蘇っていた。あの場では、勝手をするなと、幾度となく諫めもした。だが、こうして、後から振り返ってみれば、あの啖呵の切りっぷりも、意地の張り合いも――どこか、憎めないものがあった。
「恥じては、おりません。ディがあのような辱めを受けていたのを見て、頭に血が上っただけです。悔いてもおりません」
「では、何を、そう、気にしている?」
リゼルは、しばし、答えを探すように沈黙した。
「大人しい令嬢の顔と、暴れ回った素の顔と――ソーマ様が、どちらを私の本当の姿だと思われたのか。それを今、直接、確かめる勇気がなかったのです」
オルディアスは、しばし、娘の顔を見つめた。この娘の口から、こうした、いささか、乙女らしい理由が語られるとは思ってもみなかった。
「お嬢様、それは、つまり……」
それまで、黙って聞いていたメアが、両手を胸の前でそっと組みながら、目をきらきらと輝かせた。
「乙女、にございますね」
「――メア」
リゼルの纏う空気が、瞬時に変わった。据わった目つきのまま、静かにメアを見据える。
「もう一度、アーシュラ侯爵領を走って来たいのか?」
「ひぃっ……! め、滅相もございません……!」
メアは青ざめた顔で、そう、慌てて、首を大きく横へ振った。あの、悪夢のような「おかわり」ランニングの記憶が、まざまざと、脳裏に蘇ったのだろう。それ以上、何も言えなくなった様子だった。
「武闘会なのだから、仕方あるまい。手合わせを望んだのは、ルドラ殿とドゥルガー嬢だ。お前も、それを受けた。全員が全力を尽くし、勝敗が決した。それだけのことだ」
「しかし、2人はしばらく動けないほど消耗しているのでしょう……」
「お前も、意識を失うほどまで、魔力を使い果たしたのだろう。それだけ無茶をしたということだ」
「それは……」
「ならば、お互い様だ」
あまりに簡潔な理屈に、リゼルは、しばらく答えなかった。
「武人にとって、本気でぶつかれる相手というものは、それだけで得難い存在だ。お前が中途半端に手加減をしていれば、あの2人は、そちらの方を怒っただろう」
リゼルの脳裏に、血だらけになりながらも、なお不敵に笑っていた、2つの顔が過ぎる。
『ふざけんな、俺様を舐めてんのか』
『あたし、まだ負けてないもん!』
確かに、そう言いそうだった。
「次に顔を合わせた時、謝る必要はない。また戦おう、とでも言えばよい」
「軽々しく、そのようなことを言えば、あの2人のことです。本当に、また、あの死闘を繰り返す羽目になりますが」
わざと、困ったような口ぶりで、リゼルはそう返した。
「嫌なのか」
その問いに、リゼルは僅かに目を丸くしてから、ほんの少しだけ、口元を緩めた。
「いいえ」
「ならば、問題あるまい」
「……そういうものでしょうか」
リゼルは、そう呟くと、僅かに視線を逸らした。素直に頷いてよいものかどうか、まだ、迷いが残っている。そんな、珍しい表情だった。
「少なくとも、逃げはしなかった」
オルディアスは、静かに答えた。その声には、これまでのどの言葉よりも、確かな温度がこもっていた。
「友が本気で向かってきたのなら、本気で応える。それもまた、1つの誠意だ」
「友……」
その言葉を、リゼルは小さく繰り返した。ドゥルガーが、自分を友と呼んだこと。ルドラが、笑いながら対等な相手として拳を交わしてくれたこと。2人が最後まで一歩も退かず、全力で自分へと向かってきたこと。その全てが、今になって、胸の奥へ静かに落ちていく。
「……承知いたしました。次に会った時は、謝りません。その代わり、今度こそ、骨の1、2本で留めておきます」
「だから、なぜ骨を折る前提なのだ」
オルディアスが、呆れたように額へ手を当てた。
* * *
そこで、ふと、リゼルの視線が、オルディアスの懐の辺りへと向いた。先ほどまであったはずの、小さな膨らみが消えている。
「父上。改めて、御礼を、申し上げます」
その一言に、オルディアスは片眉を僅かに上げた。
「天界の軍から奪った戦利品――あの話、実に、堂に入っておりました。ソーマ様は、欠片も疑っておられませんでした」
「まあ、な。事前に、頼まれておいたのだ。それらしく、演じて見せねば、意味がないだろう」
オルディアスは、そう言って、僅かに口の端を上げた。娘に頼み込まれ、あのいささか芝居がかった逸話を、あたかも真実であるかのように語ってみせたのだ。武人としての矜持を思えば、些か格好のつかない役回りだったが――それでも、あのソーマの安堵した顔を思い出せば、悪くない仕事だったと、素直に思えた。
「私が用意させたと知れば、あの方は、きっと固辞なさいます。大侯爵家からの正式な礼、ということであれば、受け取りやすいでしょうから」
「分かっている。……それにしても、あれほどのものを、いつの間に手配していたのだ」
「武闘会が始まる直前にございます。ソーマ様は医療班としてあの場に詰めておられましたので。何かあれば、すぐに使えるように――そう思い、手配させておきました」
「ならば、なぜあの場で直接、渡さなかった」
「妖鳳公閣下が、あれほど、突然、お越しになるとは、思ってもみませんでした」
リゼルは、静かに、続けた。
「閣下が、御降臨なされてからは、ヴァルクロア大侯爵家の従者たるメアは、その身分に応じて、キュマイラ閣下の御世話に専念せねばなりませんでした。もし、家格の劣る、アーシュラ侯爵家の従者に閣下の御接待を任せ、メアが父上の御世話に回っていたのなら――キュマイラ閣下を軽んじた振る舞いと、見做されかねません。最悪、ヴァルクロア大侯爵家の存亡にすら関わりかねない、危うい判断です。それゆえ、ソーマ様のもとへすぐにあの瓶を届けることができませんでした」
その説明を聞き、それまで、控えめに成り行きを見守っていたメアが、ふと、俯いた。
「わたくしの、失態にございます、オルディアス様」
その声には、悔いるような、沈んだ響きが滲んでいる。
「あの場で、わたくしがお預かりしておりました、あのアンブロジアを、お嬢様に、すぐに、お渡ししておりましたら……ソーマ様のお体ももっと早くに癒されていたことと思っております」
「いや」
オルディアスは、そう言うと、静かに首を横へ振った。
「リゼルに渡さなかったのは良い結果だぞ、メア。あのまま、リゼルがあれを手にしていたら――間違いなく、アンブロジアは木っ端微塵だった」
「な――」
メアが、思わず顔を上げた。
「確かに、父上の仰る通りです」
リゼルは、あっさりと、そう頷いた。
「あの時、私の思考はディを傷つけたあの外道を処刑することに支配されておりました。……メア。お前の判断は、間違いではなかったぞ」
「お嬢様……」
メアの瞳に、じわりと新たな涙が浮かんだ。今度のそれは、先ほどまでとは違う種類のものだった。
(それに、ソーマ様に比べて……)
リゼルは、内心で、そっと、自嘲した。ソーマの、あの治癒の力は、常に他者のためにある。誰かの傷を誰かの痛みを癒すためだけに磨かれてきた上位の回復魔法だった。
(私の治癒魔法など、所詮、己が生き延びるためだけの、どこまでも身勝手な代物だ)
前世でも、今世でも、それは、変わらない。誰かを救うためではなく、己の駒を守るため、己自身が、生き残るため――ただ、それだけのために磨き上げてきた力だった。ソーマの力とは、根本から性質が違う。その事実が、今更ながら、胸の奥に小さな棘のように刺さった。
「メア。アンブロジアの代金を届けたのは、お前だったな?」
オルディアスが問う。
「は、はい……! アーシュラ侯爵領の商人へ、あれほどの大金の証書を届けに参りました時は、正直、生きた心地が、いたしませんでした」
メアは、あの日を思い出したように、身を僅かに震わせた。
「私の月々の給金は、25万ギルティにございます。それが……その、1,000倍の額に相当する証書を預けられました時には、手が震えて、震えて……誰かに狙われているのではと、掏摸に遭いはしないかと、片時も気が休まらず、あれほどの重責を担ったのは生まれて初めてでございました。紙切れ1枚とはいえ、失えばそれこそ屋敷が何軒も建つほどの値打ちが消え失せるのですから」
(25万の、1,000倍……2億5,000万ギルティ、か)
リゼルは、内心で、そう計算する。前世の記憶にある、日本円の相場に大まかに置き換えるならば――ざっと、25億円は下らない。確かにメアの言う通り、途方もない金額だった。
もっとも、その財源には根拠があった。ショートケーキのあの一件以来、リゼルは、レシピと製法を教えた店主一人一人に、契約魔法で厳格な守秘義務と――そして、売上の1割を、ロイヤリティとして納めさせる契約を結ばせていた。魔界中に少しずつ静かに広がりつつある、あの店の数を思えば、この程度の金額など日々の実入りのほんの一部に過ぎない。
(アーシュラ侯爵家へ、レシピを譲ったのは、正直、我が財源をいくらか脅かす、大盤振る舞いだったが……まあ、良い。ケーキや菓子作りのレシピは、あれ一つではないからな。それに、ソーマ様への御礼と思えば……安いものだ)
その内心を、リゼルは欠片も表情に出さなかった。
「大袈裟な。護衛もつけていただろう」
「護衛がいようとも、怖いものは、怖いのです……!」
その様子に、リゼルは、小さく、肩を竦めた。
「まあ、無事に届けてくれたのだから、良しとしよう」
「お、お嬢様……」
オルディアスは、そんな娘の顔をしばし、見つめていた。それから、ふっと、小さく、笑う。
「……お前は、本当に、抜け目のない娘だな」
「褒め言葉として、受け取っておきます」
「呆れているのだ」
(それにしても……菓子作りの実入りだけで、これほどとはな。いっそ、ヴァルクロア家の財源は、この娘の菓子作り一本に任せてしまった方が良いのではないか?)
そんな、いくらか本気とも冗談ともつかぬ考えが、オルディアスの脳裏を過ぎった。だが、それを口に出すつもりはオルディアスにはなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
まさかの――起きてました。
あれだけ暴れ回った姿をソーマに見られ、顔を合わせるのが気まずくて寝たふりをするリゼル。
メア曰く、「乙女、にございますね」。
そしてソーマへ渡されたアンブロジアも、実はリゼルが用意していたもの。
凶姫にも、どうやら可愛らしいところはあるようです。
次回、「幼き英雄を称える街」。




