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第二回ベルばら部

ヒューゴが、マリーちゃんとオスカル姿の理美へ今日の部活動の説明を始めた。


「本日の部活動は、前回のお辞儀の復習から始めます。


その後、ダンスへの誘い方、受け方、エスコート、そしてメヌエットの練習を行います。


メヌエットは、一時間で身に付くものではありません。


そのため、しばらくはこの内容を中心に練習を続けていく予定です。」


「その前に。」


理美が言った。


ヒューゴから、さっと一輪の真紅の薔薇を受け取る。


理美はマリーちゃんの前まで歩み寄ると、片膝をついた。


そして、薔薇を差し出す。


「本日は、この一輪の薔薇をあなたに。」


突然の出来事だった。


マリーちゃんは両手を口元へ持っていき、顔はゆでだこのように真っ赤である。


驚きすぎて、薔薇を受け取るだけで精いっぱいだった。


実はこのサプライズ。


理美はABEMAの『愛のハイエナ』で、ホストが初めてのお客様へ一輪の薔薇をプレゼントする場面を見ていた。


「これ、やってみたい。」


そう思った理美は、前日のうちにヒューゴと打ち合わせを済ませ、このサプライズを用意していたのである。


理美はマリーちゃんを優しくエスコートし、ヒューゴが用意していた白い椅子まで案内した。


そして、自分はホールの中央へ歩いていく。


その時だった。


どこからともなく音楽が流れ始めた。


テレビアニメ『ベルサイユのばら』のオープニングテーマ『薔薇は美しく散る』の前奏である。


理美オスカルは、そのまま歌い始めた。


……マイクはどこだ。


コートのボタンに、小型のピンマイクが仕込まれていたのである。


マリーちゃんは、うっとりと理美オスカルの歌に聞き入っていた。


歌が終わる。


マリーちゃんは立ち上がり、大きな拍手を送った。


スタンディングオベーションである。


ヒューゴが口を開いた。


「では、記念にお二人の写真を撮りましょう。」


マリーちゃんは白い椅子へ座る。


理美オスカルは、その隣へ立った。


まるで結婚式の記念写真のようである。


今日の理美オスカルは、カラーコンタクトまで入れた完璧なオスカル仕様。


写真写りも、ばっちりなのであった。


理美は思った。


なんて素晴らしい部活なんだ。


マリーちゃんの反応といい、まさしく私は宝塚スターである。


トップスターなのである。


写真撮影まで、まるで宝塚の特別なファンサービスのようで最高だった。


マリーちゃんが帰ったら、一人で何ポーズか写真を撮り、ブロマイドを作ってJINさんに売りつけよう。


そんなことまで考えていた。


読者の皆さんは、もうお分かりであろう。


マリーちゃんは、JINの分身である。


間違いなく、理美オスカル一人のブロマイド集も、マリーちゃんとのツーショット写真も、それぞれ二部ずつ購入する。


観賞用と保存用なのである。


さて、サプライズ宝塚ごっこが落ち着いたところで、いよいよ部活動である。


……もう三十分以上過ぎているのである。


どう考えても、今日中にメヌエットの練習まではたどり着けない。


いいのである。


異世界の部活動なんて、一切急ぐ必要はない。


今日はもう、理美もマリーちゃんも十分満足しているのである。


ヒューゴに教わりながら、理美がマリーちゃんの前へ進み、一礼した。


「では、よろしければ、このメヌエットのお相手をお願いできますか?」


マリーちゃんもヒューゴに教わりながら、ぎこちなくカーテシーをする。


顔は相変わらず真っ赤である。


「喜んで。」


そう答えるのが精いっぱいだった。


理美が手を差し出す。


マリーちゃんは、その手を取る。


二人で踊る位置まで進む。


まだまだ二人ともぎこちない。


今日の練習は、ここまでとなった。




部活動の後は、先週と同じように、おやつタイムである。


本日は、千疋屋のシャインマスカットパフェ。


もちろん、今週も「あーんタイム」である。


しかし、パフェ用のスプーンは細長い。


思っていた以上に距離感が難しい。


そう思う理美である。


相変わらず、JINの分身であるマリーちゃんは、瞬間湯沸かし器のように顔を真っ赤にしている。


そんなマリーちゃんを見ながら、理美は考えていた。


来週は、手で「あーん」ができるように、小さなクッキーがいいな。


……小さなクッキーの「あーん」なんて、もしかしたら指がJINの分身、マリーちゃんの口の中に入ってしまうかもしれない。


そんなことになったら、マリーちゃん、びっくりしすぎて寿命が縮んでしまうんじゃないだろうか。


……あ。


神に寿命はないのか。


小さなクッキー、本当に大丈夫なのだろうか。


次回、こうご期待なのである。

おやつタイムは部活動の後なので、理美もマリーちゃんも手袋を外しております。

本当は手袋を外さずにおやつを食べるのかもしれませんが、日本人なので、やっぱり手を洗ってから食べたいのです。

……ということは。

小さいクッキーで「あーん」をすることになったら、理美の指は生指となります(笑)

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