転移先では
ヴィーヴィーヴィー ヴィーヴィーヴィー
《 転移反応あり 転移反応あり 》
ヴィーヴィーヴィー ヴィーヴィーヴィー
《 転移反応あり 転移反応あり 》
《 推定転移質量 三十万トンから四十万トン 》
《 推定転移質量変更 四十万トンから七十万トン 》
ヴィーヴィーヴィー ヴィーヴィーヴィー
《 転移反応固定 転移反応固定 》
《 転移対象顕現しました。推定総質量五十万トン前後 》
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〇七:〇三。監視システムから警報が出た。なんで俺が当直の時に出るんだよ。一時間後に出ろよ。当直交代しているから。
「司令を呼び出せ。もう起きているだろう。緑でも知らせろと日頃言っておられるからな」
「呼び出します」
「政府危機管理室に報告急げ」
「第一報出します」
「久しぶりだな」
「今度はどんな奴らだ?五十万トンだとデカいな」
「うるさいぞ。任務を果たせ」
「「申し訳ありません」」
「司令はどうか」
「ただいま呼び出しております。返答あり「五分で行く」」
「転移地点確認出来ました。佐宗海です」
「あんな島だらけの所か」
「カバーする高沢山レーダーサイトに問い合わせましたが反応無しとのこと」
「艦隊か?」
「憶測は今するな。よそでは六十万トンの民間タンカーだったこともある」
「失礼しました」
「カバーする空軍基地は」
「只見基地です。緊急偵察要請出します」
「交戦規則を徹底させろ」
「ハッ」
「電波受信出来るか」
「各受信施設に通常以外の感度無し。出していません」
「岡島室長を呼び出しますか」
「岡島室長が来るのは〇七:五五だな」
「そうです」
「では呼び出しは無しだ。規定通りシステムの判断が緑表示なら今の体勢で良い。気になるなら早めに来るだろう」
「了解」
「司令、入室されます」
ドアが開いた。日本転移警戒基地司令中川少将が現れる。
「敬礼「かまわん作業を続けよ」・ハッ」
「当直の加藤少佐だな。現地は」
「ハッ。佐宗海に転移した模様です。同地域をカバーする高沢山レーダーサイトに反応無し。現在、只見航空隊に偵察要請を出しております」
「電波はどうか」
「まだ受信しておりません。各受信施設に通常以外の感度無しです」
「電波を出せない文明程度なのか警戒しているのか」
「転移してきた、いえ、させられてしまった者達を確認出来ておりませんのでなんとも」
「そうだったな。益体もないことを言ってしまった」
「岡島室長入室」
「お早う。大変…司令、お早うございます」
「室長、君も早いな。まだ交代時間ではないだろう」
「一応緑表示ですが気になりまして」
「良いことだ」
各室と廊下には状態を知らせる表示灯が有り、赤・第一種警戒、黄、第二種警戒、緑・警戒準備、となっている。赤点滅は非常事態だ。システムが各地から入るデータで区別している。緑の場合。何か現れたぞ。動きがなければ推定質量はあまり関係はない。黄色なら緑に多少の動きがある。赤なら強力な電波源を持っていること。または高速で飛行している。推定質量は関係ない。赤点滅は赤プラス軍隊らしき存在。
只見基地では無人偵察機の発進準備を急いでいるが、どうやってもあと50分は掛かる。アラート待機の機体を出そうかという話になった。最近緊急発進少ないし訓練代わりに良いだろうと。
『緊急発進。緊急発進。目標は佐宗海に転移してきた何かだ』
「転移かよ」
「久しぶりですね」
「よりによって佐宗海か」
「まあ昼間です。よく見えるので」
アラート待機に就いていた村田大尉と内田一曹が話ながら走り出す。
ハンガーで待機している八八式戦闘機二機の座席に着く。頻繁にエンジンを始動しているので暖機はほぼいらない。エンジンを始動し各動翼の動作確認を行う。その間にも機付整備員がパイロットのヘルメットとハーネスと耐Gスーツの状態を確認する。
管制塔から滑走路の状態がクリーンであると確認されゴーサインが出る。機体に接続してあった様々な機材の分離が確認され、空対空ミサイルの安全ピンを抜いたのを確認する。機付長が自分以外の整備員全員が離れたのを確認し通信用ジャックを引っこ抜いて離れて手信号でOKを出す。
二人はスロットルを押し込んだ。
二機が離陸したのは緊急発進司令から八分後だった。
「五分を切らないか。領空侵犯機ではないから緊張感が足りないかな」
「それもあるでしょうが、遅すぎます。特訓ですな」
と基地司令達は評価していた。
ちなみ管制塔とは飛んでからで良いのに「なにかってなんだよ」「分からないから見て来いって言ってる」「佐宗海ていっても結構広いぞ」などという遣り取りでけっこう時間が潰れた。管制官もたるんでいた。
転移警戒基地では高沢山レーダーサイトから報告を受けた。
『対象からと思われる電波受信。類別は通信波。トンツーです。デジタル暗号通信ではありません。データ送ります』
吉田受信施設の要員に中川司令が聞き返す。
「また古いな。確認するがデジタル通信では無いな」
『アナログです。通信速度も遅いですし周波数帯も低いです』
「古い技術か」
通信を切った中川司令は
「只見基地からの映像を待つ」
「ハッ」
「解読出来ないか各部に確認を」
「了解。各部に問い合わせ開始します」
高沢山レーダーサイトから報告が入る。
「司令。レーダー波と思われる電波受信したそうです」
「レーダーだと」
「データ来ました。該当しそうなものを検索します」
「周波数はかなり古い形式が相当しました。初期の対空レーダーです」
「只見基地でも掴んでいるか」
「当然だと思います。高沢山レーダーサイトから連絡が行くと思われます」
「なら知らせなくても良いな。でも一応知らせておけ」
「ハッ」
「出力も弱いので黄色になりません」
「そうか」
『トンビ1、2。こちら大木(高沢山レーダーサイト)。応答せよ』
「こちら、トンビ1。感度良好。どうぞ」
『大木だ。目標からと思われるレーダー波を受信した。旧式のレーダーだ。発振地点はそこから南東に300キロだ。そちらの機体では古すぎて探知出来ないから気をつけろ。どうぞ』
「こちらトンビ1了解。向こうのレーダーが旧式だとこの機体は映らないな。どうぞ」
『大木だ。間違いなく映らない。旧式でも対空ミサイルや高射砲などが有るから気をつけろ。通信をこれから転移警戒基地に繋げろ。ch**だ。どうぞ』
「トンビ1。転移警戒基地との通信回線を開く。ch**でよろしいか。どうぞ」
『大木だ。それで良い。終わる』
「トンビ1、大木ありがとう」
「こちらトンビ1。転移警戒基地応答せよ」
『こちら転移警戒基地加藤少佐。トンビ1。目標に接近する時は高高度で頼む。一万五千メートル以上だ。どうぞ』
「こちらトンビ1。理由を教えられたい。どうぞ」
『加藤少佐だ。目標となる転移してきた連中の思考と武装が分からない。いきなり撃たれるかもしれないし、能力も分からない。初期のレーダーから推測するに一万五千メートル以上なら安全と見る。どうぞ』
「こちらトンビ1、理解した。しかし、当機の機載カメラだと精々二千くらいが詳細画像を映せる限界だ。どうぞ」
『こちら加藤少佐。少し待て。どうぞ』
「トンビ1了解」
「司令」
「聞いた。二千か。一万五千ではわけも分からないくらいだな」
「どうしますか」
「まあそのままでいい。後で無人偵察機が出る。詳細はその時でいい。目標の規模と移動しているなら移動速度が欲しい」
「ルックダウンレーダーでいけると思います。聞いてみます」
『トンビ1。加藤少佐だ。高度は一万五千メートルでいい。八八式戦闘機のルックダウンレーダーと各種センサーで目標の規模と移動していれば移動速度と方向を確認してくれ。どうぞ』
「トンビ1了解。ルックダウンレーダー他各種センサーでの観測のみで目標には接近しない。よろしいか。どうぞ」
『加藤少佐だ。それでいい。頼むぞ。以上』
「トンビ1了解。終わる」
『トンビ1。トンビ2、上空航過で終わりそうですね』
「そうだな。八の字を書いて四方向から確認するぞ」
『了解。あと七分で目標上空に到達』
「おい、旋回時にベーパー引くなよ」
『戦闘機動ではないのでそんな引くような機動はしませんよ』
「わかっていればいい」
『戦術リンク起動しますか』
「そうだな。起動しよう。どうせ初期レーダー程度の電波技術では解析はおろか受信も出来ないだろうし。しかしどんな飛び方しているか丸わかりだな」
『どうせ帰投後飛行データ渡すのですから同じです』
「それもそうか」
トンビ編隊は戦術リンクを只見基地と高沢山レーダーサイトと転移警戒基地の三カ所に設定。自機のレーダーデータと飛行データを送り始めた。




