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異界喫茶  作者: 昏片逢瀬


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第二章 記憶の本 第五話


 そういうわけで今、行方不明になった少年がピエロを見たという現場まで足を運んできているのだ。


「当たり前だけどピエロはいないわね」


 愛瑛佳の呟きに二人も頷く。

 勿論、現場に行けばすぐに見つかるなんて思っていたわけではないので落胆はしない。ピエロが簡単に姿を現してくれれば、いくつもの捜査が難航なんてしていないのだ。

 そもそもピエロがずっとピエロの格好をしているとも限らないわけで、とにかく現場を見てみようと足を運んだものの大きな進展があるとは思っていなかった。

 ここからは地道な調査があるのみだ。


「まずは、ピエロとか不審者とかを見た人がいないか聞き込みをするしかないな」


 いつも通り細の指示のもと、手分けをして聞き込みをしていく。

 行方不明になった少年の目撃証言がないかどうかの聞き込み。これはこの道が少年がよく使う通学路だったことから何人かの目撃証言はあった。けれどそのどれもが通学か帰宅途中の姿で、彼らが見た限りでは特に変わった様子もなかったという。

 ピエロに関しては、誰一人として目撃した人物はいなかった。この近所で大道芸を生業としているなどのピエロの恰好をしていてもおかしくないような人物に心当たりもないという。

 細たちが調べた結果、直近でこの辺りへ興行に訪れた一座もないことから、ピエロの正体に当たりをつけようがない状況だった。

 既に細の頭の中には、過去のピエロ関連の事件が“特殊事案”として扱われていたという情報があるためか、ピエロに実体があるかどうかも疑わしくなってきている。

 それでも、上から新たな指示が出るまでは実体があると考えて捜査を続けるべきだろう。


「防犯カメラ、見てみませんか」


 再度三人で集まって聞き込みの結果を共有し、これ以上の情報収集は厳しいかと考えていると、胡蝶がある一点を指差して提案した。

 そこは少し前に胡蝶が聞き込みをしていた一軒家。特に有益な情報は出てこなかったが、確かにこの家には道路に面した駐車場が映るように防犯カメラが設置してあった。

 少年がこの道を通ったことだけは確かだが、ピエロと会ったという詳しい場所までは把握できていない。この防犯カメラに当時の少年が映っているかどうかも未知数だが、確認する価値はある。


「すみません。先程お伺いした、愛知県警捜査一課の者ですが……」


 そう判断して、今度は三人揃って再び捜査協力の依頼をした。


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