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倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~  作者: 乃神レンガ
第十四章

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499 Re:シルダートのダンジョン ⑫


 ラージマッドクラブとハイサハギンの間を、サンが駆け抜けていく。


 いくつか攻撃が飛んできても、(たく)みに避けていた。


 ラージマッドクラブの泥弾では、サンをとらえきれない。


 そうして余裕をもって、キングマッドクラブの前にサンは到達した。


 当然気が付いているキングマッドクラブが、すぐに攻撃をしてくる。口元から、無数の泡が飛んでいく。


「ギギ!」


 これにはサンも安易に飛び込むことはなく、種族由来の大剣からウィンドカッターを放つ。


 すると無数の泡が、派手に爆風を巻き起こす。


 更に一つ爆発すれば、連鎖的に近くの泡も爆発し始めた。


 近くにいたラージマッドクラブとハイサハギンが巻き込まれ、肉片が飛び散っていく。かなりの威力だ。


 キングマッドクラブも巻き込まれたはずだが、ダメージはほとんどない。


 僅かな傷も、再生で即座に回復していた。


 だが思わぬ反撃に激怒したのか、キングマッドクラブはハサミを上に持ち上げて開く。


 そして蟹にもかかわらず、素早い動きでまっすぐ(・・・)サンへと迫る。


 キングマッドクラブは、縦の動きも得意のようだった。


「ギシャー!!」

「ギギ!」


 振り上げたハサミが、赤く光る。明らかにスキルの行使だ。


 サンも警戒して、ライトバリアを発動した。


 しかし振り下ろされたハサミを受け止めたのは、一瞬のこと。ライトバリアは容易に破壊される。


 中々の威力だ。あれがシザーハンマーというスキルだろう。


 同じスキルを持つラージマッドクラブも、似たように発動している。


 するとサンはその一瞬を見逃さず、キングマッドクラブの(ふところ)に飛び込む。


 そして跳躍(ちょうやく)すると、種族由来の大剣を振り下ろした。


 キングマッドクラブの中心に、スラッシュを叩き込む。


「ギ?」

「ギシャッ!!」


 けれどもキングマッドクラブの甲羅(こうら)は硬く、僅かな傷をつけるだけで終わった。


 サンは迫ってきたハサミを飛行のスキルで回避すると、そのまま空中に飛び上がる。


 ふむ。硬化と物魔耐性(中)、シークレットモンスターの強化も合わさったことで、物理攻撃にはとても強そうだ。


 サンは多才である代わりに、聖剣が無ければやや決め手に欠ける。こうした格上だと、実に顕著(けんちょ)だ。


 それと攻撃を行うなら、飛び出た目の根元にするべきだったな。判断を見誤っている。


 さて、サンはここからどう動くだろうか。


 俺がそう思っていると、早速サンが次の手に出た。


「ギギッ!」

「ギシャッシャッ!!」


 サンが空中から、ライトレーザーを放つ。光属性の中でも高威力ということもあって、これにはキングマッドクラブも(たま)らないようだ。


 だがキングマッドクラブもハサミから、ウォーターランスや泥弾で反撃をしている。


 その度にサンは魔法を解いて回避すると、再びライトレーザーを放つ。


 流石に制御が大変なため、避けながら放つようなことはできない。


 しかしチクチクとヒットアンドアウェイで、確実にダメージを積み重ねていく。


 キングマッドクラブには、物理よりも魔法の方が効くようだ。


 物魔耐性(中)や硬化があっても、ライトレーザーは防ぎきれない。


 サンの所持スキルで、最も威力が高いだけのことはある。


 再生で癒しているが、魔力の消費を考えれば永遠には続かないはずだ。


 対してサンもセイントヒールを使い、被弾しても即座に癒す。攻撃自体も、ほとんど回避できていた。


 客観的にサンの方がコスパの悪いスキルを連発しているが、魔力については気にしていない。


 前提として、サンは俺から魔力供給を受けている。なので実質、無限にスキルを使用できた。


 最初は魔力供給も止めようかと思ったが、それはやりすぎだ。聖剣も禁止したしな。


 にしても、やはり空を飛べるというのは、それだけでアドバンテージだ。


 遠距離攻撃を持つとはいえ、キングマッドクラブも対処に苦慮(くりょ)している。


「ギシァッ!」

「!?」


 すると業を煮やしたのか、キングマッドクラブは泥の壁を半円状に展開した。マッドウォールという、地属性魔法だ。


 だが不思議なことに、二本のハサミが泥の壁から突き出していた。


 そしてハサミが開くと、同時に大量の泡が空中に散布していく。シャボン玉のように、浮遊していた。


 なるほど。そうくるか。


 俺はここであることに気がついたが、サンには何も言わず心の中に留める。


 果たしてこれに、サンが気が付くかどうか。

 

 そう考えていると、サンが動く。


「ギギッ!」


 距離を取ったあと、ウィンドカッターを放つ。当然泡は、連鎖的に爆発した。


「ぎょぇー!?」

「ギ――!?」


 先ほど以上に威力が高く、ハイサハギンやラージマッドクラブが大量に巻き込まれていく。


 俺たちも巻き込まれたが、アンクのバリアーで事なきを得ている。


 そうして爆発が止むと泥の壁は崩れ去り、酷く損傷した二本のハサミが落ちていた。


 そこに、キングマッドクラブの姿はない(・・・・)


「ギ?」


 サンはキングマッドクラブを、一瞬見失ってしまった。それが、命取りになる。


「ギシャッァアア!!」

「――ギギッ!?」

 

 気づいたときには、キングマッドクラブが地中から勢いよく飛び出し、その巨体に見合わない跳躍を見せた。


 サンもこれは不味いと回避行動に移すが、一歩遅れてしまう。


 落ちていたはずのハサミが生えて(・・・)いるキングマッドクラブに、横から挟まれた。


 なんとか抜け出そうとするサンだが、それもかなわない。


 (ハサミ)強化(大)と、種族的にも強力な挟む力の前に屈する。


 サンはキングマッドクラブのハサミに、両断されてしまった。


 その時点で、勝負がついてしまう。


 ……サンは、気づけなかったか。


 戻ってきたカードを収納すると、俺はサンの敗北を残念に思う。


「まあ、聖剣無しでよく頑張った。復活したらほめてやろう」

「にゃぁん」

「ガァ、サン負けちゃったし。ぴえん」


 聖剣があれば勝てたはずだが、それ以上に良い経験になったはずだ。


 サンにはこの敗北を糧に、成長してほしい。


 そう思いながら、俺は次にサンの敗因について考え始めた。


 さて、肝心のサンの敗因だが、爆発する泡、バブルボムを発射していたハサミが起点になっている。


 バブルボムを発射してから、急にそのハサミに意識が引っ張られた。


 同時にキングマッドクラブ本体は、ハサミを捨てて地中に潜っている。


 このときキングマッドクラブ本体には、なぜか感知系スキルが効きづらかった。


 隠密系のスキルは所持していないし、動けている以上、シークレットモンスターの効果でもない。


 だとすれば、自切再生というスキルが怪しかった。


 切り捨てたハサミを(おとり)にして、本体が逃げるためのスキルなのだろう。


 ハサミに注目が集まり、本体には隠密系効果が付与されるのかもしれない。


 そして大量のバブルボムの爆発も相まって、サンはキングマッドクラブを見失った。


 あの巨体が地中を移動すれば音や振動も起きるが、サンはそれに気づいていない。


 空中にいたことも、(わざわ)いしていた。


 また生命探知と気配感知を所持していても、これでは即座に見つけることは困難だ。


 結果気づいたときには、回避が間に合わず捕まってしまった。


 その時点で、切り離したハサミも新たに生やしている。


 自切再生というスキル名からして、ハサミを再生させる効果もあるのだろう。


 通常の再生のスキル効果も合わさって、即座にハサミを取り戻していた。


 完全に、キングマッドクラブの作戦勝ちだ。思っていた以上に、賢いモンスターだった。


 サンは空を飛んでいれば安心だと、慢心していたのだろう。


 正直あの跳躍(ちょうやく)には、俺も驚いた。バスほどの大きさの巨体が跳ぶ姿は、実に見ごたえがあって面白い。


 俺は配下が負けたのにもかかわらず、思わず笑みを浮かべてしまう。

 

 さて、次はどの配下でいこうか。


 沼地だしゲシュタルトズンプフもありなのだが、見た目通りの泥試合になりそうだ。


 いずれは勝てるだろうが、ここからの長期戦は流石に飽きる。


 よし、なら次はこいつでいこう。思えば、一対一の戦いをほとんど見たことがない。


 そう考えると、俺は次の配下を召喚した。

 

「出てこい、リーフェ」

「わ~い。でばんだ~!」


 俺が呼び出したのは、Aランクモンスターのリーフェである。


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