495 Re:シルダートのダンジョン ⑧
七階層目は、草原エリアだ。
焚火の痕跡はあるが、冒険者の姿はない。
俺はアンクを偵察に出して、レフと進み始める。
道中には罠もあるが、それらはアンクに教えてもらい回避した。
槍の敷き詰められた落とし穴や、踏むと爆発する罠などがある。六階層目と違って、殺意が高い。
そして深層階層では冒険者も少ないからか、モンスターとも早々に遭遇する。
「ごっぶ!」
「ゴブブ」
「ごぶあっ!」
現れたのは、ホブゴブリンたちを率いたエリートゴブリンだった。
エリートゴブリンを見つけたのは、初めてだ。ホブンの進化ルートで、一度なっているモンスターである。
とりあえず、鑑定してみよう。
種族:エリートゴブリン
種族特性
【無属性適性】【悪食】【病気耐性(小)】
【他種族交配】【腕力上昇(小)】
【技量上昇(小)】
ふむ。以前は気にしていなかったが、無属性適性を持っているのに、無属性魔法を所持していない。
これでは、宝の持ち腐れだ。Cランクモンスターではあるものの、このままでは弱い。
俺はエリートゴブリンに対して、Dランクに近いCランクという評価を下す。
ただテイムなどされて、誰かに育てられれば伸びるはずだ。無属性適性を持っているだけで、将来性はある。
ここはホブンの進化素材にもなるし、枚数制限せずにカード化しよう。
「いけ、レフ!」
「にゃぁ!」
「ごぶぁ!?」
そしてエリートゴブリンとホブゴブリンたちを倒し、難なくカード化した。
ふむ。まあこんなものか。それとこの階層では、四階層目の上位種が出てくる予感がする。
だとすれば、残りのモンスターも似たようなものだろう。
俺がそう考えながら進むと、案の定予感が的中した。
「ぐるうぅ!」
「わぉん!」
「ヴァウ!」
次に現れたのは、ハイグレイウルフたちを率いたグレートウルフである。
ベックたちが使役していたモンスターと、同じ種類のものだ。
なので既に鑑定はしているが、念のためにここでもしておく。
種族:グレートウルフ
種族特性
【疾走】【身軽】【集団行動】
【嗅覚上昇(中)】【顎強化(中)】
【脚力強化(小)】【身体能力上昇(小)】
種族特性は、ベックたちのグレートウルフと遜色はない。
属性魔法や武器系スキルを使えない代わりに、身体能力がとても高いモンスターだ。
馬のように大きな灰色の狼なので、迫力もある。
また集団で狩をする場合、ランク以上の力を発揮するモンスターだ。
先ほどのエリートゴブリンたちよりも、こちらの方が強敵である。
けど俺にとっては、五十歩百歩だった。
「レフいけ!」
「にゃぁ!」
「グルゥ!?」
Sランクモンスターであるレフに襲われれば、Cランクモンスターではひとたまりもない。
もはやテンプレ染みた光景だが、レフによってグレートウルフとハイグレイウルフたちは瞬殺された。
当然カード化もしておく。何気にグレートウルフは欲しかったので、嬉しい。
さて、グレートウルフが出たということは、残るモンスターも上位種になっているはずだ。
するとちょうど上空で、アンクが敵を発見する。
「なんか来るしっ」
「シューッ!」
「シュー」
「シュシュー」
繋がりからアンクの視界を覗き見ると、頭部の禿げたハゲワシがいた。
翼の端から端まで、およそ3mはありそうだ。またくちばしは赤く、槍のように長い。
俺はアンクに鑑定を使わせることで、そのステータスを確認した。
種族:スピアヴァルチャー
種族特性
【腐肉感知】【高速飛行】【槍適性】
【スピア】【パワートラスト】【悪食】
【鷹の目】【嘴強化(中)】
スピアバードの上位種に、間違いないだろう。Cランクのモンスターだ。
また見た限りスピアバードはおらず、全てスピアヴァルチャーだった。
槍のようなくちばしで、アンクを突き刺そうと狙っている。
「アンク、倒して持ってきてくれ」
「おけまるー!」
ここから距離は離れているが、繋がりから問題なくお互いの声が届いた。
「シュー!?」
「シュッ!」
「シュシュッ」
まるでヘビのような鳴き声のスピアヴァルチャーを、アンクは次々に撃破していく。
加えて死魂霊鳥に内包されている魂奪と魂庫、あとは盗賊の極意にあるアイテムボックスを使った。
これにより魂と肉体、その両方をアンクは確保する。
そうしてスピアヴァルチャーを全て倒し切ると、アンクは俺の元へと戻ってきた。
「だーりん。倒した!」
「よくやった。早速出してくれ」
「おけまるー!」
そしてスピアヴァルチャーの魂と肉体を出してもらうと、早速俺はカード化を発動する。
「よし、問題なくカード化できたな」
「にゃんにゃ!」
本来距離があり過ぎるとカード化できないが、こうして魂と肉体の両方を運んでもらえれば、問題ない。
アンクはカード集めでも、実は役に立つのだ。
なのでこれからは機会があれば、アンクにもカード集めを手伝ってもらおう。
それから俺たちは探索を続け、七階層目のモンスターも出そろった。
7F:草原エリア
・ホブゴブリン(D)
・ハイグレイウルフ(D)
・グレートウルフ(C)
・エリートゴブリン(C)
・スピアヴァルチャー(C)
現れたのは、四階層目のモンスターの上位種で間違いない。純粋に難易度が上がっている。
この階層では、冒険者の数も目に見えて少なかった。
戻るのも大変だし、難易度も考慮して素材の旨味が割に合わないのだろう。
それもあってモンスターも多く、いくつかの巨大な巣が見つかった。
本来手出しせずにスルーするのが普通なのだろうが、俺は違う。
ある意味これは、ボーナスタイムだ。俺は迷わず突撃する。
結果として更なる上位種はいなかったが、エリートゴブリンとグレートウルフをそれなりにカード化できた。
スピアヴァルチャーに至っては、十分なほど手に入れている。
また巣を壊滅させると、宝箱があらわれた。どうやら巣は罠扱いだったらしい。
内容は、それぞれこうなった。
名称:エリートの証
説明
・装備者の腕力・速度・技量を小増加させる。
・装備者の体力と魔力の自然回復量を小増加させる。
・この腕輪は装備者のサイズに調整される。
・この腕輪は時間経過と共に修復されていく。
◆
名称:軍団行動のスキルオーブ
説明
適性があれば使用することで、軍団行動のスキルが習得できる。
◆
名称:パワートラストのスキルオーブ
説明
適性があれば使用することで、パワートラストのスキルが習得できる。
スキルオーブはともかく、エリートの証は嬉しい。
見た目は銀色をした腕輪で、中央には赤い宝石のような物が埋め込まれている。
この機会に、腕輪の装備と入れ替えよう。
何だかんだで俺は未だに、店売りのスピードバングルとテクニカルバングルを装備していた。
名称:スピードバングル
説明
・装備中に限り、装備者の速度を小増加させる。
名称:テクニカルバングル
説明
・装備中に限り、装備者の技量を小増加させる。
正直俺には、あってもなくても大差がない。まあ多少は意味があるので、装備し続けていた。
俺は適当にスピードバングルを右腕から外し、代わりにエリートの証を装備する。
サイズも自動で調整されたので、ピッタリだ。
その後は無事に階段も見つけ、この階層で手に入れたカードも以下の通りになる。
・ホブゴブリン 138枚
(既存と合わせて148枚)
・ハイグレイウルフ 90枚
(既存と合わせて100枚)
・グレートウルフ 30枚
・エリートゴブリン 34枚
・スピアヴァルチャー 100枚
ゴブリン系以外は、数を切りよく揃えた。満足いく結果だ。
巣にモンスターが大量にいたことで、一度でこれだけ集められた。
なによりスピアヴァルチャーという、飛行モンスターを補充できたのは大きい。
アサシンクロウとは違って体も大きく目立つが、直接戦闘部隊として役に立つ。
順調に、所持カードの戦力が増えた。
俺はこの結果に満足して、この階層の階段へと進む。
次は、八階層目だ。




