493 Re:シルダートのダンジョン ⑥
アンクが偵察に出てからは、探索がとてもスムーズになった。
地図作成の範囲とアンクの飛行速度が速く、次の階層に進む階段をすぐに見つけたのである。
俺も心技体同一でアンクと意識をその都度繋げることで、正確な場所を知ることができた。
道中現れるモンスターを倒しつつ、レフと共に階段を目指す。
また五階層目に出てくるモンスターは、このようになった。
5F:森エリア
・ブラウンモンキー(E)
・オーク(D)
・トレント(D)
・ブラウングリズリー(D)
・グリーンサーペント(D)
先ほど集団で襲ってきたモンスターたちが、この階層に出てくる全種類だった。
既にカード化した枚数に合わせて、切りよくカードを集めていく。
オークは食肉用で、ストレージに収納した。
そうして階段へと辿り着いた頃には、この階層で集めたカードの合計は以下の通りになる。
・ブラウンモンキー30枚
・ブラウングリズリー40枚
・グリーンサーペント30枚
・トレント68枚
ブラウングリズリーは元々10枚持っていたので、これで切りよく50枚だ。
トレントはトーンの進化のために、枚数制限せずにカード化している。
使う日が来るかは不明だが、新たなカードを手に入れるだけで楽しい気持ちになった。
ブラウングリズリーなど、今日まで存在を忘れていたくらいである。
だが今後大規模な戦いがあったときに、肉壁として多少は役に立ってくれるだろう。
そして偵察から戻ってきたアンクを連れて、階段のある場所に進む。
階段の周辺には冒険者たちのキャンプ地があり、この階層の入り口よりも多くの冒険者たちがいた。
なので見た目が黒猫のレフはともかく、アンクは目立ってしまう。
加えてこの階層にソロで来ている俺にも、注目が集まった。
だがそれだけで、特に絡まれることはない。代わりに警戒をされている。
ここまでくると中堅冒険者以上しかおらず、顔見知りも多いからだろう。
まあ面倒が起きないなら、別にいい。アンクを見られてしまったが、これも問題なかった。
カード召喚術自体を見られたわけではないので、いくらでも言い訳ができる。
最近増えているサーヴァントカードと言えば、大丈夫だ。
そうして誰からも絡まれることなく、俺たちは階段を下った。
階段の先には、三階層目と似たような沼地が広がっている。
ここまでくれば分かりやすいが、このダンジョンは草原→森→沼地の順番になっていた。
なのでこの沼地の次は、再び草原になる。
これについては事前に教えてもらっていたので、特に驚きはない。
ふむ。階段の周囲には、冒険者がいないようだ。
まあ六階層目をキャンプ地にするよりは、五階層目の方が安全か。それに沼地より、森の方が過ごしやすい。
あとはこの階層から、モンスターの強さが変わるのだろう。Cランクモンスターが現れるのなら、それも納得だ。
DランクモンスターとCランクモンスターでは、その強さが全く違う。
一般的にCランクモンスターは、普通に化け物だ。これを倒せずに、Dランク冒険者で燻ぶる者も多い。
だがそんなCランクモンスターも、俺にとってはザコモンスターに変わりはなかった。
それとこの階層には、確かブラックヴァイパーがいるんだったな。
今装備しているブラックヴァイパーシリーズを買うときに、店員から教えてもらったことだった。
またソウクがトップを務める、ブラックヴァイパーの名前の由来にもなっているモンスターだ。
色々と因縁があるモンスターなので、俺としても大量に確保しておきたい。遭遇するのが楽しみだ。
俺はそう心を高ぶらせながら、カオスアーマーを膝まで部分的に発動する。これで沼地を歩くのも問題ない。
「アンク、また偵察を頼む。レフは俺についてこい」
「ガァ、任せてダーリン!」
「にゃぁ!」
周囲に冒険者の姿はなかったので、遠慮なく命令を出せた。
そして、六階層目の探索を開始する。またこの階層からは、ちょくちょく罠があるようだ。
アンクから、罠がある場所の報告を受ける。その罠の内容については、以下の通りだった。
・その場で足を束縛する罠。
・その場で転倒するスリップ罠。
・足を貫く大きなトゲの罠。
まず束縛は容易に引き千切れるし、トゲはカオスアーマーを貫くことはできない。
スリップ罠についても、俺の魔力抵抗力を突破できずに不発に終わる。
一度罠がどのようなものか試してみたら、そのような結果になった。
なので罠については、気にする必要はない。
ちなみにレフは沼の少し上を空歩のスキルで歩いているので、そもそも罠にかかることはなかった。
罠は全て、沼の底に沈んでいる。それを踏むことで、発動する仕掛けになっていた。
そして罠があるこの階層では、既に二種類のモンスターにも遭遇している。
一種類目は、既知のモンスターであるマッドウォーリアーだった。
Cランクモンスターであり、固まった土の槍を持った泥人形である。
既に300枚所持しているので、流石にカード化することはなかった。
倒すと、一気に形が崩れてしまう。マッドウォーリアーの泥には価値があると思うので、倒すと同時に収納しておいた。
沼の中の泥と混ざると、分からなくなってしまうからな。
続いて二種類目は、マッドアリゲーターというCランクのモンスターだった。単純に、泥色のワニである。
ステータスは、このような感じだ。
種族:マッドアリゲーター
種族特性
【地属性適性】【地属性耐性(小)】
【泥弾】【泥再生】【隠密】
【顎強化(中)】【身体能力上昇(小)】
この中で注目するのは、泥再生だろう。泥があれば、即座に怪我や欠損を回復できるスキルだ。
代わりに泥が無ければ発動しないが、沼地の底は泥で溢れていた。つまりは、いくらでも発動ができる。
隠密スキルを持ち、ワニ系故に噛む力も強力だ。
こんなモンスターがいたら、この階層をキャンプ地にできるはずがない。
地形の相性もあって、マッドアリゲーターは実力以上の力を発揮できている。
生半可な攻撃では、即座に再生されてしまうだろう。一般的な冒険者からしたら、十分強敵だった。
まあ俺にとっては、マッドアリゲーターもザコモンスターだったけどな。
再生する前に息の根を止めることなど、容易だった。
また泥が無ければ泥再生は死にスキルになるが、こいつは大量に確保しておきたい。
理由は、ゲシュタルトズンプフと相性が良い可能性があるからだ。
ゲシュタルトズンプフは、泥沼に擬態できる超巨大モンスターだった。
なのでゲシュタルトズンプフの体の一部を分け与えることで、泥再生が発動するかもしれない。
俺の超直感からは、それが可能だと伝わってくる。
それもあってゲシュタルトズンプフを召喚して、その中にマッドアリゲーターを放てば面白そうだ。
あとは普通にワニ系なので、グインが進化の際にランクアップを選んだときに備えて、数を確保しておきたい。
そう思い俺はマッドアリゲーターを見つけ次第、上限なくカード化していくことを決めた。
なのでカードの枚数を揃えるために、この階層には後々戻ってくることになるだろう。
そして六階層目を進んでいると、俺はようやく探していたモンスターと遭遇する。
もちろんそのモンスターとは、ブラックヴァイパーのことだ。




