492 Re:シルダートのダンジョン ⑤
アンクはジンジフレ大陸の復興と、女王に譲渡したアサシンクロウを鍛えるために、待機組となっていた。
だがそれもある程度完了し、アンクがいなくても支障がない。
こうして俺が呼び戻しても、問題ないわけだった。また他のネームドたちについては、そのままの状態だ。
ゲヘナデモクレスについては少し心配だが、現状では特に問題は起きていない。
いても過剰戦力なのと、扱いに困る。放置でいいだろう。
そしてアンクを今回呼び戻したのは、ダンジョンでの罠関連に対処するためだった。
アンクはヤミカから受け継いだ神授スキル、盗賊の極意がある。
名称:盗賊の極意
効果
・高度な罠と鍵の感知、解除が可能になる。
・様々な気配を感知し、遮断も可能になる。
・毒の無効化及び、毒の製作が可能になる。
・偽装を看破し、強力な偽装が可能になる。
・直接攻撃時に持ち物を一定の確率で奪う。
・この神授スキルは、以下のスキルを内包している。
【短剣適性】【アイテムボックス】
【幸運】【鑑定】【暗視】【忍び足】
【宝感知】【罠作成】【地図作成】
【身体操作上昇(大)】【技量上昇(特大)】
これがあれば、道中の罠や鍵開け問題は解決だ。
あとはカッコウズル侯爵と敵対するにあたって、アンクのスキルは役に立つ。優秀な斥候だ。
またアンクのステータスについてだが、以下の通りになっている。
種族:レイヴンホロウ(アンク)
種族特性
【闇属性適性】【闇属性耐性(中)】
【死魂霊鳥】【死鎌霊鳥】【七毒の爪】
【爪強化(中)】【再生】【瘴気生成】
【魔力感知】【魔力操作上昇(中)】
【魔力上昇(中)】【状態異常耐性(中)】
【シャドーネイル】【シャドーサイス】
【使徒】
神授スキル
【盗賊の極意】
エクストラ
【言語理解】【直感】【空属性適性】
【身代わり人形】【テレポートステップ】
【シャドーバインド】【ドッペルシャドー】
【エリアボス】【フュージョンモンスター】
スキル
【鷹の目】【声真似】【上級鑑定妨害】
【念話】【加速】【上級生活魔法】
【ダークスモッグ】【シャドーステップ】
【シャドーランス】【バリアー】
【アポーツ】【アスポーツ】
【身体能力上昇(中)】【魔法耐性(大)】
【軍団指揮】new【軍団行動】new
称号
【魂を喰らう者】
【ジンジフレの加護(使徒)】new
◆
名称:死魂霊鳥
効果
・このスキルは、以下のスキルを内包している。
【物理無効】【物理干渉】【魂奪】
【魂庫】【魂喰い】【魂看破】
【精神耐性(中)】【高速飛行】
◆
名称:死鎌霊鳥
効果
・このスキルは、以下のスキルを内包している。
【鎌適性】【鎌強化(大)】
【マジックシックル】【ワイドサイス】
【ファストシックル】【デスシックル】
【暗殺】【暗視】【隠密】【追跡】
【警戒】【生命感知】
◆
名称:七毒の爪
効果
・爪での攻撃時に一定の確率で、対象に以下の状態異常をランダムで与える。
【猛毒】【麻痺】【眠り】
【呪い】【衰弱】【病】【腐食】
やはりヤミカの力を得ているアンクは、とても強い。
俺の配下の中では、ゲヘナデモクレスの次に位置する。
レフが神属性を扱えるとしても、流石にこの差は覆らない。
アンクはSランクモンスターだが、その枠では収まらない個体になっている。
以前は配下の中で弱い方だったアンクは、強くなるという目標を見事に実現していた。
そう考えると、感慨深いものがある。
ちなみに軍団指揮と軍団行動は、アサシンクロウたちを鍛える上で覚えさせた。
当然最初は集団指揮と集団行動からスタートだったが、問題なく上位スキルになっている。
事前に用意していたスキルオーブを、アンクが使ったのは間違いない。
また俺の加護による適性系は、取得していないようだ。
アンクはスキルも多いので、現状無理に増やす必要はない。
そんなことを思いながら、未だに言い争っているレフとアンクを宥めて、目の前の宝箱についてアンクに尋ねる。
「この宝箱なんだか、ちょっと見てくれ。罠や鍵とかどうなっている?」
「ガァ、罠と鍵は両方ある。罠は空けたらドカン。鍵は中級。あーしなら解除くらい楽勝だしっ!」
ふむ。一目で罠と鍵については、判別可能のようだ。またアンクは、それらの解除もできると言っている。
鳥の手足でどうやって解除するのだろうか。気になるし、ここは任せてみよう。
「わかった。ならやってみてくれ」
「ガァ、まかせてダーリン!」
するとアンクの両目が一瞬光ったかと思えば、宝箱から『カチッ』と音が鳴る。
「空いたのか?」
「ガァ、罠と鍵、両方解除できたしっ。あーしって、マジレベチ」
「なるほど。よくやった。とりあえず開けてみるから、手から離すぞ」
「ガァ」
まさか目を光らすだけで解除できるとは……。流石は神授スキルだ。
俺は未だに腕に抱いていたアンクを離すと、アンクは翼を一瞬羽ばたかせて地面に着地する。
そして俺は宝箱の前に来ると、何の躊躇いもなく空けた。
アンクを信じているので、問題ない。
「ふむ。片手剣か?」
宝箱に入っていたのは、一振りの片手剣。茶色の鞘に収められており、持ち手は黒い。また鍔の部分には赤く短い布が巻かれていた。
長さは80cmほどであり、一般的なブロードソードという感じだ。
手に持って抜いてみれば、刀身は鉄色でこちらも普通。特に珍しい意匠なども無い。
とりあえず鑑定してみた。
名称:ビーストキラー
説明
・獣系モンスターに攻撃をする際、与えるダメージが中上昇する。
・この剣は時間経過と共に修復されていく。
なるほど。獣系モンスターへの特攻武器というわけか。Dランクモンスターが出るエリアでは、まあまあの品だ。
先ほど襲ってきたオーク、ブラウンモンキー、ブラウングリズリーには間違いなく効果があるだろう。あれはどう見ても獣系だ。
だがトレントやグリーンサーペントに対しては、効果を及ぼさないと思われる。
シンプルな効果だが、獣系モンスターを中心に狩をするのであれば十分有用だ。
二階層目でオーク狩りを生業にしている冒険者なら、喉から手が出るほど欲しいのではないだろうか。
まあ俺には必要ないので、こいつはお蔵入りだ。剣については、擬剣パンドラソードで事足りている。
そう思い、俺はビーストキラーをストレージに収納した。
五階層目でこの程度の物なら、わざわざ宝箱を探す寄り道をする必要はない。先を急ごう。
あとアンクの神授スキルである盗賊の極意には、地図作成が内包されている。
それがどれくらいのものなのか、確かめてみよう。
俺は地図作成のスキルについて、アンクに訊いた。するとアンクは、地図作成について教えてくれる。
地図作成のスキルは所有者の魔力と魔力操作力を基に、周囲の地形を大雑把に脳内へと映し出すようだ。
人型種族であれば、それを紙とペンで書き写すことができる。
アンクの場合鳥なので、書き写すのはできなくはないが、難しい。
だがそれについては、問題なかった。心技体同一で、一度アンクに乗り移ればいいだけだ。
また地図作成は単体だとその程度だが、他のスキルを併用することで真価を発揮する。
アンクの場合浮かび上がる地図内で、罠と宝の場所がわかった。
他にも生命力と魔力、気配を感知して、それぞれ地図上にリアルタイムで映せる。
生命力は赤、魔力は青。両方持っている者は紫だった。
更に空属性適性によって、大雑把だった地図がより鮮明になる。細かい形状までわかるようだ。
そして何よりも凄いのが、隠密系や偽装系を完全に看破することだろう。
試しに俺が絶隠密を発動してみたのだが、普通にアンクの地図に浮かび上がったらしい。
しかもその対象が隠密しているのがわかるように、他よりも薄く表示されるようだった。
これは、盗賊の極意が併用された結果だ。流石は神授スキルだった。
アンクから逃れるには、相手も隠密系や偽装系の効果を持つ神授スキルが必要になる。
エクストラ程度では、逃れることは困難だ。
そう考えると盗賊の極意は、本当に優秀な神授スキルだった。
戦闘能力は低いものの、パーティにいるだけでとんでもない成果を叩き出すことができる。
ある意味盗賊の極意を併用した地図作製は、ゲームでマップを常に表示させた状態だ。
地球にいたころ、そういうゲームが存在していたことはデータチップの情報から知っていた。
荒廃する前の地球では、ゲーム配信者なる存在がたくさんいたらしい。まあ、それについてはどうでもいいことか。
アンクがいるだけで、ダンジョン探索が楽になるのは間違いなかった。
「ガァ、あーしって、まじレベチってわけ」
「うにゃにゃっ」
「テラワロス」
「うにゃにゃにゃにゃ……」
アンクの優秀さに対抗して、レフが何か言ったようだ。しかしアンクに一蹴されて、悔しそうに唸っている。
レフはアンクに対して、強い対抗心を燃やしていた。
だがレフとアンクは険悪というわけではなく、ライバルという関係に近い。
よく喧嘩をするが、本当はお互いに認めている。
まあそれについては、決してお互いに表には出さないけどな。
「とりあえずアンクは、空中から次の階層に続く階段を探してみてくれ。地図作成がどれくらいの効果があるのか、実際に試してみよう」
「ガァ、おけまるー!」
そうしてアンクは空を飛び、偵察に出て行った。




