SS ヴラシュが城に辿り着くまで ②
※推奨読了話数194話くらいです。
あの出来事があってから、僕の移動は少し大胆になった。
というのも同じような光景がずっと続いていたこともあり、焦りもあったからだ。
また持っている血液袋の中身もかなり減ってきており、このままでは不味いと思ったのである。
なので少し以前よりかは、隠れる頻度を減らしていた。加えてそれは、僕の神授スキルである不死者の友達の効果を確認するという意味もあった。
すると何度かゾンビやスケルトンに見つかったけど、僕に襲い掛かってくることはない。逆に少し手を振ってみると、相手も振り返してくれたのである。
このとき僕はようやく、周囲のゾンビやスケルトンが僕を襲うことがないことを理解した。
でもやっぱり、怖い事には変わりない。けど、ここで勇気を振り絞ることにした。
僕は一体のゾンビに近づくと、人の住んでいる場所を尋ねたのである。
けどゾンビとは、まともに会話が出来なかった。唸っているだけで、何を言っているのかさっぱりだったのである。
でも何となくこちらの言っていることを理解している気がしたので、色々と思考錯誤をした。
すると最終的に、村のある方向を指さしてくれたのである。
僕はそのゾンビにお礼を言って、その村を目指した。ちなみに水や食料についても尋ねたけど、こちらは無駄に終わっている。
うん。見るからに周囲には何も無いし、無いのは仕方がない。でもやっぱり水や食料が無いと、このままでは不味かった。
だから教えてもらった村で、何とか水や食料を得たいところである。けれども、その希望も無駄に終わってしまった。
辿り着いた村は、ゾンビの村だったのである。
何となくそんな気はしていたけど、やっぱり生きている人はいなかった。
それに井戸の水は枯れているし、畑にも食べ物は無い。
村人らしきゾンビに声をかけてみたけど、水や食料は存在していなかった。
僕はこのとき、かなり絶望していたと思う。既にこのとき、血液袋の中身をだいぶ飲んでいたからだ。
だから少し自暴自棄になっていたのか、ゾンビたちへと普通に話しかけるようになっていた。
襲われてしまっても、別にもう仕方がないと思っていたのもある。どちらにしてもこのままでは、飢え死にするのは間違いなかったからだ。
そうしてゾンビたちに色々話しかけて、情報収取をしたり家に泊めてもらったりもした。
するとそうした交流をしたのが良かったのか、神授スキルである不死者の友達に変化があったのである。
なんとゾンビと少し仲良くなったことで、飢餓耐性(小)と脱水耐性(小)が付いたんだ。
この耐性を得たことが、後に僕の運命を変えた。これが無ければ、絶対に途中で力尽きていたのは間違いない。
そうして村では、他にもボロボロのバッグや道具などをいくつかもらった。またゾンビの一体が、謎の肉片を何個か僕に渡してくれる。
昨日聞いたときには持っていなかったはずなので、僕のためにわざわざ探してくれたようだ。
何の肉なのかは全く分からないけど、飢えている僕にはどちらでもよかった。
貰った肉片は、少しずつ大切に食べる事を決める。幸い干し肉を硬くしたような肉片だったので、ずっと噛み続けることができた。
お世辞にもおいしいとは言えなかったけど、噛んでいるだけで空腹感を誤魔化せたのである。
それからゾンビたちに見送られながら、僕は村を出た。
最初にこの世界に来てから怖がっていたのが嘘のように、それは消え去っていたのである。
なので道中は頻繁に出会ったゾンビやスケルトンに、道を尋ねるようになった。
そうして僕は、この先に城があることを知ったのである。
城に行けば、水や食料があるかもしれない。また生きている人はいなくても、何か凄いアンデッドがいると思った。
だから僕はそれに賭ける。もはや他に、選択は無い。
そして僕は城を目指して、歩き出すのだった。




