SS ヴラシュが城に辿り着くまで ①
※推奨読了話数194話くらいです。
僕の名前はヴラシュ・シルバニア。種族はヴァンパイアだ。年齢は18歳で、性別は男。
少し小柄で華奢なところが、少々コンプレックス。人見知りで根暗なところもあり、黒い前髪も目が隠れるまで伸ばしている。
戦うことなんて、全くできない。種族的には強いみたいだけど、僕の戦闘センスの無さがそれを台無しにしているらしい。
けどそんな僕だけど、神授スキルの【不死者の友達】のおかげで、こうしてやっていけている。
ちなみにこの不死者の友達の効果は、アンデッド系やそれに近い存在と、仲良くできる効果だった。また仲良くなればなるほど、恩恵があったりする。
最初はもっとマシな神授スキルがほしかったと思ったけど、今ではこの神授スキルで本当に良かった。これがあったからこそ、僕は運命的な出会いをしたのだから。
そしてそれを話すには、まず最初から語ろうと思う。
まず僕は真っ白な空間で、不死者の友達という神授スキルを手に入れた。
けどこのとき僕は、人族だと異端な目で見られて、生きづらいと思ったんだ。でもだからといって、アンデッド系になる勇気も無かった。
だからその中間的な雰囲気のする、ヴァンパイアを選択したんだよね。名前はヴァンパイアのイメージから、ヴラシュ・シルバニアにした。
ヴァンパイアはポイントこそ低かったけど、その代わりにデメリットスキルがたくさん付いている。このままではまともに暮らすのも、難しそうだった。
なのでそのデメリットスキルをポイントで消して、弱点を消すことにしたんだ。けどそのせいで、ポイントがかなり少なくなったんだよね。
また残りのポイントは戦闘をする気は元々なかったから、生産系と便利系のエクストラを少し取った。あとは転移場所の安全と、ヴァンパイアだから血液袋のアイテムを選択したんだよね。
これで準備が整い、僕は異世界へと旅立ったんだ。けど転移した先は、荒れ果てた魔界のような場所だったんだよね。
紫色の空に、灰色の地面。岩と枯れ木が所々にあり、生命が一切感じられなかった。
安全な転移場所を選択したのに、これはあんまりだと嘆いた記憶がある。
僕の異世界での始まりは、とても過酷だったんだ。もし人族だったら、この時点でダメだったかもしれない。
でも幸いヴァンパイアだったから、生き延びることができた。ヴァンパイアは生命力が高く、食事も血液を定期的に摂取していれば、死ぬことはない。それでも仮に血液袋を選んでいなければ、ヴァンパイアでもきつかっただろう。
また薄暗いとはいえ、太陽の光も克服している。弱点を消しておいて、正解だった。こんな場所では、太陽の光から逃げ続けるのは不可能だったはずだ。
何より、休憩できそうな建物なども一切見当たらない。このとき周囲には人工物は無く、途方に暮れていたんだよね。
だから僕はその後人のいる場所を求めて、歩き出したんだ。一応偽装のエクストラも取ったから、人に会ってもヴァンパイアだと簡単には見抜かれない。そんな油断もあった。
けどいくら歩き続けても、人工物は一向に見つからない。それどころか、道中は何体ものモンスターを見かけた。
それはゾンビやスケルトンというモンスターだったけど、当時の僕はそれを知らない。
一応不死者の友達という神授スキルがあったけど、試すどころか怖くて近づけなかった。
でも避け続けることは難しく、あるとき偶然見つけた岩の穴の中で眠っていると、何かが僕を覗き込んでいたんだ。
ふと目が覚めると、それと目が合った。いや、実際に相手には目が無かったので、ちょっと違うかもしれない。
そう。相手はスケルトンだったんだ。
僕は恐怖で震えていたけど、スケルトンはこちらを覗き込んでいるだけで、何もしてこなかった。
でもしばらくして、僕が怖がっているのを理解したのか、去ってしまったんだ。
今思えば、とても失礼なことをしたと思う。だけどこれで僕は、不死者の友達という神授スキルの効果をこのとき、初めて実感したんだよね。




